RIDERTIME Hameln   作:砂袋move

6 / 6
大変長らくお待たせしました!ディケイド編IFストーリー後半戦!!
今回は前回同様ホワイト・ラムさんの作品で、『仮面ライダージェイル』との客演回となっております。
ホワイト・ラムさん、使用許可ありがとうございます!
https://syosetu.org/novel/125849/


IF06「プリズン・ジェイルブレイク2017」

ーこの本によれば、普通の高校生・常磐ソウゴ。彼には魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた。

だが、彼の前に現れた謎の仮面ライダー。

そして私の裏切りによって我が魔王は刑務所送りとなってしまう。

全ては私のある目的の為に…。

失礼。そんな事は書いていませんでした。

 

 

 

 2017年。頑固そうな警官に連れられ、留置場内の檻に入れられるソウゴ。

 アナザーパンドラを倒す一貫で過去に飛んだソウゴだったが、本来の目的地と違う場所に辿り着いた挙句その時代の警察に捕まってしまうのだった。

 事の原因が理解出来ず、ソウゴは牢の外に向かって必死に無罪を訴えた。

「ちょっと待ってよ!何かの間違いだって、俺何もしてないよ!」

「うるせぇ!犯罪者は皆んなそう言うんだよ!大人しく檻に入ってろ!」

 しかし、逆に怒鳴り散らされ聞く耳を持たない様子だった。

「そんなぁ〜、牢屋に入れられる王様なんて無いよぉ〜!」

 ソウゴの無念が留置場中に響き渡った。

 

 

 一方、2018年現代。一旦ゲイツとツクヨミはクジゴジ堂に戻り、ソウゴを連れ戻す為の作戦を立てていた。

「不味いな、ジオウがあの時代に取り残されたままだと、オーマジオウにならなくても歴史にどんな影響を及ぼすか分からんぞ」

「うん、早く捕まったソウゴを助けださないと」

 そう二人が話してると順一郎が口を挟む。

「え?旅行中のソウゴくんになにかあったの!?」

「あ、いえ何でもないです」

 慌ててツクヨミが誤魔化すと順一郎は安堵の表情を浮かべる。

「あ、それは良かった。でもソウゴくん一人で旅行行っちゃうなんて釣れないなぁ。叔父さんも一緒に行きたかったよぉ〜」

 ツクヨミ達の嘘を信じ切った順一郎はそう言って、部屋の奥に入っていった。

 気を取り直しゲイツが話を戻す。

「それにあの謎のライダーもはっきりさせないとな」

 それは突如ゲイツ達の前に現れアナザーパンドラを2017年に飛ばしたパンドラの事であった。しかし、本来のパンドラである光一もゲイツ達と同じく目撃しており、パンドラの姿をした何者かと言う結論に至った。

「アナザーライダーを庇ったと言う事は、あいつもタイムジャッカーの仲間という事なの…?仮面ライダーが味方するなんて…」

 半ば信じられないといったツクヨミだが、現にそのようにしか考えられない行動にもはや疑う余地など無かった。

「とにかく2017年に戻るぞ。ジオウを連れ戻す」

 ゲイツとツクヨミは互いに頷くとクジゴジ堂を出てタイムマジーンに乗り込んだ。

 

 

 その頃、いつかの場所で寛いでいた門矢士が気配に気付き目を開ける。

「そろそろ動き出したか」

 士は立ち上がり何処かに向かおうとするとオーラが止める。

「一人でどこ行く気よ。私がいないと過去に向かったアイツらのとこに行けないくせに」

 そう言って嘲笑うオーラに士は一言返した。

「ま、黙って見てろ」

 すると士の前方にオーロラが現れ姿を消していった。その出来事にオーラは返す言葉も無く絶句していた。

 

 

2017年

「ねぇ(がん)さん〜、頼むから信じてよぉ、俺ホントに怪しいやつなんかじゃないんだってぇ…」

「うるせぇな…さっきから言ってるだろ、あんな場所であの解良(おとこ)と一緒にいて、おまけに向こうの方がボロボロなんてどう考えても怪しいじゃねえか」

 取り調べ室でソウゴは自分を捕まえた警官を岩さんと呼んで、二人で話をしていた。

「そもそもお前が変な姿になって怪物と戦っていたって目撃証言や押収した物品から変なもんがいっぱい出てきてるんだ。仮にお前が悪いやつじゃなかったとしても、話は洗いざらい聞かせてもらうぞ」

 そう言って岩さんは一人だけ行きつけの定食屋から出前で取った天丼をかき込んだ。

 ちなみに本名は小早川(こはやがわ)人美(ひとみ)という。岩さんのあだ名は、岩のような屈強な身体と頑固(ガンコ)一徹から来ており名前とは一切関係ない。

「大体お前、留置場でちょいちょい言ってた"王様"ってなんの事だよ?」

 岩さんは天丼を食べ終わるとソウゴに向き直って一つ質問をする。

 その問いにソウゴは顔色を変え、真っ直ぐな目で言った。

「俺はさ、王様になるのが夢なんだ。王様になって、みんなが幸せでいられる平和な世界にしたい。その為に俺は王様になりたいんだ」

 ソウゴがそう言い切る中、岩さんは我慢しきれず吹き出すと下品な笑い声を上げた。

「はぁ?王様になるだぁ?お前何歳だよ、ガキじゃねぇんだぞ!ガハハハ」

「ちょっと!俺真面目に言ってるんだけど!」

 しかし、ひとしきり笑った後岩さんはポツリと呟いた。

「まぁでもそんな奴が王様になったら、ホントに世界を平和にする事もできるかもな」

 その思わぬ言葉にソウゴは心の底で微かに喜びを感じた。

 

