問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
クワ・トイネ共和国 首都クワ・トイネの郊外 中央歴1641年11月29日
ここではこの世界でも珍しいプラスチック模型・・・。つまり、プラモデルがクワ・トイネ郊外の玩具店で発売されていたのだ。この異世界では見慣れぬプラモデルをそのまま販売しても売れない為、駐屯地の司令官である白良自らプラモデルを組み立てる実演を行ったのだ。
「なんだ?こんなところで白良司令官が何かしているぞ?」
「本当だな・・・」
そんな声と共に集まってきた人々は、目の前で手際よく組み立てられていくプラモをみて驚きの声を上げた。そして出来上がったものは、クワ・トイネ共和国の主力戦車と言える零一式主力戦車シュイである。今現在作ってるのはおおよそ72分の1スケールであり。ある程度細かさを誤魔化せるのと、スナップキットで簡単かつ接着剤を使わない組み立てが出来るため初心者にも作りやすいという利点があった。また、プラモデルは塗装が必要なものも多いが、最初から難しくしても仕方ないため今回は塗料も付いていない。そしてガンプラ並みにニッパーを使わずとも手やハサミでパーツを切り離すことが出来るようになっていた。
「ほぉー!これは凄い!」
「これなら私でも作れるかも!」
「これなら個人製造の木造模型を買わずに済むしいいね」
そんな感じで玩具店に並んでいた、同じスケールのP-01やBTAブルーティカスが売れ始め、あらかじめ店頭に置いてあったものはすべて完売した。そしてこの光景を見た店主は、玩具店からプラモデル専門店へと改装することになったのだった。さて・・・なぜ白良がこの世界にプラモデルを広めたかと言うと・・・・。パーパルディアとの戦争を終え3か月・・・。とうとう転移前に買い込んであったプラモデルが尽きたのだ。
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白良「プラモ・・・プラモ・・・。」
ツリーフロスゴン「雷亞め・・・。2箱ぐらい模型の残しとけよ・・・。全部持っていったな・・!あのクソビッチ!・・・いやパーパルディアを負けたという事実を植え付けるために、皇帝と結婚したんだよね。にしたって塗料すらすべてパーパルディアに持ってくこと無いだろうに・・・。」
白良「ん~・・・。どうしようかなぁ・・・。せや!この異世界に模型会社作ったろ!」
どこぞの掲示板の野球好きのアスキーアートのキャラクターの如く、模型会社を作る決意をした白良であった。彼は、皇国との戦争が始まる前に模型を試作していたのがあるが、戦争がはじまりいつしか放置していたのを思い出したのだ。
早速彼は自室の物置に放置してあった、試作したP-01の模型の金型を取り出し、ポイズアラゴの研究室に向かい再度出力し、試しに二人して作り直したのだが・・・。
ツリーフロスゴン「うん。それなりにはクオリティは良いけどさ。異世界の人がこれで喜ぶ?絶対飽きが早いと思うんだけど・・・。」
白良「たしかに・・・。実際にプラモデル・・・特にスケールモデルが廃れかけたのって、細かいのと初期投資が高いのが原因だよねぇ・・・。」
ツリーフロスゴン「そうなるとやっぱり最初は塗料やニッパーなどの工具を使わず組めるスナップキットが良いんじゃないかな?まあ私たちの様な前世界のモデラーは塗装が好きだから作るんだけどねw」
白良「なるほどね。じゃあスナップキットにすべきだな。ジオラマ文化に関してはこの世界の人間に任せればいいか。スナップキットにするんだったら、デカールにせずシールにしよう。そうすれば、子供も楽しめるし、簡単に作れるから親御さんにも喜ばれる。」
こうしてプラモデルは異世界に羽ばたいたのだ。そして白良は模型メーカーとして、老舗である「タミヤ」「アオシマ」「フジミ」「ハセガワ」の頭文字と、個人販売で軍用機の木製模型を作っていたドワーフの男性モルッカの名前を社名とした、「株式会社タフッカ」を創設し、モルッカを社長としてもらったのだ。なお彼を社長にする際に彼を説得するのはなかなか困難であったのだ。そのやり取りはと言うと
モルッカ「プラスチック製?そんな壊れやすいものより木製の方がよく長持ちする!それに子供の手に軍事が目に付くのは余り教育に良くないのでは?」
白良「いえ。プラスチックは割れる心配はありません。それに木製の模型は確かに丈夫ですが、精密には作れませんし、個人製造の物は高すぎます!しかも職人によっては粗悪品を作ってしまうこともあるでしょう!それに木製では戦車など砲塔を動かせませんし、それに砲塔は動いても主砲は水平のままです!それに航空機なども、エンジン部分などが再現できません!」
モルッカ「うぅむ・・・」
