問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望)   作:CARUR

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第六十八話「文明圏外国の反抗」

フェン王国周辺海域 中央歴1641年5月20日午後18時20分

 

 ここではフェン王国海軍の巡洋艦「逸州」率いる第1艦隊が皇国軍の艦艇がいないか調査を行っていた。現在は彼らは皇国軍の艦艇と海賊船を徹底的にさがし臨検及び撃沈させる『テレフォンエスカルゴ作戦』を行っていた。

 

「艦長、敵艦は確認できませんね。この辺りにはいないようです」

「そうか・・・・・・・・まあ、敵も馬鹿じゃないだろうからな。さすがに最新兵器の技術の報告はできなくとも、フェン王国に近づいたら連合軍に砲撃されるくらいには考えているだろうよ」

 

 副長の言葉に逸州の艦長は腕を組んで考え込む。確かに敵はこちらの動きと技術力の差を把握しているはずだと彼女は確信していた。だからこそ、迂闊に近づかないだろうと予想している。現時点で連合軍の撃沈した戦列艦の数は有に100隻は超えていた。

 

(ただ、あの戦艦だけは別格だ)

 

彼女の脳裏に浮かんだのは駐屯地の持つ戦艦モンタナだった。その性能については事前に聞いていたが、実際に目にして改めて凄まじいと思った。あんなものが艦砲射撃を行った日には海は大荒れになるに違いない。そう思いつつ彼女は威力偵察を引き続き行うように部下に命じた。

 

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駐屯地  地下総司令部5月21日 午前9時20分

 

 

 ここでは各国の陸海空の総司令官が集結し、今後の行う作戦と部隊選出について話し合っていた。議題として上がったのはまずはアルタラス王国の解放である。アルタラス人による偵察情報と衛星写真により、現在アルタラス王国のパーパルディアに占領されており、皇国人の数がざっと60万人とかなりの数が移住しており、かなり浸食されたという事が確認された。また、逃げ遅れた国民は全員奴隷とされてしまっているようだ。

 

白良「戦略爆撃や空爆は不可ですね・・・。ヘリコプターなどの低速航空機による制圧しかありません。制空権に関してはCOIN機や戦闘機でなんとかなるでしょう。しかし、地上侵攻となると、アルタラス人の被害が・・・。それにいくらパーパルディア人でも一般人…。そこの被害も馬鹿になりません」

 

イーネ「たしかに入植した皇国人の存在が厄介ですね・・・。あくまで皇国兵を狙えばいいのですが・・・。一般人を巻き添えにしてしまってもまずいですし・・・。やはり歩兵と戦車部隊を投入して殲滅するしかないかもしれませんね。」

 

「いや・・・。皇国人は容赦なく殺すべきです・・・・。皇国人に対しての怒りを今兵士や国民にぶつけさせた方がよろしいかと思います。」

 

 その言葉を話したのはアルタラス王国の王女・・・・ルミエスであった。妹のルミノも同様に彼女と同じ意見を放った。

イーネ「それでは恨みが残るだけです!民間人にも多数の犠牲者が出ます!」

 

ルミエス「しかし、このままではアルタラス人が犠牲になるばかりですよ? それに属領にされている革命軍の司令官方の皆様もこう思っていますよね・・?仕返ししたいと・・・」

ハキ「女王の言う通りですね・・・!それにいくら指揮官となって私たちは現代の倫理観を学びましたが、国民に関しては全時代のままですよ・・・。もし、戦後のわだかまりを残したままだと、いずれ事件がおこる可能性がありますよ。」

 

 ハキの言葉を皮切りに皇国に属領にされている革命軍の司令官たちが同調する。彼らは皇国に国を滅ぼされ愛する家族や恋人を失った者たちであり、復讐の機会を狙っていたのだ。

 

ルミエス「私からもお願いします。我々にはもう怒りをぶつける対象が必要なのです!!」

 

 ルミエスの言葉を聞き会議場内は、近代化した文明圏外国と前時代的なところがあるアルタラスと皇国属領地域出身者と意見が割れてしまう。そんな中で一人の駐屯地娘が発言する。韓国陸軍所属の基地娘・・・原州だ。

 

原州「たしかに王女のいう事はわかる・・・。だが、ただ単に殺してしまったら皇国軍と同じだ。憎しみは連鎖していくものだ。・・・・移住した皇国の人間を一人残らず皆殺しにするというのはどうだろうか?どうせ皇国兵があのざまだ。良心的な皇国人はもうロウリア合衆国にいて、後の皇国にのこったディアッパリ(パーパルディア野郎)は生きる価値のないゴミクズどもだ。同盟国の国民も奴らが死んだとて文句は言わないはずだ。」

