ヤンデレゲットだぜ!   作:デンジャラスzombie

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新しいヤンデレの追加タイムだ!多分だけど擬人化もされてないこのポケモンを病みヒロイン?枠にしようとしてるのこの作品だけな気がする。

今回でリタイアする人多いかも……どうしても無理な人は適当に脳内擬人化でもしてください


グライオンのヤンデレを考え直せが多すぎて草生えた


VS排除系

 ゴローンの大群を無事突破する事ができたカブト一行。やたらと勝負を仕掛けてくる山男達を軽くいなしながらテンガン山を抜けるべく出口を探す。暗い洞窟の中では外の光は眩しく映る。存外早く見つけることができて彼らは安心した。

 

 遭難なんかすると中々洒落にならないからね。

 

 なんとかテンガン山を抜けたカブト一行。正確には抜けたと言うよりも途中下車、つまり完全に突っ切った訳ではなくハクタイシティの付近で一旦降りる事にした。

 元よりカブトは行うジム戦を、ハクタイ、クロガネ、ミオ、ヨスガ、トバリ、ナギサ、ノモセ、そしてキッサキの順番で回る事を決めていた。順番は特に意味はない。単純に周りやすい様に選んだだけだ。

 

 ジムリーダーは挑戦者の持つジムバッジの数で使うポケモンのレベルを決める。故に自分の苦手タイプを先に消化し、得意なタイプは後に残すのが定石。

 しかしそれで良いのだろうか? とカブトは疑問を投げかける。本当にそれで勝ち上がって真に強いといえるのだろうか。そこでカブトは特に周るジムの順番は拘らなかったのだ。

 カブトがこの様な奇怪な発想に至ったのは、全てユキちゃんをラオウ系女子と勘違いした事に起因するが今回ばかりはユキちゃんは悪くない。

 

 こうして、晴れてハクタイシティ郊外に降り立ったカブト一行。目指すのはもちろんハクタイジム。

 カブトがハクタイシティの中に入る為に足を動かした直後、

 

 

 

 

 

 

 

 

 凄まじい速度で周囲の木をなぎ倒しながら現れたポケモンにカブトが連れ去られてしまう。

 

 余りにも早い誘拐、俺じゃなくても見逃してたね。白昼堂々いとも容易く行われるえげつない行為(誘拐)。余りのことに流石のユキちゃんも呆然とカブトが連れ去られていくのを見守ることしか出来なかった。

 

 一方のカブト。自分に何が起こったのかすらまだ分かっていない。今の彼はいわばポルナレフ状態、文字通りポッポが豆鉄砲を喰らった様な面をしているのだ。

 そのままふわふわと連れ去られること約数秒間、ハクタイの森と思われる場所に到着した。森の木に作られた巣穴の様な場所に押し込まれるカブト。その時彼は初めて自分を誘拐した相手の全貌を確認することができた。

 

 幅広く赤い複眼に全身を覆う深緑の甲殻、常に羽ばたきを止めない二対四枚の羽、そして恐ろしく開かれた強靭な顎。

 

「メガヤンマ……」

 

 虫タイプのポケモンの中でも屈指の実力を誇るポケモン、メガヤンマ。高速で移動し、その強靭な顎を使って敵の首を噛みちぎる戦法を好むと言われている凶悪なポケモン。

 すっごーい! 君は高速で移動して相手の首を噛みちぎるのが得意なフレンズなんだね! 

 ユキちゃんと引き剥がされた状態でそんなポケモンに拐われてしまったとなれば辿る道筋は一つしかない。

 

 即ち死あるのみ。

 

 この世界においてポケモンの攻撃によって人間が死亡する事件は少なくない。現にギャラドスによって町を壊滅させられる事件は確認されているし、遠くの地方では守り神と言われるポケモンの怒りを買ったが故に一つの町が滅びたとも聞いた事がある。カブトはその事を思い出しゾッとした。

 

 せめてユキちゃんがそばにいれば最悪の事態は回避できたかもしれない。カブトは自分の迂闊さに歯噛みしたが後の祭り、今のカブトに出来ることは何一つない。

 いっそ一思いに……と、カブトは目を固く閉じて最後の時を待つが一向にその時は訪れない。不審に思い目を薄く開けて現状を確認しようとするが、運悪くその時顔を近づけていたメガヤンマと目があってしまう。

