ゆるぽよデンドロライフ   作:ふーじん

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バレンタイン

 □二〇四四年二月一四日・地球 薬師寺菜々子

 

 今日はみんなそわそわバレンタインデー!

 といってもまだ中学一年生のあたしには本命をプレゼントする相手なんていないからー、クラスメイトみんなに義理チョコを渡しただけだよー。

 それでも男子ってちょー嬉しそうにするんだからチョロいよねー。でも喜んでもらえたなら嬉しいかなー。

 放課後のお誘いをもらったりもしたけれどー、生憎こちらは学校以外は即デンドロのゲームライフだからおことわりー。

 向こうで一緒に遊べるなら付き合ってもいいんだけどねー。ちょうどバレンタインイベントも告知されたしー。でもやっぱりデンドロはまだプレミアが付いてて持ってる子少ないから仕方ないよねー。

 

 そう、バレンタインイベントだよー。

 先駆けて告知された内容では、人間同士で二人パーティーを作ると倒すことのできるイベント用モンスターから特殊ドロップを集めて、それをイベント終了時に報酬と交換できるんだってさー。

 ちなみに同性同士でもOKでー、テイムモンスターをパーティーに入れるのはNGー。つまりるーさんとじゃダメってことだねー。

 うーん、野良で組むことはたまにあっても、日頃から一緒に遊ぶプレイヤーっていないからなー、参加できそうにないかもー。

 まーそれならそれでいいやー、その分るーさんを構い倒すだけだしねー。

 

 っとそうだ、ログインする前にブログ更新しとこーっと。

 向こうで【高位採集者】に就いてしばらくしてから、るーさんを自慢するためにブログを開設したんだよー。

 デンドロって外部から内部へデータを持ち込むことはできないけどー、中から外へ出力するのはできるから、向こうで撮った画像や動画とかをこっちのブログに載せて紹介してるんだー。

 

 撮影機材は結構お高くてー、向こうで収入が安定するまでは手が出せなかったんだけどー、特典武具も手に入ってじゃんじゃん採ってこれるようになったから、満を持して一式購入したのだー。

 テイムされたスライムって結構レアらしくてー、しかもちゃんと育てられる人はほとんどいないからブログはなかなか盛況だよー。

 

 あたしとるーさんに限らず、向こうでテイムモンスターなりガードナーの<エンブリオ>なり、人とは違う生き物を仲間にしたプレイヤーにはこうしてうちの子自慢をしたがる人も結構いてー、そうした子を紹介するブログは多いんだー。

 もちろんその繋がりであたしのブログとも相互リンクしてるしー、それ以外にも紀行ブログとかともリンク繋げてもらってるよー。

 

 デンドロを買ってもらうまではそういうサイトを巡回してわくわくやきもきしてたなー。

 ほんとにいろいろあって見てて全然飽きなかったよー。『ロックパンサーのデンドロ巡り』とか好きだったんだけど、デンドロ始めてしばらくしてから見に行ったら、なんだか荒らされて炎上したみたいで閉鎖してたのは残念ー。

 

 そんなことを振り返りつつ今日もざっとリンク先を巡回して、更新があったとこにちょこっとコメントを残してくー。

 うちの子自慢の界隈だからこそ、よその子も可愛いっていう尊重の姿勢で行儀良く回っていくのが円満の秘訣だねー。

 やっぱり褒められると嬉しいからねー、うちの子自慢友達略して"うちとも"の輪をどんどん広げていくよー。

 

 ちなみにうちのるーさんは見た目が某大手RPGタイトルの有名モンスターに似てるおかげですっごく好評なんだー。

 更新すると毎回あちこちからコメントもらえて思わず鼻高々だよー。反応をるーさんにも見てもらいたいんだけど、こっちにはるーさんはいないからねー。それがやっぱり寂しいかなーって。

 そういうのってうちとも勢みーんな同じ気持ちらしいけどー、やっぱりみんなそうなんだねー。

 

「あ、メヅールさんとこも更新してるー」

 

 そうしてあちこち巡回してると、リンクブログのひとつ『メヅールの虫籠』が更新してるのを見つけたー。

 相変わらず他のサイトと比べてアクセス数が極端に少ないけれど、それはここのブログが魔蟲系モンスターを専門に紹介してるからでー、なまじ描画がリアル視点なせいで苦手な人が多いからなんだよねー。