 

 一方、同じ留置場内の別の場所では、ある牢に向けて一人の警官が声を掛ける。

「おい起きろ、解良(かいら)堅牢(けんろう)。勝手にくつろぐな」

 警官に怒鳴られ、俯いていた解良が顔を上げ、殺意の灯った目を向ける。

「うるせぇ…、さっさとこっから出せ…」

「何言ってる、誰が貴様を__」

 次の瞬間凄い勢いで部屋の端から牢屋前の警官の所まで飛び上がり、鉄格子の間から腕を伸ばし警官の首を絞め上げ半狂乱的に叫び出す。

「ぜってぇ殺す!!あの王様とか言ってたガキ、ぜってぇ殺してやる!!!さっさとこっから出て必ず見つけ出してやるからなぁぁぁ!!!!」

 かつての余裕綽々とした態度は影も形もなく、そこには髪を振り乱しソウゴへの殺意を露わにする危険な男の姿がそこにあった。

 すると、必死に抵抗していた警官の動きが止まる。いや、警官だけでない。牢の窓から微かに見える木々や鳥も風が吹く中空間に静止している。

 そう、時間が停止しているのだ。その現象を今唯一動ける解良は知っていた。

「あんたか…」

「お久しぶりですね」

 微動だにしない警官の横から現れたのは、かつて解良に力を与えたタイムジャッカーのツァイトであった。

「今の貴方様の常磐ソウゴへの殺意。非常に素晴らしいです!そんな貴方様に朗報でございます。今現在、常磐ソウゴもこの留置場内にいらっしゃいます」

「何…あいつが…?ハァ…ハァ…ハハハハ…」

 ツァイトの話を聞き、解良の息が徐々に荒くなっていき狂気の笑みを浮かべる。

「えぇ、まさに絶好のチャンスという訳です!そこで…」

 そう言ってツァイトは新たなアナザーウォッチを取り出す。解良はその力の源に目が釘付けとなる。

「貴方様にはもう一度アナザーライダーになって頂きます。この力で悲願を達成されて頂きたい」

「あぁ…!その力を寄越せ…!それを使って…あいつをぶっ殺すッ!!!」

「よろしいでしょう」

 ツァイトは眼鏡をくいと上げると満足そうに笑みを浮かべる。アナザーウォッチを起動し、牢屋越しから解良に再び取り込ませる。

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!」

 絶叫と共に解良が新たなアナザーライダーに姿を変える。

『ジェイル…』

 身体に小汚い囚人服のような白黒のストライプ模様が入っており、四肢には拘束具が装着され、顔は複眼に沿って手錠のようなものが付き、その前に鉄格子が掛けられている。その奥で緑の瞳が片方、闇の中で爛々と光っていた。

胸には囚人番号のように『2017』『JAIL』の文字が刻まれている。

「今日から貴方様が、仮面ライダージェイルです…!」

 再び動き出した時間の中、アナザージェイルが恨みのこもった驚異的な力で目の前の鉄格子をなぎ払い破壊する。

 

 

 牢屋内で岩さんのケータイがけたたましく鳴った。

「何!?脱走!?」

 取り調べを終え、ソウゴを元の牢屋に戻した岩さんは、電話に出ると急いで現場に急行しようとする。その手前思い出したようにソウゴの方を向き釘を刺す。

「おい王様!お前はここにいろ!何があっても動くんじゃねぇぞ…」

「いや!俺も行く!」

 しかし、ソウゴは岩さんの命令を即答で拒否。その場から立ち上がり、同行の意を見せる。

 檻の外では緊急事態を伝えるサイレンが予断を許さぬように鳴っており、留置場中のシグナルが真っ赤に光り嫌でも内部の人間を不安にさせる。そんな状況を背に自然と岩さんの口調もきつくなる。

「てめぇ!国家権力様に逆らうんじゃねえ!ここから出したら逃げ出すだろうが…」

「そんな事しない!アイツは俺が止めないと…だから岩さん!信じてくれよ!」

 だが、ソウゴの心は決して折れず、岩さんの目を真っ直ぐに見つめ鉄格子を強く握りながら縋り付くように叫ぶ。

 サイレンが鳴り響きシグナルが赤く点滅する留置場内でしばらく沈黙が続いた後、岩さんが鍵を取り出しゆっくりとソウゴの牢を開けた。

「こい。ちょっとでも俺から離れたら承知しねぇぞ」

 ソウゴがにこやかに頷いた。

 

 

『タイムマジーン!』

 再び2017年に到着したゲイツとツクヨミはそこでソウゴが捕まっている留置場内の異変に気付く。

「どうやら中で何か起こってるようだな」

「でも、今なら混乱に乗じてソウゴを助け出せるかもしれない!」

 二人は警備が薄くなっている事を確認し裏口から侵入していった。

 そんなゲイツ達を静かに見つめる者がいる。

 ウォズが逢魔降臨歴を覗きながら彼らの動向を興味深そうに観察していた。

 

 

