東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~ 作:騎士シャムネコ
ドラゴンリンクで、『霧の谷の巨神鳥&雷鳥』の先攻無限妨害(アストラム付)を手札一枚初動カード八枚体制で行ったんですけど……この作品呼んでいる人の中に、これ何言っているのか分かるデュエリスト方、どれくらい居るんでしょうね?
正直、サブで持って行った『未界域暗黒界デッキ』の方が強い事は内緒だよ?
博麗神社で行われる竜信仰の七夕祭り。
開始から数時間が経ち、人里からは続々と客が集まり、出店している三つの屋台のメニューも飛ぶように売れていた。
「―――あら、売れない古道具屋さんのお店にしては随分盛況ね。やっぱりあなた、料理屋さんとかの方が向いてるんじゃないの?」
「……そう言う事言わないでくれるかなレミリア? 割と自覚あるんだから……」
お客さんがはけて来た頃、割と胸に刺さる言葉と共に現れたのは、レミリアと咲夜の主従コンビであった。
夜の支配者たる吸血鬼が、何に憚る事無く堂々と真昼間っから出歩く姿は、上に立つ者のカリスマを感じさせなくもない。
……それはそうと、『食事処 香霖堂』とか絶対やらないからな! 間違いなく、幽々子が嬉々として入り浸って来る。
開店から閉店まで、ノンストップで幽々子の食事を作り続ける生活なんて嫌だぞ。その分滅茶苦茶儲かるとしてもだ!
ひたすら厨房で料理を作り続ける僕と出来た料理を次々に運ぶ邪神たち、そして運ばれて来た料理を片っ端からどんどん食い尽くす幽々子。と言う嫌な想像を振り払いながら、僕はレミリアと話した。
「―――それでレミリア、冷やかしじゃ無いなら何か買って行ってくれ。どれも味は保証するよ?」
「霖之助の用意した食事で味の心配なんてしないわよ。咲夜と違って、必ず美味しいものを用意してくれるじゃない」
「あらお嬢様、私が不味いもの用意した事がありましたか?」
「不味いというか、たまぁに変化球でおかしなものを出すじゃない。アレ結構びっくりするからね?」
「代り映えのしない日常に、一つまみのスパイスを加えているだけですわ」
「日常に刺激は欲しいけど、食事には安定安心が欲しいのよねぇ……」
しれっと述べる咲夜に対し、レミリアは少し困った様な表情でそう呟いた。
相変わらず不思議と言うか、独特の距離感を持つ主従だ。同じ主従である紫と藍、幽々子と妖夢などともまた違う。
まぁ、険悪な訳でも無いから仲が良いなとしか感じないんだが。
「そうね。じゃあとりあえず、霖之助の屋台の料理を私と咲夜の分一つづつ貰おうかしら? 」
「毎度あり、冷めない内に食べてくれ」
咲夜から代金を受け取りつつ、僕は竹と笹を組み合わせて作られた器に、一つにつき八個のたこ焼きを乗せて手渡した。
ちなみに、この器は叢雲とバーストやっている焼きそばとイカ焼きの屋台でも使っているものであり、てゐに依頼して迷いの竹林の妖怪兎たちに量産して貰ったものだ。
報酬には召魔の森産の人参を渡したのだが、かなりの好評で次何かあった時は是非声を掛けて欲しいと言われた。
器に悪戯など仕掛けずに、真面目に作ってくれたみたいだし、何かあれば次回も頼もうと思う。もちろん、報酬に沢山の人参を用意してね。
僕が手渡した器を受け取ったレミリアは、器に顔を近づけ匂いを嗅ぎ、その香りに顔を綻ばせた。
「わぁ、良い匂い。たこ焼きって前々から食べてみたかったのよね」
「そうなのかい? なら、作って良かったよ」
レミリアはこう見えて日本の食べ物と言うか、日本の文化全般が好きだったりする。親日家と言う奴だろうか?
