ここまで「人魚姫は英雄の夢を見るか?」をお読み頂きありがとうございます。計約18万字をもって体育祭編終幕と相成りました。長いな。原作単行本も3巻から5巻なので当然っちゃ当然な気もしますが、それにしても内容が濃い。
という訳で、ここからはおまけとして、体育祭編の内容を本編内で書きすぎるとリズムが崩れてくどいと思って省いた説明やら、アニメ派の方で体育祭編を知らない方用に、どこら辺が原作と違ったのかなどを振り返っていきたいと思います。読まなくても多分平気。でもひっそりこだわった部分やら気を遣ったところの解説をしているので、お暇つぶし程度にどうぞ。
「こたえは砂時計の中」はUSJ事件の後、千晶が退院後のクラスの反応を書くためのUSJ事件編〆回だったのですが、思ったよりもお茶子がオーバーリアクション気味になってしまい、お茶子側の心境を補完するために後から付け加えたのが「祈りの鼓動」です。個人的に書くのがとても楽しかった回でもあります。
そして微妙に勘違いが加速しています。ほんとは千晶の身体の傷は牙狩りによる実験過程でつけられた傷ですが、その辺りを全く説明していないので、傷のことを知ってるA組女子陣には千晶の傷は家庭内暴力で付けられたものだと思われてます。なのでお茶子が親の事を言及しても、親についてノーコメントで話をすり替えた千晶の反応を見たA組女子はこの時、実は固まってます。逆に千晶の身体の傷を知らない男子は何のことか分からないので、女子の反応を見てあれ?と思ってたり、察しの良い人は家庭環境が良くないのだろうか、とハテナを浮かべたりと様々な反応をしてます。ちなみに緑谷・轟・爆豪はハテナマークは浮かべても深くは考えてません。
緑谷→オールマイトが保護者だと知ってるので、「星合さん強いもんな、オールマイトが信頼するくらいだから周りの人が心配することなんてほとんどなかったんだろうな~……」と若干自分と比較してる。
轟→まず両親が云々とか以前に怪我の事とかが気になってそれどころじゃない。ちなみに一人暮らしの事は知ってますが、千晶に家族がいるかどうかについては尋ねたことが無いので知らない。そういうの気にしなさそう。
爆豪→頭良いので空気感を読んでなんとなく家庭環境の悪さを察しはするものの、俺には関係ねぇスタンスなので深く考えない。
とはいえ、お茶子の予想は全部が全部間違っているわけでもなく、傷に対しては若干の勘違いはあるものの、幼少期に恵まれず、大きくなってもHLではライブラ構成員以外の友人を持てなかった千晶のさみしさを敏感に感じ取ってます。彼女はヒロアカの登場人物の中でも、特にひとの気持ちを察し、考えられる子の筆頭だと思ってます。キャラブックに掲載された番外編で爆豪に対しての発言とかを見ると特に。
原作での、緑谷出久にとっての麗日お茶子がヒーロー科入学の切っ掛けを作ったり、長年のデクという蔑称の意味を180度回転させるくらいに、そばに居ることで元気づけられる女の子であるように、星合千晶にとっての麗日お茶子も特別な存在。スペイン語でからかったのにてらいも無く近づいてきてくれて、オールマイトたちが名付けてくれた“星合千晶”の名前を褒めてくれたお茶子は、他の女子や轟とはまた違った「友達」枠の中にいます。
“しねない、と呟いた千晶ちゃんが、生きたいと願ってくれるその日が来るのを、私はずっと隣で祈るよ。私が、隣にいるよ。”が、千晶に対するお茶子のスタンスの全てです。今後の展開でこの一言が活かせたら良いなとは思ってます。私の場合、書いてる途中で予想外の発展を遂げることが多いので確約できませんが。