 

 暫くメガヤンマと見つめ合うカブト。目と目が合う瞬間好きだと気付くことは勿論無い。側から見れば中々に面白い現場だが、本人からすれば必死の行動。目を逸らしたら殺される、とばかりにメガヤンマの不気味な複眼を睨み続ける。

 

 どれほどの間見つめあっていただろうか、カブトはやがて自分がいつまで経っても食われない事に不信感を抱く。

 

「た、食べないんですか……?」

 

 思わず問いかけるカブト。言葉は通じなくとも場の雰囲気的な感じで内容を読み取ってくれることを祈る。

 

『食べないよ! どうしてそんな野蛮な発想になるんだい!?』

 

 律儀に返答を返すメガヤンマ。しかしその言葉はカブトには当然通じない。長い年月を共に過ごしたユキちゃんならともかく、さっき出会ったばかりのメガヤンマの気持ちを理解しろなど無理な話。カブトは案の定口を開けて、頭が悪い人の如くバナナを考えているかの様な表情で虚空を見つめ始めた。

 

『嗚呼、こんな事が偶然であるものか! これはまさしく運命だとも! まさかキミとこんな場所で会えるなんてね。思わず連れてきてしまったよ。手荒な招待ですまなかった。だがキミはあの時から変わらないカッコ良さだね! この状況はまさしく世界が、アルセウスがボク達を祝福しているに違いない! ねぇ、キミもそう思うだろう?』

 

 何やら捲し立てているが当然カブトに言葉は通じない。だがカブトにも、このメガヤンマが自分の事を知っているのだと理解することはできた(驚異の理解力)。

 

 

 

 

 そう、あれはまだメガヤンマがただのヤンヤンマだった頃の話。大量発生によってカントー・ジョウト地方に異常な程の姿を見せた時、彼女は群れから逸れてしまいマサラタウンの付近にまで迷い込んでしまった事があった。

 当時まだ生まれたばかりでもあったヤンヤンマは飛ぶ事に疲れ、木の枝に一休みしていた彼女はまだ幼きカブトを発見したのだ。当時の彼はまだ2〜3歳、おそらく親の目を盗み家から飛び出してきたのだろう。一人であたりを駆け回る幼きカブトを見て、彼女はこう思った。

 

 あ、めっちゃタイプなイケメンだ! 

 

 一応注釈しておくがこれはカブトがヤンヤンマに似た顔をしているからと言う訳ではない。単純にこのヤンヤンマの頭がおかしいだけなのだ。

 

 特に命を助けられたとか、ピンチを救ってもらったとかそんなものは一切ない。一目惚れ、即落ち二コマである。

 彼女がカブトをこのまま連れ去り逆光源氏計画でもやってやろうかと考えていたその時、事件は起こった。

 突如飛来した伝説のポケモン、ホウオウがカブトを拐って行ってしまったのだ。彼女は必死で追いかけたが到底追いつかない。仮に追いついたとしても彼女の力ではカブトを取り返す事は不可能だっただろう。

 

 彼女は自分の無力さを悔やんだ。そして誓ったのだ。いつか必ず強くなって、今度こそ愛する人を仇なす者全てを排除しようと。

 いつか自分に現れるであろう運命の相手、その相手を守る為に彼女は必死で力を身につけた。

 そしてなんやかんやでセルフメガ進化、もしくはリアルゲンシカイキとでも言うべきか、ヤンヤンマの可愛らしかった頃の面影は殆ど残されていない凶悪な形相のメガヤンマへと進化を果たしたのだった! 

