東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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前回までのあらすじ。

転生香霖in特異点F


第五十四話 「転生香霖の遭遇」

 まず最初に認識したのは匂いだった。

 木が、石が、鉄が、ガラスが、プラスチックが、コンクリートが……人が燃えている匂いだった。

 その匂いに対し、そう言った匂いがする程度の感想しか浮かばないのは、僕が半分人で無いからか、あるいは……プラスチックやコンクリートの匂いから、ここが幻想郷では無いと確信出来たからだろうか?

 

 

 

 目が覚めると、炎上する現代都市の真っただ中に立っていた。

 いや、現代と言って良いのだろうか? 僕の前世の時代から考えると一昔前と言った感覚だが、今の外の世界基準なら現代都市で合っているのかもしれないな。

 以前に無縁塚から外の世界に出た時に見た街並みは、この街並とそう変わらなかったような気がする。

 まぁ、場所によって発展具合と言うのは違うものだから、あんまり当てにならないかもしれないが。

 

『目が覚めましたか、我が主』

『おはようマスター。また可笑しなことになったねぇ』

 

 左右の耳元から声が聞こえて来た。

 目を向けると、右の肩にはクトゥグアが、左の肩にはハスターが浮かんでいた。

 どうやら、僕は一人で来た訳では無いようだ。

 

「おはよう二人共。早速だけど、ここがどこだとか、僕らが何故ここに居るのかとかは判るかい?」

『いえ、私もハスターも気付いた時には主と共にこの場所に居ました』

『日本のどこかみたいな街並だけど、この空間自体は閉鎖されているみたいだねぇ。ある程度先までは風が届かなくなってるよ』

 

 ふむ、やはり閉鎖された空間の中か。

 周辺空間の違和感から何となく察してはいたが、ハスターがその予想を確定させてくれた。

 

 僕のドラゴンとしての姿がアポカリプスドラゴンに近いせいか、ここ最近は時空間に対する感覚が鋭敏になってきている。

 その感覚が、今居る空間の異常性を教えてくれた。

 幻想郷は結界で隔離されているだけで、外の世界とは地続きとなっている訳だが、この空間は外側と地続きになっているという事も無く完全に隔離、あるいは遮断されている。

 いや、遮断されているというよりこれは……まるで写真の様に、現実に存在する土地を写し取ったかのような?

 

 僕が自身の感覚から得られた情報を元に、この空間について考察をしていると、黙って熟考を始めてしまった僕にクトゥグアが声を掛けて来た。

 

『―――主よ。考察も大事ですが、まずは周辺の探索をしてみませんか? 少なくとも、ここに留まるよりは多くの情報を得られると思いますが』

『ボクも賛成ー。折角外の世界っぽいとこに来たんだから、ついでに何か使えそうな物も拾って行こうよ』

「っ! ……そうか、確かにこれは外の世界の道具を大量獲得するチャンスだな」

 

 結局の所、無縁塚に流れ着く道具と言うのは、外の世界で忘れられてしまう様な物、使われなくなって忘れられた型落ちの様な物が多い。

 だが、外の世界そのものでは無いにしても、外の世界の都市部に限りなく近いこの場所なら、幻想郷に流れ着く物よりもずっと新しい道具が大量に手に入るかもしれない。

 

 なに、どうせ放っておけば全て燃え落ちてしまうんだ。

 まだ使える道具が無為に失われるのはあまりにしのびない。その前に僕が回収、いや保護するというだけだ。

 一体誰が、僕の行いを責められるだろうか? いや、責められる者など居ないだろう。

 何せ、この場には僕たちしかいないからね!

