ハーメルン版第一部・祝・完!
全く意図してなかったんですが、キリのいい100話で第一部終了です。
秘書嬢1話を思いつきで書き終えたときから考えていた、漠然としていた神野編の流れを実際にこうして形とするまで、約2年をかけて、この思い入れある神野編最終話と第一部を書き終えました。現時点で1年前の話ですね。
あまりに2年越しの思い入れが強すぎて、あるいは2年の中で星合千晶に手向ける思い、あるいは彼女が魅せてくれたあらゆる驚きや隠しネタによって、2年前に思い描いていたものからはかなり変化もあった上に、大いに悩んで迷走しまくったりもしたのですが、一番書きたかった「星合千晶:オリジン」を存分に書けて満足です。
神野編7万字、しかも2万字近くボツを書いては消してを繰り返すことになるとは予想もしてませんでしたが。(後日ボツもちょっと別のところで蔵出ししたいと思います)
今回の話は色々盛りだくさんで、キャラによってはものすごい勘違いが発生していたり、キャラごとに認識が違ったりでちょっと読み解くのに難儀するかもしれません。大体スランプのせいです……あと展開読めないようにするために千晶視点があえて少なくなってるんですが、1番中身が複雑怪奇な彼女を客観視するとものすごくややこしくなるというジレンマに悶え苦しみました……
ヤオモモや心操視点はマシュマロで頂いたアイデアをもとに作成しています。星合千晶に対する神話の崩壊と、そもそも神様扱いなど最初からしていない子との視点の落差というか色眼鏡の違いを比較して書けたので満足です。あと世間一般からの反応とかも。本当は救出組全員と秘密にまつわる話をさせるつもりが、どうあがいてもまとまらなかったので断念。同人誌にするときには、もうちょっとクラスメイト視点での話を書きたいなと画策中。尾白くんとか切島くんとか。
解説は書き出すとキリがないので、皆様の解釈と想像におまかせします。
ただ分かりにくいとは思うので、一部だけ。
・プッシ―キャッツと
11話P5で結構頭の中で失礼なこともとい、どうでもいいことを考えている嬢。流石にあのへそ出しコスチュームのまま山岳救助するのではないと思いたい。ヒロアカはアメコミを下敷きに時々映画ネタが出てくる(BBBも原作後書きの血界ツーシンとかブローディ&ハマーのモデルなど映画ネタがちらほらある)ので、たまにセリフでどういう意味? と思った単語とかセリフは片っ端から検索掛けてます。あとは秘書嬢が英語圏で3年暮らしているので、英語ネタを出すことで外人キャラっぽさを出しつつ。シリーズ序盤は「Oops」とか声に出てたのに最近日本語での驚きが増えてるなとも思ったので……適応の結果かな……。
いつの間にか洸汰と仲良くなっている千晶に全員興味津々。
・洸汰と
原作でひっそり個性訓練してるシーンをみて絶対に秘書嬢と絡ませようと思ってました。というか生い立ちの時点で類似点ありすぎて。捨て子と両親を失った子と違いはあるものの、水系能力者ですし。ヒーローへの嫌悪感はありつつも、個性を鍛えようとしてるってことは、唯一残った両親との繋がりである水の操作個性に縋りたかったのと、何ももう失いたくないという気持ちの表れなんじゃないかな、と思った結果、個人訓練しようとする秘書嬢の後をこっそり追わせるといった出会いに。なお、本文に書かなかったのですが、彼は体育祭での千晶の戦いの中継を偶然見かけて、同じ水個性としてちょっとだけ見覚えがあった設定。
・牙狩りルーマニア支部
完全捏造。修行を終えたニュービーは全員ここを通るので、横のつながりが出来やすい。ただし、頻繁に血界の眷属の襲撃があるので、一定数の殉職という名の篩い分けが行われる。
・「目を覚ませ」
