幻想郷に転生しました。   作:音眼紫玖

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スール設定を復活させます

円香がフランに掃除を教える回


第9話 死に設定と化した姉妹(スール)

「円香、最近あなた部屋掃除してるの?」

 

紅魔館に来て10日目。よそよそしさ──そんなの元からなかったが──も無くなり、本当の家族のような生活になり始めた頃、咲夜さんにそう言われた。

 

確かに、ここに来てから全く掃除をしてないような……。

 

俺は首を力無く横に振った。

 

「でしょうね。丁度いいから、妹様にも掃除を覚えてもらいましょう。お嬢様は、円香と妹様が『姉妹(スール)』となり、姉妹や親子のような関係になることを望んでいたし」

 

スール……あぁ、姉妹のことか。あれ、冗談じゃなかったんだな。

 

「そうと決まれば……あっ、フランにもこの話しないと」

 

「そうね。今の時間は部屋にいると思うわ」

 

 

 

 

 

 

初めてここに来た時にも降りた階段に、今度は一人で来た。

一段毎にコツッ、コツッと気味の悪い足音が鳴る。最下段を降りて、フランの部屋にまっすぐ行く。そして、固いドアノブを開いて……押した途端、向こう側に引っ張られた。

 

「……? あっ、円香お姉さまだ。お姉さまの方から来るなんて、珍しいね」

「なんか用?」

 

「あー、ちょっとね。掃除しなさいって咲夜さんに言われたから、せっかくならフランも誘おうって」

 

「えー、わたし掃除やだ……」

 

「掃除できないと、ずっと友達できないままだよ」

 

フランは初めて会った日からずっと、友達が欲しいと嘆いていた。だがしかし、箱入りすぎて常識──幻想郷では常識に囚われてはいけないとは、誰の言葉だったかな──的な行動も取れないので、外の妖精や妖怪どころか妖精メイドですら仲良くできていない。

 

だから、掃除とかから常識を学んでほしいと……まぁこれは、フランを掃除に誘う第二の理由なのだが……。予想通り、行きたくないと言いだした。だから、今『友達』を切り札に出した。

 

「むぅ……本当に友達ができるなら、行くよ……」

 

よし。これで第一のミッションはクリアだ。

 

 

 

 

 

「あら、遅かったわね」

 

「うるさいやい。文句ならフランに言ってね」

 

「なんでさー……」

 

そんな他愛ない会話をしながら、私の部屋へ……。……!?今、俺、私って言ったか!?味覚に引き続き、とうとう脳内まで身体に侵食され始めたか……!?心の中は男のままでありたかったが……。

 

 

 

 

「ケホッ、ケホッ」

 

俺の部屋に入るなり、フランは咳をし始めた。

 

「うーん……ちょっと埃っぽいわね……。窓、開けるわよ」

 

「どーぞ」

 

 

 

 

 

「円香は雑巾、妹様は箒とはたき、あとはちりとりね」

 

咲夜さんから掃除用具を貰って、掃除を始める。

 

 

 

 

 

 

あとは窓拭き……。と思っていたら。

 

 

ガシャン!!

 

 

と大きな音を立てて、バケツが倒れ、水が溢れてしまった。原因はフランが足で蹴ってしまったせいらしい。

 

「ごめんなさい……」

 

フランはちょっと目を逸らしながら私……俺に謝ってくる。

俺は手をフランの頭の上にかざす。叩かれるとでも思ったのか、目尻が震えている。

そしてその手を頭に乗せ、そっと撫でる。

 

「大丈夫だよ。さっ、掃除掃除」

 

「怒って、ない……?」

 

「大丈夫大丈夫」

 

 

 

 

 

30分後。トータル1時間くらいかかって、掃除を大体終わらせることができた。

 

「うん、合格ですね」

 

咲夜さんが微笑む。例の溢した場所にはタオルを敷いている。

 

「やったよお姉さま!合格だって!」

 

「うん、聞いた聞いた!」

 

フランが抱きついてくる。円香の細い体は少しよろめいたけど、なんとか体勢を戻して抱き上げる。

 

咲夜さんは……鼻血をハンカチで抑えていた。

 

「あはは、お姉さま、変な顔ー」

 

咲夜さんを見ていたら、いつのまにか変な顔になっていたらしい。フランが姿見を持ってきたことで気づいた。

 

「ぷっ、ふふふ……」

 

その自分の顔に笑ってしまう。はしたない笑いをしようとしてる顔を無理に普通に戻そうとして、結果的にわけのわからん顔になっていた。

 

まぁ、一件落着……?なのかー?

 

─続く─




終盤見ててニヤニヤが止まらなかった
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