東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~ 作:騎士シャムネコ
次回からは、タグの「FGO」が活かせる! 筈です……
結局、楊貴妃は出ませんでした。
私の癒しは「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」の20シクだけですよ。
インフィニティ自体は「星杯の神子イヴ」を使えば結構簡単に出せますけど、「星守の騎士 プトレマイオス」はまだまだ帰って来れないでしょうねぇ。
ランク4エクシーズって頭のおかしい連中ばっかですから(ルーラーとかチェインとかナイアルラからセルフランクアップするアザトートとかホープ一族最強のライトニングとか古代呪文のプトレノヴァインフィニティとかとか)
時は流れ、生徒たちが心待ちにしていた四時限目の授業、調理実習の時間となった。
エプロンを身に付けた少女たちが、班分けされたそれぞれの調理台に着き、それらを見渡しながら授業の開始を宣言する。
「―――さて、それじゃあみんな、時間になったし授業を始めるよ。今日の授業は、と言うか今日の授業も、先生の何人かが見学に来ているんだが……」
そう言いながら、霖之助は胡乱気な視線を教室の一角へと向ける。
そこには授業を見学に来た……正確に言えば、霖之助が作るケーキを目当てに集まった教師たちが集まっている。
それ自体は割といつも通りの事なのだが、今日に限って言えば集まっている面々がいつも通りとは言い難かった。
「あら、どうしたの霖之助先生? 私たちのことは気にせず、授業を進めて下さい」
「ケーキ、楽しみにしてるわよ。霖之助先生♪」
霖之助の視線にそう返して来たのは、幻想郷学園の学園長である八雲紫と、一限目の担当であった西行寺幽々子の二人であった。
この二人に関しては、霖之助の担当する調理実習の授業を皆勤賞で見学しに来ている為、今更驚きは無い。
ただ、今頃は紫の代理として学園長の仕事をしているであろう、学園長補佐兼数学教師である八雲藍に、後で差し入れを持って行こうと心に決めていた。
「あのぉ……霖之助先生? 早苗の前だし、いい加減このプラカードを外させて欲し「駄目です」……はい」
「諦めなって神奈子~。霖之助先生、その辺厳しいんだから」
霖之助に話しかけ、にべもなく返されたのは化学教師である八坂神奈子、そして神奈子に呆れた視線を向けたのは洩矢諏訪子であった。
神奈子の首からは『私はダメな教師です』と書かれたプラカードがかけられており、その姿を生徒たち、特に神奈子と諏訪子が保護者である東風谷早苗に見られる事を神奈子は気にしている。
保護者として、早苗に情けない姿を見せたくないと神奈子は考えており、霖之助もその事を承知していたが、プラカードを外す事を許可する気は毛頭なかった。
と言うか、情けない姿とか以前に、学園の理科室を定期的に爆破するのを止めて欲しかった。
学園内の設備の修復や整備を担当している、玄亀翁を始めとした精霊たちは霖之助が召喚しているのだが、精霊たちからの文句は召喚者兼窓口である霖之助の元に全て集まるのである。
その事は諏訪子も知っている為、神奈子へ同情する気持ちは微塵も無かった。
なお、ここまで言うと問題があるのは神奈子だけだと思われそうだがそうでは無い。
実の所、教師生徒含めて、一番学園の設備を壊しているのは霖之助だったりする。
と言うか、定期的に設備をぶっ壊している為、それをすぐに直せるよう精霊たちを配置しているのだ。
具体的にどれほど壊しているかは明記しないが、学園内全体の施設が毎日新品同然の状態である辺り、お察しである。
さて、集まっている学園の教師たちは以上の四人であり、この四人自体は頻繁に参加する面々なので特に問題無い。
では、一体何が問題であるのかと言うと………。
「キースちゃーん! ほら、ハヤトちゃん。カメラカメラ!」
「うむ、バッチリ撮れているぞ!」
「……はぁ、何で二人がここに居るんですかね?」
霖之助が重い溜息を付く。
霖之助の視線の先には、霖之助が授業を行う姿をカメラで撮ろうとはしゃぐ二人の男女、霖之助の両親であるジュナとハヤトの姿があった。
二人は現在、霖之助の母校であるベルジック学院の教師を務めており、今日が平日である事も含めて本来ならそちらで授業を行っているはずだった。
それがどうして揃って幻想郷学園の授業の見学をし、まるで運動会のようにはしゃいでいるのか。
その答えは、学園の最高権力者である紫から齎された。
「あら、私が許可を出したからよ霖之助先生?」
「何故許可が出たのかとか、ベルジック学院での授業はどうしたんだとかを知りたいんだけどね?」
「学院での授業は休暇を取ったから大丈夫だそうよ? 何故許可を出したのかって言うんだったら愚問ね。お義父様とお義母様からの頼みですもの、私が断る訳無いでしょう」
