東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~ 作:騎士シャムネコ
冬木の時点から転生香霖が仲間になってると、原作ブレイクが置きまくるししょうがないね。(誰か特異点Fで召喚したのがサモナーさんだった二次とか、書いてもええんよ?)
追記。
記載し忘れた情報があったので、あとがきに加筆をしました。
さて、まずはどう声を掛けるべきか? と逡巡していると、助けた少年『藤丸立香』くんの方から声を掛けて来た。
「あの、助けていただいてありがとうございます」
そう言って礼儀正しく頭を下げて来る。
ふむ、驚き固まる事も無く、僕が何者なのか尋ねるよりも先に、まず礼を言えるのか。
しかも、逡巡していた僕よりも先に行動したという事は、助けられたのだと認識して直ぐに礼を言うべきだと判断して行動に移ったという事だ。
偏見かも知れないが、現代人にしては随分と礼儀正しい子だな。
つい先ほどまで命の危機だったというのに礼節を持って行動出来る辺り、肝が据わっているというか大物と言うか。
まぁ、好感の持てる相手である事は間違いない。
この礼儀正しさ、うちの子たち(主に霊夢と魔理沙)にも分けて貰えない物だろうか……?
「……あの?」
「ん? ああすまない、少し呆っとしていた」
「ああいえ、こちらこそ急に話しかけてすみません」
「いやいや、こちらこそ」
「いえいえ、こちらこそ」
日本人特有の軽い謝罪合戦をしばらく続けてから、僕らはお互いに自己紹介をした。
「改めて、ありがとうございます。オレは『藤丸立香』って言います」
「どういたしまして、と言っておくよ。僕は『森近霖之助』だ。よろしくね、藤丸くん」
「はい、森近さん」
「僕の事は霖之助で良いよ」
「なら、オレの事も立香でお願いします。霖之助さん」
「ああ、判ったよ。立香くん」
お互いに握手をしながら名前を呼び合う。
うーん、実に普通の挨拶だ。ここが人っ子一人いない炎上した都市の真っただ中で無ければの話だが。
「それから、こっちの火の玉が『クトゥグア』で、雨合羽を着た小さいほうが『ハスター』だ。どっちも僕の従者みたいなものだよ」
『うむ、よろしく頼む。藤丸殿』
『よろしくねぇ~、藤丸くん』
「よろしく。クトゥグア、ハスター。二人?もオレの事は立香で良いよ」
『了承した。立香殿』
『判ったよぉ。立香くん』
僕が紹介したクトゥグアとハスターに対しても、立香くんは友好的に挨拶を終えた。
これ地味にすごくないかな? 邪神相手にここまでフレンドリーに接せるとか。
と言うか、驚かないんだね。火の玉と雨合羽を着た蜥蜴っぽい謎生物が喋っているのに。
やはり大物か?
「喋れる火の玉と、雨合羽を着た蜥蜴? って初めて見ましたよ。マシュにも見せてあげたいなぁ」
そう言って立香くんは、子供みたいな好奇心満点の目でクトゥグアとハスターを見つめている。
うーん、大物では無く天然なのか? いやでも、この状況でこの余裕はやはり大物か。
まぁ、そんな事は置いておいて、だ。
自己紹介も済んだことだし、お互いについての情報交換をしよう。
僕はまぁ何とかなるが、立香くんが帰る当てがあるのかが心配だな。
「幻想郷……忘れられた者達の集う、妖怪たちの楽園ですか……」
「カルデア……人理漂白に、異聞帯や異星の神との戦い……か」
ハスターが見つけてくれた、火災に巻き込まれていない無事た建物で休みながら、僕らはお互いについての話をした。
ざっと聞いた限り、立香くんは随分と過酷な戦いを経験し、生き残って来たようだ。
その境遇、特に戦いの連続だったという部分を羨ましく感じるのは、やはり不謹慎な事だろう。
表に出さない様に心掛けはしたが、立香くんは何となく察している様でもあったが。
「肝が据わっているとは感じていたが、随分と過酷な戦いを経験して来たんだね」
「過酷なばかりと言う訳でも無かったんですけどね。それに、一緒に戦ってくれる仲間たちが居たから、ここまで来れました」
そう話す立香くんの横顔からは、その仲間たちに対する誇らしさが浮かんでいた。
滅びた世界、あるいは滅びかけた世界で戦い続ける、か。
前世の僕も滅ぼされかけの世界で戦い続けたが、彼とは違い一人きりでの戦いだったな。
まぁ立香くんとは違い、世界を救うためでは無く自身が楽しむための戦いであったわけだから、あまり褒められた動機の戦いでは無かったと自覚しているが。
結局の所、最後だって………?
「ッ!?」
「!? 急にどうしたんですか? 霖之助さん」
「い、いや、何でも無いよ……」
『主よ! 一体何が?』
『マスター。気分が悪そうだけど、大丈夫?』
「ああ、大丈夫だ……」
立香くんやクトゥグア、ハスターが心配そうに僕の顔を覗き込んで来る。
大丈夫だと口にしてはいるが、動揺して取り繕うことが出来ていない。
それほどの衝撃が、僕の心を襲っていた。
何故、今まで疑問に思わなかったんだ?
僕は……オレはいつ、どうやって死んだ?
漠然と死んだと思っていただけで、僕は前世でいつどうやって死んだのかの記憶が無い!
死んだ瞬間の記憶が無いのならまだ判る。
前世では警戒して常に停滞フィールド展開しながら移動していたが、停滞フィールドを突破する未知の兵器でも使われたのなら十分あり得る話だ。
だが、死ぬ前後の記憶がまるで無いと言うのも、その事に今の今まで気付かなかったのも、明らかにおかしい!
