記憶が戻ると思考も元に戻る
記憶が無い間の主人公は、思考が怪しかった
師匠を私の愛しいレジー呼び
頻繁に抱き締めて額にキスをする
ハニー、愛しい人、キティなどと呼ぶ
愛の言葉を囁きまくる
主人公に羞恥の波が押し寄せる
師匠に記憶の戻しかたを聞くと、簡単過ぎて拍子抜けしてしまった。
「へ?そんな簡単な事で、記憶が戻るんですか?」
「ええ、私が指輪を嵌めるだけです」
僕達との結婚指輪を、レオンさんの指に戻すだけで記憶が甦るらしい。
そもそも記憶を指輪に閉じ込めるなんて、どんな技術なんだろう?魔法みたいだ。
僕が考え込んでいると、早速師匠は指輪を持ってレオンさんに近付く。
「では戻しますよ」
「…はい」
師匠は何時もマイペースだ、決めたら即行動他人なんて関係ない。
世界の中心は師匠なんじゃないかな
「レオンごめんなさい、少しやり過ぎましたね。もう少し早く記憶を返すべきでした。」
「どうしたのレジー?君の悲しい顔も魅力的だけど、笑った顔が見たいな、きっともっと素敵な筈だよ」
珍しく表情を変えた師匠は、照れて顔が真っ赤になっていた。
あんな事をレオンさんに言われたら、嬉し過ぎて死んでしまう。
やっぱり師匠はずるい…
「…もう黙って下さい」
今の指輪を引っこ抜き、元の指輪を嵌める。
ものすごい早業だったけど、本当にこれで記憶が元に戻るのかな?
レオンさんの様子を見ていると、ピタリと動きが止まり椅子に座ったままボーッとしている、大丈夫かな?
心配していると、いきなり机に顔を伏せて呻き出した。
「レオンさん!大丈夫ですか!」
「うわー!やめて、お願い放って置いて!」
「へ?」
「暫く一人にして!」
「わっ分かりました」
急いで師匠とティーを連れて部屋を出る、かなり取り乱していた様だけど大丈夫だろうか?
「師匠、レオンさんは大丈夫なんですか?」
「そう聞いてますけど…」
聞いている?師匠の他にも、誰かこの事件に関わっていたのか?
「誰に聞いたんですか?」
「秘密です、今はレオンを信じて待ちましょう」
師匠が秘密と言ったら絶対に話してくれない、素直に諦める。
レオンさんは顔を真っ赤にして、何か慌てていた様だけど…あんなレオンさんは初めて見た。
………………………………………
まさか自分があんな台詞を吐くなんて思っても見なかった、羞恥心で死んでしまいそうだ。
暫く一人で悶えていたが、大分気持ちが落ち着いてきたので皆を呼びに行く。
「あの…どうぞ」
扉を開いて呼び掛けると、キノが走って来た。
「レオンさん、僕が分かりますか!」
「ごめんねキノ、もう全部思い出したよ」
「良かったです、どこも違和感は有りませんか?」
「大丈夫だよ」
安心したのかキノが抱き付いて来る、ティーは扉が開いた瞬間から既に抱き付いていた、とても素早い行動だ。
「ティーもごめんね」
ティーは否定する様に、ふるふると頭を振る
「レオンはわるくない」
「ありがとう、心配掛けてごめんね」
「ん」
頭を撫でると目を細める、本当に猫みたいで可愛い
「あの…師匠」
扉にもたれ掛かり、こちらのやり取りを見ていた師匠に声を掛ける。
「おや?もう愛しのレジーとは、読んでくれないのですか?悲しいですね」
「ごめんレジー、羞恥心で死にそうなのでやめて下さい」
ふふっと笑うレジーを見て、やっとからかわれた事に気が付いた。
今の私の状態を説明する、記憶が完全に戻った事、レジーと過ごした間の記憶も全て残っている事を皆に説明した。
説明を聞いたレジーは私に近付いて来て、真剣な表情で話し始めた。
「レオン、私は貴方の事をさらって記憶を奪い、私の好きにしようとしました、申し訳ありません」
「レジー謝らないで下さい、今回の事は私が悪かったんです。
私がレジーに返事をしていなかったから、不安にさせてしまいましたね…ごめんなさい」
「返事…ですか?」
大きく息を吸い込んで呼吸を整える、心臓はドキドキで今にも破裂しそうだが、ここで勇気を出さなくて何時出すんだ。
「レジー、私と結婚してください」
「!…はい、もちろんです」
レジーは瞳が潤み涙が出そうになっている。
先程外した指輪をお互いに嵌める、もうこの指輪で記憶を失う事は無いらしい。
「レジー貴女と居ない間に私は二人と結婚をしました。
本当ならレジーと結婚していた筈が、ずっと一人にさせてしまいましたね…本当にごめんなさい。
昔は意気地が無く言えないままでしたが、ちゃんと伝えます、私は一緒に旅をしていた頃からレジーが好きです。貴女を愛しています…今度はちゃんと言えましたね」
自分に苦笑いが出る、昔はあんなに言えなかった言葉だったのに…
やっと伝えられた、私が勇気を出していれば、もっと早くレジーと結婚していたのかも知れない。
「レオン…私は貴方をずっと待って居ました。
長い時を経ても、貴方への気持ちは変わりません、貴方を…貴方だけをずっとずっと愛しています。
これから先は片時も離れず、死が二人を分かとうとも魂は永遠に一つです。
昔は悲しくとも今の私は幸せです、だから貴方が気にする事は何一つ有りませよ」
二人でぎゅっと抱き締め会う、自然と涙が溢れて止まらない、レジーを見ると同じように泣いていた。
泣いたまま二人で笑い合う、これが幸せなんだと実感する。
・・・・・・・・・・・・・・・
私とレジーが落ち着いたのを見計らって、キノが話し掛けて来た。
「レオンさん、どうしますか?
