主人公 ソラ 女の子
「…ん」
船室を出るといきなり、ん、と服を引かれる
私は旅人で海を渡る途中この国の様な、大きな船に乗せて貰っている。
始めに塔の側に付くかと聞かれたさいに、部屋だけ貸して貰えれば自分で何とかすると答えて、案内人を付けて貰いこうして船の一部屋を貸して貰っている。
この、先程から私の服を引っ張る、ティーと言う男の子が案内人として船の案内をしてくれる様で、最初に紹介された。
「ティーだったかな、君は何処に案内してくれようとしてるの?」
そう言うと少し考えて上を指差した。
もしかして、行く先も考えないまま案内されそうになっていたとか?…そんな事無いよね?
「うわぁ…」
案内されたのは船の甲板で、そこから見える景色が絶景で思わず感動してしまう。
「…!きれい」
「そうだよね!こんなに綺麗な景色滅多に見られ無いよ!」
その言葉を聞いたティーは首を傾げ、私を指差した
「ちがう…きれい」
「?私がどうしたの?まさか私が綺麗なんて事は無いよね…」
私の言葉を聞いたティーはこくりと頷き、やっぱり私じゃないよねと思って居ると、私を指差したままもう一度
「きれい」
そう呟いた。
「ぅえっえっとありがとう、そのティーも綺麗だよ」
私がしどろもどろに返事をすると、ティーは僅かにその無表情を動かし驚いた様に言った。
「!いっしょ…」
「へ?ああ、一緒だね」
その後ティーは何かを呟いていた様だが波風の音に掻き消されて何も聴こえなかった。
「…はじめて」
・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな事があってからティーは変わった様に思う、朝目が覚めたらベッドの隣に立っていたり、移動するときには服では無く手を繋いで移動したがる様になった。
私にはこの変化の理由が分からず、ティーに聞いてみても一緒としか答えてくれなかった。
その日私は旅の相棒、トライクを整備していた。
私は旅の途中で手に入れたこのトライクを事の他気に入っている、それも私が乗っていたモトラドを即効手放して一目見ただけのこのトライクを即金で買ってしまうほどに。
トライクと言えばバイクの隣にもう一人乗る余地があるが、誰も乗せる予定もないのに買ってしまった、主に荷物置き場だ。
そんなトライクを整備していると、トライクに積んである荷物を何故かティーがトライクの後方に積み直している。
何事かと見ていると、からになったサイドカーにティーがぽすんと座り満足げにしている。ん?
「ティー何してるの?」
「…?」
「いやはてなじゃ無くて、なんで、トライクに乗ってるの?乗ってみたかったの?」
私の質問にはてなを浮かべるティー、ごく当たり前の様にサイドカーに乗っている。
「…ぼくのせき」
「?ぼくのせき、ってどう言うこと?」
「…いっしょ」
ティーはむふぅと言うように息を吐くと、私を指差し一緒と言った。
「いっしょって前に言ってた一緒って事?」
「…おぼえてた」
ティーは少し嬉しそうにすると、トライクの運転席をポンポンと叩く
「…ここ」
「ここに座るの?」
ティーはこくりと頷き、無表情ながらも何処かウキウキと嬉しそうにしている。
私がトライクに股がるとティーは満足そうに頷き
「…ずっといっしょ」
と言い出した。
ずっと一緒とはどういう事だろう船の中では今でも充分一緒に過ごして居る。
でもティーの言うずっと一緒とは、そう言う事では無い気がする。
「ねぇティー、ずっと一緒ってどういう事?」
「?ソラとぼくはずっといっしょにいる」
「うん、そうだよね今まではそうだよね」
話しているとティーが突然ふるふると頭を振り、自分と私を交互に指差し
「ちがう、これからもずっといっしょ」
と言い出した、これからもとは私はこの船旅が終わったら、トライクで旅に出るもしやティーもついてくるつもりなのかも知れない。
「ティーもしかして、私の旅についてくるつもりなの?」
そう私が訪ねるとティーは、一つこくんと頷き私を指差し言った。
「いっしょ…はじめてなかま」
「もしかして、はじめていっしょの人。つまり私が居たから仲間に成るの?」
ティーがこくんと頷く。
「こいびとでもいい」
「わっ私とティーが恋人!でっでも歳の差があるでしょ。恋人は無理よ」
「あいがあればだいじょうぶ」
ティーはそう言うと私にぽすんとぶつかり、抱き付きいて来た。
一体誰がティーにそんな事を教えたのか分からないが、無責任すぎる幾らなんでもティーは幼すぎるのだ。
「それに…としそんなにかわらない」
「へ?嘘でしょ?」
「ほんと、なぜかちいさいまま」
そう言うと再び私の腹部に顔をくっ付け、ぐりぐりと動かす。
ティーは幸せそうで、周りに花が飛んでいる様に見える位にご機嫌だ。
「それに、もういってきた」
「へ?誰に何を?」
「くろいのにたびにでるって」
「嘘でしょ!」
「ほんと、たびにでるからせんべつも…もらった」
これでますます断れなくなった、無表情でルンルンしているティーには悪いが二人旅なんてした事無い、船が陸地に着いたら即効で旅に出てティーを置いていくしか…
「だめ、ゆるさない」
「なっなにがゆるさないのかな」
「ぼくとはなれるのは、ゆるさない」
ふと、ティーの顔を見ると無表情の中にも確りと分かる怒りの炎が見え隠れしていた。
なにがそこまでティーが私に執着させるのか。
確かさっき、はじめていっしょ、と言って居たと言うことは今までは、なにもいっしょの人が居なかったのかな?それなら初めて出来た一緒に執着するのもわからなくは無い。
「ティーは旅出来るの?」
「できる、がんばる」
「戦闘経験は流石に無いよね?」
「ある、だいじょうぶ」
ごそごそとティーは何時も着けている鞄を探ると、中からは手榴弾とナイフが出てきた。
この小さい体で戦えるのかは些か不安だが、ここまで言われては仕方ない。
「ティー旅の同行の条件は自分の事は自分でする、よ
分かった?」
ティーは一つこくんと頷くと嬉しそうに微笑み、船に何の未練も無さそうにしている。
「ティーはこの船に未練はないの?友達や知り合いも居たでしょうに」
そう聞いた所でティーはふるふると首を振ると
「いっしょはソラだけ」
そう言った、ティーはこの船で友達も知り合いすら居なかったのか…そう思うと切なくなりこちらからも抱き締め返す。
ティーは初めは訳が分からないようで、きょとんとしていたが意味が通じたのか瞳を潤ませて更に抱きついていた。
男の娘ティーは策士なイメージ
実は女主人公に一目惚れしていた、とかいないとか…
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