東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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初めまして、騎士シャムネコと申します。

ハーメルンでは初投稿です、よろしくお願いします。


第一話 「転生香霖と幻想の鳥」

 後に『紅霧異変』と呼ばれる異変が起こったその夜。

 

 幻想郷を紅い霧が覆ったその日、僕は前世の記憶と能力を取り戻した。

 

 

 

                         森近霖之助

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の事はよく覚えている。劇的では無く、拍子抜けするほどあっさりしていたから、逆に印象に残ったのだが。

 

 あの夜、幻想郷を紅い魔力の霧が覆った時、僕は所謂前世の記憶と言う奴を思い出した。

 とは言え、それで何かが変わったかと言うと、あんまり変わらなかったとも言えるし、大いに変わったとも言える。

 前世の記憶を思い出したとはいえ、三十年にも満たなかった前世の影響で、半妖として生きて来た数百年の末にある今の人格が変わるべくも無く、僕自身の性格はあまり変わっていないと言える。

 ただ変わった部分としては、外の世界へ行ってみたいという気持ちが少なくなくなったことが一番に上げられる。

 

 前世の僕は外の世界、それも今より少し先の未来で生きていた。

 それ故に、今の僕には現在の外の世界在り様が、知識としては存在している。

 断片的にしか情報が入手出来ず、推察するしかなかった外の世界の情報が、今はある程度察することが出来るのだ。

 だからと言って全く興味が無くなったという訳では無いし、今でも外の世界に行ってみたいという気持ちは変わらないが、その気持ちは以前ほど必死では無いというのも間違いなかった。

 

 さて、では今の僕が一番求めている物は何かと聞かれれば、その前に僕が前世の記憶と共に取り戻した前世の能力について語らなければならないだろう。

 僕が取り戻した前世の能力、『召喚術を操る程度の能力』は文字通り様々な召喚術を行使するという能力だ。

 と言っても、これが完全に前世で所持していた能力かと聞かれれば、首を傾げざるを得ないのだが。

 

 前世において僕は、『アナザーリンク・サーガ・オンライン』という所謂VRMMORPGのプレイヤーであった。

 プレイヤーとしての名前は『キース』、能力の名前から分かる通りゲーム内では召喚術師、即ち『サモナー』の職業に就いていた。

 ゲーム内で僕がどんなプレイをしていたかだが……これについては割愛しよう。長くなり過ぎるし、何より途中で脱線が多くなりそうだ。

 

 首を傾げざるを得ないと言った理由だが、先ず第一にあくまでゲーム内の能力でしかなかった物が現実世界で使用出来てしまえることがあげられる。

 まぁこれについては、幻想郷だからの一言で済ませてしまえそうでもあるが。

 

 二つ目は、能力の自由度がゲームであった前世と比べて大幅に上がっている事だ。

 前世では自分の育てたモンスターや少し特殊な存在を召喚する事しか出来なかったわけだが、今の僕の能力はゲーム時代に敵として出て来たモンスターを召喚し操る事も、ゲーム時代に手に入れたアイテムを召喚と言う形で呼び出すことも出来てしまえる。

 

 さて、ここまで話してようやく本題である『僕が現在求めている物は何か?』という話に移ることが出来る。

 僕が現在求めている物、それはゲーム時代に僕が育てた配下のモンスターたちを召喚する事だ。

 

 不可能では無い、と僕はそう思っている。

 根拠は前述したゲーム時代に手に入れたアイテムを呼び出せるという点だ。

 所有していた物品を呼び出すという前世では出来なかった使い方が出来るのだから、本来の使い方である自身の召喚モンスターを呼び出せないという事は無いはずだ。

 それに、説明のし難い感覚ではあるが、能力を使ってモンスターやアイテムを呼び出す時に感じるのだ、繋がりの様なものを。

 

 前世に置いて、僕はゲーム内に自身の拠点である城を持っており、そこにはアイテムを捧げて対戦相手となるモンスターを召喚するという機能を持った闘技場が存在していた。

 感覚的な話だが、僕が現在呼び出せるモンスターたちは、どうもその機能を使って呼び出されているように感じるのだ。

 

 であれば、この繋がりを辿って行けば、いつか必ず召喚出来るはずだ。配下のモンスターたちを。

 明確な目的意識がある、そこへ到達するまでの手掛かりもある。ならば出来る筈だ、どれほど時間が掛かっても。

 

