問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
「パガンダ王国とは友好を結び何としても食糧を輸入できないか・・・?友好的な関係を築くには友好的な関係を築きたいと言う姿勢を見せることが大切だ。」
皇帝の命令により穏健派のハイラスがパガンダ王国に向かって行った。この際護衛として海軍から最新鋭の駆逐艦と巡洋艦を3隻。陸軍からは5人小隊からなる護衛隊を2つ派遣する事にしたのだった。パガンダ王国は事前に来ることを知っていたため誘導の艦隊を出してきた。そしてパガンダ王国の港に着くと・・・。ハイラスは王族が手配した馬車に乗ると城に向かい、そこで王族にあたるドグラスと面会した。
ドグラスは40代後半の細身の男で、一見すると明らかに性格が悪い顔つきをしていた。
ドグラス「ようこそ我が国へおいでくださいました。私はこの国の国王のドグラス=パガンダです。」
ハイラス「お初に御目にかかります。私はグラ・バルカス帝国の皇族の者で、ハイラス=バルカと申します。」
ドグラス「そうですか。さて本日はどのようなご用件でしょうか?」
ハイラス「我が国は貴国との友好を築きたいと思っておりまして、ぜひ友好の証に何か贈り物をしたいと思い、献上品を持って参りました。」
ドグラス「ほう・・・友好の印に贈り物ですか。それは気持ちだけありがたく頂戴しましょう。」
そう言うとハイラスが兵士に計算機やら服を渡そうとする。しかしドグラスはそれを手で制止する。この国は外交権を持ってることを良いことに外交官に金をせびるような腐った連中なのだ。おそらく賄賂を要求してくるだろう。
ハイラス「どうしました?受け取ってくださればよいのですが・・・。」
ドグラス「いえいえ。せっかくのプレゼントですが、もっと・・・。そうですなぁ・・・黄金色の台形の物体が欲しいですね。」
ハイラス「黄金色の台形?」
ドグラス「おや?まさかこの世界の住人ではないようですね?あなた方は一体どこから来たのでしょうね?」
ハイラス「我々はどうやらこの異世界に来てしまったようでしてね。我々も困惑している次第です。」
ドグラス「なるほど・・・。異世界の方々ですか。それなら仕方ないでしょう。と、でも言いますか?計算機などと…はっ!そんなものはもう他国からもらいましたよ!それよりも黄金の台形の物体・・・。ま!ざっくりいうと金の延べ棒ですよ!金!金!金!金の延べ棒!それをくれれば友好関係を築いてあげましょう!」
ハイラスは一瞬呆れた・・・。「初対面の相手に金の延べ棒なんて要求してくるのか?しかもよりにもよって金の延べ棒だと!?こいつは頭がおかしいんじゃないかと。それに計算機の概念を知っているようだが服装と文明レベルからして計算機を作れそうな技術力はないはずだ」と思ったのだ。以前番外編にて第二マグマ帝国に関する話があるが、第二文明圏のほとんどは第二マグマ帝国と交易し、マグマ軍と駐屯地の技術を貰い発展しているといったが、レイフォルとそのパガンダは駐屯地をあまりよく思って無く、技術交流を断っていた。そのためレイフォルとパガンダ王国は計算機やら戦闘機と言った現代的な概念は知ってはいるが、別に欲しいとは思わず、むしろ文明圏外国の国力を増大させた駐屯地を嫌っているのだ。
ハイラス「金の延べ棒ですか・・・。今回は残念ながら持っていませんねぇ・・・。ですがまずは友好を築こうではありませんか。その上で金塊でも何でも貴金属や宝石などの取引を行いませんか?」
ドグラス「友好的に接しようという姿勢はわかりますよ。でもねえ・・・。さっきも言った通り金だよ!金の延べ棒!ほら!無いんでしょう?じゃあ友好の証にはなりえないよ!我がパガンダに逆らうと宗主国レイフォルの怒りを買いますよぉ~?」
ハイラス「なっ・・・それでもあなたは王族ですか!?まるでチンピラのような態度ですね・・・。」
ドグラス「ふん!それがこの世界でのルールですよ!!さて・・・。友好の証には物がない・・・。となれば後は分かりますよね?」
ハイラス「えぇ・・・。友好を結ぶためには金を出せと?」
ハイラスは徐々に怒りを覚えたがここは大人・・・いや文明国としての対応をしようと思った。だがドグラスはとんでもない額の金塊を明細してきた・・・。その金塊の重量はおおよそ空母一隻が作れるほどの量だったのだ。