「プルシャンブル―の矜持」は言うまでも無く、原作での記念すべき心操の初登場回なのですが、実は原作とは一日ずれてる設定です。原作では臨時休校明けの日ですが、このシリーズでは千晶が退院したのが臨時休校が明けた次の日なので。タイトルはまんま心操のことです。
そして意味深に書いておきながらも、詳しくはあえて書かなかった“そして、爆豪と轟が、それぞれ何ともいえない複雑そうな顔で、教室を立ち去る私の後ろ姿をしばらく見つめていたことも(気付かなかった)”については、どっちも他のクラスメイトが勘違いしたような色恋云々の感情じゃないです。奴らは1ヵ月(もしくは半年)程度でコロッと落ちるほどそんなにチョロい人間じゃない。
後々体育祭本番の話にどちらも理由が書いてあるのですが、爆豪は無理をさせた負い目、轟はUSJ直前でぎくしゃくしたり、共同戦線張ったり、おんぶして前線を離脱させようとした矢先に本人が無理して倒れるという気まずいコンボで話しかけにくかった、が本当の理由でした。
「rapsodia―Cの長い一日―」内容ぎっしりで正直話が区切りにくいので障害物競走も騎馬戦もまとめて
そんでもって、色々前後して書いたせいで恐らく分かりにくかった、秘書嬢の体育祭における「枷」については以下の通り。
①輸血パックのストックがヤバいので輸血が必要になるほどの技や乱発が出来ない。
②敵連合が見てる可能性があるので、出せる技が限られる。(「天網恢恢」など)
③最後のトーナメントのルール上「致死ダメージはアウト」(当たり前)なので血法の人間に使うと致死ダメージ系技が使えない。(「絶対零度の小針」など)
④同じく人外向けに設計された技を15歳の少年少女に使わないといけないので、殆どの技の威力をかなり弱めて調節して撃たないといけない。
これらを満たしたうえで敵連合のヤンチャを抑える抑止力たらんと、年齢を凌駕した脅威性を示そうと派手派手しく奮闘したのがあの結果です。跳んで隠れて戦って、攻防索敵隠密と揃ったまさしくハイスペックチート。
オールマイトに発破を掛けられた緑谷も次代の平和の象徴として世間に名を広めんとしていましたが、秘書嬢の目的は「友人や表の世間には一切気取られないよう配慮しながら、テレビを通して見ているだろう敵に、秘密裏に示威行動で雄英への手出しを躊躇わせる、もしくは敵の意識を自分に集めることで他の生徒への興味を逸らす」こと。実体が掴めずとも確かに存在し、HLを暗躍して世界の均衡を保つライブラ幹部らしい考え方で、オールマイトや緑谷、雄英に降りかかろうとしている火の粉を払おうという意図があります。プロへのアピールなどの自分自身の益になることは二の次。というかあまりそっちは重要視していない。
相澤先生は千晶が脳無との戦闘から敵連合に対する抑止力たらんとしていることは勘付いてますが、どんだけ辛い人生を送って来て頭も戦闘も切れ者だと思っても、15歳の少女という認識なので「興味を逸らす」については気付いてません。
▼騎馬戦で書けなかったこと
正直原作をそのままトレースして書くとやたら字数が伸びる上に登場人物の多さに心が折れそうだったので諦めた回です。
チーム編成は割と気に入ってます。塩崎さんかわいい。騎馬戦で真っ先に心操確保したのはヒーロー科編入に協力したい気持ちと、あと単純に「洗脳」がこういう乱戦が想定される場所では強いから。そのせいで汎用性を見せつけた2位なのにA組から遠巻きにされて混成チームになるわけですが。
