東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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気付けばお気に入りが四十とか行ってた。

すごい、これが香霖堂とサモナーさんの力か!


第十一話 「転生香霖と紫色を超える光」

「これは……『人魂灯』か、今日は豊作だな」

 

 その日、僕は久々に『無縁塚』まで足を運んでいた。

 

 無縁塚は、幻想郷屈指の危険地帯と呼ばれている場所だ。

 この場所は幻想郷と冥界、幻想郷と外の世界を隔てる結界が綻んでいる場所であり、時折冥界や外の世界の道具が流れ着く。

 そして流れ着くものは道具のみに留まらず、外の世界の人間が流れ着く事もある。

 そう言った人間は、多くの場合この場所にうろつく妖怪たちの餌食となってしまい、その後は無縁仏としてここに埋葬される。

 故に、この場所は無縁塚と呼ばれているのだ。

 

「まぁ、僕にとっては宝の山だけどね」

 

 宝の山と呼んだのには訳がある。先ほど語った通り、無縁塚には冥界や外の世界の道具が流れ着く。僕は定期的にこの場所を訪れては、それらを拾い集めているのだ。

 以前から僕は、元々持っていた『未知の道具の名称と用途が判る程度の能力』を利用して無縁塚に落ちている道具の中から有用そうな物を拾い集めていたが、前世の能力と記憶を取り戻したことでその効率が段違いになっている。

 かつては名称と用途は判っても使い方の判らなかった外の世界たちは、前世の記憶がある事で大体使えそうな物かどうか判別することが出来る。

 また、前世の能力により使えるようになった探知呪文の『センスマジック』や『ダウジング』によって、今まで地面に埋まっているなどして発見出来なかった道具も掘り出す事が出来る様になった。

 まぁ、ダウジングは鉱物を探す為の呪文なので、主に役立っているのは魔力を視認出来る様になるセンスマジックの方だったが。

 

 僕は無縁塚中を歩いて回りながら、面白そうな道具を見つけては片っ端から『召喚術を操る程度の能力』で呼び出した前世の持ち物である『アイテムボックス』に詰めて行った。

 持ち運べる量を気にせずに、道具集めに集中出来るのも前世の能力を取り戻した大きな利点である。

 

「おや、あれは……」

 

 しばらく歩いて回ると、風に乗って生温い血の臭いが流れて来た。

 僕は、その先に待つ光景を半ば予想しながら、臭いの元へと走った。

 

 

 

「やっぱりか」

 

 臭いの元を辿ると、そこには獣型の低級妖怪たちに襲われている人間の姿があった。服装を見るに、外の世界からやって来た外来人の様である。

 年若い女性、いや少女の様であり、幻想郷の少女たちの様な並外れた美貌の持ち主と言う訳では無いが、普通に美人と呼んで差し支えない可愛らしい女の子であった。

 だが、少女は現在妖怪たちに手足を食い千切られ、引き裂かれた腹から内臓が零れ出ているような見るも無残な姿となっている。

 もはや、いつ息絶えてもおかしくない状態だったが、だが辛うじて彼女は生きていた。そして、

 

「たす…け……」

 

 僕の姿を目にした彼女は、微かにだが、確かに僕に助けを求めた。

 

(((((フォース・バレット!)))))

 

 『呪文融合』のスキルによって、五つ同時に発動した魔力弾を放つ攻撃魔法によって、妖怪たちを蹴散らし彼女に駆け寄った。

 別に義憤にかられたとか、彼女を助けなきゃという使命感に駆られた訳では無い。

 そもそも、現代ではまず起こりえなくなっているというだけで、僕が生まれ育ち、幻想郷に住み着くまでの間に見て回った当時の外の世界では、獣や妖怪に襲われて人が食われるなんて、日常茶飯事だったのだ。

 文明が発達したが為に外の世界の人々は忘れてしまったのだろうが、元より世界は弱肉強食である。今回の事にしても、もし僕が着いた時点で彼女が既に死んでいたら、妖怪たちが食い終わるのを待ってから遺体を埋葬するつもりであった。

 だが彼女は生きており、僕の姿を認めて助けを求めて来たのだ。これを見捨てるほど落ちぶれたつもりはない。

 我ながら中途半端な行動だ。時と場合によって人間に味方する事も妖怪に味方する事もある。

 かつては、こういった行動も含めて『半端者』と呼ばれるのだろうなぁ。と、自嘲した物だが、あいにく今ではまるで気にしていない。心の赴くままに、僕は僕のやりたい事をやりたい様にする。前世も今も、そう変わりはしない。

 

 さて、今目の前で問題は死にかけている彼女の方だ。

 辛うじて生きていると言ったが、本当に辛うじてだ。後一分もしない内に彼女の命の灯は消えてしまうだろう。

 

「いやぁ……しに、たくな……たすけ……」

「大丈夫だ。直ぐに治療する」

 