ドグラス「この金塊の量でどうか友好を結んでいただきたいのです。もし拒否されるのであれば・・・。わかっていますね?我が国には列強の後ろ盾があるのですよ!!」
ハイラス「列強の後ろ盾がある?列強というのはこの世界で強い国のことですか?」
ドグラス「は?何を言ってるんですか?列強はこの世界の国々の中で一番大きな国ですが・・・。我が国は列強五位の第二文明圏のレイフォル帝国の庇護下にあるのですよ。他には列強一位の神聖ミリシアル帝国・・!列強二位ムー。第三位のエモール王国。あと最近滅んだパーパルディア皇国がありましたね。まぁこの辺りでしょうか?さぁどうしますか?」
ハイラス「なるほど・・・。あなた方の国は列強に保護されているのですね。それであなた方は私達を脅すと?」
ドグラス「脅しだなんてとんでもない!!これは取引ですよ。私は友好を結びたいだけなのです。まぁ!まずは金ですよ!金!金!金!金!金!金!金!」
ハイラス「そうですか・・・。残念ながら今回はなかった事で・・・。とてもじゃないですが貴方方は態度が悪すぎます。こんな人達と友好関係を結ぼうとは思わないですね・・・。」
ドグラス「な・・・何ぃ!?」
ハイラス「そもそもあなた方あくまでも列強とやらの庇護下にあるんですよね?そのレイフォル帝国があなた方を見たらどう思うでしょうね?蛮族と蔑むかもしれませんね?そしてパガンダ王国は滅びることになるでしょう。」
ドグラス「ば・・・馬鹿にするんじゃない!!おい!お前ら!こいつを捕まえろ!捕まえたらただでは済まないぞ!」
ハイラス達は兵士に掴まれ、牢屋へ連れて行かれそうになる・・・。だが護衛のグラ・バルカス帝国兵士がすんでのところで制止する。
ハイラス護衛の兵士「陛下!!危険です。お下がりください!」
BABABABABABABAB!!!
銃声が響く・・・。護衛の兵士の練度はそこそこ高い者で編成されており、パガンダ王国兵士の脳天を銃弾が貫く。後続で魔導士が現れるがグラ・バルカス帝国の兵士にとっては意味不明な言葉を羅列する変な奴にしか見えず、簡単に倒されてしまった。
ハイラス「では。今回は友好の件は無かった事に・・・。」
ドグラス「ぐぬぅ・・・。覚えていろよ!!金塊は必ず用意してもらうからな!!」
ハイラス「金塊が欲しいなら、列強とやらにお願いしてみる事ですねぇ・・・。さようなら。」
こうしてパガンダ王国から去ろうとするハイラスであったが、無事には帰れなかった・・・。装甲車に乗って帰る予定だったが爆破魔法が仕掛けられており、乗車した瞬間に爆発。ハイラスと護衛は死亡したのであった。結果帰還できたのは護衛隊の1小隊だけであった。その報告を聞いた護衛艦隊の巡洋艦の艦長は怒りを露にする。
「クソッタレめ・・・・!こうなれば戦争は待ったなしだな・・!よくも我が国の皇族を・・・。パガンダ王国・・・。必ず後悔させてやる・・・。」
彼は本国に連絡し、パガンダ王国への宣戦布告を指示。パガンダ王国との戦争が始まったのである。
パガンダ王国の王城にて、国王ドグラスは激怒していた。
ドグラス「ふん!我が国を宣戦布告するとは馬鹿どもが!!」
「しかしかの国は馬鹿ですねぇ・・・!わざわざ我が国の慈悲を無視して金塊を渡さないとは・・・。我々が列強の庇護下に入っている事を理解していないようですなぁ。」
ドグラス「まったくだな!だがレイフォルが出るまででもないだろう・・・!おおよそ奴らの兵器は駐屯地と同じ!ならこっちは研究してある!すぐに叩き潰してくれるわ!!」
「レイフォルが出てくる前に叩けるといいですね。」
ドグラス「ふん!あんな蛮族の国に我が国が負けるわけがない!!ふははははは!!」
ドグラスは勝利を確信していた。だがその核心は間違いであった・・・。案の定グラ・バルカス帝国は激怒し、報復に出たのだった。戦力は超弩級戦艦グレードアトラスター。バルタス級空母「バルタス」「ザイラブ」。巡洋艦レオⅡ級5隻。駆逐艦11隻の大艦隊を編成し、侵攻を開始した。対するパガンダ王国軍は竜母・魔導戦列艦940隻に、ワイバーンロード800騎を差し向けた・・・。だが戦後のアメリカ並みの技術力を持つグラ・バルカス帝国の前ではもはや前時代を超え前々時代もいいところの旧式艦艇では勝てず、その上ジェット戦闘機のカペラ35型のスピードの前ではワイバーンロードも無力化されてしまう。
