東方転霖堂 ~霖之助の前世はサモナーさん!?~   作:騎士シャムネコ

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Q、邪神由来のスキル強力過ぎじゃない?

A、その気になれば天体の一つ二つ普通にぶっ壊せる、クトゥルフ神話の邪神由来のスキルって考えれば全然控えめですよ(クトゥルフ神話に希望も慈悲もありはしない)


第五十八話 「転生香霖と斧剣、後機関砲」

 ―――まるで、二匹の獣が食らい合っているかのような光景だった。

 

 一方は影に覆われた巌の巨人、『ヘラクレス』のシャドウサーヴァント。

 もう一方は不思議なデザインの青い着物を着た、自分を助けてくれた恩人、『森近霖之助』さん。

 

 バーサーカーであるヘラクレスの戦いっぷりは相変わらずであったが、それと正面から渡り合っている……いや、余裕すら持って戦っている霖之助さんも凄まじかった。

 

「……凄いですね」

「いいえ、まだまだですよ。キースは完全に遊んでいますからね」

 

 自分はそんな陳腐な感想しか出なかったが、隣に居る女性から見ればそうでは無いらしい。

 『緋炎聖女ジャンヌ・ダルク』、自分が知るジャンヌ・ダルクとは似て非なるライダークラスのサーヴァント。

 霖之助さんとは千年以上の付き合いだそうだ。

 千年前と言うと、まだジャンヌ・ダルクは生まれても居ないはずだが……まぁ今までの特異点でも、生まれるよりもずっと前の時代に召喚された英霊は沢山居たし、それほど不思議な話じゃないのかな?

 

「遊んでいる、ですか?」

「ええ。キースの場合、全力なら魔法……こちらの世界で言うなら自己強化の魔術で身体能力を底上げしますからね。今は何の強化もしていない、素の身体能力だけで戦っています」

「あれでですか……」

 

 何の自己強化もしていないという霖之助さんの戦いっぷりを見る。

 自分の目には、カルデアのバーサーカーたちにも劣らない、狂戦士そのものの戦いに見えたが、全力ならここから更に強化されるらしい。

 素手でヘラクレスの斧剣を奪って格闘戦に持ち込んだというのに、更にその先だなんて自分には想像もつかない領域の話だ。

 霖之助さんは純粋な人間では無いそうだが、身体能力の高さはそれが由来なのだろうか?

 

「確か、霖之助さんは半分人間で半分妖怪なんでしたっけ?」

「正確には半人半竜、竜人(ドラゴノイド)とでも言うべきでしょうか? 人としての姿の他に、ドラゴンとしての姿も持っているんですよ」

「まるで清姫やジークみたいだ……」

 

 カルデアに居る、竜種への変身能力を持った二人のサーヴァントを思い浮かべる。

 あの二人はドラゴンへの変身が宝具になっているけど、もし霖之助さんがサーヴァントになったら、霖之助さんの宝具もそうなるのだろうか?

 

 自分がそんな事を考えていると、ジャンヌさんがもうすぐ決着だと伝えて来た。

 

「さて、そろそろ勝負が付きますね。立香くん、直ぐに移動することになりますが、用意は良いですか?」

「あ、はい、大丈夫です! けど、霖之助さんは休まなくて良いんですか?」

「必要無いでしょう。寧ろ、本人が直ぐ次に行こうと言うと思いますよ? 戦うほど元気になって行くのが彼ですから」

 

 そう言って呆れた様子で霖之助さんに視線を向けるジャンヌさんは、どこか嬉し気でもあった。

 霖之助さんとジャンヌさん、不思議な関係だなと感じていると、骨の折れる鈍い音が鳴り響いた。

 音の発生源に視線を向けると、そこには明らかに曲がってはいけない方向に首を捻じ曲げられたヘラクレスと、ヘラクレスの首に肩車の様に組み付き、首を捻じ折る霖之助さんの姿があった。

 

 霖之助さんの顔は、とても楽しげな笑顔であった。

 

 

 

 ゴキリッ

 

 

 骨の折れる鈍い音がその場に響き、続いてヘラクレスの巨体が地面に倒れ込む。

 前のめりに倒れたその姿は、首があらぬ方向に捻じ曲がっていた。

 まぁ、たった今首を圧し折ったのは僕なのだが。

 

「フゥーーーッ」

 

 死亡したヘラクレスの体が魔力の燐光と共に崩れ出したのを見届けてから息を吐く。

 大苦戦、と言う訳では無かったが、無強化状態なら苦戦には留まった為、中々に楽しむことが出来た。

 戦いが終わったばかりだというのに、体も心も羽のように軽い。

 寧ろ、この浮足立った心のまま次の戦いへと向かいたいほどである。

 

 

「――あの、大丈夫ですか? 霖之助さん」

 

 歌でも歌いたいような良い気分だったが、立香くんの声で現実に引き戻される。

 危ない危ない、今の僕は一人で戦っている訳じゃないんだから、自分一人で浸ってちゃ駄目だよな。

 

