ヤンデレキノ達との旅   作:黒猫黒

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国全体が恋愛脳
恋愛推奨の国
旅人にも強要する
キノとティーには、丁度良いチャンス
ボッチなど許さない、理想の恋人を紹介してくれる
とても良い国

前中後編


愛の溢れる国 1

愛の溢れる国

 

「ティー手を離して下さい」

 

「いや、はんたいのてがあいてる」

 

「成る程、ティーは賢いですね」

 

「えへん」

 

何だこの状況は、両手をキノとティーに繋がれている

どうしてこんな事にこんな恥ずかしい事に

 

「おや?僕を放置して考え事ですか?

そんな事は許しませんよ?」

 

両手で顔を掴みぐいっとキノの方を向かされる

 

「何を考えていたんですか?

他の女、さっき通ったあの女ですか?

僕には無いあの無駄な贅肉が、大きな胸が良いんですか?レオンさんが僕の胸を大きくしてくれますか?」

 

久しぶりの怖いキノさんが出て来た

私の手をキノの胸に近付ける、止めなさい

 

「キノ落ち着ついて、キノとティーの事を考えていただけです」

 

そう言うと直ぐに落ち着く

何回も同じ事を繰り返し、素直に話すのが正解と気付いた

 

「なら良いです、何時でも僕達の事だけを考えていて下さいね」

 

ニコッと笑う顔は可愛いが、セリフが怖い

何時もの事か

 

何故この様な状況になったかと言うと入国まで遡る

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

始まりは、入国審査の時のだった

 

入国審査官の質問に答えていると

突然審査官が感動し始めた

 

「素晴らしい!

愛の為に船の国から、まだ小さな女の子と駆け落ちするなんて!」

 

話た内容と全然違う

どうやら頭の中で、勝手に話を変えている様だった

 

他の審査官が集まって来た

 

「一体どうしたんたそんなに興奮して、控え室まで聞こえて来たぞ!」

 

「聞いてくれとても愛の溢れる話なんだ!」

 

審査官がどんどん集まり、騒ぎ出す

 

「ではそちらの旅人さんとも?

一体どんな素晴らしい出会いを?」

 

キノを助けた話をする

勿論話せる所だけだ

 

「おおなんと言うこと!貴方は愛の為に生きている様なお人なのですね!」

 

感動して泣き出す者もいた

 

「是非入国して我が国に愛を、本当の愛を広めて下さい」

 

審査官達は、それがいいと私達を国の中に入れてくれた

まだ入国審査の途中だったけど…

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

私達の事はラジオ放送で、国中に知られている

 

審査官に伝えた話を誇張、捏造、妄想し、一大ロマンスの末の運命の恋人達という話に変えられていた。

一体何処の誰の話か分からない

 

入国すると大勢の人が待ち受けていた

私達のファンになったと言う

話を聞いて感動したらしい

 

「キノさんデートしましょう!」

 

「ティーちゃん可愛い、抱っこしたい!」

 

「レオンさん!恋人を増やす予定はありますか!」

 

皆口々に叫んでいる

困惑している私達に、一人の女が歩み寄る

 

「突然すみません

私この国で宿屋をしているんです

こんなに騒がれては落ち着け無いでしょう?

疲れている様ですし、私の宿にいらっしゃいませんか?

歓迎しますよ!」

 

私の手を握った女の人は、20代位の可愛らしい人だった

確かに少し休みたい、この国に着くまでかなりの距離をモトラドで走ってきてもうくたくたに疲れていた。

キノ達もきっと疲れている

 

「ありがとうございます、是非貴方の宿に泊まらせて下さい。

疲れていたので助かります」

 

返事をすると、私の腕を自分の腕と絡め嬉しそうに笑う

 

「まあ嬉しい。

早速案内しますよ、早く行きましょう」

 

随分積極的だがこれは宿の客を捕まえる為の技術だろう、勘違いしてはいけない

 

私達は案内に着いていった

 

キノとティーの不気味な様子に、私は気が付かなかった

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

宿に着くと女は自己紹介を始めた

 

「私はこの宿を経営している、アンナと言います。

今年で24歳になりました、この国では珍しくまだ未婚です、よろしくお願いしますね」

 

ニコリと笑い

パチンと綺麗にウィンクする

 

「ご丁寧にありがとうございます、私の名前はレオンです」

 

ティーに合図をする

 

「…ティー」

 

挨拶出来て偉いと頭を撫でる

ティーは猫の様に目を細めている

 

「この子はティーと言います」

 

補足の説明を入れる

次はキノの番だ

 

「僕の名前はキノと言います、こっちは相棒のエルメス」

 

「エルメスだよ、よろしくね」

 

キノの声が何故か冷たい、疲れているせいかな

 

「皆様自己紹介ありがとうございます、それではお部屋に案内しますので着いて来て下さいね」

 