 そう思うと、僕の全身に懐かしい活力が漲って来るように感じられた。

 まるで、ゲーム内を配下達と巡っていた時の様な、熱く狂おしいほどの活力が。

 

「やれやれ、性格はあまり変わっていないと思っていたけれど、どうやらそうでもないらしいな」

 

 いや、変わっていないというよりも、前世と今生を合わせた結果あるのが今の僕なのだろう。

 かつての僕と今の僕、その二つは断絶した訳では無く地続きとなっている。ただそれだけの話だった。

 

「さて、先ずは何処から手を付けるべきか……」

 

 魔法関連から手を付けるなら、僕が経営している古道具屋『香霖堂』のお得意様である咲夜経由で動かない大図書館を頼るという方法が思いつくし、神様の御利益を頼るなら霊夢に相談するのも良いだろう。幻想郷の住人の能力を頼るなら、魔理沙に心当たりが無いか尋ねてみるのも良いかも知れない。

 幸い、この幻想郷なら取れる手段はいくらでもあるのだ。総ざらいで当たるのも一つの手だろう。

 

「おーい、香霖ー!」

「霖之助さん? 居るんでしょ?」

 

 物思いに耽っていると、騒がしい声が聞こえて来た。

 僕が返事をする間も無く勝手に店の中に入って来たのは二人の少女、紅白の巫女『博麗霊夢』と白黒の魔法使い『霧雨魔理沙』だった。

 

「君達、またお茶でもたかりに来たのかい?」

「失礼だな香霖、今日は恒例の鍋の日だからやって来たんだぜ?」

「材料は揃えてあるから、捌くのをお願いね霖之助さん」

「……勝手に来た挙句、調理まで要求するのか」

 

 見れば、魔理沙は両手でぐったりとした朱鷺を抱え、霊夢は鍋の材料が入れられているらしき荷物を両手に持っていた。

 言動から行動までどうしてこうも傍若無人さに溢れているのか、昔はもっと可愛げが……あったかな?

 

「おい香霖、今何か失礼な事を考えなかったか?」

「奇遇ね魔理沙、私も同じように感じていたとこよ」

「二人共、自分たちの日頃の行いを振り返ってみる事だね。原因はそこにある筈だ」

「それなら私は問題無いな、鬼巫女の霊夢が原因だ」

「それなら私は問題無いわね、原因はコソ泥魔法使いの魔理沙よ」

 

 両方だ、両方。

 お互いに擦り付け合っている二人にそう言ってやりたかったが、この後の展開は大体想像出来るし黙っておくこととしよう。

 

「なんだと?」

「何よ?」

「やるか?」

「やってやろうじゃない」

 

 それだけ言うと、二人は荷物を僕に押し付けて、スペルカードルールによる決着をつけるために店の外へと出て行ってしまった。

 予想通りの展開とは言え、僕は溜息を付く。

 やれやれ、二人が戦っている間にさっさと調理してしまうとしよう。作らなかったら作らなかったで文句を言われそうだからな。

 

「そう言えば、今は普通に料理が作れるんだよな」

 

 前世ではカレーさえ不味く作れることがある種の自慢だったが、今生では普通に料理が作れる。

 それで困るという事も無いし、寧ろ一人暮らしである以上作れるに越したことはない訳だが、思う所はある。

 

「自分で作った料理より、ナイアスの作った料理が食べたいな」

 

 前世では心の中で嫁とまで呼んでいた従者の一体を思い出す。

 こうしてふとした拍子に従者たちの事を思い出す事は増えて行くのだろう。そうしてそれは僕の中で熱として残り、目的達成の為の活力となる筈だ。

 

 窓の外から見える霊夢と魔理沙の弾幕の光を眺めながら、僕は脳裏に従者たちの姿を思い描きつつ、鍋の調理を進めた。

 





時系列で言うと、サモナーさんが行くの1280話後に力尽きた現実世界のサモナーさんが転生したのがこの作品の霖之助と言う設定です。

また、この作品の霖之助は現時点でゲーム内のアイテム及び、魔法や武技を使える代わりに配下のモンスターたちが召喚出来ないという設定になっています。(全解禁しちゃうと、ヘカーティアとかでも地の文でさっくり倒せちゃうから仕方ないね)

この作品の霖之助の性格は、基本霖之助時々サモナーさんぐらいの割合で構成されています。
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