 

「よし、そうとなれば早速色々探そうじゃないか。ハスター、まだ火の手が回っていない建物を探してくれ。出来れば何かしらの販売店が見つかると良いんだが」

『了解~』

『あの、良いのですか主? 早く幻想郷に戻った方が良いのでは? 皆心配していると思うのですが……』

 

 探索に乗り気になった僕とハスターに対し、クトゥグアは皆が心配するからと早く変える事を勧めて来た。

 まぁ、確かに皆を心配させるのは本意では無いが……。

 

「……まぁ、大丈夫だろう。幻想郷には僕の写身を残してあるしね」

 

 七夕祭りの際に召喚した僕の分身体である白銀竜の写身は、現在博麗神社の境内に常駐している。

 僕と写身は常にお互いの五感を始めとした感覚を共有している為、皆への説明は写身に任せれば大丈夫だ。

 空間が遮断されている為か、念話も通じそうにないが、いざとなれば写身側から僕らを幻想郷に召喚すれば直ぐに帰還する事は可能だ。

 謎の異空間に来たと言えば大事に聞えるが、いつでも帰れるという点を考えれば、ちょっとした遠出と変わらない。

 原因は不明だが、珍しい体験なのだから僕は色々見て回るつもりだ。

 

「なに、向こうで何かあれば写身経由で直ぐに伝わるんだ。店の事は他の邪神たちに任せられるし、紫にバレ……戻って来いと言われるまでの間に、なるべく探索しておこう」

『今完全にバレるまでって言いかけましたよね? はぁ……我が主、また紫殿に叱られるのではありませんか』

「その時はその時だよ。こう言うと変な意味に取られそうだから言わないけど、紫に叱られるのは結構楽しいんだよね」

『マスター、Mなんですか?』

「そう言う事じゃないんだって」

 

 それなりに長く生きて来たが、誰かに叱られたという経験はとても少ない。

 紫以外で僕を叱るような存在と言えば、霧雨の親父さんと慧音くらいかな?

 三人とも、僕にとって大切な友人だったり恩人だったりと、叱られるからと言って苦手意識を持つような相手では無い。

 寧ろ、僕に真っ直ぐ向き合って叱りつけてくれると言うのが、とても嬉しく感じたりする。

 まぁ叱っている側からしたら、叱られて寧ろ喜んでいる何て、迷惑な話だろうが。

 

「兎に角だ、この場所自体もこの場所に着た経緯も謎だらけな訳だし、まずは色々と見て回ろう」

『行こう行こう~』

『了解……主よ、寧ろ紫殿に叱られるのを望んでいるという事はありませんよね?』

「だからそうじゃ無いって」

 

 どうもクトゥグアに変な誤解をされたかもしれない。

 被虐趣味でもあるまい、叱られて喜ぶ趣味なんて無いんだけどなぁ。

 僕はただ、紫が僕の目を真っ直ぐ見つめて話をしてくれる時間が好きなだけだよ。

 

 

 

 幻想郷の皆への連絡を写身に任せつつ、僕らは燃え上がる街の探索をした。

 僕は手にした涅槃の杖を使って瓦礫をひっくり返したりしながら、能力を使ってこの街についての情報を集めた。

 この街は『冬木市』と言う街であり、この空間自体は『特異点』と言うものであるようだ。

 

 僕らは数時間探索を続けたが、生存者の類を見付けることは出来なかった。

 代わりに居たのはモンスターの類、動く骸骨であるスケルトンの集団に何度か遭遇した。

 最初に見た時はこの街の住人たちの成れの果てかとも思ったが、剣や槍、弓などの現代日本では手に入れる事が難しいであろう武器を装備した者ばかりであり、どうも現地住民の成れの果てと言う訳では無いようだ。

 能力を使って調べた結果だと、この特異点で自然発生する特性を持つらしい。

 まぁ、妖精が自然発生している様な物だと考えれば、この数も納得出来るんだが―――

 

「―――それにしても、折角の戦闘なんだからもう少し歯ごたえが欲しい所だね」

『主が歯ごたえを感じる程度の敵と言うと、難しいのではないでしょうか?』

『この空間自体は特異なものだけど、内包してる魔力はそれほど多くないみたいだからねぇ。マスター基準での強敵を呼ぶには、リソースが足りないかなぁ?』

 