轟の「いい加減に目、覚ませ!」は体育祭緑谷の「どこ見てんだ」、千晶の「逃げるな、目を逸らすな」から轟が学んで、彼が飯田くんに言った「なりてえもんちゃんと見ろ」へと繋がっていった言葉。
千晶のピンチを救ったのは、かつて視野狭窄から救われた轟という対比でした。
そんな轟視点は今回書きませんでしたが、神野向かう際に記事を見たことで、彼がUSJ事件前からずっと気にしてた疑問(白とオーベルテューレ参照)の答えは全部出ちゃっていて、それを踏まえて事件後の彼との会話を読むとちょっと違う捉え方になるのではと思います。
・左足切断
原作ザップ「うちのクソジジイは体の一部もげても血法で補えばいいっていう発想のキチガイだからな」
だれがそれを実践しろと(白目)。
HLでは威力のおかしい武器が横行しているので、千晶なりの切断対策。
もともと『繋累』は戦場で欠損や負傷に対する応急処置として編み出した技なので、秘書嬢的には切断されてもあまり絶望的ではなかったのです。
ただMHA側(特に建前しか千晶の事情を知らない先生など)は治療系個性でもないのに神経や筋肉を繋ぎ合わせるなんて神業ができるとは露とも思っていないので、ヒーロー科への復帰がかなり絶望的な負傷を負わされたことに激おこしたわけです。
リカバリーガールの治癒も本質は活性化なので、組織をつなぎ合わせる技量が無かったら治せない負傷だと思うので。雄英教師陣は写真で左足切断見た時、SAN値チェック入ったと思います。その後中継で血液で片足補ったことにも、事件後自分で片足縫合したことにも目をひん剥いてそうですが。
なお、切断された方の足を凍らせたのは実験の素材にされないためと、あとで繋ぐときに組織が腐らないようにするため。指輪や足を凍らせた氷は「時間停止」が掛かっているので低温による壊死も腐敗もしない仕様。
ちなみに「或る遠い日の」で「最悪片腕がなくなろうと斗流のじっさまのように血法で欠損を補い、前線に立ち続けることも不可能ではないだろうから、いざという時は切り落とす覚悟もあるが~」で欠損への覚悟に触れてました。長い伏線だった……
・AFOが千晶にかけた個性は厳密には「催眠+傀儡」の複合個性「傀儡人形」。
ただしこれ単体だと個性の使い方がわからない(物間が個性で使い方もある程度コピーするのに対し、傀儡人形はあくまで他人の身体を操るため)。なので記憶を読み取って個性操作のマニュアルを覗こうとしたものの、気絶時間が短くて催眠への抵抗が激しくて、傀儡人形発動のための「直接身体に一定時間以上触れ続ける」ができなかった(触れ続けていないと催眠をかけられない)。
なので本人の抵抗力を弱めるために、まず身体を動かせないように「重力」で固定、「トラウマをリアルに見せる個性」と言っていた「記憶再現」の個性と、どの記憶が千晶のトラウマかを判定するために感情の揺れを見るための「感知」、そして催眠への抵抗力を弱めてトラウマ再現を促すために幻覚作用のドラッグを使っています。
少女一人に随分徹底的ではありますが、それだけAFOも「モーションなしの全身冷凍攻撃」を入念に警戒していたがゆえでもあります。なので最初にとことん物理的に心を折って抵抗できないようにしたかったのに、あまりにしぶとくて死にかねないのでAFO自ら出てくるという……。
だけど相手がただの少女ではなく、ガチの戦場経験ある裏社会の人間なのが分が悪かったとしか言えない。毒耐性に拷問耐性、並列思考による「感知」による読心妨害、どれだけ痛めつけられても折れない諦めない往生際の悪さ。
AFOが千晶に向けた悪意はMHA世界なら十分悪辣で、ヴィランとして操り人形になってもおかしくない徹底ぶりなのに、血界の眷属やHLなんてトンデモな環境で過ごしたせいで、彼女の言う通り「生ぬるすぎて地獄には程遠い」となっちゃうわけです。比較対象が釣り合わないがゆえに起きた認識の齟齬が千晶とMHA世界側の人間でマリアナ海溝レベルで起きてるという。南無。