 留置場内でソウゴと岩さんの二人は、牢の間に広がる狭い通路を警戒しながら進んでいた。

 いつ何処から相手が出てくるか分からない。留置場中に広がるサイレンとシグナルに晒される中緊張感がピークに達するという時にソウゴが不意に話しかけてきた。

「岩さん、お願いがあるんだ」

 拳銃片手に意識を集中していた岩さんは突然声を掛けられ、一瞬気持ちが緩む。

「何だよ、今それどころじゃないだろ」

「実は俺、未来から来たんだ」

 張り詰めた空気からのソウゴの突然のカミングアウトに思わず岩さんが声を上げる。

「お前!こんな時にふざけた事言うな!!」

「いや、ホント何だって!と言っても1年しか違わないんだけどね」

 緊急事態の真っ只中にも関わらず、いつもと変わらぬ調子で会話を始めてしまった二人だったが、気を取り直しソウゴが真面目な表情で岩さんに向き直る。

「それで、岩さんに頼みたいのは、あの解良をしっかり捕まえて欲しいって事なんだ」

「どう言う事だ、そりゃ?」

 岩さんは構えていた拳銃を下ろし、聞き返す。

「アイツも未来から来たんだけど、本来この時間の解良はまだ野放しのままなんだ。だから、岩さんにはちゃんと今の解良も捕まえて欲しいんだ。そうすれば、未来も変わるから」

 真っ直ぐ目を見て話すソウゴに岩さんは半信半疑だったものの、やがてフッと軽く笑うとこう言い返した。

「全く、何言ってるか分かんねぇけどよ、嘘はついてねぇみたいだしな。言われねぇでも、悪人捕まえんのは国家権力様の仕事だっつーの」

 そう言ってまた岩さんはガハハと笑う。ソウゴはその岩さんの反応が嬉しく彼もまた笑顔になった。

 そんな彼らは、完全に油断しきっていた。

『がああああっ!!』

 突然、牢の陰からアナザージェイルが飛び出してくる。ソウゴと岩さんは思わず左右に飛び退く。

『見つけたぞ…あの時の屈辱、たっぷりと晴らさせて貰うからなぁ…!!』

 アナザージェイルは執拗にソウゴを狙って襲い掛かる。岩さんが牽制して拳銃を発砲するも全く効いてる様子は無い。

「何でまた違うアナザーライダーに!?でも、とにかく今は…」

 ソウゴがアナザージェイルに対抗する為に、ウォッチとジクウドライバーを取り出そうとして、ポケットをまさぐるが、

「そうだった…今持ってないんだった!岩さん!ドライバーとウォッチ返して!」

 アナザージェイルの猛攻を紙一重で回避しながらソウゴが岩さんに向けて叫ぶ。

「あぁ…?これの事か!?」

 ソウゴに言われて岩さんが恐る恐る押収品のジクウドライバーとライドウォッチを取り出し、ソウゴに向けて投げ渡す。

 宙を舞う二品を飛び退いた拍子に見事キャッチしたソウゴが腰に取り付け起動させる。

『ジオウ!』

 すると背後に巨大な時計が出現し、岩さんがその光景に釘付けになっている間にソウゴがポーズを取り、声を張り上げる。

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』

 たちまちソウゴの姿が変わり、顔にライダーと大きく書かれたその出で立ちを見て驚く岩さん。

 彼を背にジオウがアナザージェイルに立ち向かう。

 アナザージェイルは腕にチェーンを巻きつけて作ったかのようなメリケンサックを握り殴り掛かってくる。ソウゴはジカンギレードを呼び出し、相手の拳を受け止めると、反対に斬りつけて攻撃していく。

 しかし、身体中に巻き付けられた拘束具が逆に防御の役目を果たしており、アナザージェイルに攻撃が通っていないようだった。

 今度はアナザージェイルがチェーンを射出しジオウを縛り上げる。身動きが取れなくなりピンチに陥ったジオウを助ける為に、岩さんが再び発砲しアナザージェイルの背中に被弾する。しかし、それでもビクともしないアナザージェイルが岩さんの方に向き直る。

『てめぇ…さっきから、鬱陶しいんだよ…ッ!!』

 標的を変え岩さんに襲い掛かろうとするアナザージェイル。その光景を縛られたままのジオウが何とかしようともがく。

「岩さん危ない!」

 辛うじて動かせる腕でホルダーからコダマスイカアームズを起動させ、岩さんの前まで放り投げる。

『コダマシンガン!』

 倒れ込んだ岩さんを庇うようにコダマが現れ、小さい種型の銃弾がアナザージェイルに向かって無数に打ち込まれる。小さいながらも普通の拳銃よりは威力があるようで、アナザージェイルが後退すると、その隙に鎖を千切ったジオウが背中から斬りつける。