アンナさんはまた私と腕を組む、スキンシップが多い人だな

 

案内された部屋でやっと落ち着く

ベッドルームが2つもある豪華な部屋だ

荷物を置き、ソファーに座る

 

「ふぅっ、疲れたやっと一息つける、観光は休憩の後にしないか?」

 

「ええ休憩してからが良いです、ティーのダメージが大きいみたいですよ」

 

ティーを見るとよたよと歩き

私の膝によじ登る

 

「…つかれた」

 

「アンナさんが置いて行ってくれた、お茶とお菓子で休憩にしよう」

 

机の上にお盆に乗ったティーセットがある、サービスが良い

 

「…レオンさん、このサービスは貴方に向けられた物だと、気が付いてますか?」

 

「え?宿泊客を歓迎する物じゃないのか?」

 

キノはため息を吐く

 

「あのあからさまなアピールに、気付か無かったんですか?」

 

「あれは、客を宿に呼ぶ為の行為だと…」

 

「おんなのめ」

 

「そうですレオンさんを見る目が、完全に恋する女の目をしていました…油断できません」

 

キノが私の隣に座る

 

「あの女に腕を組まれて、どうでしたか?」

 

じっと目を覗き込んで来る

キノは光の無い暗い目をしている

ティーも振り返り話を聞いている

 

「別に何も…スキンシップの多い人だなって」

 

不思議な事に、本当に何の感情も沸いて来なかった

 

キノが私の腕に抱きつく

 

「なら僕はどうですか?何か感じますか?」

 

「照れる、胸がドキドキする」

 

素直に感情を伝える

 

「えへへ…なら良いです、あんな女に反応する様なら、少しお話をしなければ…いけない所でした」

 

キノは嬉しそうに笑うと

立ち上がり装備を確認する

 

「僕は少し宿の周りを見てきます、レオンさんはティーと休憩していて下さい。

では行ってきます」

 

キノは素早く用意すると、出ていってしまった

 

ティーがまだ疲れているので気を使ってくれた様だ

キノは良い子だな

 

 

 

「レオンさんは大丈夫でしたが、アンナさんはお話が必要ですね…」

 

廊下でキノが呟く

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

一時間もするとキノが帰って来た

 

その腕には多くの荷物を抱えている

ティーはベッドルームでお昼寝中で

膝の上で寝てしまったので私が運んだ

 

「ただいま帰りました、この国の話は聞けましたが

少し疲れました」

 

ドサドサと机に荷物を置く

花やプレゼント、手紙まである

 

「キノ、これはどうしたんだ?」

 

私の隣に座り、荷物を探りながら返事をする

 

「僕にプレゼントですって、ファンになりましたとか、付き合って下さいとか。

ああ…後は結婚しろって言った人も沢山居ましたね」

 

なんだそれ、キノは美人だがそんな急に告白や結婚?

どうしたんだろう胸がモヤモヤする

 

「キノが人気なのは嬉しいが、胸がモヤモヤして苦しくて、嫌な感じがするんだ」

 

自分の感情が分からない、こんな気持ちになるのは初めてだ

私が首を傾げながら話すと

キノはピタッと手を止めこちらを見る

その顔には満面の笑みが浮かんでいた

 

「それは焼きもち、嫉妬ですよ!僕に焼きもちなんて!嬉しいですけど必要ありません」

 

「焼きもち?この気持ちが焼きもちなのか、でもキノには必要ない?なんでだ?」

 

私にぐいっと身を寄せてきた

 

「初めから言っているでしょ?

僕の身も心も全てレオンさん貴方の、貴方だけの物ですから」

 

キノの後ろに天井が見える、押し倒されたのか…でも笑顔が綺麗で抵抗する気もおきない

そのまま顔が近付いてくる、キスするのか

 

 

 

 

「すとっぷ」

 

キノの顔の前に小さな手が現れた

ティーの手だ

 

キノはすっと身を引く

その間に起き上がる

 

「何ですかティー、良い所で邪魔しないで下さい」

 

「わたしにとっては、わるい」

 

「ティーだってチャンスがあれば、関係を先に進め様とするくせに」

 

「もちろん」

 

「まぁ見つかった僕が悪いですから、今回は素直に引きますよ」

 

ティーがキノの頭を撫でる

 

「すなお、いいこ」

 

「ふふっありがとうございます、ティーも良い子ですよ」

 

お互いに頭を撫で合っている、仲良しだな

 

「嫉妬もして貰えましたし収穫はありました、それで良しとします」

 

「さてそれでは、聞き込みの報告です」

 

キノは座り直して話を始める




次回に続く

あんないのアンナさん
安直な名前

この国にボッチなど居ない

一夫多妻
多夫多妻でも、なんでも可
性別も関係ない
とても自由な国

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