「円香、貴女はこの生活を
「……何が言いたいの?」
レミリアがまた何か言い出した。まぁ、あとでクッションに頭突っ込んでジタバタする事になるんだけど。
「だーかーら、この生活、楽しくて良いものだって皆の前で宣言できる?」
「できると思うけど」
あたり前田のクラッカー。美味しいよね。
それはさておき、この生活が楽しいかなんて、当然以外の何物でもない。
「そう……じゃ、この館のみんなのこと、絵に描けるわよね?」
レミリアはそういうと、マーカーを取り出して俺に渡してきた。
「これでどうしろと?」
「え?だから、円香含めたみんなを絵に描くんだけど……」
「紙は?」
「………………?」
レミリアは首を傾げる。いや、とぼけないで。
「紙ならここにあるわよ……」
咲夜さんが後ろから紙をスッ……と差し出してくる。B5くらいのまっさらな紙。
まず、そこの中央にレミリアとフランを描くことにした。
丸い輪郭を描きまして♪小さなお山に蓋つけて♪ふーねに木材載せたなら♪
あーっと言う間にレミリアの顔♪
なんておふざけは置いといて、真面目に描いていく。
描いてる間に、絵描き歌の解説でもしよう。小さなお山は笑顔になった時の目、蓋は二重まぶた。船は微笑んだ口で、木材は鼻だ。
今、レミリアの髪を描き終わ……あっ、サイドテール……。
服は結構難しい。特に、胸元のS字のアクセサリーが。比較的簡単なのは、スカートだろうか?
蝙蝠の羽をいい感じに描いていく。あとで咲夜も描くから、邪魔にならない範囲に。
今度は右にフランを描く。基本的にレミリアと同じだから、ちょっと省略する。
フランを描くにあたっての最大の難点は、なんといっても背後の羽だ。
枝のような腱から左右にそれぞれ7.5個ほどの──0.5は一番体に近い小さめな──クリスタルが生えた、吸血鬼離れした綺麗な羽。
一個一個丁寧に描いていく。
次はレミリアの隣に咲夜さんを描く。髪型と脚以外は簡単な方だ。
髪型は外ハネのボブカット、そんでもってもみあげを三つ編みにしている、絵心無いとかなり難しい形に仕上がっている。
ナイフホルダーは太ももにガーターリングとして装着されている。
咲夜さんが動く毎にナイフが小さく揺れて太ももに刺さりそうになるのが本当にヒヤヒヤする。
咲夜さんの美脚にはナイフホルダーの他にもう一つ、編み上げサイハイブーツが装着されている。
これが描くときにはすごく厄介なものになる。
悪戦苦闘──マーカーだから描きなおしが効かないのだが──しながら、なんとか咲夜さんを描き終わる。
今度は美鈴だ。フランの隣に描く。美鈴が高身長すぎるのか、フランが幼いのかわからないが、身長にかなり差があるように思える。
パチュリーも美鈴の隣に描く。ゆったりとしていて、描きこむところが少なめなのが助かる。
小悪魔はパチュリーの陰に置く。
そして最後に私……俺、夜桜円香を描く。咲夜さんの隣に。
短めなボレロに、ふんわりとしたミディアムスカート。
他の人たちと比べたら、物凄く簡単だ。
「色塗りもお願いね」
ふぉわい?
俺を描き終わると同時に、紙の横にパタッと色鉛筆のセットが置かれる。
もぉーーやだぁぁーー疲れたもぉぉーーん!!!!
結局全て塗った……。疲れた。
しかも、「特徴的な絵柄ね」ってみんなに言われる始末……!!
その日は飯食って風呂入ってさっさとベットに入った。
天蓋までついたふかふかのベットの中で。
俺があんなに一生懸命に取り組むのは、基本大事な物事だけ……。
そんな俺が一生懸命描いた紅魔館のみんなは、俺にとって大事な人たちなんだな……と一人思った。
翌日。
俺の描いた絵は、みんなによく見える場所の壁に貼られていたとさ。トホホ……。
─続く─
終盤シリアス思考?