ヤンデレキノ達との旅   作:黒猫黒

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シズさんとの再会

カッコいいシズさんにしたかった

この小説のシズさんは二人兄妹
父の王様は二人を離れに住まわせて遠ざけていた
原作ほどの狂気は無く、国民と家族に対する行動もマイルド


追跡の結果 シズ視点

ある国のホテルの前、一台のバギーが止まった

バギーからホテルを見上げているのは、一人の美女だった

 

「…もうすぐ会えますから」

 

美女が呟く、そのバギーには運転席に緑色のセーターを着たポニーテールの美女と、助手席には白い大きな犬が乗っていた。

 

「シズさま、ここからあの方の匂いがいたします」

 

確認する様に、クンクンと周囲の匂いを嗅いでいた白い大きな犬が、美女に話し掛ける

美女は頷き懐からメモを取り出す

 

「入国の時に勧められたホテルだ、彼もここに泊まっているのだろうね」

 

懐にメモをしまい、荷物を確認する

厚手の布で幾重にも包まれ、丁寧に扱われたその荷物の中身は豪華な装飾を施された宝箱の様なアクセサリーケースだった。

 

箱を開くと、その中には二つのブレスレットが入っていた、大きさがそれぞれ違い男性用と女性用で対になるデザインになっている、丁度真ん中に一粒ずつ大粒のサファイアが嵌め込まれており、一目で高価と分かる程の輝きを持っていた。

 

シズは箱の中にブレスレットがちゃんと収まっている事を確認すると丁寧に荷物にしまった。

 

「リク、行こうか」

 

「はいシズさま」

 

「今日は私の運命を左右する日になるよ、ちゃんと付いて来ておくれ」

 

「勿論です、何処までもお供いたします」

 

凛と背筋を伸ばし歩くシズと、その隣を従者の様に付き従うリクはまるで、王様と家臣の様だった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

コンコンと扉をノックする、今までに無い程の緊張が体を走るが、こんなことではいけない、これから重要な話し合いをするのだから。

 

ガチャリと扉が開くと立っていたのは、会いたくて会いたくて、夢にまで見た彼だった。

 

「はい、あれ?シズさん…ですか?」

 

「お久しぶりですね、約束通り貴方を見つけ出しましたよ」

 

「本気だったんですね」

 

彼は苦笑いしている、私にも押し掛けて迷惑を掛けている自覚は有る、それでもどうしても会いたかった、会って話をしなければいけなかった。

 

「少しお時間、よろしいでしょうか?」

 

「あー…、ちょっと待って下さい」

 

そう言った彼は部屋の中の誰かと話をしていた、旅の仲間だろう、彼を探している間に彼に関する情報は大抵手に入れた、今は小さな少女と、もう一人男の子にも見える中性的な少女と旅をしているらしい。

 

一体どういう関係だろうか、噂によると恋仲らしいが…、本人が言ったわけでも無い噂は信用に値しないのでそれも確認しよう。

 

「シズさん、大丈夫でした」

 

彼が部屋から出て来た、コートを着ているので外で話をしよう。

 

「それでは、近くのカフェに行きましょうか」

 

「はい」

 

彼は頷き私の後を付いて来てくれる、カフェに付いてからが本番だ。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

二人で隅の席に座ると、何だか前に依頼をした時と同じ様に感じた、不思議だ

 

「今の状況、前の時と似てますね」

 

「!ええ、そうですね」

 

彼も同じ事を思っていたのか、嬉しくなる

しかし浮かれてもいられない、話し合いの為に気を引き締めないと。

 

「実は貴方に、話したい事が有ります」

 

「はい、どうぞ」

 

彼は分かっていたのか、静かに先を促してくれる有難い

 

「貴方に出会ってから、色々ありました、先ずは私の説明からしますね」

 

緊張の為水を一口飲む

 

「実は私はある国の姫でした、黙っていて申し訳ありません」

 

前回の依頼の時に身元をきっちりと話していなかった、それは誠実とは言えないだろう、彼は怒っていないだろうか?

 

「え?あっお姫様だったんですね、通りで…凛として気品が有るな~とは思っていたんですよ、納得しました」

 

「…それだけですか?黙っていた事を責めないのですか?」

 

「だって、自分の事を全て話さないといけないと、決まっている訳では無いでしょう?

そんなの会ってすぐの人に、正直に全てを包み隠さず話す人は居ないと思いますが?」

 

「ですが…」

 

私は彼に結果的にだが、命がけの依頼をしたのに、そんな事で良いのだろうか?

 

「済んだ事を考えても仕方ありません、次です」

 

それは私が彼に言った言葉だった

 

「シズさんが言ってくれたんですよ?なら言った本人が実行しないと!」

 

「…そうですね」

 

彼には励まされてばかりだ、不思議な事に彼の言葉は心にストンと落ちる、同じ言葉を他の人が言っても素直には聞き入れられないだろう、それはきっと私が彼を…

 

「それでは、次です

私の国は少々…いえ、大変な問題を抱えていました」

 

あの国のコロシアム、あんな物が有っては何時まで経っても国民が真に幸せになんて成れやしない。

 

「その事を思い悩んでいた無力な私に貴方は言ってくれたのです。私の言葉で救われた…と、私でも誰かを救えると変える事が出来ると貴方が教えてくれました。」

 

「確かに言いましたが、そんな大層な事じゃ…」

 

