キノさんキレる、そして病む、デレる
病について分かったことは、色々と研究をしてどんな薬も治療も効果が無く、感染すると致死率100%で死は免れない様だ。
研究に行き詰まっていたそんな時に、ファルの両親が事故で死んだらしい。
国民にしか感染しない病だ、何が旅人達と違うのかを調べる為にファルの両親の死体を研究に使ったらしい。
ファルには両親のお葬式をしてあげると、嘘をつき死体の入っていない棺桶を埋葬してお葬式をしたらしい。
今墓の下にあるのは空の棺桶だ。
まだ子供のファルは国に保護された、そんな頃ファルの両親に国民と違う所は無く、次は健康診断用に採血したファルの血を調べてみた。
するとファルの血は、実験動物の怪我も病気も全て、瞬く間に治してしまったらしい。
研究者達は喜んでファルの血を培養して試してみたらしい、すると効果はがた落ちで怪我を少し治す程度だった。
次は薄めて使うと怪我は少し治り、病は治らず少し軽くなる程度だった。
薄めた物を数回飲むとやっと病が完全に治る、研究者達は頭を抱えたせっかくの特効薬が培養出来ない。
するとある一人がの研究者が言った、彼からもっと血を採ろうと…それがファルの辛い日々の始まりだった。
彼に重大な病気の可能性があると嘘を吐き、入院させ検査の為にと大量の血を採った、彼は重度の貧血で入院中ほとんど動けなかった。
これには穏健派が反対し、彼は完全に管理された今の家に住む事になった。
彼は今も定期的に検査と偽り採血を受ける、その際に採る量は限界ギリギリで、彼は検査の後に毎回治療を受けふらふらで帰るらしい。
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「これが病と血の関係だ」
「これは酷い、こんなことよく出来るよね」
「人間は自分が助かる為なら、何処までも残酷になれる生き物なんだよ」
自分達が助かる為に、ファルの血を搾り取り続けてこの国は生きている、ファル一人の犠牲の上に成り立っている。
「ファルさんは一体何年、こんな目に遭い続けてるの?」
「保護された時の年齢から考えて、五年以上だね」
「よく生きてたよね」
「そうだね、よく生きててくれた。僕は嬉しいよ」
そしてこの国のを憎む気持ちが、僕の中で膨らんで爆発しそうだよ。
よくもファルをこんな目に…
「これからどうするの?」
「僕はね許せないんだ、僕のファルをこんな酷い目に遭わせて、国民達は健康になって幸せになるなんて」
ぎゅっと拳を握りしめ怒りに耐える、すぐにでもファルの所に走って行きたい位だ。
「最初はね、この国の事だから酷い話とは思ったけど、僕には無関係で、何もするつもりは無かった。
でもね…それがファルなら話は別だよ、僕の恋人を酷い目に遭わせたんだ…絶対に許さないよ」
僕は無関係の人間を救うほどお人好しじゃ無い、ファルだから救うんだ。
その為にはどれだけの犠牲を出しても構わない、平気でファルを犠牲にしてきた奴等なんて、憎しみと殺意しか抱けない。
「作戦は考えてあるの?」
「先ずはファルの薬を大量に入手しないと、ファルの重度の貧血は本当だから、治るまでの分の薬が必要だね」
「じゃあ病院?それとも研究施設?」
「両方だね。薬の入手と、ファルに関する全ての資料を削除しないと」
資料を残していたら誰かがファルを追い掛けてくるだろう、探しだしてまた薬にされる。
「その後は?」
「ファルの分の旅支度をして置かないと。
ファルはモトラドに乗れた筈だから、貧血が治ったら何処かの国でモトラドを買うよ」
昔乗って見せてくれた事があった、格好良かったなぁ…
貧血のファルをモトラドに乗せるのは難しい
「じゃあ暫くは二人乗りの旅?」
「そうなるね、暫くは苦労をかけるよエルメス」
暫くは二人乗り、沢山くっつけて幸せだろうな…
早くファルに会いたくなってきた。
「はいはい、パンクには気を付けてね」
「後は戦闘準備だよ、沢山の弾が必要だ」
「キノ本気だね」
「そうだよ、僕はこれでも本気で怒っているんだ。
ファルを何年もこんな目に遭わせていたんだ、それ相応の償いはしてもらうよ」
それ相応、何年も死ぬほどの辛い目に合わせた罪は、死ぬことで償ってもらう。
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「キノ準備は良い?」
「大丈夫だよ完璧だ」
あれから病院で薬を盗み、研究施設の機械と資料を全て燃やした。
旅支度も終わって荷物は全てエルメスに積んである、後はファルを連れて行くだけだ。
「ここで待ってるから、早く戻って来てね」
「分かった、じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい」