僕が前に作って出した懐石料理も楽しそうに食べていたし、案外幻想郷に引っ越して来たのも、場所が日本だったからなのかもしれない。(紫に聞いた話だが、ヨーロッパの方にも幻想郷の様な妖怪の隠れ里はいくつかあるらしい。有名なのは『妖精郷(アヴァロン)』と言うのだとか)
「霖之助さんは、海産物も良く扱ってますよね。それも能力で呼び出して居るんですか?」
「似たような物かな? 僕の能力には、僕が前世で持ってた土地も組み込まれているから、そこの特産物を取り出しているんだよ」
質問してきた咲夜にそう返す。
幻想郷だと、海産物を手に入れる方法はかなり限られているからね。咲夜も料理を作る側だし、食材として欲しいのかもしれない。
「良ければ海産物もいくらか販売しようか? 値段の方は安くしておくよ」
「良いんですか? でしたら是非」
「ちょっと咲夜、主人を置いて勝手に商談を始めないで欲しいのだけれど?」
「あら、でしたらお嬢様は海産物はご不要ですか? それなら私が個人で食べる為に、自腹で買わせていただきますわ」
「誰も要らないなんて言ってないでしょう! 私だって食べられるならもっと海の幸も食べたいわよ……」
「なら、宜しいでは無いですか?」
「うん、まぁ……そうね」
言い負かされるの速いな。それで良いのかレミリア?
とは言え、商談が成立する分には構わないから、僕から指摘したりはしないが。
主従って何だっけ? と思わなくも無いが、彼女たちらしいとも思う。何にせよ、微笑ましい事だ。
「―――まぁ詳しい事はまた後日詰めるとして、今日は僕の土地で獲れた海産物の味を確かめて行ってくれ。お客様の満足の行く商品を提供してこそだからね」
「それもそうね、じゃあ早速頂くわ」
「では、私も」
僕が勧めると、レミリアと咲夜の二人は早速僕の作ったたこ焼きを口にした。
もちろん味には自身があるが、それでもレミリアと咲夜にたこ焼きを振る舞うのは初めてな為、少しドキドキする。
二人の口に合ってくれると良いが……。
「うん、美味しい!」
「ええ、とても美味しいです」
良かった、心配は杞憂で終わってくれたようだ。
レミリアははしゃいだ声で美味しいと言ってくれたし、咲夜もレミリアほど大きなリアクションでは無いが、花が咲く様な笑顔で美味しいと言ってくれた。
彼女たちが喜んでくれて本当に良かった。
二人の笑顔を見れたからこそ思う。結局のところ沢山売れて儲けるよりも、こうして自分の作った料理を純粋に喜んで貰える方が嬉しいのだと。
こういった金銭に変えられない満足感が得られるところも、僕が料理を好きな理由なんだろうなぁ。
「喜んで貰えて何よりだよ。他の料理も、自信を持ってお勧め出来るものだから、後で是非買って行ってくれ」
「ええ、そうさせて貰うわ。日が暮れたらフランやパチェたちも来るから、ちゃんと全員分を残しておいてね?」
「ああ、もちろんだとも」
その後、その場でたこ焼きを食べ切ったレミリアと咲夜は、霊夢に挨拶すると言って去って行った。
日が暮れたらフランたちも来るそうだし、彼女たちにも僕が用意したサプライズを是非楽しんで言って貰おう。
「―――こんにちは、霖之助さん。美味しそうな物を売っているわね?」
「よう、香霖。何だか見慣れない食べ物を売っているんだな?」
レミリアと咲夜が去ってからしばらく、今度はアリスと魔理沙の二人がやって来た。
魔理沙は初めて見るたこ焼きに興味津々といった様子であるし、アリスは魔理沙ほどあからさまでは無いが、たこ焼きを始めとした屋台の食べ物に視線が釘付けだった。
「やぁ二人共、良く来てくれたね。これはたこ焼きと言う、海産物を使った料理だよ。外の世界の縁日だと、定番の食べ物なんだ」
「へぇー、そうなのか。随分旨そうな匂いだな。香霖、私にも一つくれ!」
「もちろん屋台なんだから販売するのは構わないが、お金はあるのかい?」
「ツケで頼む!」
「だと思った」
魔理沙が支払いをツケにするのはいつもの事だから驚きは無いし、ここが香霖堂ならそれでも別に構わなかったが、あいにく今居るここは人里の住人たちの目もある場所だ。
普段の様に、ツケ払いを許すわけにはいかない。
だが、折角幻想郷ではめったに手に入らない海産物を使った料理を、竜信仰主催の縁日で振る舞っているのだ。出来れば魔理沙にも味わって欲しいのだが……さて、どうするか?