 だが、僕には彼女を救う方法があった。

 アイテムボックスから取り出す暇も惜しいので、能力を使って手元に呼び出したのは、ゲーム時代のアイテムで『神霊の桃』と言う物だった。

 このアイテムはHPを全回復させるという単純かつ強力な効果を持つ回復アイテムで、桃ではあるが食べずとも相手にぶつけるだけで効果を発揮する。

 僕は手に持った神霊の桃を、そのまま彼女の体に投げつけた。

 

「……どうやら、大丈夫のようだな」

「すぅ…すぅ…」

 

 彼女にぶつかった瞬間、神霊の桃は効果を発揮し、彼女の失われた手足や裂かれた腹を瞬時に再生させた。

 それを理解出来たのかどうかは知らないが、彼女は意識を保っているのが限界であったらしく、そのまま気を失ってしまったようだった。

 

「さて、この子をどうするか……」

 

 気絶した彼女を抱き抱えながら、妖怪に襲われてズタボロになってしまった彼女の服を修復しつつ考える。

 順当に行くのなら彼女は博麗神社に連れて行くべきだ。幻想郷の結界の管理者である霊夢なら、外来人を外の世界に送り返す事が可能だ。

 しかし、僕にはそれをすぐに選びたくない理由があった。センスマジックによる魔力を視認する視界に移っているのだ。腕に抱えた彼女が通って来たであろう、幻想郷と外の世界を隔てる結界の綻び部分が。

 おそらく、この綻びを通り抜ければ、僕は外の世界へと行くことが出来る。そう考えると、霊夢に頼むのではなく、自分で彼女を送り届けて、ついでに外の世界を観光して来るのも良いのでは? と、思ってしまったのだ。

 

「……よし、行くか」

 

 悩んだのはほんの数秒だった。我ながら決断が速い。

 思い立ったが吉日とばかりに、僕はこんな事もあろうかと用意しておいた、外の世界でも違和感がないであろうデザインの服装に着替えて、結界の綻びを潜り抜けた。

 ちなみに帰りの心配はしていない。帰る時は転移呪文の『リターンホーム』か『テレポート』で香霖堂に転移すれば良いだけだからね。

 

 

 

 どこか懐かしさを感じる、人々の喧騒。

 呼吸するのが少し嫌になる様な、排気ガスの交じった生暖かい空気。

 幻想郷ではまず見かけない、電気による温かみの無い光が洪水の様に押し寄せる。

 僕は現代の街並に懐かしさを覚えるのと同時に、余り長居したくは無いなと感じていた。

 

 

 

 綻びを通り抜けて辿り着いたのは、見慣れた鳥居と見慣れない大勢の人々が居る神社だった。

 ここは、博麗神社なのか? 集まっている人々は外の世界の住人たちのようだが。

 

 疑問に思ってよくよく観察すると、鳥居や神社の外観は霊夢の住む僕が良く知る博麗神社と似ていたが。細かい所が違うし、神社の外の光景も全く見た事の無い物だった。

 加えて、神社の中には沢山の出店が並んでいる。今日は祭りか何かである様だ。

 

「……差し詰めここは、外の世界の博麗神社と言った所か。おそらくここと、幻想郷の博麗神社を結界の基点にしている。と言った所か?」

「―――おーい、そこの君。少しいいかね?」

 

 おそらく二つ存在するのであろう博麗神社について考察していると、後ろから声がかかった。

 振り向くと、そこには特にこれと言った特徴の無い中年の男性が立っていた。いや、特徴はある。思い出すのが遅れたが、彼が着ているのは警官の服装だったはずだ。

 こちらの博麗神社はどうやら祭りをやっているようだし、パトロール中と言った所だろうか? 不味いな、今の僕は住所不定で無職の戸籍も無い不審者だぞ。

 そんな内心の焦りは欠片も見せずに、ごく自然に警官の男性に返事をする。

 

「はい、何でしょうか?」

「君が抱えている女の子。どうしたんだね」

 

 まぁ、普通にそこをまず突っ込むよな。予想通りの質問で逆にありがたい、用意しておいたカバーストーリーを無理なく使えそうだ。

 

「ああ、この子ですか。丁度良かった。実はこの子、先ほど向こうで倒れているのを見つけましてね? 怪我は無い様なのでおそらく貧血か何かだと思うんですが、間が悪くケータイを忘れて救急車も呼べずに困っていたんですよ。警官さんにお預けしても大丈夫ですか?」

 

 あらかじめ用意していたセリフなのでスラスラと話すことが出来る。言葉の内容は嘘だらけだが、警官に預けたいと言うのは本当だ。

 いつまでも僕が抱えている訳にはいかないからな。

 

「……なるほど、そうだったんですか。では婦警の応援と救急車の手配をしますので、少し待っていただけますか。そこで詳しいお話を」

「判りました。近くにこの子を寝かせられるベンチでもあれば良いんですけど」

 

