問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
パーパルディア皇国 皇都エスシラント 午前8時10分
空襲から約6日・・・。皇国民の精神はどんどんと蝕まれていた。いつ自分達の住んでいる街が、村が焼かれるかわからない恐怖に怯えているのだ。最初は500mで連合軍の航空機が飛行していたが、今は320mまで高度を下げ騒音を撒き散らしながら飛んでいる。その音に驚き、泣き出す子供や失神する女性もいるほどだった。
皇国の貴族層も精神に異常をきたすものも多く、しまいには皇国兵ですらも、『なぜこんな目に合わねばならないのか』と考えるものが増えてきていた。そんな状況の中、皇国軍はとっておきの兵器を取り出した・・・・。
「神聖ミリシアル帝国製の魔光砲だ! こいつで敵を撃ち落とすぞ!」
皇国軍の兵士がそう叫ぶと、馬を使い牽引されてきた巨大な筒状の物体が現れた。それはイクシオン20mm対空魔光砲と呼ばれる、第一世代型の魔光砲であった。本来は研究用に神聖ミリシアル帝国から型落ち品を供与されたものであったが、それが今、実戦に投入されようとしていた。この兵器は一言で言うなら魔法の力で放つビーム兵器である。原理としては魔方陣によってエネルギーを発生させ、それを収束させて撃ちだすという単純なものであった。
だが第二文明圏ですら扱えない量の魔力を必要するため、研究用に買ったものですら皇国軍の研究者を悩ませるほどの代物だった。しかし、現状では他に選択肢はなかった。このまま手をこまねいていれば、連合軍の威嚇飛行を眺めながら死ぬだけだからだ。
皇国軍はこの魔光砲を住宅街に配備し、上空へ照準を合わせる。そして、魔力エンジンに魔力を注入する・・・。だが全くと言っていいほど遅い。そもそも大量かつ質の良い魔石による補助がなければ、人間族程度しか魔力を持たない種族が扱えるようなものではないのだ。
「おい!!遅すぎるぞ!!!」
「ミリシアルはすぐに装填されると言っていましたよ!?」
「そんなわけあるか!これじゃあ威嚇にもならないじゃないか!」
兵士達が文句を言いながらも、必死に操作を続ける。するとようやく準備が完了したらしく、発射の準備に入る。そして、引き金を引くと轟音と共に眩しい閃光が空へと放たれた。そしてその閃光がロウリア合衆国空軍所B-02ホワイト・フォートレスの左翼付近に着弾する。
『ギィイイイン!!』
金属音が響き渡り、機体が大きく揺れる。兵士の一人が悲鳴を上げた。
「うぎゃあああっ!!」
「くそっ!ビーム兵器か!だが幸いにも少しは飛行できそうだ!海上に逃げるぞ!」
「「了解しました!!」
「こちらUSL空軍所属の第3飛行団リッパー隊のB-02!!たった今攻撃を受けた!左翼付近にビームが当たった模様!念のため撤退する!敵の兵器の座標は・・・」
そういいながら魔光砲が配備されている座標を友軍機に送信し、彼らの乗るB-2は海上に向かい撤退していったのだ。そして座標を元にクワ・トイネ空軍のF-01フェアリーセイバーが50㎏爆弾を2発を両翼に装備し、魔光砲のある住宅街に向かう・・・。低空飛行で住宅の上を通り過ぎ、魔光砲の存在する場所へ向かう。
「(さっきの攻撃は恐らく、神聖ミリシアル製の魔光砲だろう・・・。おそらく皇国軍はすぐさま装填できるとは思えん。)」
FJ-01のパイロットがそう考える。確かに魔光砲は強力な兵器ではあるが、欠点もある。まず第一に膨大な魔力を必要とするため、皇国軍のレベルでは1門につき30分以上の時間が必要であろう事だ。さらに言えば、魔石を大量に消費するため、一発撃てばほぼ無力化してしまう。
「(ならば一撃で仕留めれば良いだけの話だ・・・。)」
パイロットはそう考え、爆弾の投下準備と念のための機関砲の安全装置を解除する。高度を300mを維持しつつ住宅街に接近していく。一方の皇国軍は装填に手間取り、いまだに攻撃ができない状態が続いていた。
「早くしろ!!もう奴らは射程内に入っているぞ!!」
指揮官らしき男が叫ぶ。あからさまに轟音の近づく音が聞こえたためか、焦りの色が見える。そして、ついにF-01は魔光砲が存在する地点に到着した。そして、一気に降下を開始する。
「目標確認・・・。投下開始!!」
彼は操縦桿を倒し、投下ボタンを指先で押し込んだ。そして機関砲のボタンも勢いよく押す。計2発の50キロ爆弾が魔光砲に向けて落下していく。そして機関砲の弾はいち早く皇国兵の方に向かい、撃ち殺していった。しばらくして時間をおいて爆弾が着弾する・・・。すると蓄えられていた魔法力が暴発し、魔光砲が爆発四散した。そしてその爆破は魔力の影響か、炎色反応で花火の様に綺麗な光を放っていた。結果として虎の子の魔光砲は破壊され、連合軍への牽制には失敗した。