「ああ、問題無いよ。悪いね、僕の我儘で待たせてしまって」

「いいえ、カルデアにも霖之助さんみたいに、戦いにこだわりのある人は沢山居ますから」

「ほほう、それはまた仲良く出来そうな感じがするね。どんな人が居るんだい?」

「そうですね……霖之助さんみたいな徒手格闘ってなると……『ベオウルフ』とか?」

「ベオウルフ! 有名どころじゃないか。会ってみたいものだねぇ」

「あなたの場合、戦ってみたいの間違いではありませんか?」

「どっちも合っているよ。会って話をしてみたいし、対戦もしたい」

 

 

 『ベオウルフ』――英文学最古の叙事詩の主人公であり、叙事詩のタイトルにもなっている英雄の名前だ。

 若き日には巨人グレンデルを素手で屠るほどの膂力を持ち、老境には国を襲ったドラゴンを命をとして撃退した大英雄。

 剣士としても、格闘家としても、極上と言って良い相手だ。

 是非とも剣で、あるいは拳で語り合いたいものだねぇ。

 

「さっきのヘラクレスは劣化した影だったが、カルデアにはサーヴァントとして召喚された万全のヘラクレスも居るんだよね?」

「ええ、ヘラクレスやベオウルフ以外にも、強い人が沢山いますよ」

「羨ましい話だねぇ。その内時間が出来たら、僕もカルデアにお邪魔してみたいものだよ」

「あはは、霖之助さんなら大歓迎ですよ。オレもみんなに霖之助さんの事を紹介したいですし」

「お、嬉しい事を言ってくれるね。ならその時は、お土産をたっぷり持参して訊ねさせてもらうよ」

「はい、いつでもどうぞ!」

「――二人共、盛り上がっているところ申し訳ありませんが、そろそろ出発しませんか?」

「あっ、そうですね。オレはいつでも行けますけど、霖之助さんは大丈夫ですか?」

「二人共ちょっと待ってくれ、回収したい物がある」

 

 立香くんとジャンヌに断りを入れてから、ヘラクレスと戦っていた場所から少し離れた場所へと向かう。

 そこには、僕がヘラクレスから捥ぎ取って放り投げた斧剣が落ちていた。

 シャドウサーヴァントとなっていたヘラクレスが持っていた時は、この斧剣も黒い影だか霧に覆われていたが、今は岩盤を削り出して作られたかのような刀身が露わになっている。

 能力も使って見た所、特殊な能力がある物では無かったが、大英雄ヘラクレスが使用していた武器と言うだけで価値がある。

 忘れず拾っておこう。

 

「よいしょ……っとと」

 

 見た目から想像出来てはいたが、実際に持つとやっぱり重いな。

 持ち上げて軽く振り回してみた感じ、半竜の膂力なら持ち上げられるし振り回すことも出来るが、やはり物自体が大きすぎて振り回される感じがある。

 武技や呪文で強化すれば何とかなりそうだが……手に入れたばかりの慣れない武器をそのまま持って行くほど、慢心するつもりも無い。

 一先ずはアイテムボックスに入れておくとするか。

 

「―――待たせたね。さ、行くとしよう」

「あ、はい……今の、何処に仕舞ったんですか?」

「この袋の中だよ」

 

 手にした斧剣をアイテムボックスに転移させた光景を見て疑問に思った立香くんに、手元にアイテムボックス本体を召喚して見せながら説明する。

 ついでに実演として、中からいくつかアイテムを取り出して見せようか。

 

「わっ、色々入っているんですね」

「僕の持つ貴重品は大体この中に入っているよ。本当は手元に出さなくても中の物は出し入れ可能なんだけど、折角だから見せておこうと思ってね」

 

 オリハルコン合金製の武器や魔物素材で作った武器、魔結晶を始めとする素材アイテムに加え、黄金の林檎などのも含めて色々見せて行く。

 その中で、黄金の林檎を見せた時だけ立香くんの目の色が変わったが、大丈夫だろうか?

 まるで連日徹夜してなお、栄養ドリンクを飲んで無理矢理働き続ける社畜みたいに目が血走った様な気がしたが。

 黄金の林檎をしまったら元に戻ったから、大丈夫だと思いたい。

 

 一通りアイテムを見せてからアイテムボックスを仕舞うと、立香くんは息を吐いて感想を述べた。

 

「凄い……まるで『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』みたいだ」

「『王の財宝』? また気になる単語が出て来たね。その辺り詳しく……」

「二人共! いい加減出発しますよ!」

「「はい、すみません!」」

 

 語気を強くして居て来たジャンヌに、立香くんと声を揃えて謝る。

 流石にはしゃぎ過ぎてしまったな、面目無い。

 これ以上怒られない内に、先へ進むとしよう。

 

「――行こうか、立香くん」

「はい、霖之助さん!」

「顔だけキリッとさせても駄目ですよ、二人共。子供みたいにはしゃぐのも良いですが、時と場合は弁えて下さい」

「「仰る通りで……」」

 

