先程から室内に二人の荒い息だけが響いている
部屋の中にはレオンとシズの二人きり、二人の服装は薄い物で汗だくの二人には無いも同然だった
「…はあはあシズ、もう限界です」
先に音を上げたのはレオンだった、全身汗だくで息も荒い
「レオンさんだらしないですよ、もう一回行きますよ!」
そう言ったシズは、竹刀をまた構えレオンに向かって行く、レオンはそれを捌くだけで精一杯だった。
「シズ今日はデートに行くんじゃなかったの?」
「はい、ですから私のしたい事、稽古に付き合って貰って居るじゃないですか?」
「シズはキノみたいに買い物とかに行かなくて良いの?」
「私はレオンさんと二人きりが良いので、これでいえ、これが良いのです」
何かを隠すようにレオンから顔を背けたまま、シズは話を続ける
「でも、普通のデートとかに憧れたりしないの?」
「…うっ」
レオンの言葉を聞くと、シズは途端に言葉に詰まる。
もじもじとしだし、顔も赤くなる
「しかし、普通のデート等と言われてもその普通が分からないのです。
そんな私にはこちらの方が合っているかと…」
「そんな事は無いと思うけど…
やってみたい事や、行きたい場所は無いの?」
「…やってみたい事」
シズはその言葉を聞くと、ふむと考え始める
やがて何かを思い付いたのかレオンの方を向く。
「その、二人で手を繋いで散歩がしてみたいです」
「へ?そんな事で良いの?」
「私はそんな事をしてみたいのです」
真剣な表情のシズを見ると、耳の先が僅かに赤くなっている。
そんなシズさんの様子を見るのは初めてで、こちらの方が照れてしまう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「シズ、もう良いかな?」
「はっはい」
部屋から出てきたシズは一見何時も通りの服装だが、下が違っていた。
「似合いますか?」
「うん、シズのスカート姿は初めて見たけど、凄く似合ってる綺麗だよ」
「ありがとうございます」
ニコッと笑うシズは、何処からどうみても何処かの国のお姫様の様な気品に溢れていた。
「それじゃあ行こうか、シズ」
シズに向かって手を差し出すと、嬉しそうにその手を取る。
「はい」
「何だかドキドキするね」
「はっはい」
二人で繋いだ手を見て、二人して照れる。
「ですが、こうして手を繋ぐ機会をいたたけたのです。
本日は私にエスコートさせていただけますか?」
「えっ、せっかくのデートなのに任せて良いの?」
「はいっ任せてください」
「それじゃあお願いするよ、シズ」
「はい」
シズに繋いだ手を引かれ、宿の外に出掛けて行く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
手を引かれ連れて行かれた場所は、国の中心部にある日当たりの良い公園だった。
「シズはここに来たかったの?」
「はい、一度こういう場合で二人きりで、ゆっくりしてみたかったのです」
そう言うとシズはレオンの手を引き、芝生の上に座らせ背後の木にもたれさせる。
「どうですか?ガッカリさせてしまいましたか?」
「そんな事無いよ、シズと一緒なら何処でも楽しいよ」
「そう言っていただけて嬉しいです、私もレオンさんと一緒居たくて此処を選びました」
広々とした芝生にはレオンとシズだけでは無く、他にも人々が思い思いに楽しんでいた。
「そのまま横になって下さい」
「そのまま?」
「はい、私の方に私の膝に頭を乗せて、寝転んで下さい」
シズは芝生の上に正座になり、背中を木に預けている。
その正座の膝の上を手でポンポンと叩き私が頭を乗せるのを待っていた。
言われた通りに体を横たえ、頭をシズの膝に乗せる。
上を見上げればシズが、嬉しそうに幸せそうに微笑んでいた。
「レオンさんは私と一緒に居て、幸せを感じますか?」
「シズ?」
「レオンさん、私はレオンさんと一緒に居るときも、居ないときも何時も幸せを感じます」
シズは私の頭を撫でながら、幸せそうに話し出す
「昔の私は、私の国をどうにかしようと旅に出て何時も焦って何かを感じる余裕は有りませんでした」
「…シズ」
「けれど今は違います。貴方がレオンさんが助けてくれたお陰で、こうして今此処でレオンさんのすぐそばで幸せを感じています」
シズは座っていた体制から前のめりになり、そのまま寝転んでいるレオンを抱き締める。
「昔はいかにして、国を平和にするかしか考えて居ませんでした。
しかしレオンさんと出会ってからは私の幸せについても考えられる様になりました」
レオンは黙ってシズの話を聞く。
「レオンさん私の幸せは、レオンさんと共に在ること。
レオンさんの剣であり盾であることです、もしもレオンさんが居なくなってしまったら、私の幸せも無くなってしまいます」
シズは祈る様にレオンに話す
「どうかレオンさん、末永く私を貴方の側に置いて下さい」
「勿論だよシズ、結婚した時に言ったでしょ?
死ぬその時までずっと一緒に居るから、離さないよって」
「…そうでしたね、ですが私はこの幸せが無くなってしまうのでは無いかと不安になってしまうのです」
幸せそうな表情から一転、泣きそうな表情で話すシズにレオンはどうにかしたくなる。
「シズの不安はどうしたら解消されるの?」
「そうですね、子供…いつかは貴方にそっくりな子供が欲しいです」
「子供?」
「はい、いつか旅が終わって安寧の地を見つけたら、その時は貴方と私の子供が欲しいです」
「旅の終わり…そうだったねシズは、定住出来る国を探してるんだったね」
「いえ、今は少し違います。
"貴方"と定住出来る国を探しているんです」
「そっか、旅が終わってからの事も考えないとね」
「ですがそれもまだまだ、先の事になりそうですね」
「待たせてごめんね」
「いえ、これもまた幸せですから」
貴方の子供が欲しいの
凄く重たく聞こえる
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