「大丈夫、岩さん?」

「あぁ…、助かった」

 ジオウが岩さんを起き上がらせるとすぐに武器を構えアナザージェイルに向き直る。

 岩さんは真っ先に自分の救出を優先したジオウに驚きの視線を向けた。

 不意を突かれ、少々押され気味のアナザージェイルが突然黒いマフラーに吸い込まれ姿を消す。

 その現象に驚きジオウがアナザージェイルの立っていた場所まで行くと、近くの牢の中に見覚えのある男がいるのに気付く。

ウォズである。

「性懲りも無い」

「ウォズ…」

 思わぬ場所で出会ったジオウは鉄格子越しに会話する。

「悪戯に時間を変えてはいけないと言ったはずだよ、我が魔王」

 岩さんに未来の事を話し、以前のように歴史を少しでも変えようとしたソウゴに対してウォズは忠告する。

「しかし、作戦通り2017年にアナザージェイルが生まれ君が今囚われの身なのは好都合だ」

 突然本来なら知る由も無い事を語り始めたウォズにジオウが疑惑の念を抱いて尋ねる。

「何でそんな事知ってる?」

「私があちら側に着いたからさ、我が魔王」

「どうして…」

 彼の思惑が理解出来ないソウゴは問いただそうとしたものの、そこにはもう既にウォズの姿は無かった。

 変身解除し、岩さんの元に戻ろうとしたところ突如オーロラが発生しソウゴの周りを包み込む。

 突然の事態にソウゴは困惑しながら辺りを見回すが、背後に気配を感じ振り向く。

「誰?」

 しかし、そこにはぼんやりと人影が浮かんでいるだけであり、はっきりとした姿は無かった。だが、そこから発されるであろう声だけはソウゴの耳にもしっかりと聞こえた。

「一つ尋ねる。お前は魔王になるという自分の運命をどう思う」

 突然突き付けられる疑問。しかし、ソウゴはそれに何の迷いもなく答える。

「俺は魔王にはならない。仮になるとしても最高最善の魔王になってみせる」

「本当にそうか?お前は本当にそうなる事が出来るのか?」

 しかし、対する相手はソウゴに繰り返すように質問を重ねる。

「運命はそう簡単には変えられないぞ」

「だからと言って、黙って運命を受け入れられる訳ないだろ」

 それでも、何度言われようとソウゴの心に迷いはないらしく、姿の見えない相手に向かって力強く答える。

「なら足掻いてみせろ。自分が望む理想を貫いてみせろ」

 

「お前を縛る運命も破壊して見せろ」

 

 気付くとソウゴはいつの間にか見知らぬウォッチを握り締めていた。

 そのウォッチは他のライドウォッチと違い形状が横に長く、ウォッチでありながら横にはスロットが付いていた。

 すると、段々周りの空間が歪んで行き微かに見えていた人影が途端に見えなくなっていく。

 オーロラが晴れるとそこには先程の男がおらず、元の留置場に戻っていた。しかし、ソウゴの腕の中に宿るマゼンタ色の異質なウォッチのみは変わらず存在し続けていたのだった。

 

 

 一方その頃別の留置場のフロアでは、

『サーチホーク!探しタカ!タカー!』

 ツクヨミが放ったタカウォッチロイドが戻ってきて情報を伝える。

「この先にソウゴがいるみたい!」

「よし、行くぞ」

 長い廊下を抜けようとした矢先、横から人影がぬらりと現れ二人の前に立ちはだかる。

「待て、先へは行かせないぞ」

 そこにいたのは、かつてゲイツも見た事のある仮面ライダーフリーゲルであった。しかし、やはりベルトのみパンドラの時と同じマゼンタ色の独自のものとなっており、その雰囲気も相まって前回と同一人物である事が分かる。

「また違うライダー…」

「今お前達を合わせる訳には行かないんでな、ここでお引き取り願おうか」

 フリーゲルが軽い調子で二人に諦めるよう忠告するが、当のゲイツはそれを素直に聞くような男では無かった。

「悪いがこっちは急いでるんだ。相手をしている暇は無い」

『ゲイツ!』

 ウォッチを回して腕を旋回、ベルトを回転させ背後の時計が回る。

「変身!」

『ライダータイム!仮面ライダーゲイツ!』

 変身完了すると迷わずフリーゲルに飛び掛かる。だが、やはり相手は只者では無く、軽くいなされ逆にカウンターを喰らい徐々に押され始めていく。

 しかし、今回はゲイツもやられっ放しでは無かった。

「だったら、こいつでどうだ!」

『フリーゲル!』

 いつの間にやらソウゴから借りていたフリーゲルライドウォッチを起動する。ドライバーに取り付け起動させると背後にゲイツカラーに差し替えられたフリーゲルアーマーのパーツが現れる。

『アーマータイム!ビルドアップ!フリーゲル!』

 尚もフリーゲルに抵抗し続けるゲイツの動きに連動しながら、アーマーが自動的にゲイツの体に装着され、ゲイツ・フリーゲルアーマーに変身完了する。

 同じ力で対抗し始めた事でフリーゲルの反応が変わり、両者は拮抗していた。

 そして、一瞬の隙を見せたところでゲイツが素早い判断を下し、ウォッチのスイッチを押して必殺技の構えを取る。

『フィニッシュタイム!』『フリーゲル!』

『コンプリート!タイムバースト!』

 ゲイツが飛び上がり必殺キックを叩き込む。対してフリーゲルはガードするも威力を抑えきれず後退し膝をつく。

「やるな…だったら、こいつならどうだ?」

 するとフリーゲルが新たなカードを取り出す。

 そこに描かれているのは、ゲイツ達がまだ見ぬ別のライダーであった。

『カメンライド…ジェイル!』

『ブレイク・ア・プリズン!!ゲット・ア・フリーダム!!』

 すると何も無い空間から鉄格子が現れフリーゲルを覆い隠し、その後再び開かれた際には別のライダー、ジェイルに姿を変えていた。

「何!?」

「姿が変わった…?」

 困惑するゲイツ達を他所に、ジェイルが右手に手錠型のメリケンサック、チェイン・ナックルを構え反撃に出る。

 ジェイルについてはよく知らないゲイツは、戦法を大きく変えられたのも相まって、さっきと打って変わり防戦一方に。

 ナックルの一撃にゲイツが大きく吹っ飛ばされたところで、ジェイルがレリーフの書かれた必殺技用のカードを挿入する。

『ファイナルアタックライド…ジェ・ジェ・ジェ・ジェイル!』

 ジェイルが振り上げた足から射出された手錠型のエネルギーがゲイツを拘束する。身動きが取れない間にジェイルが飛び上がり、さっきのお返しとばかりに回転蹴りを炸裂させる。