 

 

「そうだな・・・。我々の同胞を殺した憎き皇国人だ。この手で殺すべきだ。」

「俺の家族を奪ったあいつらに報復できるなら喜んで死ねるぜ」「よし!!決まりだ。まずはアルタラス王国を解放するぞ!!!」

 

 その言葉に他の司令官たちは賛同の意を示す。白良はやめさせようとするが、現地人ともいえるイーネや他の国の司令官に抑えられ「もう彼らの気持ちは止められない」と言われ、結局は彼らを止めることはできなかった。

 こうして、アルタラス解放作戦が実行に移されることになったのである。この時アルタラス亡命政府と属領出身司令官たちが社会主義・・・。どちらかと言えばチェ・ゲバラやヨシップ・ブロズ・チトーの様な社会主義と日本型社会主義・・・そして八紘一宇を掛け合わせた第8.51インターナショナルという社会主義を旗印に掲げ、作戦を考案したのであった。その後は戦後の戦後処理について話し合われていった。

 

 

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第三・第二文明圏との海域 5月23日 午後12時40分

 

 

 ここでは第二マグマ帝国から無尽蔵にあふれる原油を母国に持ち帰ろうとするチシィン帝国籍石油タンカー船団・・・おおよそ150m級タンカーが8隻が航行していた。その中にある1隻の巨大タンカーが所属不明艦8隻と遭遇する。

 

「なんだあれは・・・?」

「わからん。しかし、我が国の艦艇でないのは確かだ。」

「まさかパーパルディアの艦艇か!?」

 

「いや・・・皇国軍の戦列艦がここまでくるとしたら結構な食料と水が必要だ。日数的にあり得るか?」

 

 だが彼らの見た皇国軍の戦列艦は異様に早く、まるで近代船舶の如くスクリューを用いているかのような速度で接近してきた。すると自動小銃と思われる銃声とともに次々とタンカーに弾が撥ねる音が響く。タンカーを護衛している巡視船が応戦するが、戦列艦の中に竜母が2隻配備されておりそこから発艦したワイバーン・・それもオーバーロードモードと呼ばれる未確認の強化個体が上空から攻撃してくるため、巡視船は対応に遅れてしまうのだが一度備え付けれれている機関砲の追尾機能を使えば対処可能だった。しかし、彼らは気づいていなかった。いつの間にかタンカーの一隻が皇国軍の移乗攻撃により制圧されていたことに。

 

BABABABBABA!!!

 

「畜生!!まさか皇国軍が小型のモーターボートを使って乗りあがってきたか!!」

 

「おい!女性を一番優先的に逃せ!!俺はここで食い止める!」

 

 そう言いながら6人のタンカー警備員が小銃と拳銃を用いて乗組員に避難を指示し、残りの船員はテロ避難用のボートのある船尾付近に集まる。この世界の避難ボートは沈没した際のボートのほかに、テロなどを考慮し、船尾付近に強固な脱出エリアがあり、そこに逃げ込めるように設計され、訓練されているのだ。警備員が戦闘に勝利した時を考慮し、救命艇のそばには食料と飲料水が備え付けられているのである。一方の警備員はかなり苦戦していた。

 

「なぜ皇国軍は自動小銃なんて持っている!!どこの国が渡したんだ!!ちくしょうめ!!」

「撃て!!撃ちまくれ!!奴らの侵入を許すな!!」

「駄目です!機関銃も銃弾も尽きました!」

「くそっ!!何でこんなところに魔獣がいるんだよ!!」

 

 今現在タンカー8隻のうち3隻が侵入され、中には巡視船に搭乗していたテロリスト制圧部隊の隊員が占領された3隻のタンカーに乗り込み、皇国兵と交戦している。なぜ皇国兵が自動小銃何て物を持っているか?それはアデムが海魔を使った輸送をしていたあたりに手に入れた武器を秘密裏に皇国にもっていき、とある銃の職人に作らせたところ、故障率は高いが、そこそこ使えるものができたのだ。その後、その銃は一部の部隊に配備されたのだ。ちなみにこの銃はマスケット銃の構造を応用して作られているため、射程距離こそ短いものの命中精度は高い。その上相手の顔面にガリン銃を当て0距離で一斉射する戦法をとれば、たとえ相手が列強国であろうとも、十分に対抗できるのである。

