東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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間髪入れずに第五話の投稿だぁ!(約二時間)

筆が乗っている時は楽しいなぁ。


第五話 「転生香霖と完全で瀟洒なティータイム(後編)」

「あー? これは一体、何?」

 

 困惑を通り越して気だるげな様子で、レミリアは箱の中身を指さした。

 まぁ、当然の反応だろう。咲夜はティーカップを買いに来たはずなのに、選んだのはもはやティーカップとしての機能を残していない元ティーカップだったのだ。

 レミリアの命令で、何かおかしなオーダーでも出されたのかとも考えたが、どうやら違うらしい。

 レミリアと咲夜には、気ままで我儘なお嬢様とそれをサポートする有能なメイドというイメージがあったのだが、今はイメージが逆転して、レミリアの方が常識人なのでは? と、僕は感じ始めていた。

 

「え? 何って……ティーカップですが、お気に召さなかったのでしょうか?」

「えらく前衛的なデザインね。たとえば取っ手を持っても全体の三分の一もついて来ないし、まるでカップと思えない辺りが……。でも、もう少し液体が入る部分が多くても良いんじゃないかしら」

「でも、この柄が良いじゃないですか。私は、こういう落ち着いて高級感のあるアンティークな柄が好きなのですよ。それに店主さんのお気に入りの品の様ですし、ねぇ?」

「柄はともかく……。変わったのがお気に入りなのね、店主も」

「諸行無常と侘び寂びが感じられるだろう?」

 

 などとおどけて返してみたが、帰って来たのはレミリアの訝しむような、哀れむような視線だけだった。

 その視線は、ケースの中のカップにこそ向けてやって欲しい。

 一番の被害者は、無残にも打ち砕かれたカップ自身なのだから。

 

「あら、この紙は何かしら?」

 

 レミリアが見つけたのは、まるで隠す気も無い器物損壊犯の自主届である。

 

「多分、鑑定書か何かだと思いますわ」

「こんな、『すまん』とだけ書かれた鑑定書があるの?」

「『鑑定出来ませんでした』、という鑑定書でしょう」

「まるで『種も仕掛けもございません』って言う手品師の前置きみたいね」

「その例えは分からないが、僕には『私がやりました』と言う自白文に見えるよ」

 

 同じ紙切れに書かれた文章でも、見る者によってこうも感じ方が違うのだから不思議なものである。

 

 

 

 一方霊夢は、二人の言葉遊びに飽きたのか、一人でティータイムに入っている。

 そう言えば、何故かうちには霊夢専用の湯飲みが常備されているのだが、これは突っ込んだら負けなのだろうか?

 

「もう一度聞くわ。咲夜、これは一体何?」

「ですから、アバンギャルドなティーカップですわ」

「私は、そんな注文したかしら?」

「確か小さくて、重くなくて、普通っぽくなくて、可愛くて……」

「まぁ、これも可愛いけどね」

 

 可愛い、のか? やはりデスメタルな美的感覚の可能性が!

 

「それに、神社にあった奴よりも高級感が漂ってますでしょう?」

「確かに、形も似ているけど……」

 

 形も似ている? 博麗神社にこんな諸行無常なデスメタル感漂うカップ(だったもの)があるのか?

 それを聞いた霊夢が、心当たりが無いという表情で返す。

 

「そんなカップ知らないわよ?」

「あぁ、霊夢は知らないか。咲夜を送り出すちょっと前にはあったのよ」

「お嬢様、それでは判らないですわ。私たちが来た後に、カップがアバンギャルドな感じに変形した、のですよ」

「あぁん? あんたらさては、私のカップ割ったなぁ?」

 

 暫くの間、霊夢の怒りの言葉による弾幕が、店中に鳴り響いた。

 なるほど、そう言う事か。霊夢のティーカップを割ってしまったから、代わりの物を買いに来たって訳か。

 しかし、それなら何故咲夜は割れたカップを買う気になったのか?

 

「ねぇ咲夜、確かに私は霊夢のカップと同じような奴が欲しいと言ったわ。でもね、それは最終形態の物じゃ無くて、変形前の物よ。そんな事も判らないのかしら?」

「え、そうなのですか? てっきり、霊夢とお揃いのカップがお望みなのかなと……」

「これじゃお揃いも何も、混ざるわよ」

「でも、普通のカップを買っても『何やっているの? 形が全然違うじゃない』とか、言うつもりだったのではないですか?」

「そんな事……言わないわよ」

 

 絶対言うつもりだっただろう、その言い方。

 意外と常識人なのでは? とも思ったが、やはりレミリアは気ままで我儘なお嬢様だったようだ。

 咲夜の態度もこの意地悪なお嬢様に対するちょっとした意趣返しなのだろう。

 

「判りましたわ。普通のカップが欲しいのですね?」

「咲夜がそう思うなら、お好きにしてよ」

「もちろん、私がそう思っただけですわ」

 

 やれやれ、彼女たちも霊夢や魔理沙たちとはまた違った種類の面倒な娘達だな。

 そう思っていると、次の瞬間咲夜は何を思ったのか―――

 

「じゃあ、このティーカップはゴミね」

「待て待て待て! 何をしようとしているんだ君は!?」

 

 いきなりケースごとティーカップを放り投げようとした咲夜の腕を、慌てて掴んで止める。

 

「いきなり何をするんだ!」

「あら、ティーカップとしての機能をしていないならこれはゴミでしょう? だから処分しようかと」

「まだ代金も払っていない商品を勝手に処分しようとするんじゃない! それに、ゴミかどうかは店主である僕が決める」

 

 そういて僕は咲夜の手からケースを取り返す。

 全く、どうして幻想郷の少女たちはどいつもこいつも身勝手が服を着たような行動をするのか。

 