エルメスの言葉を聞いて先を急ぐ
ここを進めばファルの住む保護地区だ、警備は厳重で住民はファル以外は全員研究者か、兵士達が親切な住民の振りをして住んでいる。
先ずは最初の検問を突破する、建物の影から兵士をスコープ越しに見る。
この時間は見張りは一人、サイレンサーを付け撃つ。
狙い通り兵士は音も無く倒れた。
次はファルの家に近付かないと、
住民の振りをした者達が沢山出歩いている、ファルは端の方でベンチに座っていた。
ファルが僕のすぐ側にいる、もうすぐで触れられる。
僕の侵入に気付いた人達が慌て出す。
薬を奪われるや、彼は死んでも肉体だけは保護してくれ、など何処かに連絡している。
本当にこいつらは腐っている、なるべく被害を減らそうと思っていたけどもういいや、邪魔する奴等は皆殺す。
素早くパースエイダーを連射して、ファル以外は皆殺す、向かって来た奴も逃げ出した奴も皆殺して、やっと全員片付いた。
彼に近付くとびくりと震えて、後ずさる。
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*前話の冒頭に繋がる
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意識が戻る、あの後はどうなったんだ?確か殺人事件が起こった筈
体を起こして周囲を確認すると、森の中の様だ。
毛布をかけられて寝かされていたのか、何が起こってるんだろう?
「おはようファル、目が覚めましたか?」
「君は!殺さないでくれ!」
後ろを振り返るとあの時の殺人鬼居た、逃げようにもこの弱った体は走れない。
「ファルを殺す訳ありません、ファルは僕の大切な恋人ですよ?」
「君は、一体何を言っているんだ」
「覚えてませんか?キノで…ああ違いましたね、あの頃は×××××でしたか」
「×××××?それは俺の友達の名前…」
昔暫く滞在した国で友達になった女の子が居た。
その子の名前が×××××だ、旅の間であんなに仲良くなったのは彼女だけで、今でも鮮明に覚えている。
「覚えていてくれたんですか!僕の今の名前はキノです、ファル僕ですよ!」
「×××××、いやキノ本当に君なのか?見た目は随分変わって、髪はもっと長かった筈だけど」
「旅には邪魔になりますからね、似合いませんか?」
「いや良く似合ってる…本当に君なんだな、なぜ君があんな酷い事を、殺人なんて」
優しかった彼女が、あんな酷い事をするなんてまだ信じられない、仲の良かった人達が皆殺された。
なんでこんな事に…
「確かに人を殺しましたが、理由が有ります。今から全て説明しますね」
「ああ、お願いするよ」
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彼女…キノから全てを聞いた、聞いてしまった…
俺はずっと騙されて?仲良くしていた皆も仕事だから、付き合ってくれていたのか?
俺が病気になったのも国のせいで、特殊な血のせいだと思っていたのに。
毎日辛い思いをして頑張ってきたのに、皆は俺を犠牲にしようとしていたのか?俺なんて死んでもどうでもよかったのか?
なんで…なんでこんな…
…もう何も分からない、これからの事も…何も考えられない
「ファル、貴方を連れて行きます」
「キノ?」
「約束通り、恋人になってくれますよね」
「そうだね、約束したから」
動かない頭で何も考えられないまま、返事を返す
「だから、僕と旅にでましょう。
二人で、ずっと一緒に旅をしましょうね」
「キノがそう言うなら」
「嬉しいです、これからは誰にもファルを傷付けさせません。僕が守ります、幸せにしますからね」
「本当に?キノと一緒ならもう傷付かない?幸せになれるの?」
もう傷付きたくない、幸せに暮らしたい、殺されたくない。
「本当です、ずっと一緒にいて守ります。一人にはさせません。誰にもファルを利用させませんから」
「ずっと一緒…」
「大好きなファルを全てから守ります、今度は僕が約束します」
そうか、大好きな人とはずっと一緒に居るのか…キノが全てから守ってくれるのか。
…それなら俺も
「俺もキノが大好きだよ、だからずっと一緒?」
「はい!ずっとずっと一緒ですね!」
嬉しそうに笑うキノ、それを見て俺も笑う
大好きな人とずっと一緒に居て守ってもらえる、俺は幸せになる、キノが幸せにしてくれる。
だからキノを信じていれば、俺はもう大丈夫。
大丈夫…大丈夫だ…大丈夫なんだ
キノさんのガチギレからの殺戮劇
大切な恋人を、そんな目に遭わされたら当然の行動
ファルさん大好きなキノさん、彼を守る為ならば何でもする
心が壊れた主人公
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