フィールド内の複数の騎馬の生徒とプレマイを騙した「逃水」ですが、BBB世界での「まぼろし」としては精度が低いです。今回は掛ける対象が多い上に法則性なくひっきりなしに動くので、本編でも書いた通りどんどん難易度が跳ね上がるため、緑谷や轟、爆豪、物間チームなどの絶対に見つかりたくない相手限定に絞って認識阻害し、他のチームは視線を“逸らす”程度に留めてます。それでも常に情報を更新しないといけないので、普通の牙狩りに同じ芸当は無理です。クラウスやスティーブンレベルの頭の回転力と血法の扱いの繊細さが求められるので千晶限定で実現可能な神業。スタジアム全員の視野を支配するなんて神々の義眼でもなきゃ無理、と完全に本人は割り切ってますがそもそもそんなレベルのまやかしをやってのける時点で軽く人外。
ちなみに視覚を騙すことにかけてのパワーバランスとしては
HLの外にいる
ちなみに「逃水」はメディアのカメラマンはフィールドに一番近い最下段に陣取っているので騙せてますが、光学機器を騙すにはカメラ位置を把握してカメラが頭を振った分の角度を把握しないといけないため、余計に脳のキャパを取られるのでカメラには「逃水」のまやかしは掛かっていません。なので上の方の観客席の観客と中継を見ていた人は「なんであのチームハチマキ沢山持ってるのに他のチームは傍通っても素通りするんだろう……」と思っていたとか。
カメラマンの視野は秘書嬢チームをすり抜けるので、点数は稼いでいるのに中継カメラが全くスポットを当てず、たまに隅っこや後ろをチラッとしか映らない秘書嬢チームが気になるのにまともに観察できなくてイライラして隠れ家バー(敵連合のアジト)のものを個性でボロボロにして黒霧に怒られる死柄木とかの姿があったんですが、さすがに敵連合の反応まで入れ始めると視点が切り替わりすぎて話のリズムが悪くなるのでボツ。
注目されるはずなのに注目されない、誰かが何かしてるのは明らかなのにそれが何なのか分からないって軽くホラーですよね。牙狩りってホントチートだなぁ(遠い目)。恣意的に放送事故引き起こしてるも同然なので、上司から怒られるカメラマンは泣いていい。
あんなトンデモ境界都市で高層ビルから命綱無しのフリーフォールしたり細い針でこれまた命綱無しのビルクライムを平然とやってのけるんだから多分ライブラメンバーはヒロアカ世界でもトップヒーローと渡り合えるクラスに超人。クラウスに至ってはオールマイトとタイマン張れても不思議じゃないよなと思ってます。
▼体育祭編での原作との変更点まとめ①
・障害物競争終了時の順位。秘書嬢が2位なので轟・爆豪以下が一つづつ順位繰り下がり、青山くん予選敗退。
・なので騎馬戦での各騎馬の合計Pも全部組み直してます
・原作では心操チームは心操・尾白・庄田・青山なのを心操・星合・尾白・塩崎に変更。尾白くんは心操VS緑谷に必要なので変更せず。塩崎さんは本来鉄哲チームですが、心操チームの棄権する人が一人なので庄田くんとチェンジ。塩崎さんが原作で拳藤率いるB組女子と組まずに鉄哲たちと組んだ理由は、物間の策に賛同してない&自分の力で正々堂々上位狙いたい人でチーム組んだからだと勝手に解釈してます。
・全員冷静なタイプが揃ったので完全に最恐チーム。最後緑谷と轟が1000万争ってるところに土壇場で乱入するまで密かにステルスしながらポイントを稼ぎ、唯一どのチームにも最初の持ち点も奪ったハチマキ4本も奪われなかったので、原作では心操チームは3位ですが爆豪チーム(物間から取り返した持ち点と物間が葉隠などから奪ったハチマキ2本)より確実に上になると見て2位に変更。
・尾白くんが「洗脳」から解けるタイミングを少し変更。原作では騎馬戦中に解けてます。