「でも店主、実際その最終形態ティーカップはもうどうにもならないでしょ? 潔く諦めた方が良いわよ」

「まだだ、まだこのカップは終わっていない」

 

 最終形態ティーカップって何だ、最終形態ティーカップって。ちょっと格好良いじゃないか。

 それはともかく、僕は咲夜とレミリア、それから暢気にお茶を啜りながらこちらを眺めている霊夢にも見える様にケースを開いて、中の砕けたカップを見せながら言い放った。

 

「見てろ。僕が諦めない限り、こいつはゴミでは無く商品のままなんだ」

 

 開いたケースの中のカップの破片の一つに手を触れる、すると手に触れた破片とその周囲の破片たちが光を放ち、磁石の様にお互いに引き合いくっ付いたかと思うと、次の瞬間には傷一つ無い完全体のティーカップがそこには存在していた。

 

「「「なっ!?」」」

「どうだい、僕の言った通りだろう?」

 

 目を丸くして驚いている少女たちに向かって胸を張る。

 ケースの中には、つい先ほどまで砕けた無残な姿であったとは信じられないほど綺麗なティーカップが収まっていた。

 

「……驚いたわ。それって魔法なのかしら? それともあなたの能力?」

「修復の魔法だよ。古道具屋の店主だからね、この手の魔法は覚えておいて損は無いのさ」

 

 正確には前世で取得した『錬金術』スキルの『修復』と言う技能なのだが、まぁこの世界では錬金術も魔法の一種である訳だし、魔法と言ってしまって差し支えないだろう。

 気分良くそう考えていると、いつの間にかすぐ傍まで来ていた霊夢が、やたらキラキラした目でこちらを見ていた。

 

「ね、ねぇ霖之助さん! それを使えば、私のカップも……!」

「お代は頂くよ」

「請求はレミリアにお願いね」

「まいどあり」

「ちょ、私に断りも無く決めないでよ!?」

「割ったのは君なんだろう? なら弁償はしなくちゃなぁ」

「そーよ、そーよ」

 

 とんとん拍子で進む僕と霊夢の会話にレミリアが待ったを掛けたが、これは正当な賠償の請求だ。君に拒否権は無い。

 自覚はあるようで、レミリアは「うー、うー」唸って不服の意を示していたが、霊夢が笑顔で御払い棒を取り出した辺りで、

 

「さぁ直ぐに行きましょう! 人間の人生は短いのだから、時間は有効的に使うべきだわ!」

 

 などと言って、物凄い速さで店を出て行き、霊夢も笑顔のまま無言でその後を追いかけて行った。

 

「やれやれ、先に飛び出して行っても、今の霊夢と二人っきりになる時間が長くなるだけだと思うんだが」

「おそらくお嬢様の頭にその考えは無かったのでしょう、大分慌てていたようですし」

 

 取り残された形の僕と咲夜だったが、急ぐ理由も無いのでゆっくりと店を出てから鍵を閉めた。

 ついでに、この間『愚者の石板』を設置した事で張られた結界も有効化しておいた。これをやるのとやらないので、防犯面での安心感が段違いなのである。

 

「待たせたね、じゃあ行こうか」

「そうですね、行きましょうか」

 

 律儀に僕が鍵を掛けるのを待っていてくれた咲夜に声を掛け、僕たちは神社へと出発した。

 

「そう言えば、まだ聞いていなかったですわね」

「何がだい?」

「時間停止が効かなかった理由の候補、その三つ目ですよ」

「ああ、それか……」

 

 正直、候補には挙げたもののあまり関係ないだろうと思ってすっかり忘れていた。

 

「二つ目の理由で納得はしましたが、折角ですから三つ目も聞いてみたいですね」

「三つ目か、これには前提条件があるから可能性が非常に低いと思っているんだけど、それでも聞いて行くかい?」

「ええ、是非」

 

 そこまで言われれば仕方ない。

 ああけど、実際可能性はほぼほぼ皆無だと思うんだけどなぁ。

 

「……この話の前提は、咲夜の能力が何かしらの神様由来の能力だったらって話なんだけど」

「神様由来、ですか。そう言った気配があるとはお嬢様や霊夢からも聞いた事がありませんけど、有り得るとしたらクロノスとかかしら?」

 

 クロノスと聞くと、僕はギリシャの時空神よりも前世の配下だったとあるドラゴンの事を思い出すんだけど、まぁそれは良い。

 

「言っておいてなんだけど、咲夜の能力は神様由来の物では無いと思うよ? 神気の類は感じられないしね」

「はぁ、そうですか。それはちょっと残念ですね」

 

 とは言いつつ、あんまり残念がっているようには見えない。

 彼女自身、自分の能力が神様由来の物だとは思っていないのだろう。

 

「それで、どうして私の能力が神様由来の物なら無効化出来たことに説明がつくんですか?」

「ああ、それなら簡単だよ。僕には神様の能力の類が効かないんだよ、『神殺し』だからね」

「………へ?」

 

 この時、僕は必死で吹き出すのを堪えていた。

 咲夜のここまで気の抜けたマヌケ面を見るのは初めてだった為、笑いを堪えるのには苦労した。




サモナーさんはねー、何がヤバいってねー。
個人の武力がスサノオやトールなんかの、主神級の戦神とタイマンで戦って正面からぶっ殺せるほど強いのに、同時にそれと同レベルの大魔法使いで、更にサモナーだから自分一人の数倍から数十倍の戦力を単独で即座に用意出来る事なんだよねー。

サモナーさんが行くの1236話~1240話にかけての、主人公の拠点がゼウスを始めとする主神級15柱と魔神たちに襲撃される話好き。ゼウスざまぁってなる。
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