 警備員たちは皇国兵の銃剣突撃によって次々と命を落としていくのであった・・・。通信によって敗北を聞いた船員はボートに乗り込みタンカーを廃棄したのであった。3隻のうち2隻は逃れたが、一隻のみ旧式のタンカーであったため、搭乗員は救命艇に逃げ込めず、そのまま皇国兵に捕らえられるのであった。そして何とか巡視船に護衛された5隻のうち一隻が皇国軍の砲撃により船橋を破壊され、航行不能に陥る。ヘリコプターを用いて船橋以外にいたの船員が脱出したが、一隻拿捕されてしまったのだ。

 

 

「まずいな・・!チィシン帝国軍か近隣諸国に連絡してくれ!我が海軍で対処してもらうしかない!我々は残ったタンカーを護衛し、本国へ帰還するぞ!!」

「は・・はい!わかりました!!」

 

一方・・・

 

 

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チィシン帝国近隣海域

 

DODODODODODODODODO!!!

 

VOOOOOOOOOOOOOOON!!!

 

 

「いけいけ!皇国軍を一隻残らず沈めてやれ!!」

 

 チィシン帝国海軍とシウス王国海軍の艦艇が、パーパルディア海軍との海戦を繰り広げていた。チィシン帝国の艦隊には5隻の駆逐艦と空母が含まれており、シウス王国の艦隊は魚雷艇と駆逐艦・・・巡洋艦を含め14隻である。チィシン帝国側は対艦ミサイルによる攻撃を行い、パーパルディア側の艦艇を沈め、さらにパーパルディアの艦艇に対してシウス王国艦隊は魚雷による雷撃を行っていた。

 

「敵艦撃沈!! 次はワイバーンか!対空砲用意!!」

 

「了解!!」

 

 ワイバーンロードに対してCIWSと連装速射砲が火を吹き、徐々にを撃墜する。そして、シオス王国軍の魚雷艇が魚雷を発射する。そして魚雷を受けた戦列艦は船体が真っ二つに折れて沈没していく。こうしてチィシン・シオス連合艦隊の圧勝という形で戦いが終わり、パーパルディア海軍は全滅したのであった。

 そしてしばらくするとタンカー護衛をしていた巡視船から連絡が入り、「生き残った4隻のタンカーを連れている!旧型のタンカーが依然、皇国軍に占領された!搭乗員が捕虜にされているため救助を要請する!」という旨の報告が入った。

 

「了解した。我々は補給を終えた後すぐさまそちらに向かう。」

『感謝します!!我々だけでは対処できません。』

「わかった。」

 

チィシン帝国海軍は残存している燃料と弾薬を使い切っていたため、補給艦の補給を待ちつつ、捕らわれたタンカーの乗組員を救助するため、急行したのである。念のため病院船も向かわせ、捕虜となった乗組員を収容できるように準備を行った。チィシン帝国海軍が現場に到着したとき、もう既に遅かった。皇国軍は船員を惨殺し船に磔てあったのだ。そして女性の乗組員に対して凌辱を加えている光景が目に入った。

 

「相変わらず皇国兵は度し難いな・・・。とりあえず周囲をかこっている戦列艦を無力化する。その後は乗組員の救出だ。急げ!」

 

 そう言いながら両国海軍は皇国軍の帆船に攻撃を仕掛け、撃破していく。しかし、その隙を突いて皇国軍の戦艦が接近してきたのだ。

 

DOGOON!!

 

「なんだあいつら?戦列艦のわりに早いな。だが砲は未だに旧式のままか・・・。」

 

 シオス王国海軍が発砲する中、チィシン帝国海軍航空隊も負けじと皇国軍に向かって攻撃を行う。皇国海軍の戦列艦に対しシオス王国軍はノーショーピング級魚雷艇を模した新型魚雷艇『シースター』を投入し、皇国艦隊の側面に回り込み、魚雷を発射して、皇国の戦列艦を撃破していく。

 

「うわぁあああ!!」

「助けてくれぇええ!!」

 

 皇国兵の断末魔の声が響き渡る。そしてその声は、捕まっていた女性の耳に届く。なんとか皇国兵のスキを突き性器を噛みちぎった後、彼女はタンカーから飛び降りたのであった。拘束はせれてなかった為何とか平泳ぎで戦闘中の海を泳ぎ、月野型駆逐艦「月野」の内火艇に救助されたのであった。そしてチィシン帝国は同胞がされたことの仕返しと言わんばかりに、皇国兵だけになったタンカーに猛攻撃を行い、全滅させたのであった。