「不揃いな傷跡たち」は轟だけでなく、あの場所に居た全員を指してます。他人にも見える傷、身体に残った傷、心の中の傷、記憶の中の傷、本人も気づいてはいないけれど少しずつ身体の中に残っていく傷。いろんな形での傷を抱えた4人だと思って付けたタイトルです。
そんでもって初めて秘密の一部を爆豪に打ち明ける回。しれっと言ってるけど内容はひたすら重い。ここのかっちゃん視点を書こうと思ってたんですが力尽きました。いつかちょっとどこかで補完したい。
体育祭の貴重なほのぼのシーンなチア回「intervalo」の意味は小休止。
もはや一話に一度くらいのペースで秘書嬢にシバかれている峰田(今回は上鳴も)とのやりとりですが、秘書嬢本人は峰田を嫌ったり目の敵に思ったりはしてません。だってもっと
ただ千晶自身がエスメラルダという女性の多い流派出身で、しかも妹弟子の面倒をよく見ていたので、女性至上主義とまではいかないものの若干レディーファースト(ただし自分は除く)な考え方をしているため、ヤオモモを筆頭に女子陣に出すぎたちょっかいを掛ける峰田をシメているだけ。峰田自身を嫌悪してるわけではないので話しかけられれば普通に喋ります。
ちなみに千晶のお説教の時のクラスメイトの反応の振り分けは
八百万「千晶さん……!そんな、可愛いだなんて……!」
耳郎「千晶いいぞもっとやったれ」
緑谷「はわわわ……星合さんの顔が!真っ黒!怖い!」
砂藤「星合ってキレたら口悪くなるのな……」
尾白「そんでもって怒ってる内容が自分のことじゃなくて他の女子の事だし」
切島「さすが星合……!男らしいぜ……!」
瀬呂「いや切島、星合は女だからな?」
でした。
たぶんこれ分かった人は凄い。私と握手しましょう。
故郷バルセロナのことを思い出しながら聖歌を歌ってるシーン、実はあの後、同じく外にいた轟をホイホイしてしまいぎくしゃくするシーンを予定してたんですが、あっても無くてもいい中身のなさと畳みにくさで全部消して今の形に。木の幹に足を引っ掛けて逆さまにぶら下がったまま問答する秘書嬢と轟の絵面ってすごいシュール……。
▼体育祭編での原作との変更点まとめ② トーナメント
・トーナメント表の左ブロック(緑谷VS心操、轟VS瀬呂、塩崎VS上鳴、飯田VS発目)の塩崎・上鳴部分と右ブロック(芦戸VS青山、常闇VS八百万、鉄哲VS切島、麗日VS爆豪)の芦戸・青山部分を入れ替え、芦戸VS星合に変更。秘書嬢と爆豪を3回戦で当てるのは今後のストーリー展開で矛盾が出すぎるのと、秘書嬢と轟の再戦を書きたかったからです。
・芦戸VS星合直後の緑谷のブツブツ分析内容(原作は塩崎VS上鳴の後なので塩崎さんについて分析)
「jubelnd」は「歓声」という意。
心操VS緑谷戦でスポットを心操に当てたのは、緑谷視点は原作がやってくれてるというのと、個人的に好きなキャラクターなので、原作とは少し違った形で彼が秘書嬢と出会ったことで得たもの、救われたことを描写したかったからです。原作での彼の“
個人的にも気に入っている回です。
そんでもって秘書嬢の戦闘ターン。
▼1回戦 VS芦戸戦
完全オリジナルなのにある意味一番書きやすかった戦闘シーン。
そもそも原作では芦戸ちゃんと戦うのは青山くんなのですが、彼はこのシリーズでは秘書嬢の存在で順位が一つ繰り下がり、障害物競走43位と一歩及ばずの順位で敗退になってます。(原作では勝ち上がった選手としては障害物競争最下位、騎馬戦では心操に操られて最中の描写無し、トーナメントでは一コマ描写で芦戸ちゃんにあっさり敗退と結構さんざんな扱いをされているので秘書嬢とチェンジしてもらいました)
