取り敢えずキノを弟子にした辺りの、渋い師匠
そのうち若い師匠も書きたい
主人公…若い頃の師匠に拾われた、そこそこ強い
雨の日に拾われたのでアメリア
「師匠達もう帰ってくるかな、それならそろそろお夕飯の仕上げにはいろうかな?ねぇエルメス?」
「そうだね、銃声も止んだしそろそろ帰ってくるかもねぇ」
森の中から訓練用の銃声も止み、夕陽も沈んで来たそろそろ帰ってくるだろう
「アメリアただいま」
「ただいま帰りました」
「師匠、キノ、お帰りなさい。
晩ごはん出来てますよ」
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夜キノは訓練の疲れから早々に自分の部屋で眠ってしまい、部屋には私と師匠の二人しかいない
外は雨と風が酷いので師匠と私は、大人しく読書をしていた。
…雨の音を聞いているとふと昔の事が気になった。
「ねえ師匠?私が師匠に拾われた理由って有るの?」
「貴女は理由も無しに、拾われたと思っていたのですか!?」
珍しく驚いた表情の師匠が、読んでいた本から顔を上げ此方を向く
「だって師匠は私の手を取りなさい、としか言わなかったじゃ無いですか」
師匠は頭痛を堪える様に額を押さえると、はぁとため息を1つ吐き、座っていた安楽椅子から、私の座っているソファーの隣の席に移動した。
急に近くなった距離にドキッとすると師匠は、少し嬉しそうにした。
師匠は何時もそうだ。
「初めから話しますよ。
どうやら貴女には、途中の言葉しか聞こえてい無かったみたいですからね」
「え?他にも何か言っていたんですか?」
此方をチラッと見ると窓の外に視線を向けた。
外は分厚い雲で真っ暗で、ざあざあと激しい雨と風が吹いていた。
「アメリア貴女と出逢ったのも、こんなに激しい雨の日でしたね」
「…そう…ですね」
あの頃の事は余り思い出したくない。
道端の隅で座り込みたまに誰かが気まぐれや善意でくれる、小銭や残飯やゴミで命を繋いでいた時の事だから…
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悪臭のするボサボサの長髪、肌は垢で真っ黒、体は生きているのが不思議な位細く、今にも折れそうな程に小さかった。
それがあの頃の私、師匠が見つけてくれなければきっとそのまま尽き果てていた筈の軽い命。
その日も何時もと同じ道の端、誰の邪魔にもならない様に静かに座り誰かの恵みをただ待っていた時の事。
顔にかかる強い日差しを遮り誰かが目の前にたった。
「あなたは?」
「はい、どうか今日を生きる糧をお恵み下さい」
「はい?貴女の名前を聞いたのですが」
「旅人様私に名前はありません、申し訳ありません」
「…」
「申し訳ありません」
そこで初めて顔を上げると、やはり旅人だった様で何故か驚いた表情をしていた。
「貴女は…生きたいのなら私の手を取りなさい」
「…え?」
そんな事を言われたのは初めてだ、私は垢で真っ黒だから触れると殴られるのが常だった
でも旅人は手を取りなさいと言う本当に触れても、殴らないのだろうか?
「生きたければ私の手を取りなさい」
「はい」
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「その前に言った言葉は、聞こえていなかったのですか?」
「その前…聞こえてないです」
そう言うと師匠はがっくりと肩をおとしたが、不意に此方を向くと私の手を取った。
「良いですか?今度はちゃんと、聞いていてくださいね?」
師匠の真面目な表情に、此方も自然と背筋が延びる。
「はっはい」
「私は善意や気まぐれで誰かを助けたり、一生を背負うつもりはありません。
ですが、貴女の目を見て気が変わりました。
貴女が欲しいのです私のものになるのならば、私の手を取りなさい」
それだけ言うと師匠は私の手を取った
「…へ?」
「あの時貴女は、聞こえていなくとも私の手を取った。
あの時から、アメリア、貴女は私のものなのですよ?」
「ははっ師匠またまたー」
冷たいものが背筋を流れたが、冗談にするようにわざとらしく笑う
「あのスラムの中で貴女が、貴方だけが死んでいなかった。
正しく言うと目が生きようとしていました、そんな貴女に惹かれたのですよ」
「…師匠」
逃げられ無いと悟ると、師匠に真っ正面から向き合う
「スラム育ちの私が師匠となんて、一緒になれませんよ…その内何処かに、旅にでも出ようと思って居たくらいですし」
「アメリア、そんな事を考えて居たんですか?私は貴女を放しません、当然旅にも出しませんよ」
「でも師匠」
「でもも、ありません。貴女を放さないと何度言わせるつもりですか?」
「では師匠、放さないとは具体的にどうするつもりでしょうか?
