東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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あけましておめでとうございます。
今年も『東方転霖堂』をよろしくお願いします。

と言う訳で、お年玉更新として初の番外編を投稿しました。


番外編 「私立幻想郷学園(その一)」

 『私立幻想郷学園』

 

 そこは、全校生徒の女子生徒率99%以上である事を除けば、人妖を問わず多くの生徒が通う普通の学園である。

 教師、生徒を含め、個性豊かな様々な者たちが通うこの学園で、今日もまた騒々しく賑やかな一日が始まろうとしていた。

 

 

 

 扉を開けるまでも無く、教室の中からは生徒たちの賑やかな話声が廊下に響いている。

 その声を聴いてやれやれと苦笑しながら扉の前に立つ青年が一人。

 

 彼の名前は『森近霖之助』。

 目の前の教室、『私立幻想郷学園高等部一年一組』の担任教師だ。

 霖之助は教室に入ろうとしたところで、扉が少し開いている事に気付く。

 不審に思い視線を上に向けると、扉の間に黒板消しが挟まれ、開くのと同時に頭上に落ちて来るように仕掛けられていた。

 

「やれやれ、やったのはてゐか魔理沙かな? もしくは三妖精たちか……」

 

 こういった悪戯を仕掛けそうな生徒たちの顔を思い浮かべ、霖之助はきちんと注意しなければと思いつつ、扉に仕掛けられた黒板消しを手に取って外した。

 霖之助は黒板消しを左手に持ちながら教室の中に入る。すると―――

 

「おはようみんな。早速だけど、この黒板消しを仕掛けたのは……っ?」

 

 霖之助は教室の中に数歩進んだところで何かを足に引っ掛ける。

 その何かの正体はピンと張られた糸だったのだが、それを霖之助が認識するよりも早く、頭上から大きな金盥が落ちて来た。

 

 この時、霖之助は理解した。

 扉に仕掛けられた黒板消しはフェイク、本命はこの金盥であったのだと。

 だがそれに気付いたところで既に後の祭り、第一のトラップを見抜いた霖之助を嘲笑うかのように仕掛けられた第二のトラップは、数瞬後には轟音と共に昭和のコントの様な無様を霖之助に晒させ……

 

 ザンッ!

 

 ……る筈であったが、敢え無くその目論見は失敗した。

 

 いつの間にやら霖之助は、黒板消しを持っていない右手を振り抜いた体勢となっており、右手の手首から先が白銀の鱗に覆われ、鋭い爪が伸びている。

 次の瞬間、ガシャンッと言う金属音が響き、その音源には無残にも六等分に分割された金盥の残骸が転がっていた。

 頭上に金盥が落ちて来るのを認識した霖之助は、咄嗟に金盥を己の爪で引き裂く事で、直撃を防いだのだ。

 

 落下して来た金盥を引き裂いて防いだ霖之助の姿を見て、教室内の生徒たちが水を打ったように静かになる。

 霖之助は一切の感情が伺えない無表情のまま、持っていた黒板消しを黒板に戻し、鱗に覆われた手をそのままに教壇の前に立った。

 

「―――誰がやったのか正直に答えなさい。今なら犯人の首だけ……身柄を拘束するだけで済まそうじゃないか」

 

 首だけ、と言いかけた霖之助は、生徒たちを安心させるように笑顔を見せて言い直した。

 この時生徒たちは、笑顔は本来威嚇行動であるという言葉を心底から理解させられていた。

 

「「「「「「てゐです! てゐがやりましたぁ!!」」」」」」

「ちょ、みんな!?」

 

 協力こそしなかったものの、自分がトラップを仕掛けているのを面白がって一切止めなかったクラスメイト達が、霖之助の言葉で一斉に手の平を返す。

 その様に、身長が低い為一番前の席に座るてゐは驚き、立ち上がって振り返り文句の声を上げかけたが、後ろを向いた瞬間、瞬間移動染みた動きの霖之助に背後に回り込まれ、鱗に覆われていない左手でてゐの頭を掴み、そのまま持ち上げた。

 

「……てゐ、僕は和邇でも鮫でも無いから、別に皮を剥いだりしないけど、ドラゴンを怒らせたらどうなるかぐらい判るよね?」

「えーっと……あはは、ちょっと判んないかなぁ……なんて?」

 

 微妙に引きつった笑顔で知らんぷりをするてゐに対し、霖之助は非の打ちどころの無い微笑みを浮かべながら、無情に告げた。

 

「―――今日から一週間、てゐの宿題の量は三倍だ。後、てゐ止めなかった他の皆の宿題も二倍にするから」

「「「「「「えぇ!?」」」」」」

「……あ?」

「「「「「「何でも無いですっ!!」」」」」」

「よろしい」

 

 ドスの利いた霖之助の聞き返しに、てゐも含めた生徒全員が一糸乱れぬ敬礼でもって返す。

 割とこのクラスではいつも通りの光景であった。

 

 

 

 ここは私立幻想郷学園高等部一年一組。

 学園屈指の問題児たちの巣窟であるこのクラスの頂点に立つのは、半人半竜の最強教師である。

 

 

 

「あ、それと、罰としててゐは一時限目の授業が始まるまでこのままだからね」

「先生! それはてゐを贔屓し過ぎだと思います!」

「……この状態のてゐを贔屓されていると感じるとか、僕は君の将来が心配で仕方が無いよ。天子」




番外編は後いくつかやる予定です。
また、番外編ですので本編にまだ登場していないキャラクターが出て来たり、本編とは登場キャラの性格や行動が違っていたりすることもあるかと思います。
まぁ、ギャグパートですので深く考えないで下さい。
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