 手も足も出ず諸に食らったゲイツは派手に地面を転がり変身前の姿に戻る。

 ツクヨミが駆け寄る中、ゲイツはジェイルの姿をした相手を凝視すると息絶え絶えに言い放った。

「貴様…何者だ…?」

「…通りすがりの仮面ライダーだ。覚えとけ」

 ジェイルはゲイツの言葉に静かにこう返すと、そのまま背を向け彼らの元から去っていった。

「待て…」

 ふらつく足に力を振り絞り、ゲイツが立ち上がろうとすると廊下の奥から聞き慣れた声に名を呼ばれる。

「ゲイツ!ツクヨミ!」

 ジェイルが消えたのとは反対方向からソウゴがやって来てゲイツとツクヨミのところまで駆け付ける。

「ソウゴ、どうしてここに…?」

「俺もアナザーライダーを追って檻から出て来たんだ」

 ツクヨミの疑問にソウゴが答えている間に後から岩さんが追いついて来た。岩さんは本来ならここに居ないはずのゲイツとツクヨミを見て目を尖らせる。

「おい、お前ら!勝手にここに入って来てんじゃねぇ!不法侵入だぞ!」

 余計話が拗れそうな為ソウゴ達は岩さんに正直に全てを打ち明ける事にしたのだった。

 

 

 場所を変え、留置場の取調室で集まって話をする4人。自分達の事情を全て岩さんに話したソウゴ達はアナザージェイルの話に移った。

「ウォズの話ではアナザージェイルが生まれたのは俺のせいらしい」

「どういう事だ」

 

 

 詳しい内容はこうである。

 まず、ウォズが密かに細工していたタイムマジーンによってソウゴは間違えて2017年に行く。

 一方現代のアナザーパンドラも門矢士によって2017年に飛ばされる。

 そこで現代のアナザーパンドラは2017年においてソウゴによって倒される。

 しかし、解良が一番最初にアナザーライダーになったタイミングである2015年のアナザーパンドラが倒されていない。

 故に何処かでアナザーパンドラはまだ存在している事になっており、現代の解良もまた2017年に取り残されてしまった事で新たなに力を与えられアナザージェイルとして別々に存在する事になってしまった。

 その為、2015年のアナザーパンドラを倒さない限り、事件は完全に解決しないのである。

 

 

「俺は2017年でアナザーパンドラを倒しちゃったんだ」

「つまり、2015年でしっかりとアナザーパンドラを倒す必要があるという事か」

「うん、だからゲイツこれ」

 ソウゴが渡したのはパンドラライドウォッチだった。

「アナザーパンドラは任せたよ!」

 ソウゴから何の疑いもなく屈託の無い笑顔を向けられる。

 ゲイツは一瞬鋭い視線を向けるが、事態が差し迫っている事もあり、渋々ウォッチを受け取った。

「俺達は取り敢えず今逃げているアナザージェイルを追う。タイムマジーンを使えば捕まえられる筈だ」

 これからの行動が決まったソウゴ達は留置場の入り口を出てタイムマジーンの元に向かおうとする。

 そんな彼らの後ろ姿を見て、岩さんは意を決めたように後ろから声を掛けた。

「おい!王様さんよ!」

 岩さんがポケットから何かを取り出すとソウゴに向けて投げ渡した。

「これ…」

「それは快気祝いだ!」

 慌ててキャッチしたソウゴの両手には白黒のライドウォッチが握られていた。

「ちょっと前に、旅に出てる生意気な知り合いに渡されてな。この際だ、お前が持ってろ!」

 岩さんからの思わぬ計らいにソウゴは驚きを隠せない。

「お前はもう釈放だ!後は俺の方で手続きしといてやる!」

「ありがとう!岩さん!」

 ソウゴは心から感謝すると、ウォッチを掲げてゲイツとツクヨミと共に自身のやるべき事をする為に掛けていった。

 岩さんは三人の若者の後ろ姿に笑みを浮かべると、静かに見送ったのだった。

 

 

 ソウゴ達はアナザーパンドラ、アナザージェイルをそれぞれ二手に分かれて倒す為にマジーンの元に向かおうとする。

「行かせませんよ!」

 そこに、突如上空から白いボディの戦車がカスタマイズされたタイムマジーンが落下してくる。

 本来のものと違うその異質なマジーンを見て、ソウゴ達は瞬時にタイムジャッカーだと察する。

 マジーンを操縦するツァイトは、コクピット内で譲れない思いを吐露していた。

「今回はあのお方がやって来るんです…!その為にも、今回だけは…、今回だけは…!」

 

『邪魔される訳には行きません!!』

 

 ツァイトの叫びが響くと共に、マジーンの下にセットされた戦車が変形し始める。

 4輪のタイヤがパーツと共にマジーンの上を滑り足元に2対ずつ設置される。本体の機体は頭部の辺りに食い込み、背中から長い2本のアームと巨大な主砲が伸びるロボモードに変形した。