僕がそんな考えの下、どうするべきか悩んでいると、それを察しての事かは判らないが、アリスが横から助け舟を出してくれた。
「はぁ……魔理沙、普段の香霖堂ならともかく、祭りの屋台でツケ払いなんて聞いた事無いわよ。今回の代金は私が立て替えるから、いつもみたいに霖之助さんを困らせないであげて」
「何だよアリス、いつもって。それじゃあ私がしょっちゅう香霖を困らせているみたいじゃないか?」
「みたいじゃなくてその通りじゃないか。何なら君や霊夢がツケにしている金額を記録した帳簿をこの場に出しても良いが?」
「私は過去を振り返らない女だぜ!」
「君が振り返らないのなら、僕が君を無理やりにでも振り向かせて見せるよ」
帳簿を片手にね。
最後にそう付け加えようとしたところで、魔理沙が顔を真っ赤にしながら大声で僕の声を遮って来た。
「わぁあああああっ!? い、いきなり何てこと言うんだよ!? しかもこんな大勢の前で!!」
「? 周りに誰がどれだけ居るか何て関係無いだろう? 僕は僕の気持ちを語っただけだ」
「こ、香霖の気持ちって……~~っ!!」
僕がそう返すと、魔理沙は真っ赤になった顔を隠すように帽子のつばを両手でグイッと引っ張り、そのままものすごい勢いで走り去ってしまった。
周囲の人々は、その魔理沙の様子を見て何だ何だと騒いだり、屋台の近くで僕たちの会話を聞いていた者たちは、僕や走り去った魔理沙の背中を生暖かい目で見ていた。
「……なんなんだ、一体?」
「霖之助さん……流石にあの姿を見た後にそのセリフは魔理沙が可哀想よ」
「え? 今の僕のセリフ、アリスが魔理沙を可哀想に思う様な物だったのかい?」
魔理沙とアリスは別段仲が悪いと言う訳では無いが、同じ魔法使いの蒐集家同士という事で、若干ではあるがライバル意識の様な物を持っている。
その為アリスは他人が見ている前では、魔理沙に対して素っ気無い態度を取っている事が多いのだが、今回ばかりは魔理沙の去った方向に案じるような視線を向け、ハッキリと可哀想と口にしていた。
それは非常に珍しい事であり、だからこそ僕も結構な衝撃を受けた。
「……アリス、正直僕には自覚が無いのだが、僕はそんなに酷い言葉を言ってしまったのかな?」
「酷い言葉と言う訳では無いけれど……あ~、何と言うか、霖之助さんに他意は無かったにせよ、魔理沙には刺激の強過ぎる言葉だったのよ。しばらくそっとしておいてあげて?」
「それが最善だと言うのならそうしよう」
「あ~もう、そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫よ。霖之助さんって、変な所で打たれ弱かったりするわよね」
「そうなんだろうか?」
「ええ、そうよ」
アリスは呆れた表情ながらも、ハッキリと断言する。
僕って打たれ弱いのかな? 一応鬼相手だろうが神相手だろうが、殴られたら笑って倍返しで殴りかかれる自信があるのだけれど。
「旦那様、わたくしもアリスさんの言う通りにするのが良いかと思います」
「わ、私もそう思うです。魔理沙さんには今、一人で落ち着く時間が必要なのです」
「叢雲とバーストもそう思うのかい?」
アリス、叢雲、バースト。この場に居る三人の少女たちは、満場一致で今は魔理沙を一人にしておいた方が良いと判断しているようだった。
