high school dxd side raiser   作:特定保健用食品

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第1章.ベルゼブブ魔術学園編
会場入り口に辿り着け


『ベルゼブブ魔術学園』

 四大魔王の1人『アジュカ=ベルゼブブ』が設立した悪魔用魔術学園。

 冥界に存在する教育機関の中ではトップクラスの超難関校であり、膨大な魔力容量やそれに伴った魔術知識を持つ者でなければ入学することもままならない。

 それ故に、厳しい審査を抜けて入学することが出来た悪魔たちは未成熟な悪魔たちの憧れであり、否応なしに冥界中の注目を集めた。

 そして此処にも1人、ただ学園へと入学した悪魔とは比べ物にならないほど注目を集めた悪魔がいる。

 学園特有の『厳しい審査』や『超難問の試験』を受ける必要すらなく軽々とクリアし、学長である魔王ベルゼブブから直々に入学を推薦された悪魔。

 ライザー=フェニックス。

 72柱であるフェニックス家の二男。

魔王にさえ劣らない膨大な魔力容量を持って生まれた彼は、産まれた当時から将来性を期待され注目を浴びていた。

魔力容量もさることながらライザーは、歴代最強と言われた先代当主である『カイザー=フェニックス』の血を色濃く受け継いでいる。その証拠にライザーの使役する炎は先代当主と同じく青い色をしており、熱量に関しては先代当主をも上回っている。そのため、フェニックス家始まって以来の魔王が誕生するかもしれないと領内では囁かれている。

規格外のスペックからくる周囲と世間からの期待は幼いライザーにとってはとてつもない圧力だった。しかし、ライザーはその余りある圧力に潰れることもなく成長を果たした。

むしろ周囲からの期待を自身の力にでも変えているかのように知識や能力を向上させ、先代当主と同じく独自で魔術やフェニックスの能力についての研究を始めた。

ライザーの天才的な発想力と魔術理論の応用力は凄まじく、次々と冥界を発展へと導く魔術理論を開発した。魔王ベルゼブブが感銘を受けた『魔力伝達の効率化を目的とした魔術回路の構築』も、ライザーが開発した魔術理論の1つだ。

現在の冥界では、ライザーの開発した魔術理論が冥界中の様々なものへと利用されている。こんなこともあって、さらに注目を浴びることとなったのだが、ここに来て魔王ベルゼブブ直々の入学推薦である。

今やライザーは、冥界一注目されている悪魔と言っても過言ではない。

そんなライザーが出席するとされている、『ベルゼブブ魔術学園入学式』がどうなるかなどは火を見るよりも明らかだった。

 

 

 

 

 

「ライザー=フェニックスさんがいらっしゃったぞ!」

「グリモワール新聞です。ライザー=フェニックス様!今のお気持ちは!?」

「魔王ベルゼブブ様から直接スカウトされたという話ですが、真実のほどは!?」

「『魔力伝達の効率化を目的とした魔術回路の構築』という論文についてご質問が――」

「ブロッケル・ウィークリーです。周囲からは魔王候補とまで思われていますが将来的に魔王の座にはつく予定なのでしょうか!?」

「レーティングゲームへの参加意思は!?」

 多少なりとも覚悟はしていたことだが、目の前に広がる過剰なほどのマイクやカメラ、照明、大勢の記者たちから次々ととんでくる質問の嵐に僕はうんざりしていた。

 入学式へ出席するために転移魔法陣で学園へと転移したまでは良かった。

付き添えできた3人の使用人と転移先である学園の待機用応接間へ到着した瞬間、どこからか情報を得て待機していた記者たちが、待っていましたと言わんばかりに僕を囲みあっという間に包囲網をつくり上げた。

そして、今のこの状況である。

さて、どうしたものか。

僕が半ば放心状態で途方に暮れていると「ライザー様、お離れにならないで下さい!」「私どもが責任を持ってお届け致しますのでご安心を!」「さあ、こちらへ!」使用人たちが僕の手を引き、果敢にも人ごみの山へ突っ込んでいく。

「道を開けて下さい!!」使用人の1人が無理やり道をこじ開け、そこに左右を2人の使用人に囲まれた僕が入っていく。

 進めど進めど一向にゴールが見えないこの状況は、さしずめ大量の蟻が蠢く中を進んでいく芋虫のような気分だ。強引に進んでいることもあって、僕と使用人3人はもう揉みくちゃで服装もだいぶ乱れてしまった。

 正面で道をつくっている使用人なんかは特にひどく、メイドカチューシャは紛失、胸元もはだけて視線を向けにくいことこの上ない。左右の使用人も必死に僕をガードしてくれているのは分かるが、左右から迫る大きな膨らみに押し潰されてとても苦しい。