 かつて仮面ライダーパンドラが使用していた巨大マシン・バトルマッシャーをツァイトはタイムマジーンと合体させ、ソウゴ達の前に立ちはだかった。

「仕方ない、俺達もマジーンで応戦しよう!」

 ソウゴとゲイツはマジーンに乗り込むと内部で変身し、それに呼応してマジーンもロボモードに変形する。

 二人掛かりでツァイトのマジーンに立ち向かうものの、バトルマッシャーによって体格が2倍以上違う為ほとんどの攻撃が通らずダメージを与えられないでいた。

 おまけにアームや主砲の攻撃は一撃でジオウ達を吹っ飛ばすには十分な威力で、二対一の状況にも関わらずツァイトのマジーンに押され気味であった。

「くそっ、パワーが違い過ぎる…!」

「ゲイツ!だったらこれで!」

 状況を打開する為ジオウとゲイツがそれぞれウォッチを取り出し起動させる。

『フリーゲル!』

『イカラス!』

 するとそれに合わせてマジーンの頭部に付くウォッチがそれぞれフリーゲルとイカラスのものに変わり、モードを変更する。

 イカラスモードのゲイツのマジーンがロボ形態にも関わらず高速で飛行してツァイトのマジーンを翻弄している間に、フリーゲルモードのジオウのマジーンが、両手に持つ剣と盾で攻撃を防御しながら2本のアームと主砲を切断し無力化させる。

「え、あ、ちょっ…、待って…!」

 突然のチームプレイに押され始めたツァイトはパニックに陥り、その間にウォッチを起動して必殺技を発動させる。

『フィニッシュタイム!』

 ジオウが飛行するゲイツの背中に乗り、そのまま一直線に突撃していく。剣を突き立て、ツァイトのマジーンをすれ違いざまに一閃しボディを真っ二つに切り裂いた。

「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!そんなぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 ツァイトの絶叫と共にマジーンが大爆発を起こした。すぐ様ジオウのマジーンが飛び降りるとゲイツはそのまま時空を超え2015年に直行する。

「よし、俺達はアナザージェイルを追おう!」

 ジオウは一旦マジーンを下ろしツクヨミを乗せると、この時代に逃げ込んでいるアナザージェイルを捕まえる為再びマジーンを飛ばした。

 

 

2015年

 ツァイトと契約し力を得たばかりの解良はアナザーパンドラとなり暴れていた。

 そこにゲイツのタイムマジーンが下り立つ。

『ん?誰君?』

 中から出てきたゲイツに向けて疑問を向けるも、対する本人はジクウドライバーを腰に装着し構える。

「お前とはきっちりケリを付けさせてもらう」

 ゲイツはウォッチを起動させ、アナザーパンドラと相対する。

 

 

 対してソウゴ達は2017年のままマジーンを使って逃げたアナザージェイルを見つけ出し追い詰める。

 再び街で暴れていたアナザージェイルの前にジオウが立ちはだかる。

『そっちから来てくれるなんてな…今度こそ息の根を止めてやる…ッ!』

 殺気を滾らせ構えるアナザージェイルを前に、ジオウは岩さんから渡されたウォッチを起動させる。

『ジェイル!』

 左スロットに挿入し、ドライバーを回転させる。

 すると前方に仮面ライダージェイルを模したアーマーか召喚される。

『アーマータイム!ブレイク・ア・プリズン!ジェイル!』

 アーマーがジオウの身体に装着されていきその姿を変えていく。

 ところどころに白黒の装甲が付与され肩にはキーがでかでかと並んでいる。両手にはジェイルの武器を模した巨大なグローブ、チェイン・ナックルZが備えられ、顔いっぱいには『ジェイル』の文字。

 ジオウ・ジェイルアーマーに変身完了した。

 その姿を見て、建物の屋上からウォズが声高らかに宣言する。

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ・ジェイルアーマー。また一つライダーの力を継承した瞬間である!」

「それは一体誰に向かって言ってるんだ?」

 すると、背後から門矢士が現れ冷静にツッコミを入れる。当然の疑問を指摘されたウォズは咳払いをして士の言葉から目を逸らした。

 ジェイルアーマーの攻撃はアナザージェイルにもしっかりと通用し、チェイン・ナックルZの一撃はその拘束具による防御も破りしっかりとダメージを与えていた。

 またもや押され気味のアナザージェイルが気合を発すると、背後からどす黒いオーラが吹き出してそれが異形の人型に姿を変えていく。

 アナザージェイルが変換した恨みや殺意といった負の感情がその能力によって具現化し、まるでゾンビの如くジオウにぞろぞろと向かっていく。

しかし、それにも怯まず一体一体殴り飛ばしていくと、一掃する為にウォッチを起動して必殺技の準備に出る。

『フィニッシュタイム!』『ジェイル!』

「俺は今、自由な気がする!』

 ドライバーを回すと音声が読み上げられ、ジオウは両手の拳を構える。

『チェイン!タイムブレーク!』

 ジオウの足元から巨大な手錠型のエネルギーが飛び出し、邪悪なオーラを一箇所に縛り上げる。

 身動きが取れなくなったのを確認するとジオウがそこに向かって駆け込んでいき、力一杯その強力な拳によるパンチを叩き込んだ。

 たちまち爆発が起こり、炎と共にオーラは霧散していった。

 相手を仕留め、ふっと力を抜いたジオウだったが近くで見ていたツクヨミがその異変に気付き叫ぶ。

「待ってソウゴ!まだ倒せてないわ!」

 その忠告とほぼ同時に隠れ潜んでいたアナザージェイルが背後からジオウに飛び掛かってくる。

 