お嫁さんが三人になりましたよ」
「うっ…そのごめんなさい」
三人と結婚するなんて、誰か一人を選ぶ事が出来ない自分に情けなくなる。
「別に怒ってはいません、ただ僕の事を愛してくれていればそれで…」
「キノ、私はキノを愛しています」
「僕も愛しています、それを聞けて安心しました。
僕の事を、ちゃんと思ってくれているのなら良いんです、もし僕を捨てようとしていたらどうしようかと…」
どうしようかとって言うのは、多分私をどうにかするのではないだろうか?
何をされそうになっていたのか、やぶ蛇は嫌なので聞かないでおく。
「わたしもあいしてる?」
「勿論ティーの事も愛しています、一番最初から一緒に居てくれたのが、ティーですから」
「ん、わたしもあいしてる」
三人とも同じ様に愛している、誰が一番じゃ無く三人とも一番好きだ。
三人から向けられる気持ちに、ちゃんと同じ量を返していきたい。
私はもう一つの問題について話すことにした、シズさんとの婚約についてだ。
「キノ私の荷物から、婚約腕輪を出して貰えますか?」
「分かりました」
キノに出してきて貰った腕輪をレジーに見せる、
慎重に包みをほどき、中の箱を取り出し机に乗せた。
「これは…何故こんな、国宝級の宝を持っているのですか?」
「これは婚約腕輪なんだって、私はシズさんと言う女性から結婚を申し込まれていて、返事をしに行く途中なんだ」
途中でレジーに拐われた訳だが…
「…これを売って、逃げてしまうのはどうですか?」
「とんでも無いよ、シズさんの信頼を裏切る事はしたくない」
「貴方はそう言う人ですよね、言ってみただけです」
レジーは提案を断られたのに、嬉しそうに笑っている。
昔に戻った様で懐かしいが、何時までもここに居る分けにはいかない、これからの事を決めないと。
「私達はこれからも旅を続けたい、レジーも旅に着いて来てくれる?
私はレジーと一緒が良いけれど、もしもレジーに何か目的があるのなら…」
「勿論一緒に行きますよ、私は貴方と最後の時まで共に在ります。
もう離れるのは御免ですから…人生で二度も、貴方を失ないたくありません」
「ありがとう。私もこの繋がりを決して、手離さないよ」
薬指に嵌まった二つの結婚指輪を見てそう誓う。
これからはレジーが旅に同行してくれる、初めは私とティーの二人だったのが、キノが増え今日はレジーが増えた。
気が付けばいつの間にか四人旅になっている。
男は私一人で後は皆女性だ、女性を三人も連れていればトラブルも増えるだろう。
皆私よりも強いが私も皆を守りたい、またレジーに訓練して貰わなければ…
皆が安心して旅が出来る様に、もっと力をつけないと。
…しかし今は取り敢えず、レジーが座る席を確保する為に、ティーと交渉をしなければいけない。
サイドカーには二人で座るスペースは充分ある、ティーの許可が降りるかが問題だが、許可してくれるだろうか?今の所それが一番の問題だ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キノとレオンが先に部屋から出ていき、残ったのはティーとレジーの二人きり。
レジーも後に続いて出ていこうとすると、ティーが呼び止めた。
「なにをしたの?」
「何でしょうか?レオンにした事なら先程説明しましたが…」
「ちがう…けはいをかんじる」
ティーの瞳の中に、底の見えない暗い闇が広がる
「貴女のその瞳…まさかあの男の関係者ですか!」
警戒して距離をとるレジーを見て、不思議そうに首を傾げるだけでティーは何も答えない。
レジーは男の特徴を説明する。
「浅黒い肌と高い身長、痩せた体の…蠢く影の男です」
思い出すだけでおぞましいのか、鳥肌の立つ腕を擦っている。
説明を聞いて納得したようにティーは頷き、再度質問を投げ掛けた。
「そのおとこに、なにをのぞんだの?」
「貴女は知っているのですね…私はあの男に若さと寿命を望みました。
レオンを待っていられる様に、一緒に朽ち果てられる様に」
「そう、ならいい。
そのていどなら、だいじょうぶ」
レジーの望みを聞いたティーはクルリと踵を返し去っていく、その後ろ姿を見ていたレジーはティーの影に蠢く物を見てしまった。
「あの子は…私を心配していたのでしょうか?
あの男と同じ様ですが、彼女…ティーとなら、なんとかやって行けそうですね」
安心した様に息を吐くレジーの後ろで、愉快そうに笑う男の影には誰も気が付かなかった。
奇跡も魔法もあるんだよ!
少し口調が砕けて来た主人公、心を許すと敬語が減る
主人公の薬指には結婚指輪が2つありますが、両方とも細身の指輪の為大丈夫でした。
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