問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望)   作:CARUR

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第九十四話「偽りの不可侵条約」

グラ・バルカス帝国 皇都ラグナ (中央歴1641年10月25日)

 

 ここでは駐屯地率いる八紘連合参加国がこの地にて不可侵条約を結ぼうとしていた。それはなぜかというと前回のパガンダとレイフォルに関することだ。幸い第二文明圏の国々がレイフォルとパガンダと関係ないという発言をしたことにより、何とか戦渦は広がらずに済んだのだが・・・。グラ・バルカスは最初に出会ったパガンダのせいでロシア民族のようなカラパイアを引き起こしたため、他国を信用していなかったのだ。ひとまずお互いの国を視察する前に不可侵条約を結び、その後にお互いの国を視察をするという事に決まったのだ。最初に八紘連合国の外交官や指導者が皇帝に謁見した。

 

白良「どうも駐屯地の政策提言委員長の白良和影です。今回は指導者に当たる司令官の雷子の代わりに私が八紘連合の代表国である日本国の代表として参りました」

 

グラ・バルカス帝国の皇帝、グラ・ルードは言った。 

 

グラ・ルード「ほう、貴殿が噂の駐屯地なる軍事集団の長か。なかなか精強な軍隊と技術を持っているらしいではないか」

白良「いえいえ、私たちは小規模もいいところですよ。それに我々は平和主義でしてね。他国を発展させる際は軍拡よりも経済発展に力を入れているんですよ。それに我々は自由民主主義を現地に合わせて教育しています。」

グラ・ルード「自由民主主義だと?なんだそれは?民主主義ならわかるが・・。」

白良「自由民主主義とは自由主義と民主主義の理念が融合した政治体制。 議会制民主主義と複数政党制を統治形態として認めつつ、個人の自由をその運用において重視する政治主義だと思ってください。それと私たちは人種平等主義を世界に広めており、参加国の中には立憲君主制の国もありますが貴族院などの貴族制度がある国はすでに貴族層や奴隷層を解体し、平等主義的な国家に変えていますよ。」

グラ・ルード「ほぅ、そんなことをしていたのか。しかし・・・貴殿たちの中に防毒マスクらしきものをつけている者がおるが、あれは何なのだ?」

白良「ああ、あれですか。私達駐屯地の兵士や地下世界の住人であるキュルギュルは問題ないのですが、貴国の大気汚染があまりにもひどすぎてこの世界の住人にとって強烈すぎるのですよ。そのため、あのマスクをつけることで空気中の有害物質を除去しているのです。」

 

 グラ・バルカスの大気汚染のひどさはひどいものだった。空は2009年あたりの中国並みに見えておらず、その上工業地帯からは常時煙突から煙が噴き出しており、まるで公害の街といった様子だった。それに対して八紘連合加盟国のほとんどは煙突のある施設なんて、火葬場、金属と燃料の生成工場、ゴミ処理場、製鉄所などであり、煙突があっても企業すべてが高性能フィルターを装備してあり、せいぜいフィルターを付けてない煙突なんて個人経営の小さいパン屋などの飲食関連か個人の趣味で作った暖炉の煙突くらいしか無かったのだ。まぁ・・・そもそも論大抵の製造物が3Dプリンターなどで作れる時代なので、鉄粉を鉄並みの強度を持つ樹脂と混ぜて造形しているため、鋳造で作るものも少ないのだが・・・。

 

グラ・ルード「なるほど・・・貴殿たちは環境を守りながらも発展していっているのだな・・・。素晴らしい国だ。ぜひとも我が国と友好条約を結んでいただきたいものだ。そして貴殿たちが来てくれたおかげで我が国の環境汚染問題が解決しそうだ。」

白良「それは良かったですね。こちらとしても貴国と仲良くしたいところです。」

 

グラ・ルード「うむ、では不可侵条約を結ぶついでに友好条約も結ぶことにしよう。我が国は貴国を歓迎するぞ!」

 こうして八紘連合国とグラ・バルカス帝国の間に友好条約が締結された。今回レイフォルとパガンダに関してはほぼ放置されたのであった。レイフォルは傀儡国家のもあるが、パガンダに関しては八紘連合の監視にて統治は認めることとなった。これに関してはパガンダをフォローする国がロウリア合衆国以外無いため仕方がなかった。そして1週間後それぞれの八紘連合参加国の国々が視察に行ったのだが、グラ・バルカスに関しては1960年代の技術力しかないのとあまりにもひどい大気汚染であまり見るべきところがなかった。