 

2015年

 ゲイツはジカンザックスを振るいアナザーパンドラを押していた。

『こうなったら…これでも喰らえー!』

 拉致の開かないアナザーパンドラは空中からキューブを出現させゲイツに向けて飛ばす。

 途中で分解しゲイツの身体に無数にくっ付いたキューブがそれぞれ表面にパズルを浮かび上がらせ、徐々に熱を帯びていく。

『フフフ…君に解けるかな?』

 前回よりも多くのキューブがくっついている為、爆発すればその威力は前回の比では無い。しかし、ゲイツは慌てずに冷静にジカンザックスのおのモードを起動させ必殺技の態勢を取る。待機音が秒針を刻み、タイムリミットが刻々と迫る。

『5…4…3…2…1』

 キューブの残り時間が限界を迎え、アナザーパンドラが勝利を確信し油断し切ったところで、ゲイツが動き出しジカンザックスのトリガーを引き大きく振るう。

『ゼロタイム!』

2!0!1!5!

 瞬時にゲイツがパズルに数字を打ち込む。するとキューブはすぐに外れそれを振り上げたジカンザックスの一撃でそのまま相手に向けて吹っ飛ばす!

『ザックリ割り!』

 必殺技の一撃と共に自分の放ったキューブが跳ね返され逆に自身が爆発を喰らう。

『がああっ!?』

「残念だったな。その手のパズルは、光一(アイツ)から既に習得済みだ!」

 ゲイツが光一から貰ったナンプレを取り出し、自信満々に語る。

 不意を突かれアナザーパンドラが怯んでいる間にジカンザックスをゆみモードに変え、パンドラライドウォッチを取り付ける。

『フィニッシュタァイム!』

 弦をいっぱいに引き、エネルギーが充填されていくや否やトリガーを押して弦を射出する。

『パンドラ!ギワギワシュート!』

 先端からキューブ型のエネルギーが発射され、アナザーパンドラを見事に貫く。一瞬体に3×3のマス目の入った立方体模様が出たかと思うと、たちまち大爆発を起こした。

『あがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 爆炎からアナザーウォッチが飛び出し、空中で粉々に砕け散っていった。

「そっちは任せたぞ、ジオウ」

 ゲイツは空を見上げ、別の時間で戦っているソウゴに向け静かに呟いた。

 

 

2017年

 密かに攻撃を避け、ジェイルアーマーでも倒しきれなかったアナザージェイルがジオウの首を凄い力で締め上げる。

 辛うじて抵抗しもがくジオウに対してアナザージェイルが恨みを込めて言い放つ。

『お前なんかが…王様になれる訳ないだろうがぁ…ッ!!!』

 その言葉を聞いてソウゴの脳裏にかつての言葉がよぎった。

 

ーまぁでもそんな奴が王様になったら、ホントに世界を平和にする事もできるかもな

 

ーお前を縛る運命も破壊して見せろ

 

「いや…俺は王様になる…なってみせる!」

 覇気を取り戻したジオウはアナザージェイルの拘束を振りほどくと、無意識に士から渡されたディケイドライドウォッチを取り出していた。

「俺を縛る運命なんて…破壊してみせる!」

『ディ・ディ・ディ・ディケイド!』

 ウォッチのスイッチを起動させドライバーに取り付けると、ジオウの周りにカードが現れる。

『アーマータイム!カメンライド!ワーオ!ディケイド!ディケイド!ディケイドー!』

 カードが重ね合わされるのと同時にジオウの身体に今までのアーマーとは全く違う、マゼンタカラーの独自のものが融合する。

 マゼンタと黒の配色で、ガッシリとした装甲がジオウを包み、胸には十字型の巨大なボディが身を守りそこにはバーコードのような模様が並んでいる。顔はカード型の平らな枠に直接顔が刻み込まれ普段と打って変わり緑の文字で『ディケイド』と描かれている。