では芦戸ちゃんはといえば、原作では2回戦の常闇くんに描写ゼロで敗退しているので、芦戸ちゃんの性格や原作で描かれている彼女の性質に配慮しながら、今後の展開(ちょっとだけネタバレすると期末試験で指摘されている件)と矛盾しない程度に、ただ秘書嬢にボロクソに負けるんじゃなく、芦戸ちゃんも女子の中では凄いんだぞー!と思いながら描写しました。堀越先生も体育祭編の彼女を運悪く活躍を見せられないまま来てるけど女子の中では運動神経は一番だし、クラス全体でも上位、って仰られているので。上手いこと芦戸ちゃんの魅力が出せてると……いいな……。
「ひとりの火の海 つめたい肖像」はTwitterでもお世話になっている知り合いのお題屋さんからお借りしたタイトルですが、まんま轟だな!と思い緑谷VS轟戦にお借りしました。私も一応お題屋なんですがセンスがないので専ら他のお題屋さんを頼ることが多いです……。
火の海=父親への憎悪と執念、つめたい肖像=父親を見返すのに不要だからと凍てついてしまった心といつの間にか忘れた記憶、という解釈です。あと「肖像」って単語はつまるところ似顔絵のことなんですが、単語に分解すると「似ている、似せた」「かたち、姿」になるので、心の奥底にあるヒーローを志す気持ちが似ている轟と緑谷、そして緑谷とオールマイトが似ていると戦って再認識してる轟、と物凄いこじつけた意味も考えてました。
「手にはまだ生ぬるい罰」もお借りしたお題で、形は歪んでしまったけれどまだ完全には壊れていない緑谷の腕と、時間が無いせいで全部補整しきれず、間接的に歪みという形で緑谷に罰を与える秘書嬢、という意味合いで付けました。
▼2回戦 VS飯田戦
原作では飯田くんVS塩崎さんで、レシプロで背後を取って場外、と全く描写のない飯田くん2回戦。その後飯田くんは轟と3回戦で戦って負けるのですが、このシリーズでは秘書嬢VS飯田くん戦は完全に原作3回戦の轟VS飯田の流れをトレースしてます。秘書嬢仕様に色々変えてますが。
1話の個性把握テストで飯田くんが3速で出した「3秒4」に超人の脚力で勝ってる秘書嬢ですが、レシプロには流石に退行した身体では勝てません。っていうか80%しか出せない現状でレシプロに勝ってしまうと、同じ足技でスピードタイプな飯田くんのアイデンティティが無くなるので……。
「confesion」は懺悔。このシリーズ初の緑谷視点。今まであまり深く触れてこなかった緑谷が秘書嬢に対してどう思ってるかが分かる回でした。原作では緑谷と飯田くんのインゲニウムにちょっとかかわる立ち話が2ページほどで描かれてる部分にあたるのですが、轟戦前の秘書嬢と緑谷を会話させたかったがためにここも変更してました。多分このあたりの変更は地味すぎて気付かない方多いと思われる……。
▼3回戦 VS轟戦
戦闘描写の中で過去最高に苦労したと言っても過言じゃなかった回でした(何度でも言う)。戦闘訓練の時とは比にならないくらいに心情描写やら視点の切り替えをどうするか、状況説明はなるべくダラつかずにどう書けば伝わりやすいかをずっと考えてた気がします。
4・5・6巻と小説版をどう読み返しても原作での緑谷戦後から決勝の爆豪戦に至るまでの轟の心情がイマイチ掴み切れずにいたのもしんどかったです……。心情描写も表情の変化も掴みにくすぎるぞ轟ェ……。これが本誌掲載されてた時に考察が得意な方々がどんな風に考察してたのか知りたいと歯ぎしりしながら捻りだした話がアレなので轟の思考回路がキャラ崩壊してないかが心配すぎる。