パガンダ王国海軍はなすすべなく撃破され、撤退を余儀なくされた。ドグラスはこの事態を重く見て、レイフォルに助けを求めた・・・。だがレイフォルが援護に来た頃には大和をもした超弩級戦艦グレードアトラスターの艦砲射撃により焼け野原となっていたのであった。報告を聞いたレイフォル皇帝は怒り狂い、グラ・バルカス帝国に対し宣戦を布告。レイフォル艦隊は最新鋭戦列艦を含む主力艦を繰り出し、グラ・バルカス帝国の撃滅に向かった。
だが・・・結果は悲惨なものだった。
レイフォル海軍の戦列艦はグラ・バルカス帝国の誇る戦艦の前に歯が立たず、次々と撃沈されていった。四日もたつとジェット戦略爆撃機ガル・アバルス(Il-28を巨大化し)の爆撃によってレイフォルの街は火の海となった。さらに三日後には航空攻撃が行われ、制空権を完全に失ったレイフォルは降伏した。
こうして列強5位レイフォル帝国は滅び、占領されたのであった。このことを先に察知したのは駐屯地のスパイ・パトローラーとスパイ・サテライトであった。またレイフォルに隣接するムーやソナル王国、ニグラート連合、マギカライヒ共同体、そのほかの第二文明圏の国々も察知したのだ。ニグラート連合、マギカライヒ共同体は何とかDEMACONに参加していたため、国力もそこそこあり早速グラ・バルカス帝国と友好と不可侵条約を結ぶべく使者を派遣しつつ、国境沿いにレイフォルと関係ない国という事をアピールするため拡声器とスピーカーを大量に用意し、無関係であることを示した。幸いにも言葉は通じた・・・まぁそもそも翻訳される現象が起きているくらいだから当然なのだが。
一方、グラ・バルカス帝国は彼らが敵意の無いことを確認すると早速不可侵条約を結んだ。そして食料を輸入する代わりに自国の民需品の輸出を行い、両国は経済面で協力していく事になった。その後、グラ・バルカス帝国はレイフォルを占領した後、宣撫工作として「すべてはパガンダ王国が我が国の皇族を殺したために始まった戦争である。貴方方国民は悪くない!悪いのはパガンダとそれを放置したレイフォル皇帝府だ!」と吹聴して回った。これは事実で、レイフォルはパガンダ王国の害悪な外交方法を放置した結果滅んだのだが、王のせいなのに国民までの責任にされるパガンダ王国民としてはたまったものじゃない。しかしレイフォルがパガンダ王国を放置したのは確かである。よってパガンダ王国には言い返す権利など無い。そしてグラ・バルカス帝国はレイフォル皇室を使い傀儡にする為、冷遇されていた側室の家系を登用し、女帝カウール・ラ・アイシレーアを立てた。彼女はグラ・バルカス帝国の傀儡国家の長となったが・・・・。
カウール「まず我が国は敗戦の原因となった皇帝ソーテルの一族を皇族から剝奪します!女性に関しては・・・・娼婦として売っても良いでしょう。」
カウールは冷酷かつ非情な人間だった。彼女は近代的な駐屯地のような思想にあこがれていたが、彼女の家は側室の家系であり王族の傍流である。子を産むしか能がない家とさげすまれていた。そんな彼女には実権など無かった。だがそこにグラ・バルカス帝国との戦争が起こり、敗戦後「あなたは近代的な思想に憧れているようだ・・。なら我々と手を組んでみないか?」と外交官に言われたのだ。彼女は野心家でもあった。だからこそこの提案に乗ったのである。
そしてレイフォルの実権を手に入れたのだ。そして今まで側室だのと罵っていた皇帝やその皇室どもに復讐を始めた。まずはレイフォル王家の女性を全て捕らえ、売春宿に売り飛ばし、次に皇帝とその一族を処刑した。彼女にとってはこんな汚らしいものはいらない存在だったからだ。その後は駐屯地の同盟国から買った歴史本を使いGHQの手法を使い、国民に対し前政権を批判するためのプロパガンダ放送を流し始めたのであった・・・。
カウール「おおよそ不満度は下がったわね・・・。」