……そもそも、僕が転生したのは偶然だったのか?
幻想郷にも居る閻魔の様に、世界には輪廻を司る超常の存在が居る事を僕は知っている。
僕が前世の記憶と能力を持って転生したのも、そう言った存在に介入された結果である可能性は非常に高いのではないか?
それに、写身経由で煙晶竜から聞いた話から察するに、今回の事態は僕の能力が完全になる予兆の様な物であるみたいだが、何故それでこの特異点に来ることになったんだ?
今この場に居るのも、その何者かの意思によるものでは無いのか?
……あくまで仮定の域を出ないが、心に留めておくに越した事は無いだろう。
あるいは、この特異点を調べる内に何か判明するかもしれない。
そう結論付けて、僕は気持ちを切り替えた。
「ふぅ……よし、もう落ち着いた。心配をさせてすまなかったね」
「いえ、大丈夫ならよかったです。けど、何かあったら遠慮なく言って下さい。あまり力にはなれないかもしれませんが」
「いや、そう言って貰えるだけでも十分だよ」
やはり良い子だね、立香くんは。
今は元居た南極のカルデア本拠地を離れ、彷徨海とやらのお世話になっているそうだが、帰る当てはあるのだろうか?
「ところで立香くん、この特異点から帰る当てはあるのかい? 僕らの方は、戻ろうと思えばいつでも戻れるけど」
「あはは。当ては無いですけど、帰れる自信はありますよ。結構いつもの事ですから」
「そうなのかい?」
聞くと、立香くんは結構な頻度で夢を通じてこういった異空間に引き摺り込まれることが良くあるそうだ。
眠るたびに命の危機に見舞われるなんて、眠るのが怖くならないのかい? と尋ねると、慣れましたと笑顔で返されてしまった。
苦労しているなぁ……。
「……まぁ、こうして出会ったのも何かの縁だし、君がきちんと帰れるのを見届けるまでは一緒に居るとするよ。クトゥグア、ハスター、立香くんの護衛を任せるよ」
『承知しました』
『おっけー』
「すみません、お世話になります。霖之助さん、クトゥグア、ハスター」
こうして、僕らは汎人類史最後のマスターである『藤丸立香』との縁を結んだ。
まさかこの出会いをきっかけに、幻想郷とカルデアで起こる様々な事件や異変に、お互いに巻き込んだり巻き込まれたりするようになるとは、この時は僕も立香くんも夢にも思っていなかった。
いや、立香くんの場合はそれまでの経験から何となくそうなるのではと思っていたみたいだが。
「ところで立香くん」
「はい、何ですか?」
「カルデアでは人類史に刻まれた英霊たちを使い魔の一種として召喚しているんだよね?」
「ええ、正確には英霊の影法師をいくつかあるクラスの型に当てはめたサーヴァントとして召喚しているそうです。オレは細かい原理とかは詳しくないんですけど」
「ふむ、そうかい……なら、戦力は多いに越した事は無いし、この場で一騎召喚してみようか?」
「ええ!? 出来るんですか?」
「ああ、カルデアの方式とは違うだろうが、僕も英霊召喚を行うことは出来るよ」
呼び出すのは……そうだな、彼女が良いだろう。
僕が初めて召喚した英霊であると言うのもあるが、彼女の回復能力は非常に便利だし、彼女の騎乗馬に立香くんを同乗させて貰えば、移動もずっと楽になるだろう。
そうと決まれば、善は急げだ。
僕は早速、自身の能力を使って英霊召喚の呪文を発動させた。
(緋炎聖女!)
次回、この作品だと人伝に魔理沙が召喚したって話を聞くだけだった、英霊召喚を転生香霖が使います。お楽しみに!
転生香霖のスキル解説のコーナー
『キュリオスフェロー:EX』
元ネタは東方鈴奈庵での霖之助の二つ名『古道具屋のキュリオスフェロー』から。
意味合い的には『骨董品の研究者』。
古道具を拾い集め、それを考察し利用する森近霖之助の生き方そのもの。
自身の持つ『見たものの情報を閲覧する程度の能力』とゲーム時代の倒した相手からドロップアイテムを得るというシステムが一体化したことで発現したスキル。
相手の持つ物品の真名、用途、使用方法を例え隠蔽されていようとも看破して把握し、それを奪い取る事で我が物とする事すら可能な反則能力。
物品系の宝具なら、ランクに関わらず真名解放が可能であり、奪い取る以外にただ相手を殺すか拘束する、気絶させるなりするでもドロップアイテムとして獲得可能。
但し前述した通り、奪える宝具は物品系に限られており、ヘラクレスの持つ『十二の試練』の様な肉体に付加された祝福の様な宝具は奪い取れない。
(追加分)
キュリオスフェロー。『骨董品の研究者』の意味を持つこのスキルの真価は、相手の宝具を奪った先ある。
研究者である事を示すこのスキルの真価とは、他者の宝具を解析し、その情報を元に新たな宝具を作成する事にある。
視認にしただけであらゆる情報を看破する瞳と、その情報を元に宝具を作成する技術こそがこのスキルの核であり、他者の宝具を奪えることはそのオマケでしかない。
本スキルをEXランクで所持する森近霖之助は、素材さえあれば対界宝具すら製作可能であり、その素材は大体アイテムボックス内に所有している。
盗むわけじゃない。ただ正面から殴り倒して、戦利品として鹵獲するだけだよ。(by森近霖之助)