一方で、ハスターやチャウグナー・フォーンは、そう言うものなのか? と首を傾げている。(クトゥグアとミゼーアは我関せずと言った様子で、黙々と作業を続けている)
そして、この場に残る最後の一人、と言うか一体の邪神であるグロス=ゴルカが、訳知り顔で僕に助言してくれた。(グロス=ゴルカの姿は一つ目の鳥なので、表情では無く雰囲気で訳知り顔であると判断した)
『みんなの言う通りよ、マスター。アタシたち女の子の気持ちって言うものはね、男連中には時に理解不能なくらい複雑怪奇なものなのよ。今はそっとしておくべきだって意見、アタシも支持するわ』
「うん、え? 魔理沙をそっとしておくべきなのは理解したが、君って女の子のつもりだったのかい?」
『失礼ねマスター! 邪神の性別なんて曖昧なものなんだから、アタシ自身が女の子だと思ったなら女の子なのよ!』
「はぁ、そうかい」
グロス=ゴルカは翼をバッサバッサと動かして遺憾の意を示しているが、どうにも僕は生返事になってしまう。
本人は女の子だって言っているし、邪神なんだから性別の概念があんまり意味無いのも本当なんだろうが……こいつ、どうにも女の子と言うよりオカマっぽいんだよなぁ。
『……マスター、今何か物凄くアタシに失礼な事を考えなかった?』
「いやまぁそうだね。前々から思っていたけど、どうにも君からはオカマっぽい印象を感じるなぁって」
『オカッ……!? ほんっとうに失礼ね! こんな可愛い女の子を捕まえてオカマ呼ばわりだなんて!!』
グロス=ゴルカは、更に激しく翼を動かして憤慨している。
が、どうやら僕の感じた印象は他の者たちも共通であったらしく、次々と賛同の声が上がった。
「……すみません、グロス=ゴルカ。わたくしも実はオカマっぽいなと思っていました」
「私もです。グロス=ゴルカは、女の人っぽい喋り方の男の邪神だと思ってたです」
『ボクもそうだねぇ』
『吾輩もである』
『同意する』
『私はまぁ、他者の趣味に一々口出しするのも筋違いだと思っていましたが……概ね皆さんと同意見ですね』
「……ごめんなさい。あまり話した事は無かったけど、私も初対面の時からオカマっぽいって感じていたわ」
叢雲、バースト、ハスター、チャウグナー・フォーン、クトゥグア、ミゼーア、アリスの順に、次々に僕に同意する声が上がる。
その様子に、グロス=ゴルカは地団太を踏んで悔しがっていた。(一本足である為、地団太と言うかその場でぴょんぴょん飛び跳ねているだけだが)
『キーッ! 何よみんなして寄ってたかって! アタシのどこがオカマっぽいって言うのよ!?』
『『『『「「「「喋り方」」」」』』』』
『全員でハモらないで頂戴!!』
全員の意見が一致していると知り、ひとしきり悔しがったグロス=ゴルカは、『そんなに言うなら、バーストみたいに女の子の姿になって、みんなを見返してやるわ!』と宣言していた。
グロス=ゴルカが人型に変身したら一体どのような姿になるのか、見てみたいような見たくない様な……実際にどうなるかは、その時になってみないと判らない。
Q、結局グロス=ゴルカって、男なの? 女なの? オカマなの?
A、本人が女の子って言うんだから女の子なんだろ(多分)
マジレスすると、邪神なんだから性別なんて自由に変えられる。
体が男でも心が女なら、後から体も女に出来ます。
まぁ、グロス=ゴルカに限らず邪神たちの普段のマスコット形態は、性別の無い姿なんですけど。(バーストは例外、女の子で確定です)