 あたしは虫とか全然平気だから普通に見れるんだけどー、そのせいでリンクやコメントも少ない中でもちょこちょこ更新し続けてるメヅールさんは凄い人だよー。

 

「ほほー、今回は甲虫タイプできたかー。うわ、虎よりおっきいー……リアルでこんなのいたら完全に地球防○軍だよー」

 

 その日の更新はメヅールさんが新たに育成したとかいう、すっごくおっきなカブトムシだったー。

 甲殻は見るからに重厚そうで、動画ではモンスターの群れを物ともせずに蹴散らして、特徴的な角で貫くわ砕くわの大暴れー。

 蹴散らされてるモンスターって、見た感じどれも亜竜級以上みたいなんだけど、そうなるとこのカブトムシはどれだけ強いんだろーって感じだよねー。

 流石のるーさんもああいう風に派手に戦うのは無理かなー。るーさんの戦闘スタイルはどっちかっていうとアサシンっぽいしねー。

 

「『重戦車が空を飛ぶとこんな感じなのかなー。すっごくかっこいいよー』……と。うーん、こうして見ると他のモンスターもやっぱりいいなー」

 

 こういうブログを巡回してると、やっぱり他所の子もかっこよく見えちゃって自分でも育てられないかなー思うよねー。所謂隣の青芝ってやつー。

 でもでもあたしはるーさんの意向もあって他のモンスターはめっきりテイムしなくなったからなー。

 最近はどういう理由かは知らないけれど、自分で生んだちっちゃいスライムをテイムするように言ってくるようなったから、テイム経験の方は少しずつだけど積んでるんだけどねー。

 

 ……でもよくよく考えると自分で生んだってどういうことなんだろー? スライムって自己増殖して繁殖するらしいけど、テイムしてもそうなるのかなー?

 デンドロのモンスターって他のゲームみたいにリポップするんじゃなくて、ちゃんとした生態系を構築して繁殖してるから、そういうこともあるのかもしれないけどー。

 るーさんは問題無いって言ってるから言われた通りにしてるけどー……冷静に考えるとやっぱり不思議だよねー。

 

「あ、返事きた。相変わらずはやいなー」

 

 コメントしてすぐにメヅールさんからの返事がきて、相変わらずの反応速度ににやにやー。

 ページを開けばかっこいい甲虫から見た目不快害虫まで画像や動画盛りだくさんだから仕方ないけど、他にコメントする人がほとんどいないのはやっぱり寂しいのかなー。

 たまにコメントあっても大抵誹謗中傷の類だったりするし、メヅールさんもきっと苦労してるんだねー。

 

「えーとなになにー? 『とっておきの子がいるのですが、ご覧になられますか?』……おおー、とっておきー。みるみるー」

 

 メヅールさんのとっておきかー。今まで何度か見せてもらったけれど、どの子もすんごいのばっかでいつも驚かされてるもんねー。

 今回は心なしかメヅールさんもいつも以上に自信たっぷりって感じだし、これは期待できるよー。

 

 その旨を返事してしばらく待つと、今度は個人チャットからメッセージが届いて画像ファイルが添付されてた。

 お互いにアドレスを交換するくらいには付き合いもあるんだよねー。

 向こうで会ったことはないけれどこうしたリアルでのやり取りが多いから、ある意味メヅールさんが一番親しいフレンドと言えるかもしれないねー。

 うーん、メヅールさんが王国にいたらなー……っと、画像見なきゃ見なきゃー。

 

「…………でかっ!? うわ、でっか! 何十……いや何百メートルくらいあるんだろ、この子ー……」

 

 わくわくしながら添付ファイルを開くと、そこに現れたのは全長何百メートルもある()()()()()だった。

 あまりに大きすぎてどの景色からの映像なのかもさっぱりわかんないー……ええ、下に見えるのってひょっとして森かなー?

 だとしたら二〇〇メートルくらいはあるかもー……どこでテイムしたんだろ、これどう見てもボスモンスタークラスだよねー?

 ああいや、メヅールさんのとっておきはみんなお手製だって言ってたから、これも育成した子なのかー。そういう<エンブリオ>を持ってるのかなー?