ピシリ、と教室内の空気が凍り付く。
だがそんな空気など関係無いとばかりに、紫は扇子で口元を隠しながら優雅に微笑みつつ、ジュナたちと談笑を始めていた。
「あら、嬉しい事を言ってくれるわね紫ちゃん! こんな気の利いた女の子が息子の居てくれて、お母さん嬉しいわぁ」
「いえいえ、この程度当然のことですわ。霖之助さんには普段から良く働いて貰ってますし、お義母様たちにもよくして頂いていますもの」
「うむ、不肖の息子であるが、紫殿のような方なら安心して任せられる。これからもキースを頼むよ」
「ええ、勿論ですお義父様」
和やかな会話が繰り広げられる一方、生徒たちの間には絶対零度の空気が漂っていた。
表情自体は綺麗な笑顔であるが、紫を鋭く貫く視線には抜け駆けしやがってこの野郎と言う感情がこれでもかと言うほど強く込められていた。
一方で、それを自覚した上で紫は霖之助の両親らとの仲の良さを見せつけているようなので質が悪い。
「……先生、そろそろ授業を始めるべきじゃないかしら?」
「そうだぜ、折角だから見学に来た先生たちにも、私たちの料理を食べて貰おうぜ」
そんな中、真っ先に動いたのは博麗霊夢と霧雨魔理沙の二人であった。
この二人は、お世辞にも勉強熱心とは言えない性格なのだが、真っ先にこんな事を言いだしたのには理由がある。
魔理沙が先生たちにも食べて貰おうと提案したが、その本来の目的は自分の料理をジュナとハヤトの二人に食べて貰う事である。
学園長と言う立場を使って点数を稼いだ紫に対し、霊夢と魔理沙は料理の腕前でアピールをしようと言うのだ。
その事に気付いた他の生徒たちもまた、次々にやる気を見せだした。
「よし、そう言う事なら私の焼き鳥料理をご馳走しようじゃないか!」
「家庭料理なら普段から神奈子様と諏訪子様のご飯を作っているから自信がありますよ!」
「わ、私だって幽々子様のご飯を普段作ってますし、自信ならあります!」
「鈴仙、てゐ、直ぐに準備をしなさい。妹紅には負けられないわ!」
「あいあいさー!」
「ええ! 姫様もやるんですか!? ……でも、私も一品くらい作ってお出ししようかしら?」
生徒たちが沸き立つ中、教師陣もまた盛り上がりを見せる。
授業と言うより、もはや料理勝負の様な展開となっていた。
「あらあら、これは願っても無い展開ね。審査なら私も参加するから、みんな頑張ってね~」
「早苗ぇ! 頑張りなさい、あなたなら勝てるわよ!」
「う~ん、主旨がブレてってるな~。楽しそうだし良いけど」
そんな少女たちの意気込みを理解した上で、紫は余裕たっぷりに笑っていた。
「あら、みんな元気ね。このままだと大量の料理が届きそうですけど、お義母様は大丈夫ですか?」
「いざとなったら、ハヤトちゃんが食べてくれるから大丈夫よ。それより、紫ちゃんは参加しなくて良いの?」
「私はこれでも教師ですから。それに、毎日料理を作るよりも、毎日料理を作って貰う方が好みですから。 ……私より料理上手な訳ですし」
最後にそう付け加えて霖之助へと視線を向ける紫。
当の霖之助はと言うと、生徒たちが自身の得意料理を見学に来た先生方に振舞うといういきなりの展開に困惑していた。
「あのぉ、みんな? 今日はお菓子作りをする予定だったから、そもそも他の料理に使う食材は無いんだけど?」
「「「「「「先生、何とかして(くれ)(下さい)!!」」」」」」
「あ、はい」
予定と違うんだけどなぁ。と呟きつつ、召喚術で次々と食材を呼び出して行く霖之助。
少女たちはまだ知らない。料理大会染みたこの勝負の最大のライバルが、お互いでは無く食材を出して行く内に自分も何か作るか! と言う気分になってしまった霖之助となる事を。
その事を現段階で予期していたのは、息子の性格を良く知る両親だけであった。
「あら~、これはキースちゃんまでやる気になっちゃったっぽいわね」
「満漢全席くらい作るのではないか? キースは加減と言うものを知らんからなぁ」
「それなら心配には及びませんわ、お義父様。きちんと食べ切ってくれる人が居ますから」
そう言って紫が視線を向けた先には、笑顔で料理の完成を待ち構える幽々子が、準備万端でスタンバイしていた。
「うふふ、楽しみねぇ」
結局のところ、最後に幽々子が一番得するのもまた、霖之助の調理実習ではいつも通りの事である。
神奈子先生は月数回のペースで学園の理科室を爆破していますが、霖之助先生はほぼ毎日学園の敷地内の施設全てに甚大な被害を与えています。
霖之助先生は料理部の顧問なんですが、料理に使う食材を学園内に設置したダンジョンのモンスターを狩ることで得ており、その際毎回『開幕カタストロフィ』を使っているので建物とか逐一精霊たちが直してます。
校舎を壊す先生は神奈子先生以外にいますけど、ダントツで被害規模が大きいのが精霊たちを召喚している霖之助先生本人なんですよねぇ(白目)