 僕のちょっとしたボヤキにクトゥグアとハスターがそう返して来た。

 ハスターの言う通り、この特異点に満ちる魔力の濃度は幻想郷に比べるとあまりに薄い。

 これじゃあさっきから遭遇しているスケルトンの集団くらいしか呼べないか。

 ごく少数なら、強力な存在も呼べるかもしれないが、生憎そう言ったものとはまだ遭遇出来ていない。

 折角多少羽目を外して暴れても問題無さそうな場所なんだから、出来ればもっとギラギラした殺意満点のケダモノみたいなのが出て来てくれると嬉しいんだけどなぁ。

 

「……ん?」

『おや?』

『あれぇ?』

 

 探索を続けていると、今まで感じていたスケルトンたちとは別の反応、生きた人間の気配と魔力を感知した。

 その方向に目を向けると、丁度そこには白を基調とした何処かしらの組織の制服を纏った、日本人らしき少年がスケルトンたちに襲われている所だった。

 少年は必死に逃げているようだが、弓持ちのスケルトンが狙いを定めている。

 捕まるのは時間の問題だろう。

 

 まぁ、僕に取っては僥倖と言うべき出会いだったが。

 

「生存者が居てくれたか。丁度良い、彼から話を聞くとしよう」

『生存者、と言ってもこの町の住民では無いように思われますが』

『服が全然汚れて無いもんねぇ。ボクらみたいに、突然この空間に連れ込まれちゃったんじゃないかな?』

 

 確かに、この街で生き残っていたというには、彼の服は焦げ目も煤汚れも全くなかった。

 ハスターの言う通り、どこか別の場所からこの特異点に引き摺り込まれた可能性が高いだろう。

 まぁ、それはそれとして、話は聞きたいしさっさと助けてしまおう。

 

(ショート・ジャンプ!)

 

 短距離転移呪文でスケルトンから逃げる彼の背後へと跳び、彼の背に迫ったスケルトンの矢を杖で払い落とす。

 

(パルスレーザー・バースト!)

 

 そのままスケルトンの集団に向けて光魔法の攻撃呪文を薙ぎ払うように放って殲滅する。

 やっぱり物足りないなぁ。

 

 そう感じつつ振り向くと、背後の僕に気付いて振り返り、スケルトンが排除されたのを見て立ち止まったらしい少年と目が合った。

 能力によると、この少年の名前は『藤丸立香』と言うそうだ。

 さて、彼には色々と聞きたい事があるが、まずは挨拶をすべきだろう。

 怖がらせない様に、笑顔を意識しなくちゃね。

 

 

 

 何故か笑顔を意識した瞬間、幻想郷の皆が揃って手を交差させて、大きなバツマーク作っている姿が思い浮かんだ。




転生香霖「怖がる事は無い。安心して、ゆっくり話をしようじゃあないか」(ニッコリ)


SANチェックが発生しそうな光景だけど、ぐだなら余裕で耐えそう。
精神の頑丈さのヤバさは、数億年這いずり状態でも心が折れなかったザビの方が有名だけど、ぐだもかなりヤバいんだよなぁ。



追記。
仮ステータス乗せるの忘れてたので追加しておきます。


【真名】 森近霖之助
【クラス】 フォーリナー
【属性】 中立・中庸
【時代】 現代
【地域】 幻想郷
【筋力】 A
【耐久】 A
【敏捷】 A
【魔力】 EX
【幸運】 A+
【宝具】 EX


『保有スキル』

・キュリオスフェロー:EX

・フォーマルハウトの大火:A+++

・アルデバランの追い風:A+++


『クラススキル』

・領域外の生命:EX

・神性:A

・闘争の化身:EX

・三界蹂躙:A+++

・召喚術を操る程度の能力

・浄土曼荼羅:A+
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