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第二マグマ帝国からかなり離れた海域
「これより大型N2爆弾の爆破試験を行う!設置班の部隊は撤退後、人員の確認を行い退避せよ!」
しばらくすると設置班は応答する。
『了解。こちら設置班、全員無事に撤退済みです。』
「よし、カウントダウン10秒前!9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!!!」
次の瞬間、超高熱のエネルギーが解放され、海面に大きな水柱が上がる。その威力は凄まじく、まるでビキニ水爆実験でも見ているかのような光景だった。
「おお・・・。なんという威力・・・。」
「ああ・・・。この兵器があれば、抑止力として最大だな・・・。まぁ最もパーパルディアのクソッタレどもが早く降伏してもらいたいものだがね。」
「まったく同感ですよ。」
そう言いながら、科学者たちが皇国を罵倒しながらも早く降伏をしてくれないかと願うのであった。彼らも同胞と言えるキュルギュルを殺され、大型のN2爆弾を投下してやりたいと思っているが、科学者の使命は平和な未来に繋げることにある。N2兵器も原理によっては人類に役立つかもしれないのだ。それを戦争に利用するのは科学者としての良心が許さなかった。そのため彼らは心の中で祈るのみであった・・・。
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ロデニウス大陸から数千キロ離れた極秘海域
ここでは連合軍が極秘で試験飛行や試験操縦、新部隊の極秘演習に使われる海域である。そこには小さな無人島を盛り土などで拡張した演習場や飛行場が存在した。そして今、ここではオイレとベルゼファン、ポイズアラゴ・・・・4体のオイレ特製の高レベル学習能力を持つアンドロイドによって作られた、超ステルス強襲ヘリの武器娘の武装試験が執り行われていた。
オイレ「駄目ですね・・・。光学迷彩を生物的なナノマシンで作ると音速の熱に弱いです。やはり私の作った光学迷彩の方がいいですね。」
ベルゼファン「母上!ですがヘリコプターに搭載するほどの電力問題があります!ここはポイズアラゴさんの作った光学迷彩で折衷案としましょう!」
ポイズアラゴ「うーん?ベルゼファン君もなかなか無理言うねぇ・・・。このヘリ自体マッハ2を出す前提だから、その光学迷彩を使った状態で音速飛行しなくちゃいけないんだよね・・・。これもこれで寿命が如何せん短いよ。」
オイレ「仕方ないですよ。そもそも攻撃ではなく極秘裏に敵国に領空侵犯し、敵重要拠点にいる捕虜とかを救助することが目的なのでしょう?」
そういいながら武装の光学迷彩を起動させるよう武器娘に命令を下す。すると彼女はスッと姿を消した。その後も武装の試験は続いた。なぜ駐屯地は音速で移動するヘリコプターを開発しているのか?それはいずれ読者の皆様に説明しよう。同じくこの島ではある武器娘が刀を用いて訓練を行っていた。
「・・・。」
その少女は黙々と素振りを続けていた。その顔は感情を感じさせないほどに無表情であり、その目は何を考えているかわからない。彼女のもつ刀は一見日本刀に見えるが高周波振動機能が搭載されており、切れ味は抜群だ。刀の名前は「雷神嶽丸(らいじんだけまる)」という。そして彼女は旧日本軍の制服を身に纏いながら鍛錬を続けている。そして彼女はある程度射撃の訓練を行った後、休憩に入る。彼女は無言のまま島の中心に存在する湖へと向かい、水分補給を行う。
「サンレア・・・・。必ず生きていてくれ・・・。」
彼女はそういいながらサンレアのことを思う。そんな彼女が敵の手に堕ちた。それだけではなく外交官としてやってきたの白良と市ヶ谷の目の前でサンレアを辱めるようなことをされた。そのことが彼女をここまで怒り狂わせている原因だ。
「絶対に仇は討つ・・・。」
彼女はそうつぶやくと再び刀を握りしめ、鍛錬に戻るのであった。
次回予告
空襲から10日後・・・。皇国民の精神は限界に瀕していた。そして駐屯地により作られた極秘特殊戦術ヘリにより、とある人物が特作群の忍野しのぶ、小平薫、須走隆美を連れパーパルディア皇国の政治犯収容所に降り立つ・・・。
次回第七十八話「救助」