白良「それにおもちゃ屋さんの店長の話では、この世界はまだまだ玩具の種類が少ないようです!そんな中でプラスチックモデルを流行らせれば、軍事以外のジャンル・・・。それこそ乗用車やスポーツカー・・・キャラクターものだって作ることが可能になります!さらに言えば、プラモデルは他の製品と違って、部品点数が多く難しい分、完成度の高さが求められます!それはすなわち、技術力の向上につながるのです!」
ツリーフロスゴン「私たちがいた世界ではこのような・・・。アクションフィギュアの様に組み立てることができるものもあるのです!」
モルッカ「こ・・・これは球体関節の人形か?まるでガラスの様な透明な部品だな・・・。これはどういう仕組みなんだ?」
白良「これは関節部分が可動するので、このように腕を曲げたり別の姿に変えることも可能なんですよ、そしてプラスチックなら透明なパーツを採用でき、デザイン性も高いものが作れるんです!」
モルッカ「おおっ!!これはすごいな!!」
白良「プラモデルは、この世界ではまだ珍しいものですが、いずれは誰もが作れるような環境を整えたいと思っています。また、プラモデルは壊れても木製と違い繊維がないので、接着剤で修復できるという利点もあるんですよ。」
モルッカ「なんと!?木よりも早く修理が出来るのか・・・。よし分かった!私は社長の件引き受けましょう!」
白良「ありがとうございます!しかし社長といっても、一部の製品開発などには私たちが噛みます。ですか収益の取り分は貴方と将来入る社員の皆さんに89%入ります。これは私の率いる駐屯地の兵士たちが商売するときの利益配分と同じ割合にします。なので実質貴方が経営者となり、会社を大きくしていく形になると思います。」
ツリーフロスゴン「ただ、私どもは売り上げの1割ほどをいただきます。」
モルッカ「ああ。それで十分だ。」
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こうして株式会社タフッカが誕生し、モルッカが社長に就任したのだ。さて時系列を戻そう。店頭で売れ切れた数週間後、白良とツリーフロスゴンがタフッカ本社に向かい、新製品の打ち合わせをしたのだ。
モルッカ「さて・・最近は72分の1は陸空揃いました。ですが問題は艦船模型です!スナップキットでは700分の1は空母以下の艦艇は強度的に細かい再現ができないので、どうしてもそこがネックになります!何か良い案はありますか?」
白良「ふむ。やはりここは艦船模型は大きすぎず小さすぎず500分の1にしましょう?」
ツリーフロスゴン「350分の1よりやや小さくかといって600分の1に比べやや大きい。そのサイズにしましょう。」
モルッカ「なるほど・・・。確かにその大きさが丁度いいですね。私も木製で作ってた時はその辺りの大きさで作っていました。」
こうして新たに艦船模型のスケールが決まったのだ。そして今度はキャラクターものの打ち合わせをしたのだ。今回の打ち合わせには漫画やアニメなどの出版社の担当者も来ていた。
モルッカ「今回は騎士ジョッキーと、ジョーの探検記のプラモデルの販売を考えています。」
白良「うー-ん・・・。確かに人気のある作品ですが、この手の商品はすでに他社さんからフィギュア化されて販売されていませんか?」
モルッカ「実はそうなんですよ。だから今回も模型化するんだったら、まずは車両や簡易的なジオラマキットとして発売し、人気が出れば、本格的なアクションフィギュアの様なものにしていきたいなと。」
白良「なるほど・・・。それなら・・・。しかし騎士ジョッキーに関しては今現在女性人気が高すぎます。たしかに模型を楽しむ女性もいますが母数の多さは男性の方がいいです。そこで男性向けのシリーズも用意すべきです。例えば騎士ジョッキーを主人公の変身前の姿をアニメっぽくアレンジした物とかどうでしょうか?」
モルッカ「ほう!それは面白い!たしかに騎士ジョッキーは女性ヒーローで変身前の姿は美女ですからねww。でも男向けだとどんなのが良いですかね?あまり露出の高いものはちょっと・・・」
白良「確かにそうですよね・・・。しかし推奨年齢高めにすれば問題はないかと。」
モルッカ「うむ・・・。まあ、とりあえず作ってみますか。」
こうして新たな企画が決まり、そして2か月後・・・。試作品ができたのだが、現場の技術者などに任せたがために、騎士ジョッキーのプラモデルの可動域とクオリティに問題が出てきてしまったのだ。
白良「・・・これは駄目ですね。肝心の艦船模型は良いですが。騎士ジョッキーの顔が・・・。これは可動範囲が狭すぎて顔が上手く動かせません。それに可動範囲が狭いため、ポーズを固定できません。ジョーの探検記は姿勢が固定されている物なので組み立てやクオリティに問題はないんですが・・・。」
モルッカ「・・・・・」
白良「どうしました?モルッカ社長?」
モルッカ「いや・・・。やはり技術者にCADなどのソフトを教えなければ、この程度のものしか出来ないんだなと・・・。」
