「ちょっと買い出しに行ってくるよ」
「あっなら、僕も一緒に行きますよ、僕ならこの国で普通の顔の筈ですから」
「そうですねキノ、レオンのこと任せましたよ」
「はい、師匠」
「では私は刀の手入れをしていますね」
「いってらっしゃい」
ティーはそう言うとリクの頭に顎を乗せてもふもふと、体を撫でている
「いってらっしゃいませレオン様、キノ様」
それを黙って受け入れているリクも気持ちよさそうに目を瞑っている。
一人と一匹は仲良しなのかも知れない。
「「行ってきます」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「二人きりで買い物なんて、久しぶりだね」
「そうですね、これも僕が男性に見えたおかげですね。
役得です」
キノは嬉しそうにレオンと腕を組んでいる
通りがかる人達は皆怪訝そうに見ているが、キノは構うものかとこの時間を満喫していた。
「それにしても"あれ"が美人なんですね」
キノがあれと指差す先にはでっぷりと太り、顔は目付きが悪く吹き出物だらけの女性が立っていた。
女性の回りにはナンパで有ろう、男性達が我先にと声をかけている。
「そうだね、この国は不細工が少ないらしいし。
太っている人も多い、自然とそうなっていったんだろうね」
「なるほど、所でレオンさん」
「ん?どうしたのキノ」
「もしも僕がこの国で言う"美人"だったら、その僕の事好きになってくれていましたか?」
もじもじと聞くキノに言われて、考える。
キノがこの国で言う美人、と言うことは物凄く不細工と言う事だ、けれど中身は変わらない今のキノと一緒。
と、言う事は…
「勿論だよキノ」
「え?」
「キノが例え物凄く美人でも物凄く不細工でも、中身がキノなら変わらない、どんなに見た目が変わってもキノが好きだよ」
「レオンさん…僕もです、どんなに見た目が変わっても中身がレオンさんのままなら、僕もレオンさんが大好きです」
えへへと照れるキノと、二人で手を繋ぎ歩いて行く。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
二人で露店を見ているとふとキノが話し出す。
「不思議なものですね」
「?何が不思議なの?」
「この国は醜い者が美しく、美しい者が醜いとされていますよね」
「確かに」
「けれど、見てください。ここにある商品達は美しい物ばかりじゃないですか」
キノが一つの美術品を手に取り、説明する
「人間は醜い方が美しく、美術品は美しい物が美しい。
何だか不思議だと思いませんか?」
「そうだね、言われてみると確かに不思議だね」
「もしかしたら、この国も昔は美しい人が美しいとされていたのかも知れませんね」
「そうかもね」
キノが露店商にこれくださいと話している。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
露店から出た所で、この国で言う美人にキノが話をかけられる。
「貴方達旅人なの?」
「え?はい」
「そう、珍しい話も有るわよね?この私が聞いて上げるから一緒に来なさいよ」
女がキノの手を掴もうとのを、レオンはキノの前に出て止めると、キノは少し嬉しそうにしていた。
「面白い話ができたら、私の彼氏の一人にでもして上げるわ」
「いえ、結構です」
「なんですって?…もしかして面白い話をする自信が無いとか、かしら?それなら…」
「いいえ、僕にはもうここにレオンと言う夫がいますから」
キノはレオンと繋いだ手を上にあげ、繋いだ手を周りに良く見える様にする。
「なっ…あんたもしかして女なの?!」
周りがざわざわと騒がしくなる
「はい、そうですが。僕は1度も自分から男だなんて言っていませんけれど?」
「よくも騙したわね!なんて不細工なの、こんな不細工見たことないわよ!」
分かっていた事だが、キノが女だと分かった途端に罵り始めた、女とキノの間に入り、レオンが女と話始める。
「可笑しいですね、女と分かった途端に不細工ですか?男だと思っていた時は付き合えだの、話を聞かせてだのと言っていたのに」
「キノの顔は変わっていないのに、相手の性別で態度を変えるのですか?」
「そんなの騙す様な格好をしてる方が悪いのよ!ああ、なんて醜いんでしょう!こんなに醜い顔見たことないわ!」
「俺は誰が何と言おうと、キノは美しいと思います。
その言い方はキノに失礼です、取り消してください!」
「貴方は私よりも、そこの不細工の方が美しいとでも言うの?!」
「勿論です」
辺りがざわざわと騒がしく、だんだんと騒ぎが大きくなってきた。
「キノ流石に騒ぎが大きくなりすぎた、行こう」
「はい、レオンさん」
二人はそそくさと人混みをかき分け、その場から撤退する。
しかし、それでもしつこい者達はキノの後をついてきていた。
「キノ宿屋まで走るか?」
「ええ是非流石に、こうもしつこいと嫌になりますからね」
そう言うと二人は示し会わせたかのように走り出し、後ろを見やると二人の健脚に付いて来られる人は一人も居なかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「あら、お早いお帰りですね」
部屋に二人で駆け込んだ途端、レジィから声がかかる。
「師匠それが僕が女だとバレまして、騒ぎに為ったので早めに帰って来ました」
「おや?あなたらしくもないですね」
「いえいえ、僕はまだまだですし、今日はレオンさんに庇って貰って役得でしたし」
「庇って貰うとは、何かあったのですか?」
レジィの目が若干鋭くなり、窓の外に視線をやる。
そこにはまだ野次馬が少なからずうろうろしていた。
キノがレジィに訳を話すとはぁと一つため息を吐いた。
「レオンだいじょうぶか?」
「ん?心配してくれるのか?ティーありがとうな」
「では、私は少々用事が出来たので、少し失礼しますね」
「シズさまが行くなら私も」
シズが腰に刀を差しゆっくりと立ち上がり、ゆらりゆらりと怒りの炎を燃やしながら扉の方へ向かう。
「シズ外に出るのに刀は要らないでしょ?」
「うっしかし、レオンさんとキノさんを侮辱しておいて、何も無しは流石に許せません」
「シズさまに右に同じです」
刀を指摘されて都合の悪そうなシズに、歯をむき出しにして怒りをみせるリク。
「えんごはいるか?」
「そうですね、では私も」
ティーと師匠も悪のりなのか、便乗して暴れようとする。
「皆こっちから手を出すと厄介だからここは我慢しよう、キノが傷つけられたのには、腸が煮えくり返るほどの怒りを感じるけど」
「大丈夫ですよレオンさん、僕は傷付いてませんから、ちゃんとレオンさんに守って貰いましたから平気です」
そう言うとキノは庇われた事が嬉しかったのか、クスクスと小さく笑う。
それを見て周りも納得したのかそれぞれの席に戻る。
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