 若干疑わし気な視線のままだったが、警官はトランシーバーで連絡を取り、応援と救急車を呼んでいた。

 よし、ここまで来ればもう勝利したも同然だ。警官は僕から色々聞き出したいようだが、付き合うつもりは無い。僕は直ぐに離脱させて貰う。

 

 少し離れた場所に誰も座っていないベンチを見つけ、「あそこが空いているみたいです。行きましょう」と声を掛けて警官をおびき寄せる。

 そしてベンチに女の子を寝かせたところで、警官から見えない様に体で隠しながら、僕は能力であるモンスターを召喚した。

 

「それでは後はお任せします。僕はこれにて失礼」

「はい?」

 

 僕のセリフに疑問の声を上げる警官に振り返りながら、僕は召喚したモンスターを警官に見せる。

 

「キー!」

 

 僕が召喚したモンスターは『ポイズナスバット』。名前からして毒を持っている事は明白だが、このモンスターはレベルアップをすると『忘却』と言うスキルを覚える。今回はそれを利用する為に召喚したのだ。

 忘却スキルを受けた警官は、放心状態で佇んでいる。今の内に離脱するとしよう。

 忘却スキルは数分前までの出来事を忘れさせる事しか出来ないが、あの警官の記憶からは間違いなく僕の事が忘れ去られている。

 同時にあの女の子の事も忘れられてしまったが、応援も救急車も呼んである為大丈夫だろう。

 

 僕は召喚したポイズナスバットを帰還させながら、人目を避けて移動し、周囲に誰も居ない事を確認してから光魔法の呪文である『インビジブル・ブラインド』で透明化した。

 これで人目を気にせず行動出来るだろう。無一文だが、ウインドウショッピング位なら楽しめるはずだ。

 そう考え、意気揚々と前へ踏み出したところで、どこからか声が聞こえて来た。

 

 

 

「あら駄目よ。こんな所に来ちゃ。貴方はこっちに来てはいけないの。貴方は人間じゃあないんだから」

「!?」

 

 

 

 気が付けば、今度こそよく見慣れた、幻想郷の博麗神社の境内に立っていた。

 どうやら連れ戻されてしまったらしい。あそこで警官に絡まれなければ、もう少し見て回れたんだがなぁ。

 

「もう、全然凝りていないみたいね。駄目よ。半分とは言え、妖怪の貴方が外の世界を出歩いたら困るんだから」

「半分では無く、完全に妖怪の君は良いのにかい?」

「私だから良いんです」

 

 声のした方へと振り返る。そこには豪華な金髪に派手な衣装を纏い傘を持った美しい少女が立っていた。

 

「初めまして、『八雲紫』。君の事は、霊夢や魔理沙からよく聞いているよ」

「初めまして、森近霖之助さん。貴方の事は霊夢や魔理沙から……あんまり聞いた事は無いわね?」

 

 そう、僕を外の世界から幻想郷へと連れ戻したこの少女の名前は八雲紫。妖怪の賢者と呼ばれ、幻想郷を作り上げ管理している大妖怪であった。

 

「やれやれ。せっかくの機会だから、色々見て回りたかったんだがね」

「もう、だから駄目よ。半妖の貴方が外の世界と幻想郷を行き来なんてしたら、結界に悪影響が出てしまうわ」

「君は頻繁に外の世界に行っているようだが?」

「私は色々自重したり、隠蔽したりで帳尻を合わせられるもの」

「僕も自重や隠蔽位は出来るよ」

「嫌よ。だって貴方、絶対に何かやらかしそうだもの」

「うーむ、否定出来ない」

 

 彼女とは初対面の筈なのだが、どうにも僕の事を良く理解されているように感じる。

 何故だろうと首を傾げていると、神社の方から霊夢と魔理沙が歩いて来るのが見えた。

 

「―――今度、貴方のお店にお邪魔しても良いかしら? 貴方とは前々から色々話して見たかったのよね。竜信仰の事とか、魔理沙のミニ八卦炉の事とか」

「お客さんならいつでも大歓迎だよ。冷やかしはお断りだけど」

「買い物もするけど愚痴くらい聞いて頂戴。色々と苦労しているのよ……ここ最近は貴方絡みの事で」

 

 おちおち冬眠も出来ないわぁ。と言って溜息を付く紫。

 霊夢や魔理沙からは何を考えているのか分からない胡散臭い奴だと聞いていたが、僕にはどうにも人間臭く感じられた。




転生香霖「苦労してそうだなぁ~」(他人事)

ゆかりん「誰のせいだと……!」(憤慨)



遂にゆかりん登場。苦労人ポジションですw

所で東方キャノンボールで高レアリティのゆかりん全く来ないんですけど……どうなっているんですか! (血涙)
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