東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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第二話目です。

二次創作の投稿はこの作品が初めてですので、ドキドキしっぱなしです。


第二話 「転生香霖と愚者の石板」

 『愚者の石板』というアイテムがある。

 

 このアイテムは前世のゲーム内に置いて中継ポータルの設置、分かり易く言えば自身の拠点を作成する為のアイテムであった。

 設置すると半径五十メートルの範囲に結界が張られ、魔石系統のアイテムである魔晶石や魔水晶を追加で消費する事で結界範囲の拡大や各種設備の追加などの強化を行うことが出来る。

 ゲーム時代の僕の拠点、『召魔の森』もまたこの愚者の石板の設置によって作成し、強化して行った末に完成した物だった。

 僕はこれを僕の店である香霖堂に使用しようと思っている。

 

 僕がこの考えに至った理由は四つある。

 

 まず一つ目が拠点化する事によって設置される結界そのものである。

 この結界は、内部に入れる者を制限することが出来る結界で、拠点内範囲にある物を不可視化するという機能を追加することも出来る。

 客商売をやっている以上、常に侵入制限をし続けるつもりは無いが、僕が不在の際に悪戯好きの妖精たちの侵入を防げるというのは大きい。

 

 二つ目は拠点の強化による地下空間の拡張だ。

 『塔の石板』という拠点の効果を強化するアイテムがあり、これは設置すると塔を形成するという特徴を持っている。

 僕は今回この石板によって作られる塔を地上では無く地下に伸ばす事で、そのまま塔を広大な地下空間として利用するつもりだ。イメージとしては、ゲーム時代にサモナーとして師事したNPCの師匠の拠点の地下空間である。

 最近は非売品となった商品によって店の倉庫が溢れかえっており、これを機にそれらを纏めて地下に移してしまおうと考えている。

 

 三つ目は地下ダンジョンの設置である。

 『節制の石板』と言うアイテムがあり、これを使用する事で地下洞窟型のダンジョンを設置する事が可能となる。

 このダンジョン内にはゲーム時代のモンスターたちが出現する為、設置が完了すれば安定供給とはいかないまでもゲーム時代のアイテムを定期的に手に入れることが出来る様になるだろう。

 現在僕がゲーム時代のアイテムを手に入れる方法は、能力を使いゲーム内で手に入れたアイテムを呼び出す事だけだ。

 しかし、それらは有限であって消費し続ければいずれは尽きてしまうものだ。後々の事を考えれば供給先を確保しておくことは必須事項であろう。

 

 四つ目は生産拠点としての強化だ。

 『教皇の石板』、これは設置した拠点における生産技能の使用にボーナスを与えるという効果を持っている。

 香霖堂は古道具屋だが、時折マジックアイテムの作成などを請け負っているし、僕自身趣味で個人的に色々と作っている。

 今回香霖堂を拠点化するに当たっての一番の目玉が、この教皇の石板による恩恵だ。

 僕自身、自分のアイテム作成の技能はそれなりの物であると自負しているし、前世の能力を取り戻したことで今では更に強力なアイテムの作成も可能となっている。

 この上拠点の恩恵も合わせれば、一体どれほどのアイテムを作成することが出来るだろうか……今から非常に楽しみだ。

 

 

 

「おい香霖、そんな石の板なんて眺めながらにやけてどうしたんだ?」

 

 店のカウンターの上に石板たちを並べて眺めていると、聞き慣れた少女の声が聞こえて来た。

 声の方向に視線を向けると、そこにはこれまた見慣れた白黒の魔法使いがこちらを見ていた。

 

「何だ魔理沙か」

「何だとは何だ、失礼な奴だな。それよりその石板はどうしたんだ? 見たところ何かのマジックアイテムみたいだが」

 

 失礼だと言いつつ、特に気にしてはいない様子である。

 そんな事よりも石板の方が気になるようで、魔理沙はカウンターに身を乗り出しながら訊ねて来た。

 

「これは愚者の石板と言う結界を張る為のマジックアイテムだよ、他の石板たちは愚者の石板を強化する為の物だ」

 

 そう言って手に取って見せながら、僕は魔理沙に敢えて大雑把な説明をした。

 詳しく説明した結果、いつもの様に持って行かれても困るからな。

 

「愚者の石板? 何だか頭の悪そうな名前のアイテムなんだな」

「愚か者と言う意味での愚者では無く、始まりという意味での愚者だよ。他の石板の名前を言っていなかったから勘違いさせてしまったが、この石板たちはタロットカードのスート、大アルカナに由来した名前を持っているんだ。そもそも大アルカナと言うのは―――」

「ああ、いつもの薀蓄なら勘弁だぜ」

 

 手をひらひらと振って、興味ないと言わんばかりに僕の話を拒否する魔理沙。

 折角以前から温めておいた二十二種の大アルカナに関する僕の持論を語って聞かせる機会が巡って来たと思ったのだが、どうやらまたの機会まで取っておくしかない様だ。

 まぁアルカナつながりで各種石板の効果について尋ねられても、困るのは僕の方だからある意味助かったと言えるのかもしれない。

 何せ、僕が所有している石板たちは八種類しか存在していないのだ。タロットに合わせて持っていない石板の効果について尋ねられたら答えに窮するしかない。

 

「それで、こいつを使って結界なんて張ってどうするんだよ? ただでさえ繁盛してない古道具屋が結界で客を閉め出した日には、閑古鳥が大鳴きするってもんだぜ」

「別に客を閉め出すつもりは無いよ、ただ留守の間に妖精にでも悪戯されない様に対策するだけさ」

 

 別に嘘は付いていない、言っていない理由が他に三つほどあるだけだ。

 だが魔理沙は僕が話した理由の裏にある物を何となく感じている様で、疑わし気な視線を僕に向けて来た。

 

「ふーん、今までそんな対策してこなかったのに、一体どういう風の吹き回しなんだ?」

「単に、これらが運良く手に入ったから使おうと思っただけだよ。以前から出かける時は魔法で鍵を掛けていたけど、それでも入られる時は入られていたからね」

 

 と言っても、前世の能力を取り戻した今の僕なら、妖精はおろかその他の妖怪たちも完全にシャットアウト出来る結界を張る事は可能だ。

 まぁ、一々結界を張るのが面倒だという点を考えれば、愚者の石板を使っておく方が楽だという結論に至るのだが。

 

「成程な、香霖も色々考えている訳か」

「言い方に気になる物はあるが、まぁいい……それで、今日は何しに来たんだ、また暇つぶしか?」

「おう、その通りだぜ!」

 

 胸を張って言う事じゃないだろうに。

 とは言え、このまま話題を逸らすことは出来そうだ。

 僕はさりげなく石板たちを片付けながら、魔理沙の気を逸らす為にお茶の用意を進めた。




説明文が多く、キャラクター同士の絡みが少ないのが悩みどころ。

次回からは、強キャラ霖之助と幻想郷の少女たちの関わりをもっと前面に出せるように頑張って行こうと思います。
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