 一方グラ・バルカスの外交官は八紘連合参加国の技術力の高さに驚いていた・・・。特に軍事面においては圧倒的な技術差があった。先進的な後退翼や自動装填装置、イージスシステム、VT信管やアクティブステルス、レーダー誘導ミサイル、戦術核兵器等々、あまりにも先進的過ぎる兵器群だったため、グラ・バルカス帝国の外交官はこの技術格差を埋めるために必死に本国へ連絡したのであった・・・。一方民間技術でも八紘連合は圧倒的な技術レベルを持っていた。航空機や潜水艦などの大型機械を製造するための超巨大光造形3Dプリンター、カラーテレビ、自動車、ダイヤ通り動く電車、すごい内容のアニメーション作品、特撮作品などなど、とにかく凄い技術ばかりだったため、グラ・バルカス帝国の外交官は呆れていた・・・。

 しかし、八紘連合参加国の技術者たちはこの技術を盗まれるわけにはいかないと各国政府に対して「技術供与は慎重になってほしい」という要望を出してきた。白良と各国の政府はグラ・バルカスに技術供与はしないと約束した。ただ、グラ・バルカスは技術力が欲しいが、軍事転用するつもりはないと伝え、技術供与を頼んできた。これに対して八紘連合は「軍事利用しないならいいだろう」と許可を出した。

その後グラ・バルカス帝国の技術力はどんどん上がっていった。

 

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駐屯地 入口

 

 とある日の駐屯地・・・。その入り口には第一第二文明圏の国々の魔術師や薬学医が集まっていた。そして駐屯地の兵士に案内され司令部のある建物前で政策提言委員長の白良を待っていた。しばらくするとその白良和影が現れる。そして集まった魔術師や薬学医が医療器具や、不純物を取り除き機械的に生成された高純度の魔石を輸出してもらったことに感謝するのだが、その後不満点を述べる。

 

「政府に提言したあの法案・・・。新たなる薬草や新しい手術法を第三者により臨床試験及び人体実験を行う事を許可する法整備と新薬の開発、新技術の研究を行うことに関する法律と魔術や祈祷を使った医療行為禁止する法は困りますな!!貴方は仰ってますよね?その地域の文化や風習に合わせ急速的な法整備は行わないと・・・。ですが矛盾しているではありませんか!我々が代々受け継いできた薬草学や医学知識がありましてそれを急速的になくすのは我々の存在意義を否定するようなものですよ!!」

 

 そう、彼らが求めたものは医学に関する法令だった。彼らの先祖は長年かけて培ってきたものなのだ。それを捨てろというのは到底無理なことである。しかしこの世界の医学はペストマスクレベルの医療的根拠のない治療や、祈祷や神頼みの類が多く、それがこの世界における医学の発展の遅さと若い命の損失を招いているのである。

 

白良「なぜです?この法律があれば今まで独占されてきた特殊な効能を持つ薬品を共有出来て救える命や治る病気の枠が広がるんですよ。それにそもその医学に関しては人命を優先です!現地の風習とか文化以前に誰であっても良質な治療を受けるべきなのです。」

魔術師「確かにそれは一理あるが・・・。いくら何でも急進的すぎると思うのですがね・・・。」

薬剤師「まぁ、我々は長年受け継ぎ、発展させてきたものが消えていくのが嫌だと申しておるのだよ。」

白良「いや・・・。薬草はともかく神頼みの医療は逆に命の冒涜としか考えられません。病気と言うのは気・・・精神が元もあれば、食べ過ぎ寝なさすぎと言った物理的な要因もあれば外的な要因もありえます。それらを全てひっくるめて治療するのが医学でしょう?それに最近やってきた国・・グラ・バルカス帝国は少なくともロウリア合衆国と比べれば技術と医療はやや下ですが、それでも技術に然り医療は貴方がより上で彼らは科学的に証明出来る治療法があります。もしグラ・バルカス帝国の観光客があなたの国で治療を受けたとしましょう。効くか効かないか判らない薬草や神頼みの術式なんかされたら最悪外交問題になりかねませんよ?」

 