白良「え?もしかして・・・。これ提供したCADなどのパソコンを使わずに原型を作ったんですか?」
モルッカ「はい・・・。でも他のものはちゃんとパソコンを使いました。試しにこのジョッキーのプラモデルに木製原型を作ってみましたが・・・。やはりダメでした。木では造形などの再現が阻害されます。」
白良は「なぜパソコンを使わず設計した?」と言いたくなったが、ここで叱ったり叱責しても意味がないし、新たなる発見をつぶすことになるかもしれないと思い何も言わなかった。そしてまず、ジョッキーの変身者と言える一門次春香の顔を上手い事アニメ顔にするために、その造形方を学ばせるため練馬を呼び出したのだ。そして、彼女の経営するであるアニメ会社『スタジオ・デモン』と漫画家育成シェアハウス『ねりま荘』のスタッフや漫画家の卵を数名呼んだのだ。
白良「この方々は私の部下の兵士が育成しているアニメ会社のスタッフと、漫画家の卵たちです!今回は彼らに、騎士ジョッキーのアニメ顔にしてもらい、さらに原作のイメージを崩さないようにしながら、可愛さを追求した頭部の造形を技術者に覚えて貰おうと思っています。」
モルッカ「なるほど・・・!わかりました!よろしくお願いします!」
こうして、この日から数日後、このメンバーで集まり、彼らの指導の元、頭の形状の改善が始まったのだ。まず頭部のデザインは漫画家とアニメーターにより10パターンほど描かれ、そこから更に改善していき、試作品の製造も含めて最終的に4ヶ月かけてようやく完成した。
白良「さて皆さん。お疲れ様でした。試作品の出来は・・・。」
モルッカ「はい!かなり優秀だと思います!!」
白良「これは・・・!」
白良とツリーフロスゴンの目に入った試作品は、かなり上出来なものであった。あまり年齢層が高い作風でもなく、また大人が見ても子供が見ても楽しめるような仕上がりになっていた。また関節の動きも良くなり、ポージングもしやすくなっていた。
白良「凄いですね・・。それにランナーの構成も組み立てやすさと塗装のしやすさを考慮した構造になっています。」
モルッカ「ありがとうございます。これで商品化できるレベルになりました。あとは、プラモデル本体の生産ラインを作るだけです。」
白良「では早速生産に入りましょう。」
こうして無事に騎士ジョッキーのプラモデルが完成した。そしてこの時点で騎士ジョッキーは三作目に当たる騎士ジョッキーD3の放送も始まっていたため、変身後の姿も商品化する運びとなった。
白良「うー---ん・・・。やっぱり、もっと女性人気を高めたいんですよね。」
モルッカ「うー---ん・・・。そうですか・・・。でもこれ以上女性人気を高めるとなると・・・。」
白良「そうなんですよね・・・。私たちのいた世界でもプラモデルは男性の物ってイメージが先行していましたからね。」
モルッカ「そうですね・・・。今現在世界中に浸透しつつありますがやはり男性の物ってイメージですね。
2人は悩んでいた・・・。無理もないこの異世界は男女平等が広まり、男性でも積極的に育児をするのが当たり前の時代であり。女性の社会進出もありスポーツ選手や女軍人、政治家も珍しくはない。中には女性の成人向け漫画作家や、女性造型師(アダルト関連)、女性AV監督と言った男性しかやらなそうな職業にも女性がおり、女性自体も性の興味を気軽に言いやすい社会にもなっているのだ・・・。だがそれでもプラモデルに関してはあまり女性には流行っておらず、45%売れている国は女性の社会進出しすぎともいえるパンドーラ共和国くらいであろう。
白良「うー---ん・・・。騎士ジョッキーのフィギュアは完成して、騎士ジョッキーのプラモも好評発売中・・・。うー---ん・・・。そうだ!モルッカ社長!この世界には無い女性向けプラモデルを作ろうじゃないですか!」
モルッカ「え!?それはどんなものなんです?」
白良「と、言いたいところですが思い浮かばないんですよね・・・。」
モルッカ「え?それじゃあどうすればいいんですか?」
白良「あ、いや、ちょっと待ってください・・・。」
白良は思い出したかのようにある事を思い出す。それは可愛らしさを押した女性キャラのプラモデルを作ればいいのではないかと思ったのだ。
白良「確か、この世界では『カワイイ』と言う言葉が流行っていたはずです。」
モルッカ「はい。確かにこの世界は『可愛い』という感情を大切にしています。それに女性はかわいいものに弱い生き物だと聞きます。」
白良はモルッカの言葉を聞いて納得する。確かにこの世界ではあまり見慣れないものは抵抗感があるだろうが、逆に馴染み深い物なら受け入れやすくもなるはずだと。そこで白良はこの世界の女性たちに受け入れられる様に可愛らしいキャラクターを作り、そのキャラクターのプラモデルを販売することにしたのだ。だがまさか雷亞の作った模型メーカーによる大逆襲が始まるとはこの時は誰も思わなかったのだ・・・。