まどかかわいいよまどか(?)
今日は『太陽の畑』まで出かける。理由は、夏になったので、咲夜さんやレミリア、パチュリーが使っている香水を一新すると言う話になったからだ。
香りはグレープフルーツにすると言っていた。
「支度、できた?」
「うん。まぁ、いつもの服なんだけどね」
俺は特に持ち物もないので、いつもの黒い服を着るだけになっている。ボレロやブラウスは半袖だ。
「ここから、飛んでいくわよ」
「……ほわい?」
紅魔館の門を出て少ししたところで、咲夜さんはそう言った。
でも、普通に考えたらそうか。紅魔館は霧の湖の中島にあって、途中からは飛ぶか泳ぐかしかない。泳ぐとかなりの体力を消費する。
「ほら、早く」
「はぁい……」
正直、飛ぶのはあまり好きじゃない。臓器の浮遊感が非常に気持ち悪い。後、重心をどこにやればいいか分からない。
俺は心の中で溜息をつきながら、咲夜さんの後について空へ飛び立った。
幻想郷の南の方には、だだっ広い向日葵畑が広がっている。通称、『太陽の畑』だ。
この大量の向日葵たちは、花を愛する妖怪『風見 幽香』の手で育てられている……らしい。見たことは無いんだけどね。
カツッ、と音を立てて地面に降りる。花の面倒を見ていた幽香さんが、こちらに気づいたみたいだ。
「あら、今年も来たのね」
「お嬢様は季節感を大切にされる方ですので」
「そうでしょうね。……まぁ、今日は可愛らしい“見学者”もいるみたいね」
幽香さんは驚いたような声でそう言う。見学者……?
「さぁ、もう始めましょう。見学者は離れててね」
そう言うと、幽香さんと咲夜さんは上空へ浮かんでいく。
「2枚でいい?」
「ええ、受けてたちます!」
咲夜さんがそう言うと、二人は一斉に弾幕を出した。
幽香さんの方は花がふんだんに使われた鮮やかな弾幕、咲夜さんの方はナイフを使用したシンプルな弾幕。
素人目からすると、多分幽香さんの方が押してると思う。咲夜さんはだんだん追い詰められてきた。
「幻世『ザ・ワールド』」
ここで咲夜さんスペルカード発動!色とりどりのナイフが急に現れ、飛んでいく。
数回繰り返した後、時間切れで消えていった。
また、普通の弾幕。って、おおう!
「花符『幻想郷の開花』」
初心者マークのような形の弾幕が、花のような形で出現し、正に開花したように飛んでいく。
「メイド秘技『殺人ドール』」
殺人級の数のナイフが飛ばされていく。
幽香さんはうまく隙間をかいくぐって避けていく。その姿は、弾幕の方が幽香さんを避けているように見える。……別に、悪い意味などない。
結局、この勝負は幽香さんが勝った。最後の弾幕『幻想『花鳥風月、嘯風弄月』』で咲夜さんが一回被弾したからだ。
「はい、約束の原料」
「ありがとうございます」
咲夜さんは綺麗に腰を折る。これで直角が計れそうだ。
「あと、それから」
「……?」
幽香さんは家の方から何か持ってくる。見ると、黒いカチューシャの周りに白いフリル、隅に赤いリボンが結ばれたヘッドドレスのようだった。
そんなゴシックなヘッドドレスを何に使ったかと言うと……俺の頭につけてきた。
ヘッドドレスを差し込み、ヘアピンで両端を留めた。
「うん、やっぱり似合ってるわね」
「……ありがとうございます」
……幽香さん……いや、ゆうかりん……何がしたいのかよくわからない。一応、似合っているようなので良しとしよう。
ゆうかりんはヘッドドレスの二本目、白黒逆転版を咲夜さんの鞄に入れた。入れやがった。
「それでは、失礼しました」
「し……失礼しました……?」
ヘッドドレスの疑問が晴れないまま、咲夜さんの後について飛び立つ。
疑問は晴れないが、何か満たされたような気がした。
帰った後レミリアに「どうしたの!?」って聞かれたのは、また別の話。
─続く─
後半円香がただの人見知りになった気がする