 グラ・バルカス帝国はロウリア合衆国と比べてはるかに劣るものの、技術力はそれなりに高い。そのため、グラ・バルカス帝国から見ればこの世界にある医療技術は「遅れている」の一言で片付けられるものであった。だが、魔術師たちは「そんなことはありえない」と反論する。

薬剤師「しかし、我々にもプライドがある。いきなりそんなことを言われても納得できない!最近では貴殿の立てた大学病院なる存在で私たちに弟子入りする若者がいなくなりました!!これは死活問題でありますぞ!!」

 

白良「いや。それは貴方方がちゃんと医学的根拠のある治療法や薬学を新しく学ばないからです。命を無視し伝統に固執する・・・。かつて技術大国と調子に乗り他国に技術を伸ばされた日本もそうでした。この法律が出来ればもしかすると魔術を使った新しい手術方法が見つかるかもしれません。例えば、癌細胞だけを取り除くような魔法ができるかもしれませんし。毒キノコと侮っていたキノコから毒素を抜いたら薬として使えるかもしれない。そういう可能性を広げるのが大事なんです。」

白良は魔術師たちに向かって熱弁する。

白良「それに、あなた方は今の技術力に満足しているのですか?私は貴方方にはもっと先を見て欲しいと思っています。もしかしたら若い薬学医や魔術師が貴方方を藪医者などと罵り見捨てる可能性も十分にあり得ます。」

魔術師「それは・・・」

薬剤師「いや、それはありえん!我らは今までずっとこの方法で・・・」

白良「その程度で考えているなら貴方方は命のやり取りを行う仕事を今すぐやめなさい!!貴方方の実力では命に関わる大怪我を負う可能性が高いです。」

薬剤師「なっ!?」

白良「貴方達は自分の知識に自信を持ちすぎて患者を見ていない。貴方達のやり方が悪いとは言いませんが、貴方達にはもっと広い視野を持ってほしいのです。いいですか?回復を行う魔術は私達駐屯地のいる世界では夢物語の魔術・・・いや空想上の呪いのレベルであり、手から青白い光を出したら傷が治る・・・なんてことは奇跡としか言えないレベルです。それをこの世界の人々は当たり前のように行っている。それに外科手術を応用したら縫い口を作らずとも切創後を綺麗に縫合できるかもしれない。そうすれば感染症のリスクを減らせるし、手術後のリハビリも楽になるはずです。それに・・・」

白良はそう言って一旦話を区切る。そして再び話し始めた。

白良「それに・・・医学の発展には断絶と新興は付き物なのです。昔は認められた治療法もあとからになって悪影響を及ぼす治療法と認定されてしまうこともあります。だからこそ新しい方法を模索する必要があるのです。」

 

 

 彼は医療には詳しくないが、彼にとって医療問題は今後産まれてくる子供のことを考えているが、それ以外にも彼は老害・・・・は言い過ぎだが、古い世代により価値観の固定化により進歩しない事は人類の損失と考えている。ただ逆に急進的で理想論ばかり述べるだけの新しい世代による理解の疲弊も人類の損失と考えている。そのため彼なりの折衷案を出してみたのだ。

 

白良「とにかく・・・。今は貴方達が大切にしてきた技術を捨てろと言っているわけではありません。少しずつで良いので考え直して下さい。」

薬剤師「・・・あの法律を制定されたらいよいよ我々の居場所はなくなるのではないのか?」

白良「何も恐れることはありません!老いてから学ぶことによって世界が広がることもあります。中には70歳の人族のご老人が大学に入学したり、今まで数学を学ばなかった1000歳の森エルフのお嬢さんが物理学に目覚めた例だってあるんですよ?それにこの国の人は平均寿命が50歳前後なんですよね?まだまだ若いじゃないですか!さぁ!気を取り直してください!」

 

 白良はそう言うと施設に戻っていった。今まで白良はこのように各国に法律を提言した際にやってくる老害・・・おっと口が悪すぎる。法律に危惧する旧来の上級層の人間を諭す事が多かった。だが、これが地味にやってくる人間の怒りを買っていたのだ。その後母国に帰っていった魔術師と薬剤師たちは、白良に諭されたが心に響かずむしろ逆切れした同じ考えの者達と酒場で飲んでいた。

 

薬剤師「まったく!!あのガキ司令官(おそらく白良が低身長でなおかつ童顔すぎるあまり、子供扱いされているのだろう)め!我々に意見するとは何様だ!!」

ムーの資本家「全くですな。我々のやり方を否定しおって!おかげで私の出資する会社は人材不足を起こして新興会社に独断で吸収合併されましたよ!!もうあいつのせいでうちは散々ですよ!!」

