ワンピースもドロワーズもキャミソールも靴下も全て乾いた、指輪をもらった翌日。
いつまでも神社に居候してるわけにはいかないので、住処を探すことになりました。
第一候補は『紅魔館』。視界のほとんどが紅だという屋敷。
今日は、そこに交渉しにいくことになった。が。
神社から紅魔館までは歩いていくとかなり時間がかかるので、飛ぶ訓練をしてから行きます。
ちなみに、昨日覚醒した能力は『物を操る程度の能力』と名付けました。
「ほら、自分を人形だと思って、それを持ち上げるイメージで!!」
「ん〜〜……。……あっ!?」
目を閉じて念じていると、いつの間にやら神社が手で掴めそうな大きさになっていた。
俺は別に高所恐怖症ではないが、周りに囲いが無いとやっぱり不安だ。
少しずつ少しずつ、かき氷を堪能するかのように高度を下げていく。
「お疲れ。怖くなかった?」
「……うん。平気平気」
「そう。なら、もう行きましょうか」
空中で霊夢に手を引かれながら飛行している。正直、こんな風に監督的な存在がいないと不安でしょうがない。神社の生姜無くなってたような……。
湖の畔……というか、中島?のところで動きを止め、高度を下げていく。
最後は女の子らしくふんわりと着地した。
赤い壁が目前にデカデカと在る。扉は鉄格子で、鉄の棒で鍵がかかっている。
そして、かなり目立つのが、門の側で腕を組んで俯いている女性。
紅いロングの髪をサイドだけ三つ編みにして、頭には星のついた帽子を被っている。
瞳は閉じられている。眠っているのか?
服は身体のラインを強調するチャイナドレス。スカートにはスリットが入っている。脚は……生足。エロい。
「あー、中国、また寝てる……」
「誰?」
「ここの門番よ。私的には門番よりメイドの方が役に立ちそうだけど……」
「そっか……」
音を立てないように、こっそりと鉄の扉を開ける。
開閉部にはちゃんと油がさされていて、キィィィ……という不快音さえしなかった。
「霊夢、どうしたの?……後ろにいるのは、外来人?」
「!?」
銀髪でメイド服を着た女の子が急に現れた。びっくりして、霊夢の後ろに隠れてしまう。
「安心してください。取って食べる気はありませんし、何より、私も人間ですから」
「あっ、はい……」
「それより、お嬢様が貴女をお待ちしております」
「お嬢様……?」
お嬢様って言うと、前世で同じクラスにいた似非ブルジョワ女子と、清楚な黒髪ロングの癖っ毛美人が頭に浮かぶ。あの二人は印象に残ったなぁ…。
「ここが、お嬢様の居る玉座になります」
「失礼のないようにね」
「し、失礼しまーす」
ここにも油がしっかりさされていて、ドアノブを回す優しい音だけが鳴る。
玉座に座る『お嬢様』とやらと目が合った。外国の可愛らしい女の子、と言う印象がある顔だ。瞳は大きく、鼻は高い。唇は赤みがかったピンク。
クラスの似非ブルジョワとは比べ物にならないお嬢様だ。
チリチリの金髪パーマ、厚化粧、ドデカいピアスなんてものは目前の『お嬢様』にはない。
代わりにあるのは、青みがかった銀色の髪、紅く爛々と輝く大きな瞳、背部の黒い蝙蝠の翼だ。
「立ち尽くしてないで、早くこっちにいらっしゃい」
「あ……はい……」
カリスマオーラが垂れ流されていて、萎縮してしまう。
「そう怯えなさんな。別に取って食べる訳じゃ無いし、生贄でも無いんだから」
「私はレミリア・スカーレット。誇り高き吸血鬼よ」
レミリア。レミリア様。
脳内にレミリアの名を焼き付けていく。
「用件だけど、単刀直入に言うわ。貴女、私達の家族になりなさい」
「……はい?」
─続く─
そのまま次回に続きます。