 

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リーム王国  新陸軍基地 5月24日 午前7時20分

 

 ここでは駐屯地の支援により近代的な設備を備えた新陸軍の部隊が続々と配備されていた。そんな中、皇国軍が侵攻しに来たのだ。だがアフリカ連邦陸軍の訓練を受けた兵士たちはいとも簡単に皇国軍を撃退してしまう。

 

「クソッ!何なのだあの化け物は!?銃が全く効かないだと!?」

「怯むな!!撃ち続けろ!!」

 

 皇国兵たちは、マスケット銃を撃つが、全く効果はない。それもそのはずこの世界では最強ともいえる零一式主力戦車なのだから。この車両の特徴は、主砲である82mmライフリング砲と30mm無反動砲。同軸機関砲はM2ブローニング。ハッチに25式小銃を装備。時速74㎞、装甲は45mmの複合装甲とポイズアロゴ謹製ダイラタンシー装甲と金属プラスチック装甲9mm。さらに射撃管制装置を装備しているため命中精度が高いのが特徴だ。皇国軍も新兵器と言える地竜のリントヴルムロードを投入するも・・・。

 

「喰らえ!これが俺たちの地竜だ!死ねぇええ!!!」

 

ギャオオオオオン!!

 

「蛮族ごときがぁあ!!調子に乗るんじゃねえぞ!!皇国の炎を喰r・・・・・」

 

DODODODODODODODODON!!!

 

 そう恰好付けたもののリーム王国空軍のF7Fタイガーキャットを模したF05Fタイガウルフ6機による航空爆撃を受け、皇国兵はリントヴルムロードごと爆殺。彼らの名誉のために言うと、リントヴルムロードはムーの戦車程度の砲弾なら耐えられるほどの防御力を誇り、火炎放射した際の火力も強力であり、射程は13mと距離は伸びているが、所詮大きい亀に過ぎない。それを侮って突っ込んでいったのが運の尽きであった。そして皇国軍もさすがに馬鹿ではないので撤退を開始するが、そんな彼らに容赦ない銃弾や爆弾が降り注ぐ結果800人いた皇国軍の部隊も壊滅状態に陥るのだった。

 

「ふぅ・・・。まぁこんなもんか。」

「そうだな。」

「でもよぉ。皇国はどうやって攻めてくるんだろうな?」

「さぁ?一応奴らも駐屯地と俺らがムーとかの列強以上の戦力を揃えているのを理解しているだろうし、下手に手出しはできないと思うけどね。」

「確かにそうだな。」

 

 そう言いながら彼らは帰路に着くのであった。ちなみにリーム軍の戦力は、戦車2両、榴弾砲3門、航空機3機、対空戦車1両、装甲車3台、歩兵50人と言う構成となっている。リーム王国の国王であるバンクスは「たったこれだけで皇国軍を撃退できるのか・・・。」と呟くのであった。一方同じくパンドーラ魔法国・・・いやパンドーラ魔法共和国となった国にも皇国軍が侵攻していた。

 

「うわぁああ!!助けてくれぇえ!!」

「貴様ら蛮族は皆殺しだ!」

 

 皇国軍の兵士は、剣を振り回しながら逃げ惑う市民たちに襲い掛かる・・・。はずだった。

 

KYURAKYURAKYURA!!

 

「皇国軍を確認・・・。これより攻撃を行う。」

『了解。攻撃開始。』

 

VI号戦車ティーガーI型「お前らは私よりも新しく作ってあるんだ。無様な負け方するなよ?目標!敵リントヴルム!Schießen!」

 

 

 皇国軍の目の前に現れたのは、白い軍服を着た女性兵・・・いろんな体系の兵士が仮面を被り銃を持ち輸送車から降車した。そして周囲には重戦車などが追従していた。皇国兵は「カモがネギを背負ってやってきたぜぇ!!」と言わんばかりに、突撃するが・・・。

 

「撃てっ!!」

 

BABABABABABABABAB!!