 

 こんだけデカいと気持ち悪いよりも先にかっこいいが来る人もいるんじゃないかなー?

 なんか日本の昔話でこういう妖怪もいた気がするよー。それくらいインパクトでっかーい。

 絶対強いよこの子ー。うちのるーさんでも勝てるかなー?

 

 思わずハイテンションになって返事すると、メヅールさんからここぞとばかりのうちの子自慢が返ってきたー。

 うーん、流石自信満々で紹介するだけあって熱意がすごいよー。でもこれだけの子を見せられたらこっちも認めるしかないなー。

 でもこっちだって負けてないもんねー。あたしも負けじとるーさんかわいいで反撃だー。

 

メヅール:時にゆるぽよさん

ゆるぽよ:はいはいなーにー?

メヅール:相談……というよりも、お願いがあるのですが

 

 そんなこんなでいつもならとっくにログインしてる時間なのも忘れてチャットで盛り上がってると、ふとメヅールさんが改まった様子で切り出した。

 メヅールさんからのお願い? メヅールさんから何かをお願いされるなんて初めてだからちょっとびっくりー。

 

ゆるぽよ:お願いの内容によるかなー、とりあえず言ってみそ?

メヅール:では単刀直入に申し上げまして……あちらでゆるぽよさんにお会いすることはできないでしょうか?

 

 お、向こうで会いたいのかー。

 これが所謂オフで会おうってことならはいさよならーってとこだったけど、向こうで会う分にはなんの問題も無いから話を続けるー。

 

ゆるぽよ:なんでまたー? あたしは別に構わないけど……

メヅール:過去の交流からお察しのことかとは思いますが、生憎わたくしあちらで友人を得られませんで

ゆるぽよ:うわ、ぶっこんだ

メヅール:事実ですので。……その原因がわたくしの趣味にあるというのも重々承知してはいるのですが

 

 あ、うん……やっぱり昆虫好きってのは難しいよねー……。

 一般的に虫嫌いな人の方が多いだろうし、メヅールさんの場合ほんとに虫ならなんでも紹介しちゃうから余計にだよー。

 さすがのあたしもイナゴ型モンスターの群れを画像で紹介されたときはびっくりしたしねー。

 

メヅール:やはり魔蟲系モンスターが苦手な方々が多いようで、臨時PTを組む機会にも事欠く有様。一言で申し上げれば寂しさ極まりないといった現状でして

ゆるぽよ:あー、それはわかるかもー。さすがに誰とも付き合えないってなると虚しいもんね

メヅール:ゆるぽよさんにはわたくしの子達にも臆さず毎回評価を頂いて、大変励みになっております

ゆるぽよ:そこはあたしが平気なだけだし、すごい子なのは本当だからいいんだよー

メヅール:大変光栄です。しかしそうなると益々欲を募らせるのが人というもの……つまるところわたくしの子達を直にご覧いただきたいということでして

 

 今更だけどメヅールさんって言い回しが丁寧というか、ちょっぴり古風だよねー。

 いいとこの育ちなのかなー?

 

ゆるぽよ:ほうほう、それはこちらとしても願ってもない申し出だよー。直に見れるなら嬉しい!

メヅール:ゆるぽよさんならそう仰っていただけると信じておりました

ゆるぽよ:でもメヅールさんって、所属はたしか……

メヅール:黄河、ですね

ゆるぽよ:そうだったそうだった、けっこー離れてるよね。あたしの方から会いに行くのは難しいかも……ていうか砂漠は無理!

メヅール:もちろんこちらから言い出したことですから、わたくしの方から会いに行きます。幸い道中の心配は無用ですし……

ゆるぽよ:ですし?

メヅール:故あって黄河に留まる理由も失くなりましたから、見聞を広める意味でも他国へ移ろうと思っていたところです

ゆるぽよ:……指名手配とかじゃないよね?

メヅール:天地神明に誓ってそのようなことはありません

 

 あ、よかったー。

 今まで黄河でずっと活動してたのにいきなりそんなこと言うから、思わず邪推しちゃったよー。

 

ゆるぽよ:ごめんごめん、じゃあメヅールさんの方は問題ないんだ?

メヅール:はい。ですのでゆるぽよさんさえよろしければ是非お会いしたく

ゆるぽよ:おっけおっけー、いいよもちろん! 向こうでもフレンドさんと会えるならこっちもうれしー!