 幾分肩を落としながら、僕と立香くんは先導するジャンヌの後に続いて、洞窟内へと踏み入れた。

 

 

 

 洞窟を奥へ奥へと進むと、開けた空間へと到着した。

 洞窟と言うよりは地下空洞と言うべき広い空間が広がっていたのだが……中に居る存在達のせいで、寧ろ狭いとすら感じてしまう。

 

「っ……こいつらは!」

「ほう、これはまた意外な相手だね……」

 

 それらの姿を見て、立香くんは戦慄を感じているようだったが、僕としては懐かしい気分を味わっていた。

 

 空洞内に居たのは三体の巨大なドラゴン。

 それぞれ別々の姿をしていたが、僕はそれらの名前を知っていた。

 『ユニバーサルドラゴン』、『アストラルドラゴン』、『ボイドドラゴン』。

 三体とも、ゲーム内で登場した最上位の魔竜たちである。

 

「ふむ、こいつらが出て来たか……これはいよいよ当たりか?」

「言っている場合ですか!? 来ますよ!!」

「おっと」

 

 僕の召喚術以外の手段でゲーム内のモンスターたちが現れたのなら、煙晶竜の態度から推測した召魔の森を取り戻す時に近づいているという予想も真実味を帯びて来る。

 ある意味喜ばしい事ではあるなと考えていると、三体が一斉にブレスを放って来た。

 

(((((ディメンション・ウォール!)))))

(ミラーリング!)

 

 次元の防壁を多重に築いてブレスを防ぐ。

 このまま戦っても勝てはするが、流石に立香くんを守りながらだと少し手間だ。

 ここは速攻で数を減らさせて貰おう。

 

「折角だ。作ったは良いが使い所が無かった魔法を使おうじゃないか」

 

(アポーツ!)

 

 アイテムボックスから久しぶりに、オリハルコン合金で作られた『オリハルコン球』を複数出現させる。

 この組み合わせを使うのも久しぶりだな。

 

((((((レビテーション!))))))

((((((((((テレキネシス!))))))))))

((((((((((マグネティック・フォース!))))))))))

(十二神将封印!)

(ミラーリング!)

 

 浮遊させ、電磁加速させたオリハルコン球で『多面結界』を敷く。

 ここまではゲーム時代と同じだが、ここから先は転生し、スキルが能力に統合され自由度が増したからこそ生まれた魔法だ。

 

 本来オリハルコン球を手に持たないと使用出来ない電磁砲の攻撃呪文『レールガン』、射出したオリハルコン球を回収する為の『アポーツ』、回収したオリハルコン球を冷却する『フリーズタッチ』、この三つを多面結界に組み込み、防御陣形を維持しながら連続砲撃を行う魔法。その名も―――

 

 

「『ガトリング・レールガン』―――ッ!!」

 

 

 直訳するなら『機関電磁砲(ガトリング・レールガン)』と言った所か。

 音速を超えたオリハルコン合金の砲弾が、秒間数十発と言う頻度で魔竜たちに襲い掛かった!




『闘争の化身:EX』

元ネタはアシュヴァッターマンのスキル『憤怒の化身』。
神々さえも驚愕させた、戦いを求め、戦いに狂い、戦いを愛した森近霖之助の精神性そのもの。
戦闘に移行すると同時に、『狂化』スキルの様なステータス強化が発生し、あらゆる精神干渉を完全無効とする。
また、このスキルにより霖之助は如何なる状態であろうとステータスが低下せず、戦闘技能が鈍る事も無いという、『天性の肉体』と『無窮の武練』を合わせたような特性を持つ。


『三界蹂躙:A+++』

天界、地上、冥界を駆け抜け制覇した、前世における森近霖之助、キースの功績そのもの。
前世において培った技能や称号の複合であり、森近霖之助はサーヴァントとして召喚された場合、このスキルと『闘争の化身』を必ず所持している為、宝具無しでも非常に高い戦闘能力を保持している。
戦闘スキル、魔法スキル、補助スキル、生産スキル、どれも非常に高レベルだが、『神殺し』や『ドラゴンメンター』を始め、強力な効果を発揮する称号も非常に多い。



『神殺しの同胞:EX』

神殺しである森近霖之助に召喚された存在であることを示すスキル。
森近霖之助が所有するスキルの内、自身と相性の良いものを共有するのと同時に、神性に対する特攻と特防を付与する。
このスキルは森近霖之助に召喚された存在全てに付与されるため、森近霖之助に召喚された存在は、その時点で神殺しの軍団の一員である。



『ガトリング・レールガン』

多面結界で展開したオリハルコン球を、そのままレールガンで連続射出するという、幻想郷では高威力過ぎて使用出来ないオリジナル魔法。
名前の元ネタはとある魔術のアレだが、似ても似つかぬビット兵器である。
『電磁特攻ファンネル』と呼んでも良い。
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