まさか彼女か何かにでもするつもりですか?」
スラム育ちに酷い劣等感を持っているアメリアは、まさかと言った感じにわざとらしくおどけて見せる。
それに師匠は首を振り否定をし、アメリアは何故かショックを受ける。
「まさか、彼女になんてもうこの年です。
貴女は私と夫婦になるのですよ、私は欲張りですからね、アメリア貴女の全てがほしいのです」
「まさか、そんな師匠にはもっと素敵な方が居ますよ」
「アメリアはどうですか?私と夫婦になるのはやはり嫌ですか?こんなに年が離れているのです」
アメリアと師匠は親子以上に年が離れている。
普通なら嫌なのだろうと師匠は、少し俯く。
「そんな事ありません!師匠は素敵な方です、だから私と夫婦にならなくても…」
「そうですか、懸念が一つ消えました。
アメリア私は言いましたよ、貴女が欲しいと他のどんな人と比べても私には貴女だけが必要なんです」
師匠はアメリアの手を取ると懐から、指輪を取り出し自然な動作で左手の薬指に嵌める。
「なっ…師匠!」
「そしてこちらの指輪を私が嵌めれば、晴れて二人は愛し合う夫婦です」
「愛し合うなんて、そんな事…」
アメリアは薬指を見つめ、モゴモゴと言い訳めいた事を口にする。
それを見て師匠は嬉しそうに、満足そうに微笑む。
「アメリア、私は貴女を愛しています。
貴女はどうですか?私の愛に答えて頂けますか?」
アメリアはしばし考え込んだ後、諦めた様に笑った。
「もう、そこまで愛してるなんて言われたら、私も遠慮してるのがバカみたいじゃないですか」
「それじゃあ!」
「病めるときも健やかなるときも、どんな時も師匠を支えて愛する事を、誓います」
「あぁ、私もです私もどんな時もアメリアを愛する事を、守り抜く事を、誓いますよ」
アメリアは、照れ笑いで嬉しそうに笑う。
「アメリア貴女が答えてくれて嬉しいと同時に、安心もしました」
「師匠も緊張とかするんですねぇ」
「いえ、アメリアが良かった、助かったという意味ですよ」
「え?」
「私と夫婦になるのは決定事項ですので、はいと言うまで、それこそ監禁でも何でもするつもりでしたよ?」
「師匠まさか冗談ですよね?」
アメリアは頬を引き吊らせながら、ははっと無理に笑う。
「アメリアは少し私の事を理解していない様ですね?
私は狙った獲物は逃がしません、この場合獲物はアメリア貴女の事ですよ」
「本気でしたか」
「これは私の事をもう少し理解してもらわないといけませんね、まぁこれからは夫婦ですし遠慮もしないですみますし」
「え?遠慮?」
「はいこれからは独り占めさせて頂きます」
「えーとキノは?」
「私の目を盗んで旅に出たつもりらしいですよ、ほら」
指差した先にはエルメスにまたがり、旅立つキノの背中。
アメリアは見捨てられた気分で見送る。
「さて、二人きりですねアメリア、これから初夜ですよ?」
「おっお手柔らかに」
「すると思いますか?」
「ですよね」
二人きりの夜はまだまだ長い。
キノの姉弟子
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