メヅール:フレンド……ですか。ありがとうございます。そう仰ってくださるのはゆるぽよさんだけです

 

 ……うん、ちょっとメヅールさん重いかもー?

 そんだけ寂しかったのかなー……でもうちの子自慢しても全然反応もらえないのを想像すると、確かにちょー寂しいから無理もないかもー。

 

ゆるぽよ:それじゃーいつ頃こっちに来れる? 碌に歓迎もできないけれど、日時を教えてくれればお迎えするよー

メヅール:すぐにでも黄河を発てますので……ざっと見積もってあちらの時間で一月程、でしょうか

ゆるぽよ:あ、意外とはやーい

メヅール:しかしカルディナの砂漠にも興味深い魔蟲が多いので、少し寄り道してしまうかもしれません

 

 メヅールさんってば根っからの昆虫好きだねー。

 ていうかもうむしろフェチズム?

 

ゆるぽよ:急ぎでもないし、ゆっくり観光してからでも大丈夫だよー

メヅール:ありがとうございます。では都度ご連絡を差し上げますので、その時は何卒よろしくお願いします

ゆるぽよ:はーい、了解! あ、こっちとあっちで名前とか違う? 違うなら人相分かるようにしとかないとー

 

 ブログとデンドロとで名前が違うってのも珍しくはないからねー。

 それにうちとも界隈はあくまでペットが主役で、飼い主の方は露出しないって人も多いしー。

 あたしもメヅールさんもそのタイプだから、ちゃんと先に聞いておかないとわかんない……あ、でもー、

 

ゆるぽよ:それとも実際会うまで秘密にしとく? 目印だけ先に決めといて、あとは当日をお楽しみにってことで

メヅール:成程、それも面白いかもしれませんね。ではそのように致しましょうか。目印の方は後日改めて決める、ということでよろしいですか?

ゆるぽよ:いいよーおっけおっけ! あ、ブログは更新してくれるのかな?

メヅール:はい、勿論。カルディナの魔蟲も御紹介致しますよ。こちらこそゆるぽよさんのブログを楽しみにしております

ゆるぽよ:ありがとー! それじゃあそういうことで、そろそろあたしもインするからまた今度ね!

メヅール:はい、また後日に。わたくしも子供達の世話をしてやりませんと……ゆるぽよさん、急なお願いを聞いていただきありがとうございました

ゆるぽよ:いいよいいよー、会える日を楽しみにしてるね!

メヅール:こちらこそ、一日千秋の思いで待っております。では、よしなに

 

 そこでチャットを閉じてメヅールさんとのやり取りも終えた。

 気付けばいつもの時間よりも一時間以上もオーバーしちゃってたよー。

 るーさん寂しがってないかなー。ログアウト中は【ジュエル】の中の時間は停止させてあるとはいえ、少しでも早く一緒に遊びたいもんねー。

 

 ともあれ今日もデンドロにダーイブ!

 

 

 ◇◇◇

 

 

 □王都アルテア・中央通り噴水前 【冒険家】ねねこ

 

 とゆわけで王都に到着!

 いつものログイン地点だけど、今日はイベント真っ最中っていうことでやっぱりカップルが多いねー。

 デンドロのイベントってへんてこなの多いけど旨味もすっごく大きいから、異性同士でも同性同士でもパーティーを組んで歩いてる人があちこちにいるよー。

 中には相方に恵まれずに打ちひしがれてる人達もいるけれどー、そういう悲喜こもごももバレンタインの顔だよねー。

 

 かくいうあたしも一緒にイベントに参加できる相手の宛てもいないからそのお仲間なんだけどー。

 でもあたしにはるーさんがいるから寂しくないもんねー。とゆわけでるーさんカモン!