・毒耐性
実はPixiv掲載時、外伝(他作品とのクロスオーバー)で明かしてたネタ。
人体実験の副作用その一。FGO的に言えば弱体耐性超アップ+ガッツ付与(1T)。
作中でも書いてますがHLで使われるようなヤバいレベルの毒喰らってもちょっと苦しむ程度で済むレベルの耐毒能力。血液経由はほぼノーダメージ、呼吸器系や粘膜経由で毒性が拡散するタイプはやや不得意だが死ぬことはない。
普通に数秒吸ったら昏倒するような催眠ガスの中を12話1ページで「ガスエリアを走り抜けた」としれっと書いてある通り、相当な耐毒スキル。
・拷問耐性
元々血界の眷属と戦う時点である意味拷問じみた嬲り殺しにあうことも多ければ、戦闘中気絶して味方の足を引っ張らないよう訓練されているので拷問に対する耐性は牙狩り全員高そう。中でもスターフェイズ兄弟はその辺のスキルも対策済み。絶対に口を割らないし諦めない。
・星合千晶:オリジン
千晶は自分のことを都合のいい道具としか認識・認める事ができていない。それでも折れず、他者から見て不屈そのものの精神でやってこれたのは、ひとえに彼女の原点、光である「守りたいものを守る」という願いのためなら命をすり減らせるから。スティーブン、そしてクラウスの救いにより、私の命はこのかけがえのないものを守るためにあった、そのためにきっと生まれてきたのだ、と認めることが出来たから。
なお、自分は全くの範囲外なので、自分が死んで状況が好転するなら全く迷わず自分を殺す致命的危うさがあるんですが。正直緑谷よりタチが悪いんだよきみは。
道具としてしか認めていないから、他人から望まれれば、望まれるままの自分を作り上げてしまう器用さ。人格の皮とは必要だから作り上げた分割意識であり、彼女にとって道具以外の価値はない。
・VSキメラ脳無との鬼ごっこ
鬼ごっこしてる時のイメージはApoのカルナVSヴラドおじ様の時の槍から逃れようとするカルナさんの動きでした。
・最後の謎のメッセージ
今後の展開に関わっていく要素です。実はもっと詳しい話をくっつけようかと思いましたが、それやろうとすると仮免試験編直前までやっちゃうことになるので諦めました。一部が意味深な終わりですまない。
その他伏線とフラグの皆様
・体育祭表彰式でオルマイの呼び方の違いで一瞬千晶は関係を勘繰られるのを懸念してるんですが、案の定そういう細かいこと気にするAFOさんに目をつけられるというフラグ(ただしAFOを引きずり出したい千晶的には無問題どころか好都合)という伏線
・某フォロワーさんに合宿1日目でバレッタ付けてて轟が喜んでたのに、襲撃ターンで拉致の証拠品になってしまうという天国と地獄状態(上げて落とすともいう)って指摘を頂いて思わず笑ったんですが、バレッタ買うシーン描いてた時はこんな使い方することになろうとは全然考えてませんでした。
・13話で秘書嬢の眼が洗脳中緑色だったのには一応理由があります。でもまだちょっと秘密なのです……。ひとつ言えるとしたら、あの状態が長いこと続いたらマズいことになってたことでしょうか。
当シリーズを読んでヒロアカや血界戦線を読み始めた、好きになったというお言葉が恐れ多くも嬉しいです。原作のアツさをこれからも星合千晶の旅路と共に描けていければ良いなあ、と。ヒロアカは映画第二弾も迫ってますしね! 第一弾が滅茶苦茶アツかったので、皆観て欲しい。
閑話休題。
これからも続いていく本編、番外編、外伝(番外と外伝は後日掲載していきます)に及ぶライブラ秘書嬢シリーズ、星合千晶の物語を見守っていただければ、何よりもの喜びです。
そしてこの63万字に及ぶ話を最後まで読んでくださった、読者のあなたへ、盛大なる感謝を。