「あれ、ここは?」
そう呟く一見すると男に見紛う姿をした少女。声もどことなく男性に聞こえてしまう。
その少女は真っ白な世界に一人只ずんでいた。
「「ここは、君の世界で言うあの世とこの世の境目。つまり三途の川みたいなものかな」」
少女以外の声が、反響したように聞こえてくる。
「どういうことですか」
少女は自分がここにいる意味を、理由を知らないのか疑問を返す。
「「覚えてないのか…まぁ仕方ないよね」」
少女の目の前で光が瞬いたかと思うと、少女は己を抱きしめ、身を細かく震わせている。
「あ、あぁ……ああああああああああああああああああああああああああああああ!」
少女は奇声とも取れる絶叫を迸らせる。
「ごめん。少しきつかったかな。だけどね」
ふとハッキリした声が聞こえ、少女は前を見る。
そこには少女より、とても若い幼稚園児位の女の子がいた。
「思い、出しました。私は生きるのが辛くなり自殺したのだと」
「本当なら、君は幸せになるべきだった。だけどそれは成されなかった。だから、ボクは君を生き返らせようかと思って」
その言葉を聞いた少女は微笑み
「生き返る。なんて嫌ですよ、あの体は私には会いません」
「そう言うと思ったよ。だから君には別の世界に行ってもらうのさ。君にあった体も用意するし、君が望むなら、なんでも叶うよ。だから、どうかな?」
「……」
少女はひとたび目を閉じ、何かを感じているような、祈っているような雰囲気を醸し出した。
「そうですね。ある程度は制約もあるでしょうが、よろしくお願いします」
「分かった。ちなみに、今から君は『転生』する訳だが、よくある何らかの作品という訳では無いから、君には自身で頑張ってもらうこともあるよ。だけど、生まれる所は日本だから、安心してね。」
じゃあ、頑張ってね。
その言葉を聞いた瞬間少女は心を解き放たれた気がした。
とある病院の一室。
「おめでとうございます。女の子ですよ」
医者が、にこやかに伝える。
「ありがとうございます……」
それに嬉しそうに返すお腹を膨らませた女性が居た。その横には男性も。
「良かったな里奈」
男性が女性に話しかける。里奈と呼ばれた女性は、
「うん。この子が生まれたらその時はもの凄く幸せにしてあげようね。ね、陽太」
それに陽太と呼ばれた男性は
「そうだな。俺たちで、幸せにしてやろう」
そうして、二人は医者に頭を下げ、病院を後にする。
そして帰り道にふと陽太は聞く。
「そういえば、この子の名前はどうするか決めたのか?」
「うん。決めてるよ。この子の名前は『陽奈』私と、陽太から1文字ずつ取ったんだ。まぁ、次に子供作る時はもう名前取ってくることは出来ないかもだけど、ね」
「はははっ、俺も同じ名前考えてたよ。良かったな、 陽奈」
そう答えて、里奈のお腹をさする。それに応えたかのように、そのお腹が揺れ動いた。