 

「それじゃー外いこっかー。そろそろ【冒険家】もカンストさせたいところだしねー」

『…………』

 

 いつもの装備(着ぐるみ)に着替えてるーさんに乗り込むと、るーさんは原付き程度のスピードで南門に向かった。

 少し前に就いた【冒険家】だけど、このジョブっていろんな汎用スキルを覚えることができるからちょー便利なんだよー。

 《殺気感知》とか《危険察知》みたいな危険回避スキルもそうだけど、個人的に一番嬉しかったのは《解体》スキルを覚えられたことかなー。

 

 前々からずっと欲しかったスキルで、これのおかげでるーさんのご飯のレパートリーがまた増えたからねー。

 狩人系統とかでも覚えられるけどあたしのビルドとはシナジーしないから、あたしに欠けてた基本的な汎用スキルをまとめて習得できる【冒険家】のラインナップの中にこれが含まれてたのは嬉しい誤算だよー。

 さすがに本職ほどにはレベルは上がらないみたいだけど、それでもあると無いとじゃ段違いだからねー。

 

 その【冒険家】も現在レベル四二。

 このゲームってジョブで得たステータスってそのまま累積していくから、ジョブを増やせば増やすほどレベリングがしやすくなるのはいいところだよねー。

 といってもあたしが覚えてきたジョブはどれもスキルがメインでほとんどステータスは上がらないんだけど、そこはるーさんがいるから問題無しー。

 

 これとか【斥候】みたいな汎用スキルが売りのジョブって、上級職に就いてる人とかいるのかなー? 超級職があるって噂も聞いたことないんだけど、あるとしたらどんなジョブなのかは気になるよねー。

 

 と、そろそろ南門だねー。

 今日はどこで狩ろうっかなー。なんとなく南に向かったはいいけれど、まだなんの予定も立ててないんだよねー。

 とりあえず適当にぶらぶらしながら考えればいっかー……って、あそこにいるのはひょっとしてー?

 

「バリンさーん! バリンさんだー!」

『…………!』

 

 南の街道から王都に向けて馬を走らせる見覚えのある姿に声をかけると、向こうも気づいたのか馬を止めてこっちを見た。

 で、そのままじーっとこちらを見つめて、合点がいったのか頷いて答える。

 

「……ねねこか。王都に土竜人族の知り合いはいないはずだと思って、少し困惑した」

「あ、よくわかったねー? こっちで会うのは半年振りくらいなのにー」

「……王冠をつけたスライムなど他に見たこともない。ともあれ、息災のようでなによりだ」

『おう、久しぶりだなお嬢ちゃん! その格好はどうした? あいつみたいな真似しやがって、ガハハッ!』

 

 そう言いながら下馬したバリンさんは、また一段と強くなってるみたいだったー。

 オハンちゃんも相変わらずで、変わったのはバリンさんの武器……かなー?

 以前見たときの武器はオーソドックスな片手剣だったはずだけど、今腰につけてる剣はそれよりもずっと強そうっていうか、なんか物々しい気配してるー。

 

「……特典武具か。()()ところまだ二〇〇と少し……下級か。その段階で<UBM>を倒すなど、余程幸運か悪運に恵まれたらしい。上手くやったな」

「【ぐりーもーる】っていうんだよー。いろんなものを採ってくるのが得意なんだー」

「……そうか。無事この世界を楽しめているようでなによりだ。ところで何か用か?」

「あー、別にそういうわけじゃなかったんだけどー」

『バッカ御主人、普通知り合いを見かけたら声くらいかけんだよ! 寧ろ忘れられてなかったことを喜ぶとこだぜここは!』

「……そうか。俺も再び会えて嬉しいぞ」

「あたしもー! 前はいろいろ教えてくれてありがとうございましたー」

「……気にすることはない。あのときも言ったが、新人をフォローするのは先達の役目だ」

 

 相変わらずだなー、バリンさんってば相変わらずのちょっぴりコミュ障ー。

 でもバリンさんだとそれも愛嬌って思えるからイケメンってずるーい。

 中身看たことないけど、絶対イケメンだからきっとそうー。

 

 そしてオハンちゃんの言った通りたまたま見かけたから声をかけたところなんだけど、ひょっとしてバリンさん今暇なのかなー?

 特に急いでる様子も無いし、だとしたらこれはチャンスかもー。

 

「んー……バリンさんー、いま暇ー?」

「……特に予定は無いが」

「それならー……一緒にバレンタインイベント、しよー?」

 

 降って湧いたイケメンとイベント参加するチャンスだもんー。

 ここはバッチリ掴み取らないとねー。

 

 

 To be continued

 




(・3・)<本作の主人公はいたって普通の女の子なので
(・3・)<イケメンには当然食いつく(
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