本編とは関係ない
短編
エルメス溺愛のキノ
保護者のつもりのエルメス
擬人化できる、メルヘン設定
私はバイクだ
この世界では、モトラドと言うらしい
取り敢えず私は人間から乗り物になっていた
私の仕事は走る事
最初の持ち主は[キノ]だった
私をただのガラクタから、モトラドに修理してくれた
…結局は私に乗らなかったけど
そして、次の持ち主も[キノ]だった
あの国を逃げる時に助けた女の子、それが次のキノだ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ、エルメス」
「何ですか、キノ」
「次の国までは、後どれ位かな?」
「一日は掛かりますね」
「そう、良かった」
キノは、嬉しそうに微笑む
「後一日は、二人きりだね」
「そうですね」
キノは恋人に話す様に、甘く話す
「今夜は一緒に、くっついて寝ようね」
スピードメーターに、チュッとキスをした
「…ははっ」
私はいつもの、愛想笑いで誤魔化す
・・・・・・・・・・・・・・・
もう周囲が暗くなる、今日はここまでだ
「キノ今日はここまで、ですね」
「エルメスがそう言うなら、そうするよ」
キノは何時も素直だ、私を停めて夜営の場所を探す
近くで物音が聞こえた
「キノ」
「僕にも聞こえたよ」
気配からして一人では無いだろう、心配だな
その時森の茂みの方から弾が飛んで来る
私の車体に当たり、キノは無事だった
「キノ相手から仕掛けて来ました、こちらも応戦の準備を…」
そこで気が付いた、私の車体に傷がついている
これは不味い、キノは私が他人に傷付けられるのを何よりも嫌う…いや憎む
もう顔を見るのも怖いが、キノの様子を確認する
「あの…キノ?」
キノは私のボディをゆっくり撫でる、その顔は俯いていて良く見えない
「なぁに?エルメス
僕もエルメスとお話をして居たいけど、ちょっとだけ用事が出来ちゃった。」
あっ、これはとっても切れている時のキノだ
「私は此処で待っていますから、用事に向かって下さい」
「ごめんねエルメス、早くごみ掃除を済ませて戻ってくるから」
「気を付けて」
返事の代わりに頷きを一つ残して、姿勢を低くし茂みに走って行った。
辺りを夜の静寂が包み込む
暫くすると銃声と大勢の悲鳴が聞こえて来る、森の中の悲鳴は一つまた一つと減っていき、最後の銃声と共に辺りは静かになり全く音がしなくなった。
キノが森から帰って来る、一つの返り血も無く綺麗な姿のままだ。やっぱりキノは強い。
「キノ怪我は無いですか?」
「大丈夫だよエルメス、ありがとう」
大丈夫と分かっていても心配はしてしまう、強いと言ってもキノは女の子、傷でも残ったら大変だ。
「強いのは分かっているけど、もう少し体を大切にして下さい。私は心配です」
「エルメスに心配して貰えると嬉しいなぁ、でも怪我をしているのはそっちだよね?」
うっと言葉に詰まる、忘れていなかったのか…
「でも、ボディに傷が付いただけですから…」
「そうだね…許せない…」
キノが私のボディの傷をなぞる、傷を付けた犯人がどんな殺され方をしたのかは、恐ろしくて想像したくない。
「エルメスの治療をしよう」
「新しい国に着いたら修理屋に寄りましょう、それからで大丈夫です」
車体の表面に傷が付いただけだ、内部に損傷は無いから走行に支障は出ない。
こんな傷を気にする旅人なんてキノ位で、他の旅人に驚かれる程私のボディは何時もピカピカだ。
「他人にエルメスを触れさせるなんて、そんなの駄目だよ!」
「キノ…」
「エルメスは僕の物なんだ、誰にも触れさせない!僕だけのエルメスなんだ!」
私を他人に触られる想像でもしたのか、キノは泣きながら叫んでいる。
「…分かりました」
泣かれては断る事は出来ない。
キノは私に対してだけ嫉妬心や独占欲を抱く、他の物に対してはどうでも良さそうなのに…
私は人間になる。
人間の姿の私は、キノの姿を男の子っぽくした感じだ。
髪の毛は短く体格もやや大きい、顔も目がやや鋭く親戚と言えば皆騙される位には似ている。
服はキノがくれたシンプルなズボンとシャツを来ている。
何故か姿を変えると服を着ている、不思議だ。
「キノ、修理をお願いします」
「エルメス、人の時は治療って言うんだよ」
涙を拭いながら話すキノは、少し異常な程私に執着している。
私が壊れて動かなくなった時の事を考えると恐ろしい。
シャツを捲り体を見る。
「脇腹から血が出てる…痛くない?大丈夫?」
「痛くないですよ」
「本当に?今から治療するけど、痛かったらちゃんと言ってね」
「はい、了解しました」
キノは私の傷を優しく治療してくれた、弾がかすった程度だから直ぐに治る。