「いえ、私に勇気を与えてくれました。

それからすぐに国に戻り、果たすべき事をようやく成し遂げたのです。」

 

私は誰も殺す事無くコロシアムを勝ち進み、父に会い次の王を兄にしました、兄とは元々話し合いコロシアムを無くし平和な国を作ろうと決めていました。

 

勿論父は…前王は暴れて反対しましたが、コロシアムの勝者の願いは絶対です、もう王では無い父の言葉など誰も耳を貸しません。

父は安全の為城の一室に閉じ込めています、今迄の行動が酷すぎましたから、始めは暴れていた父も思う所が有ったのかこの頃は大人しくなり、正気を取り戻しつつあります。

 

ここまで上手く事が運んだのは、幸運でした。

けれど彼の言葉が無く勇気が出ないまま、行動を先延ばしにしていればここまで上手くは行かなかったでしょう

何事にも最善のタイミングがあるのです。

 

兄に王位を渡し、私は補佐として国を良くする為に力を合わせていかなくてはなりません、本来はここに居てはいけないのです。

 

しかし事情を聞いた兄は快く送り出し、ブレスレットまで持たせてくれました。

 

このブレスレットは我が王家に伝わる由緒有る物、国宝と言っても過言ではありません、それを渡す意味それは王家に招く、歓迎すると遠回しに兄は言っているのです。

 

このブレスレットは王家が代々婚約の際に渡す物です、是非彼にも受け取っていただきたい。

 

「私は貴方のお陰で、運命を変えられたのです」

 

「そんな事無いよ、それはシズさん自身の力ですよ」

 

私を認めてくれる彼の言葉に胸が締め付けられる、私はまだ頑張りないといけない、まだここで喜んではいられない。

 

「私は貴方にお礼がしたいのです、どうしても受け取って欲しい物が有ります」

 

彼の否定を聞く前に、机の上にブレスレットの箱を置くと箱の装飾に驚いている様だった、この箱自体の価値もとても高く、使われている宝石も数え切れない。

 

「貴方にはこのブレスレットを、受け取って欲しいのです」

 

「こんなに高そうな物受け取れ無いよ」

 

彼ならそう言うと思っていた、しかし彼の指にある物を見る、結婚指輪だ

ホテルで再会した時から気付いていた、見た瞬間には胸が張り裂けそうになったが、分かっていた事。

 

いくつか前の国で彼が結婚した事は知っていた、その国では彼の話が本になっていた、なんでも愛の為に駆け落ちをしただとか、真実の愛の為に生きているだとか、出国時に同時に二人も妻にしただとか。

 

覚悟はしていた、たがそんな事で引き下がる訳にはいかない、私はこれから国の為に生きるのだ、最後の我が儘位は押し通したい。

 

「これは我が王家に伝わる、婚約のブレスレットなのです」

 

「婚約?」

 

「そうです、私は貴方の言葉に勇気を貰い、そして同時に私も救われたのです」

 

彼は驚き固まっている

 

「国に戻るまで貴方の言葉に励まされ、気が付けば私の心の支えになっていました。

あの国で再会を約束した時は、ただ感謝を伝える為に見つけ出そうと思っていました。」

 

「思っていた?」

 

「はい今は違います、心の支えだった思いは、今は心を支配し私の心を奪いました、つまりは貴方に恋をし、今は貴方を愛しています。」

 

彼は呆気にとられている、それはそうだろう、一度会っただけの女が求愛して来るのだから、相当の驚きだ

 

「私は貴方に婚約を申し込みます」

 

じっと彼の目を見つめ、少しでも気持ちが伝わる様に少しも逸らさない。

 

彼は手で目を覆うと、ふっと力が抜けた様に笑った。

 

「そんなに真っ直ぐに告白されると、流石に照れるます」

 

「そうですか?」

 

「でも私にはもう、二人も恋人がいてね?」

 

「はい知っていますよ?貴方を探す中で、貴方の情報が沢山手に入りましたからね」

 

彼は驚きに固まっている

 

「分かっていて、それでも婚約を申し込むのかい?」

 

「例え貴方にもうパートナーが居た所で諦める理由には成りません、私の国は重婚を許可しています。

私が貴方を諦める時、それは貴方に嫌われ断られた時です。」

 

「そう…なんだ」

 

彼は悩んでいる様だった、私の気持ちが少しでも伝わったのだろうか?それだと嬉しいが、彼に一つの提案をする

 

「どうしても悩んでしまうと言うのなら、今は受け取っておいて下さい」

 

「でも、大切な物だろうに」

 

「ですので私がもう一度会いに行くか、貴方が私の国に会いに来て下さい、その時に返事を聞きましょう」

 

「返事を待ってくれるのかい?」

 

「ええ私が急でしたからね、それまでブレスレットは貴方の物です、私は貴方しか選びませんから…良い返事を待っていますよ」

 

「情けないが暫く待たせる、だが必ず返事をする、私から会いに行くから待っていて下さい」

 

私の国の場所を書いた地図を渡す

 

「私は、何時までも貴方だけを待っていますから、きっと会いに来て下さいね、約束ですよ」

 

彼の頬にキスをしてカフェを後にする

私はあの国を建て直しながら彼を待とう、例え彼が永遠に訪れなくても、待っている間は彼を想って幸せで居られるのだから。




サファイア
平和を祈る・一途な想いを貫く
宝石言葉
「誠実」「慈愛」「徳望」

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