体育祭編を書き始める前から1位爆豪2位轟は変えない、秘書嬢は轟に負けるっていうのは決定してたんですが、緑谷戦後で炎の選択肢がある中どう決着に落とし込むかが心情表現の次に鬼門でした。今回の投稿がちょっと遅めになったのも大体このあたりを書いて消して書き直してを繰り返してたせい。
あと緑谷にエンデヴァーが轟戦前にちょっかいを掛けてたのと同じく、秘書嬢にも子煩悩パパによるちょっかい()が入るのも予定はしてたんですが、書いてる途中でエンデヴァーさん大暴走。どうしてこうなった。頑張れ秘書嬢、目ぇ付けられた時点で君の外堀はゴリゴリ埋められている。轟戦があまりに進まなさ過ぎて疲れた脳味噌で「何故か外堀の方が自主的に埋められている轟家(副題:がんばれ轟焦凍)」ってタイトルで会話だけ書き出したギャグがあるんですがこれがいつ陽の目を見るかは私にも分かりません。
タイトルの“You have all.”は前にどこかで原作の「全てを持って生まれた男の子」(轟が緑谷に生まれの事をカミングアウトする回のタイトル)のヒロアカ英訳版では「I have all」と訳されてたっていうのを聞いたので、USJ事件前に秘書嬢が轟に言った「私には、何もないんだよ、轟」と「どんなにいびつだったとしても、私に無いものをすべて持っている君が羨ましくてしょうがない」を踏まえて、秘書嬢が言っているような形式にして、若干の皮肉を込めたタイトルとして秘書嬢VS轟戦につけました。
▼轟について(超個人的解釈ですのでご注意)
轟は洞察力はあるのに人の機微には疎い子なんだろうな、と思って書いてます。あと冷静そうに見えて意外と短気で感情的になりやすい末っ子タイプ。緑谷戦以前は視野狭窄的で個性に関してあれこれ言われるとすぐカッとなってる印象があったのと、(ネタバレですが)期末試験での八百万に対して「吐き気には足のツボが」うんぬん言ってたあたりから、感情面が育つ幼少期に母親と引き離されて父親に憎しみを募らせてたせいで情操面があんまり発達してないのかな、と。愛情を感じられる経験が少なかったせいで(少なくとも緑谷戦で母の言葉を思い出すまでは優しい思い出もおぼろげだったと思われる)甘え方はやや不器用そう。ついでに執念深そう。
だから表立っては何も言わずにそばに居た千晶の心配には、言葉に出されるまで最後まで気付きませんでした。戦闘訓練で動揺を誘うのにトラウマを持ち出したことを懺悔した千晶に何を言っていいか分からずに「(そんなにくちびる噛んでると)血ィ出んぞ」と言ったり、USJ事件直前にちょっと黄昏ていた千晶の異変には気付けどもド直球で(しかもクラスメイトがいるバス内で)悩みがあるのかと問い詰めたりする辺りの描写はそんな轟に対する印象を元に書いた場面です。
そんな轟は千晶とは「似て非なる存在」として描写してます。個性も性格も生い立ちも共通点が多い割にどれも全く同じの要素がない子。
個性:炎と氷⇔水と氷
性格:(共通)冷静・天然・不器用・甘え下手。
末っ子⇔長女(教会で同じ孤児の子やエスメラルダの妹弟子の世話した経験から)
やや感情的(エンデヴァー的資質)⇔心は痛めるが場合によって感情と理性を切り離せる(スティーブンと同じ「冷血」資質)
生い立ち:(共通)愛情をまともに受けられない環境下で育つ
両親存命・母とは和解⇔家族の情報を一切知らない、教会に併設された孤児院で育つ
精神的な年齢差による許容範囲の違いもありますが、完全に同一系統じゃなかったからこそ同族嫌悪的に反発せずに一緒に居られるタイプ。
また、轟の氷と秘書嬢の氷についても戦闘訓練やUSJ事件でそれとなくほのめかしてましたが、秘書嬢は青、轟の氷は白っぽい透明、もしくは水色と表現してます。青い氷でぴんと来なかった方は「南極 青い氷山」で検索してみてください。物凄く現実味のない青い氷が見られます。