 使用人がこんなにも頑張ってくれているのに不謹慎なことを考えていることは大いに理解している。がしかし、僕も1人の男だ。それも、一般的にはお年頃と言われるような年齢であり、やはりそういう事には多少なりとも関心がある。

 そんな僕に対して、こんな状況で何も想像するなというのはある意味、不可能に近いことを分かって頂けるだろうか。

 いくら場違いな事を考えて赤面した顔を伏せたとしても、僕たちの人ごみの中を進み続けているというこの状況は変わりはしない。

 

「お願いします!道を!開けて!」先頭に立つ使用人にも、疲労の色が見え隠れしている。

 メイド服も所々が破れボロボロになっている。

 綺麗に整えてあった髪も、今では見るも無残なものになっている。

 そんな状態にあってもなお、変わらずに道をつくろうと人ごみの間に割って入ろうとした瞬間、僕は見た。

 突如、彼女の左後方から出てきた腕が、彼女の髪を掴み、倒そうと後ろ側へ引っ張る、その瞬間を。

 

 許せなかった。

 いくら、こんな状況であったとしても。

 いくら、他に優先するべきことがあったとしても。

 いくら、壁となっている使用人が邪魔だったとしても。

 こんな最低な行動を、僕は許すことが出来なかった。

 

 瞬間、僕と使用人3人だけを残し、周囲を取り囲んでいた悪魔たちが一斉に吹き飛んだ。

 同時に、後ろへ倒れそうになる正面の彼女を抱きとめる。

「ラ、ライザー様!?」

 今、僕の腕の中にいる彼女は驚いたように僕を見上げた。

 左右の使用人2人も同じように僕を見上げていた。

 普段よりも随分と上がった視界の中、「な、何があった!?」「テロリストか!」「ライザー=フェニックス様のお姿が――」と、騒ぎになっている記者たちに向かって言った。

「お騒がせして大変申し訳ありません。私自身、使用人たちの頑張りを無下にする訳にもいかないので、手は出すまいと思っていたのですが。許容しかねる行為がありましたので、やむを得ず手を出した結果このような形となってしまいました」

 騒ぎでざわついていた周囲はいつの間にか静かになり、全ての視線がただ1点『ライザー=フェニックス』へと注がれていた。

 それも、そうだろう。

 今の今まで幼い少年の容姿をしていた僕が、突如として青年の姿に変わったのだから。

 背中からはフェニックス家特有の炎の翼を広げ、魔王と比べても遜色のない魔力を溢れだしながら僕は続けた。

「貴方がたにも、優先するべき仕事があるのは分かります。ですが、ここは僕たちに道を開けては頂けないでしょうか。質問につきましては入学式後、学園およびフェニックス家を通して頂ければお応え致します。本日は記念すべき入学式です。未来に思いを馳せる未熟な我々生徒に対し、今一度、大人の素養を見せては頂けないでしょうか」

 そう言って、深々と頭を下げると今までの人ごみが嘘のように割れ、会場入り口までの道が出来ていた。

「誠実な対応に感謝します」

 その言葉を合図に、僕は抱きとめていた使用人を離すと会場入り口へと歩き始める。

 入口に着くまでの間、周囲からは質問どころかシャッター音すら鳴ることは無かった。

 カメラくらいならしょうがないと思ってはいたが、思いのほか律儀な記者たちの反応に僕は感心した。

 

 

 

「「「申し訳ありませんでした」」」

 会場入り口に着くや否や使用人たちが一斉に謝ってきた。

「何を謝っているんだい。君たちは充分頑張ってくれていたし、迷惑をかけたのはむしろ僕の方さ」

「で、ですが――」「ライザー様のお手を――」「煩わせてしまい――」と、器用に話を繋げる使用人たちに感心しつつ、「そんな事を気にする必要はないよ。君たちの気持ちだけでも充分なくらいさ、それに使用人を守るのも主である僕の仕事だよ」そう言い、今回、最も頑張ってくれた正面の使用人の頭を最初に撫でる。

「無事に送り届けてくれてありがとう。さあ、ここからは関係者以外立ち入り禁止だよ。君たちは一度屋敷に戻って、身だしなみを整えてくるといい。君たちが、また綺麗な姿で迎えに来てくれるのを待っているよ」

 左右にいる使用人の頭も撫で終えると、僕は満を持して会場への扉を開いた。

「いってくるよ」

 そう言って、最後に振り返った僕に「「「いってらっしゃいませ」」」使用人たちはとびきりの笑顔で見送ってくれた。

 意気揚々と扉をくぐる青年――いや、幼い少年の背中を多くの視線が見送った。

 




特定保健用食品です。
厚生労働省からの許可は出ていません。

はい、詳しい内容と諸々の説明は活動報告に書かれていますので
よろしければ活動報告の方へどうぞ。

西暦2014年7月24日修正。

(総文字数3558文字)
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