彼女はそう言うと次の策に移った。それは駐屯地の同盟国からの食糧支援だった。彼女はグラ・バルカス帝国が第二文明圏のまともな国(特にムーやニグラート連合)との貿易を行っているが、自分たちはグラ・バルカス帝国に大半を持ってかれそうなことといずれ敗戦した時のことを考慮に入れ、駐屯地の同盟諸国との協力体制の構築と維持を行うべく、後々中立宣言できるよう根回しを行っていた。のちにしたたかと恐れられ、この世界に置けるハーツオブアイアン的なゲームにてレイフォルの傀儡主導者になるとグラ・バルカス帝国プレイヤーを困らせるほどのAI挙動をするようになり、あるプレイヤーは彼女をこう呼んだ・・・。
『狂犬カウール』と・・・。
さて・・・。この時の駐屯地の反応はと言うと・・・・。
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白良「まさかレイフォルとパガンダが滅びるとは・・・。まぁパガンダに関してはいずれ怒りを買いそうなことをしそうな雰囲気があったけど・・・。」
白良はそう言って頭を悩ませた。まさかパガンダがグラ・バルカス帝国を激怒させ侵略を受けるとは思ってもいなかった。
「まぁ・・・。今はまだ大丈夫ですが、レイフォルとパガンダが滅びた以上次は第二文明圏に狙いを絞るでしょう。そしておそらくは第二文明圏の列強国に・・・。」
白良「幸い第二文明圏の軍が設置したスピーカーの呼びかけに応じてくれたおかげで侵略しないのは確定しているけど・・・。問題は列強国がどう動くか・・・。」
白良はそう言った。列強国は第一、第二文明圏の列強国にそれぞれあるが第二文明圏はともかく問題は第一文明圏だ。第一文明圏は神聖ミリシアル帝国と言ったプライドの高い国が多く、竜人族の多いエモール王国に関しては魔力の無い駐屯地の兵士を下に見るどころか、キュルギュルのいる第二マグマ帝国を「悪魔の使い」と罵るほどの差別主義者が多い。未だ外交を結ぼうとしても門前払いを食らうことが多いのだ。
白良「とりあえず幸いにも神聖ミリシアル帝国と同盟を結んだことにより先進11ヵ国会議に駐屯地とクワ・トイネ、ロウリア合衆国、クイラ、チィシン帝国・・・トーパ王国、エスペラント王国、コリョーン王国が招かれたからそこで交渉できるかもしれないな。」
そう語りながらため息をつくのであった。彼には妻の雷子がいる・・・。そして妻の体には新しい命が宿っている・・・。パーパルディアとの戦争でまだ一年もたっていないのにまたもや戦渦の香りが漂ってきたことに不安を覚えるのであった。そう考えながら外交部門の兵士たちと別れると妻のいる司令官室に向かう。雷子は時折悩まされる悪阻で書類作業が止まるが、それでも何とか仕事を片付けようとしていた。
白良「無理するな~。仕事は俺がやっておくから。」
雷子「ありがとう。でも頑張らなきゃ。私はここの司令官なのよ?しっかりしないとね。」
白良「そうだな・・・。ところで体調はどうだい?赤ちゃんは蹴ってくるか?」
雷子「んもう!!まだそこまで大きくなってないですよwww!!ようやくぽこってお腹が膨らんできたくらいですからw!!」
白良「そうかい。ならいいんだが・・・。」
白良はそういうと彼女の腹部を優しく撫でる。
白良「何としてもこの子に戦争を経験させたくはないな・・・。」
雷子「私もよ。」
そう言って二人は今後不穏になりそうな情勢について話し合うのであった・・・。そして二人だけではなく駐屯地の兵士中にも戦争の予感を感じているものがいた。彼らは今愛を育んでいる最中なのに兵士でもある彼や彼女を戦地に向かわせるのだろうかと悩み始めていた・・・。中には白良夫妻同様に子供がいる兵士のカップルもおり、子供が生まれた時に戦いに出ろと言われたらどうしよう・・・と悩むのだった。果たして彼らの運命はいかに!? ___ 白良は悩んでいた。彼の家族に子供が生まれようとしている。しかし彼は軍人であり、そしてここは最前線の基地である。いつ死んでもおかしくは無い。そして彼自身、もし自分が死ぬとしたら愛する妻と子供の傍にいたいと思っていた。そしてその日は来た・・
次回予告。
駐屯地率いる八紘連合の加盟国はひとまずグラ・バルカスと不可侵条約と交易をすることを決めた。グラ・バルカスは八紘連合加盟国の技術力に驚く。しばらくして白良の元に第二文明圏の国々の医療魔術師と薬学師が訪れる・・・。
次回第九十四話「偽りの不可侵条約」