「傷口は、消毒してガーゼを貼ったから大丈夫」
「ありがとうございます」
「でも…悔しいなぁ…」
「何がですか?」
「僕のエルメスに傷を付けさせたなんて、僕としたことが…」
「あれは奇襲でしたから、気が付かなくて当然です」
「違うんだ…」
キノに手を引かれて、一緒に座り込む。
「奇襲は関係ない、僕がもっと警戒しておけば良かった。何時もエルメスは怪我ばかりで…」
それは仕方ない、私はモトラドで丈夫だ。だから喜んでキノの弾除けになる。
でもキノは私が怪我をするのが嫌で、何時も泣いている。
人間の弱い皮膚よりも、私の鉄のボディが弾除けに向いていると何時も説明しているが、そういう事では無いらしい。
「私はキノに感謝しています」
「エルメス?」
「一緒に旅をして、私に素晴らしい景色を見せてくれました。」
「でも僕は…」
「モトラドだけで旅は出来ません、相棒が…キノが必要なんです」
私からキノを抱き締めて話を続ける
「私の相棒はキノだけです。キノが私を大切に思っている様に、私もキノが大切なんですよ」
「エルメスも僕が好き…?」
「はい、キノの事が大切で大好きです」
「僕も!エルメスが大好き!」
嬉しかったのか、首に抱き付いて来た
「キノは私の家族ですから、何処に行くにも一緒です。もし私が必要無くなった時には、どうか他の人には譲らず、キノの手で私を壊して下さい」
キノ以外となんて旅をしたくないし、乗せるのも御免だ
「…エルメス?」
「私は最後まで一緒が良いです」
「エルメス!」
抱き締める腕に力が入り首が締まる、人間なら死んでたんじゃないだろうか?
「勿論、誰にも渡さないよ。僕の旅がもし終わったとしても、生きてる間はずっと一緒に居て貰うよ」
「ありがとうございます」
良かった、旅が終わっても一緒に居られるなら、幸せに暮らせそうだ。
「死んでからも一緒だからね、一緒のお墓に埋めて貰うんだ」
「それは…狭くないですか?」
「エルメスと一緒なら、喜んでだよ」
モトラドもバラバラになれば死ねるのだろうか?ジャンクパーツの時は意識は無かったから、多分死ねるのだろう。
「キノは私の事を分解出来ますか?お墓に埋める時はちゃんと死を与えて欲しいのですが…」
お墓の中で永遠に意識があって、動けないなんて地獄は嫌だから。
「僕が死ぬ前に、ちゃんと分解してあげるからね。心配しないで大丈夫」
「これで、未来に関しての心配は全て解消されました。これからは、キノの心配だけですね」
「そうだよ、これからは僕の事だけを考えて生きてね。他の余計な事は、何も考えなくて良いから。」
「分かりました」
悩みが解消されると、何だか急に不安が全て無くなった。
「それはそうと、エルメス?」
「何ですか?」
「エルメスって子供作れるの?」
「えっ…、えっとモトラドですから、無理かとは思いますが…」
いきなり何を言い出すんだこの子は、モトラドは機械だ子供なんて無理だろう。
生み出せるとしたら排気ガス位だ。
「人間の姿の時は食事もするし、全部人間と同じだよね?」
「言われてみればそうですね、考えた事もありませんでした」
「僕ね、エルメスとの子供が欲しいんだ。勿論今じゃ無いよ?旅が終わってから、ゆっくりと落ち着ける場所で、エルメスと家庭を築きたいんだ」
「ちょっ…ちょっと待って下さい」
一体何を言ってるんだ…確かに食事も排泄もするが子作り何てした事は無い、人の姿に成れるが中身も同じなのだろうか?
そもそもキノと子供なんて、考えた事も無かった。
「良いよ…僕は待つよ、旅が終わるまでに何人欲しいか考えておいてね、僕の希望としては沢山子供が欲しいな。」
そうでは無い、待って欲しいのは子供の人数の事じゃ無くて、家族を作る計画の事だ。
キノの中では決定事項なのか?唖然としていると
「おやすみ、いっぱい幸せになろうね」
私の頬にチュッとキスをして、キノは眠りについた。
「おやすみなさい」
何とか返事を返したが混乱は治まらない、キノは本気で私との子供が欲しい様だ。
悩みが解決したと思ったら、また新しい悩みが増えた。
これは今夜も眠れそうに無い、キノに腕枕をしながら、また今夜も眠れないまま夜は更けていく。
キノはエルメスに、独占欲と愛情と罪悪感が混じってる
ヤンデレ
エルメスとの子供が欲しい
弾除けに使う度に泣いて謝る、罪悪感はこれ
エルメスは弾除けに使うことに賛成
エンジンに穴が開く等の酷い故障の時に、擬人化すると最悪死ぬ
主人公は元々人間だったので旅が終わって、忘れられ朽ちていくのが怖い。
しっかりと、人間の意志が有るうちに死にたい。
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