轟くんの氷は完全力押しタイプで硬度はそれほど高くないと思ってます。アニメ派の方には盛大なネタバレで申し訳ないんですが、職場体験編の対ヒーロー殺し戦の時、かなり分厚い氷壁を張ったのにステインの刃こぼれしまくった日本刀で斬り壊されてる辺りや林間合宿編でのムーンフィッシュの個性の刺突が幾つか防御できずに貫通してる辺りからして、敵が
また、氷壁をフェイクに短剣を投げた時の「それが示すのは――並外れた先読みの能力と、土壇場でも相手の手すら利用して攻撃を通す柔軟性、そして……それらを実行できる圧倒的な「経験」。」は全てライブラ構成員の資質の比喩です。「打ち合わせなしの同時行動、互いの能力を熟知した上で最も効果的な役割を各自が選択する」って斗流のじっさまも言ってるので。
「be alone with you」はふたりぼっち、の意。保健室にもふたりぼっちだし、君の傍にいる、という意味でも。「21gの悪夢」とかも考えたんですが秘書嬢が悪夢を認識してないのでボツ。
何を「目が覚める時、いつも期待している」のかはまだ秘密です。
轟戦で勝敗を分けたのは飯田戦で頭に受けた傷が完全に塞がってない(血を止めただけ)のに立て続けに後ろに張った壁に頭を打ったせいというオチ。轟が謝る際、起き上がろうとした秘書嬢を再びベッドに寝かせるために肩を押した指先が左側なのに冷たかったのは、轟なりに緊張してる隠れたサインとして使いました。多分この時は冷たくなってるのも気付いてないし体温調節まで頭回ってない。
閉会式の話と次の職業体験編の導入話になる「Identity」はずっと薄暗い話が続いたので若干ギャグチックにしました。普通に疑問なんですがあの拘束具って雄英の備品なんですかね……ヤオモモだったら創造できるとは思うんですが、原作のコマでの表情を見ると多分違うっぽいので……。柱に拘束する時も眠らせたんだろうか。地味に疑問。
インゲニウムが運ばれた病室が本当にICUかは分からないんですが多分術後なのでICUかな……?と思って捏造してます。前にICU見学した時に確か家族の面会も可だったはず(勿論マスク着用と手洗い必須で)なので。面会の時の飯田くんがブレザー着てない辺りが本気で急いだんだろうなと思うとつらい。
轟親子の再会回「白とオーベルテューレ」ですが原作が最高だと思ってるので、原作通りの終わり方にしました。轟は秘書嬢と母に繋がりがあることを知らないまま病室を訪れてるので、特に変化させることが無かった……強いて言えば「be alone with you」でさらっと流した悪夢と轟が手を握っていた理由ぐらいでしか嵩増しが出来なかった感じです。あの尊い回にオリジナルをぶちこむのは出来るだけ避けたかったんや……。最後の方、原作で書かれてる轟の内心と現実の状況描写をいかに自然に繋げるかだけが鬼門でしたが原作の雰囲気を小説で出せてたらいいな、と思います。
▼秘書嬢 技一覧
オリジナル技が結構出たので一応改めて説明書き。
◆基本的に防御・捕縛重視をエスメラルダ、攻撃を水晶宮で行っている。ただし水晶宮は一代目なので、洗練され熟練しているエスメラルダに比べると発動スピードに劣り、燃費が良くない。牙狩りの血液属性は五行に当てはまることが多く、「水」に近縁の「木」(風・雷)にも才能があるが、相剋である「火」とは相性が悪い(属性を発現できない)。
個性=血流操作 で個性届を申請している。名前だけだと「操血」の個性持ちのブラドキング(B組担任)と似ている個性だと思われがちだが、血を自在に変形させたり属性に変換させたりしているので汎用性では上。