 世界の破壊者・ディケイドの力を宿した、ジオウ・ディケイドアーマーが誕生した。

「祝え!全ライ…」「くどい」

 再び祝おうとしたウォズから逢魔降臨歴を奪うとすかさず黙らせる士。気を取り直して自身の力を身に纏うジオウに不敵な笑みを浮かべる。

「さぁ、見せてみろ。常磐ソウゴ」

 ジオウが空中に手をかざすと何処からともなく新たな武器が支給される。

『ライドヘイセイバー!』

 時計を模したデザインが付いたその長剣を構えアナザージェイルに挑みかかっていく。

 先程以上にアナザージェイルの防御を貫通し、ドンドンと押していく。

 するとウォッチのスロットに気付いたソウゴが別のウォッチを取り出す。

「これ…もしかして!」

『フリーゲル!』

 フリーゲルライドウォッチを起動させ、ディケイドライドウォッチのスロットにはめるとディケイドアーマーに変化が起こる。

『ファイナルフォームタイム!フ・フ・フ・フリーゲル!』

 たちまち全身の姿が変わり、仮面ライダーフリーゲルの強化形態、フリーゲル・ビヨンドビルダーを模した姿になる。

 身軽な動きでアナザージェイルを翻弄していくと、今度はライドヘイセイバーの長針を動かしてみる。

『ヘイ!ソング!』

 ソングのレリーフが浮かび上がり、ジオウは剣を構えるとトリガーを引く。

『ソング!デュアルタイムブレーク!』

 ライドヘイセイバーから音符と共に七色のオーラが溢れ出し、それを使ってアナザージェイルを斬りつける。

 怯んだアナザージェイルを横目に再び長針を動かす。

『ヘイ!シャドウ!』

『シャドウ!デュアルタイムブレーク!』

 今度は打って変わって闇のエネルギーが漏れ、アナザージェイルを包み込むとエネルギー波を発して吹っ飛ばす。

 間髪入れずに再びジェイルライドウォッチを取り出すと今度はそれをスロットに挿し込む。

『ファイナルフォームタイム!ジェ・ジェ・ジェ・ジェイル!』

 強化形態である仮面ライダージェイル・パッショネス・サンを模した姿へと変わり、アナザージェイルを有無を言わさず追い詰める。

「これでトドメだ!」

『フィニッシュタイム!』

 ディケイドライドウォッチを装填し、針を3周させる。

『ヘイ、カメーンライダーズ!(ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘヘヘイ!セイ!……!)』

 やかましい待機音を背にジオウがライドヘイセイバーを手に構える。もはや満身創痍でよろよろと立ち上がるアナザージェイルに向けトリガーを引く。

『ディ・ディ・ディ・ディケイド!平成ライダーズ!アルティメットタイムブレーク!』

「おりゃああああああああああああ!!!!」

 平成ライダーの力の込もったカード型エネルギーが並び、それに合わせてアナザージェイルを十字に切り裂いた。

 通常の比ではない程の大爆発が巻き起こり、アナザージェイルは完膚無きまで叩き潰された。

 炎が晴れると黒焦げの解良がボロボロの囚人服姿で背中から崩折れた。彼から吐き出されたアナザーウォッチは傍らで電撃を発するとバラバラに破壊された。

 ディケイドアーマーはライドヘイセイバーを手に、勝利の余韻に浸りその場に佇んでいた。

 

 

2018年

 現在、ソウゴ達に力を託した彼らは変わらず普段の生活を送っていた。

 ナンプレ片手に今日も大学を通学する光一。

 ふと立ち止まり空を見上げると、何処か満足したような笑みを浮かべ学校への道を急いだ。

 岩さんもまた、今日も今日とて町の平和を守る為天丼を食しながらも警察として活動に慈しむのだった。

 仮面ライダーという運命が交わらずとも、彼らの根底にある信念もまた変わる事は無い。

 

 

 現代に戻りソウゴとツクヨミはクジゴジ堂に帰還した。

「ただいま!」

「あっ…おかえり」

 玄関に入ると順一郎が不安そうな顔でソウゴ達を出迎える。

「おじさんお腹減った!」

「あ…お腹すいた?今ねソウゴくんにお客さんが来てて、そのお客さんがソウゴくんのご飯食べちゃった…」

「はぁ?」

 帰ってきて早々意味不明な発言に思わずソウゴが声を漏らす。

「あ、すぐ作るから!」

「えっ…ちょっと、はぁ!?」

 困惑しながら部屋に入るソウゴ。

 そこにはゲイツに睨まれながらソウゴの夕飯を呑気に食している男がいた。

「どちら様ですか?」

 ソウゴの問いに対して、食事を終え満足そうに立ち上がった男は口を開いた。

「門矢士。通りすがりの仮面ライダーだ」

 そう言っておもむろに士がソウゴに向けてシャッターを切る。その飄々とした態度に、思わずゲイツもいきり立ち腕のウォッチに手を伸ばす。

 しかし士は気にせず厨房の方の順一郎に向けて礼を言った。

「ご馳走さま、美味かった」

「あ、お粗末様でした。またよろしくお願いします…って、うち時計屋なんだけど」

 少し店のものを除いた後そのまま店を出ようとする士に対して、慌ててソウゴが後ろから止める。

「ちょっと待って!?」

 

 

 

この本によれば、例え彼らが歴史に小さな変化をもたらしたとしても、門矢士の登場によって大いなる歴史の流れが始まる。そう、私の思い通りに…

 

 

 

 士の背中に向けてソウゴが質問を突きつける。

「俺に用があって来たんじゃないの!?」

「あぁ…そうだった。お前、王様になりたいんだってな?」

 突然の質問に思わずソウゴは、うん、と答える。

 そんなソウゴににじり寄り、襟を弄ると無慈悲に言い放つ。

「だが無理だ。この世界は俺に破壊されてしまうからな」

 ソウゴ達は士の悠々としたその後ろ姿を険しい表情で見つめる事しかできないのだった。




今回のアナザーライダーはちょっと複雑になっちゃいましたね。

仮面ライダージェイルは主人公の人生がかなりライダーの運命に引き寄せられ過ぎてて、歴史改変された場合どのような結果になるのか皆目見当がつかなかったのでこのような展開となりました。
もっとも主人公以外の人間からウォッチを託される展開も一度はやってみたかったのもあり、岩さんとソウゴを絡ませてみました。

そして、次回は予想付かない衝撃の展開となっております。どうぞご期待下さい!


追記
タグに「オリジナルミライダー」を追加しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。