 

 余談ではあるが、カブトは自力でホウオウから脱出し家に帰った。色々と強すぎる。

 

 

 

 しかし当然そんな昔の事をカブトが覚えている筈がなく、加えて言うならただその場にいただけのヤンヤンマなど絶対記憶に残らない。

 

 その為カブトは、

『どこかで見た旨そうな人間を拐ってきたから暫くしたら食う』

 と、勘違いをしてしまった。まぁ、当然の帰結ではある。

 

 メガヤンマが過去を回想する際に目を逸らした一瞬、その一瞬の隙をつきカブトは巣穴から脱出する。ビル3階分に相当する高さの木から飛び降りた事で少なからずダメージを受けた。しかしカブトの足の骨は折れていないし捻挫した訳でもない。走れるならば問題ないと考えたカブトは森の中に逃げ込みその身を隠す。今カブトのすべきことはこの森からの脱出、出来れば人の多い場所に逃げ込むこと。一縷の望みをかけてカブトは走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

『あれ、どこ行くの? …………あー、成程鬼ごっこか! いいよ、久しぶりに会えたんだ。キミの遊びに付き合うとも。ハンデはどれくらいがいい? 何分待とうか? けど覚悟してよね、ボクは例えキミが何処に隠れようとも、何処に逃げようとも、必ず追いかけて見つけ出すからね…………?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 走る、走る、走る。一体どれほど遠くへ逃げただろうか、追い立てられる焦りと捕まった時の死の恐怖。この二つがカブトから体力と冷静な判断力を奪い始める。遠くで聞こえる茂みを揺らす音にさえ怯えてしまう。カブトの体は超マサラ人の体とは言えその精神はまだ十歳になったばかりの子供と同じ。このままでは近いうちに限界が来るだろう。

 

 だが、決して逃げきれないといった予想に反していくら待ってもメガヤンマはやってこない。まさか……と淡い期待がカブトの胸に湧き上がる。

 

「もしかして……逃げきれ……!!」

 

 カブトがその言葉を紡ぎ終える前に爆音が鳴り響いた。カブトが目を向けると、そこにはハクタイの森の木々を薙ぎ倒し悠々とカブトの前まで降りてくるメガヤンマの姿があった。

 

『ハンデの時間はもう終わり。案外早く見つかって良かったよ。言ったでしょ? ボク達は運命で繋がっているってね。キミが例え何処の地方に居ようとも、どんな世界に居ようとも、なぞのばしょに隠れ潜んだとしても、必ずボクが見つけてあげる』

 

 そう言いながらじわりじわりとカブトににじり寄るメガヤンマ。カブトはもう完全に逃げ場を失っていた。

 

『アハハ、そんなに怖がらないでよ。ボクはキミには何もしないよ? キミの害悪になるものなりそうなものその全てはボクがちゃーんと壊してあげるから。キミは安心してボクに体を預けてよ。二人で幸せになろ?』

 

 顔と顔とがくっ付きかねない距離まで接近を許してしまったカブト。彼は死を予感して固く目を瞑る。メガヤンマはそんな彼の顔に手を伸ばし、そして…………

 

 

『カブトから離れなさい! 害虫!』

 

 カブトとメガヤンマを仕切る様に地面に細い白い線が描かれる。メガヤンマは何か嫌な予感がしたのか咄嗟にその場から飛びすさり、『みきり』を発動して攻撃を回避する。

 刹那、メガヤンマからカブトを守る様に地面に描かれた白い線から氷でできた巨大な壁が形成されカブトとメガヤンマの空間を完全に分離した。

 

 カブトが驚いて声の聞こえた方向に顔を向けると、そこに居たのは白い和装をした女性の様な姿のポケモン、カブトのユキメノコこと、ユキちゃんだ。

 

 凛々しいその姿、まさに救世主! やったねカブト君! これで助かるよ! …………いや、よく考えたら悪化しただけだったわ。




カブト
存在するだけでヤンヤンマを惚れさせる程度の能力。ホウオウに連れ去られた気がしたがそんな事は無かったぜ!

ユキちゃん
今回ほぼ空気。次回血の雨が降る

メガヤンマ
トレーナーの力を借りずにメガ進化を行うヤベー奴。しかも不可逆。
愛する人に近づく雌を皆殺しにする系ボクっ娘ヤンデレガール

タイプ
虫/飛行/排除

ナタネさん
出番マダー?




次回、純情ジェノサイダーメガヤンマVS凍結保存のクールビューティユキちゃん


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