▼水晶宮式血濤道
血液属性は水。エスメラルダ式血凍道の分派であり、使用者は今のところ『二段階属性変換』を持つ千晶のみ。成立過程で斗流血法やブレングリード血闘術の考えなど他の流派の血法の考えが混じっているため、技のいくつかは斗流や他の流派に通ずるところがある。
「水晶宮」は竜宮の別称で、「クリスティアナ」の名前と引っかけた名称になっている。
○甲の舞
血液を網目状に展開し落下物へのクッションにしたり、糸を引っかけて反動で宙を移動したり、そのまま対象を包囲して捕縛網にした後ドーム状に凍結させるなど、捕縛・補助に使用する。伸縮や強度の調整を自在にできる。ザップの
基本的に操りやすさの観点から指から出した血糸で編むが、足元から出した血からネットを放出することも可能。
○甲の舞
冷水に変化させた血液を広範囲に撒き、空気の温度差を作為的に作り出して光の屈折率を変え、目の錯覚を誘発し、認識を阻害する蜃気楼を生み出す技。自分の位置の側方に鏡像を作ることで、攻撃をずらし、逃れることが出来る。手負いの味方を敵から隠す一時的な避難シェルターとして展開することも可能。
ただし、維持には極度の集中と、見せる相手の位置・角度を常に把握する必要があるため、万能ではない。
○甲の舞
体内に血の針を仕込んだ対象の全身の水分を支配下に置き、対象の動きを停止させることが出来る。更に停止した身体をその場に縫い留めるための糸が張り巡らされる様が蜘蛛の巣に掛かった餌のような状態に見える。
○丁の舞
超高速の大渦を円錐状に圧縮し、槍や矢として使用する。威力は場に応じて調節可能で、最大でウォーターカッターレベルの貫通力を誇る。
○丁の舞
巨大な水の弓を発生させ、逆巻を矢として上空に向けて発射。上昇時は一つの逆巻が、最高到達点で無数の極細の逆巻に分裂、落下速度を乗せた水槍の雨を広範囲に降らせる。エスメラルダと併用すると氷柱の雨になる。
威力は服を破る程度から、人体を貫通するレベル、最大で地面に小規模クレーターを生み出す。が、威力が増せば増すほど逆巻の質量も増えて数が少なくなる。
○丁の舞
刺突専用の極細の針を持つ十字架型の
形状はブレングリード血闘術32式「|電速刺尖撃《ブリッツウィンディヒカイトドゥシュテェヒェン》」(B2B 2巻登場)に酷似している。
○乙の舞
超極細の水の糸を生み出し、針で体内に侵入させ、皮膚を切開することなく簡単な縫合や外力によってズレたものを補整する。小さな内視鏡手術。ただし本人が体内構造を正確に把握していないと危険なため、重傷時や断面が酷く損傷しているものにはつかえない。主に一時的な止血や簡易縫合などに利用する。
自分の体に対しては血流の流れを把握することで異世界に来る前から使えたが、他者への治療に使用することを考えたのは異世界に落ちてから。他者に使用する場合は補整や異物除去のみ使用可能で、必ずリカバリーガール立ち会いの元行っている。
○乙の舞
水で龍を作り出す技。ツェッドの大道芸を華やかにするためにお遊びで作ったのが始まりで、大道芸で披露する際は手のひらサイズの龍を沢山生み出してツェッドの「風編み」で飛ばしていた。「逆巻」とは違い渦を圧縮していないので龍自体に攻撃力は殆どないが、巨大化させて大量の水で押し流したり、氷結させて大質量の氷を飛ばすなどで攻撃に変えることも可能。でも大きい「逆巻」を作ってしまった方が楽で攻撃力も高いのでやはり見た目重視のお遊び。今回わざわざ轟戦の〆に使ったのは直撃しても大怪我の心配が無いのと、見た目のインパクト重視だったため。