魔術師「しかも、我々が大事にしているものを勝手に神頼み扱いなど言語道断!!」

薬剤師「奴は我々より地位が低いくせに生意気なのだよ!我々より年下なのに・・」

魔術師「いや、奴は確か20代前半だったはずだ。それにしても気に食わん!!何で我々よりも若いくせに上から目線なんだ!!」

 

 彼らは酒を煽りながら愚痴を言い合う。そしてどんどん過激になっていく。

 

魔術師「だいたい、文明圏外国に属するくせに何故あんなに偉そうなんだ!!」

薬剤師「そうだ!!そうだ!!」

「何としてもあいつを貶める材料はないのか・・・?ん?そういえば性豪と噂されているな」

「やめておけ。あくまで大衆誌なる雑誌の噂らしいが、奴の性欲は恐ろしく送ったスパイの女が二度と帰ってこないほどの絶倫と聞くぞ。それに恋人向けの宿で妻と一緒に一夜を過ごしているところを魔写でとられているらしいが、その魔写を撮った記者に金を渡して「ご苦労様」とねぎらいの言葉をかけ、その記者は「また、仕事があれば呼んでください」と言って帰ったという。」

「いや、そんなことあるか?いくらなんでもそこまでは・・・」

 

 恋人向けの宿・・・おおよそラブホテルであるか?それに関してはほぼ真実だが、女性スパイがハニートラップしようとしたら女性スパイが快楽に溺れ帰ってこなくなったというのは白良自らが撒いたフェイクニュースである。まぁ・・・そもそもスパイ行為をしようとする以前にスパイ・ホーネットなどの変装を得意とするDeMn部隊に逆にハニートラップや情報収集をされて情報を抜かれていたのだが・・・。

 

「いや他に奴を揺さぶる情報はないのか」

「いや・・・妻と例の宿に泊まる程度の話しかない。これ以上揺さぶるネタはないと思う」

魔術師「うむ。確かにこれ以上の情報はないようだな」

 

ボソッ!「・・・仕方がない。ここは1つ、あいつと司令官には死んでもらおう」

「「「「「えっ?」」」」」

彼の発言に魔術師と薬剤師たちはまずそうな空気を醸し出すが、だが最悪嫌がらせにはなると思い賛同した。こうして彼らは暗殺計画を実行することにした。

 

______________________________________

 

白良「・・・どうしようかなぁ・・・」

 

 白良は困っていた。白良は妻である雷子がまだ妊娠5か月で性別がまだわかるわけがないのにもかかわらず、産まれてくる子供のベビーウェアを探していたのであった。彼は別に服にこだわりがあるわけではなく、単純に可愛い服を着せたかっただけなのだが、彼が選んだものは女の子向けばかりで男の子用のものが全然なかったのであった。

 

 

雷子「もう~!まだ女の子と決まったわけじゃないのに女の子モノばかり買わないでくださいよ。」

白良「いやだって・・・武器娘や駐屯地娘って女の子産む確率が90パーセント以上なんだよ。だから・・・つい・・・ね」

雷子「はあ・・・。せわしないんですから・・・・。でも・・・。そんな司令官さんも好きですよ。」

白良「雷子・・・。ありがとう・・・。僕も好きだよ。」

 

 白良と妻の雷子は互いに見つめ合いキスをする。白良の口の中に彼女の舌が入り込み白良の唾液を貪りつくそうと舐め回す。その様子はベビー用品を買いに来た他の夫婦や家族ずれもドン引きしていた。

「ねぇ・・・。あの人たちって・・・」

「シッ!見ちゃいけません!!」

「うぉー!俺もあんな風に濃厚なチューしたいぜぇ!!」

「あなた?こんなところで発情しないでくださいね?」

「はい・・」

 

 暗殺されるなどと知らない二人はイチャイチャと過ごしていた。なお駐屯地に帰ったら雷華にクレしんの如く頬っぺた抓られまくった白良夫妻がいたとかいなかったとか。




次回予告

アルタラス社会主義共和国にて世界中のマスメディアとの討論会を開き、記者と討論する白良・・・。果たして彼の政治思想は・・・?


次回第九十五話「討論会」
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