 

「ぐあっ!なんだこの威力は!?」

「畜生!!なんだよこいつら!?」

 

 皇国軍の歩兵部隊は、突然現れた謎の集団によって一方的に蹂躙され始めた。Stg44の弾丸を喰らい倒れていく兵士たち。一方戦車は主砲同軸にある機関砲と車長ハッチにある、ラインメタルMG3を近未来チックにしたMRPM-1を用いて、次々と敵をなぎ倒していく。この機銃の特徴はただSFチックな外見だけではない。この世界には魔法があるのだ。この機銃はいろんな属性の魔法を持つ者に応じて、焼夷効果、雷夷効果(軽い電撃で相手を痺れさせる・・もしくは電子機器をショートさせる)、氷夷効果(氷結させる)、光夷効果(閃光を浴びせる)、土夷効果(石つぶてを飛ばす・・・つまりは散弾銃のような物)、闇夷効果(目くらまし・・・というより相手の視界を奪う)、風夷効果(暴風を発生)、毒夷効果(猛毒の弾を発射)という複数の能力を持っている。これらの効果は、それぞれの属性に対応した魔石を装填することで発動可能だ。この機関銃が、皇国軍の歩兵部隊に牙を向く。皇国軍の歩兵部隊は、次々に犠牲となっていく。

 

「クソッ!蛮族どもがぁあああ!!!」

「蛮族じゃないです。私たちは・・・・。」

「パンドーラ魔法共和国の軍よ。」

「なっ!?」

「くたばれ・・・。」

 

 そう女性兵士が言った瞬間、皇国軍兵士は全員血まみれとなって倒れるのであった。一方の空戦は共和国軍の優勢であり、制空権を完全に確保している状態であった。Me P.1101を強化してMe001オイレ同様の性能に改良した、KP-1クラァエが7機が皇国の飛竜を次々と撃墜していった。クラァエの特徴としてはこの世界としては非常に珍しいマッハ1.7と言う速度を出すことができることだ。これにより皇国軍のワイバーンは、全くついていけず、一方的に叩き落とされる結果となった。

 

「こちらパンドーラ空軍第1航空師団所属第一航空隊。皇国軍は全滅。繰り返す。皇国軍は全滅。」

『了解。引き続き警戒せよ。』

 

 こうしてリーム王国とパンドーラ魔法共和国は、皇国の脅威を退けることに成功。そして敗走した皇国軍は、本国へと帰還し報告したのだ。そのことがレミールの元に届き、彼女は激怒した。

 

レミール「ふざけるな!!なぜ隣国の雑魚どもに負ける!?せっかく鹵獲した銃を元にして作った銃を投入すれば勝てるはずではないか!!」

アルデ「申し訳ありません・・・・。すでに隣国には駐屯地と同じ兵器が配備されています。我々も対抗策を練らねばなりません。」

 

レミール「ええい!!言い訳など聞きたくない!!とにかく奴らを潰せ!!奴らの兵器を我が物にしろ!!いいか!?奴らをのさばらせておくな!!」

「・・・・・・。」

 

 アルデは怒り狂うレミールを見てため息をつく。しかし彼女の言うことはもっともだ。このままではいずれリーム王国やパンドーラ魔法共和国は皇国に攻めてくるだろう。そうなれば技術力の格差により負けてしまうかもしれない。そう考えた彼は「わかりました。必ず善処します。」と言い残し部屋を出ていく。アルデは部屋から出た後、廊下の壁にもたれかかる一人の男性に声をかける。

 

アルデ「どう思いますかね?」

 

「あの女の考えかね?まぁ無理もない話だがね・・・。皇国は確かに大国ではあるが、所詮は自己中心的な民族だ。ムーと神聖ミリシアルより上の技術力を持つ駐屯地率いる連合国に勝てるわけがない。しかも奴らには強力な武器がある。あれに対抗するには列強国の武器を貰っても勝てんよ。」

 

 そうアルデの話した人物はあのカイオスであった・・。じつはアルデもカイオスやルディアスの様に戦争を終わらせたいと考えていた。しかし二人はルディアスが戦争に乗る気ではないことを知ってはいないので、簡単には動くことができないのだ。一方のルディアスも国民がレミールのいう事になっていることに不安を感じていた。そしてこの戦争が終わった後に何が起きるのか・・・それを想像すると、どうしても自分たちが行っていたことを、そのままされるのではないのかと思えてならなかった。




次回予告

ロウリア合衆国に第二マグマ帝国から、冷戦期に作られたソ連機を模したマグマ航空機娘を揃え、パーパルディア皇国に占領されたアルタラス王国周辺海域の海賊及び戦列艦艦隊を殲滅する作戦「ゴーストウォッチ作戦」を開始し始める。


次回第六十九話「ゴーストウォッチ作戦」

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