問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望)   作:CARUR

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第七十八話「降伏前夜」

パーパルディア皇国 (中央歴1641年8月14日) 午前7時40分

 

空襲から10日後、降伏しなければN2爆弾を投下する5日前。もう皇国民の精神は限界に来ていた・・・。常時航空機の騒音に悩まされ、食料も底を突きかけている。そして何より、毎日のように機関砲による銃撃を受けているのだ。それにより多くの死傷者が出ている。そして尋常じゃないストレスに苦しまれる子供や女性達は発狂をしたり、中には過剰なストレスにより死んでしまう赤ん坊や、流産する母親もいた。

 

「どうしてこんなことになったんだ」

「そうだなぁ……あの時、連合軍に降伏していれば……」

そんな弱気の皇民達に対し、とある皇軍士官が叱咤した。

 

「何を言っている!我が皇国は列強の一つである!!しかもこの世界最強の国家だぞ!!!例え相手が世界最強だろうと負けるわけがない!!」

 

彼はそう言うが、もはや威嚇飛行も高さ40mまで下がり、ジェット機が通過したら窓ガラスが割れてしまうほど高度を連合軍機は下げている。そして降伏を促すビラの言葉使いも日に日に辛辣なものとなっていた。とてもじゃないが、戦争継続の意思があるとは思えなかった。しかし、彼の言ったことは正しい。確かにこの世界の列強の一つであり、最強の国家である。だが、そのプライド故に敗北を受け入れることができなかった。

 

 

______________________________________

 

同時刻に駐屯地により作られたステルス強襲ヘリ娘、秘匿式極秘特殊戦術輸送ヘリ「SJ-α天之狭霧神」が航空機形態で着陸した後、とある人物が特作群の忍野しのぶ、小平薫、須走隆美を連れ、サンレアと特作群の舟岡の捕らえられている収容所に向かう。その人物の格好は旧日本軍の制服を纏い日本刀と拳銃を所持しており、顔には面をつけていた。

 

「よし、行くか。」

忍「臨時隊長・・・。とりあえずどうする。」

 

「・・・・皇国兵はすべて殺す・・・。そしてあの2人を助け出す。それだけだ。」

薫「過激だね。」

 

「とりあえず忍と須走は敵の人数を把握してくれ。」

須走「わかった。」

忍「任せて。」

 

雷亞「サンレア・・・・!必ず助ける!」

 

その隊長とはサンレアの義母に当たる雷亞である。彼女はこの部隊の指揮官であり、娘の救出のためやってきた。そして彼女たちは収容所に到着し、特作群の3人に命令を出し制圧し始める・・・。

一方収容所を制圧していた雷亞と特作群三人は収容所の内部を見て絶句していた。衛生状態は通路以外汚れており、牢屋にはいろんな種族の若い男女が収容されており、中には衰弱しきっている者もいた。

 

薫「これはひどいな。まるで家畜小屋だ。」

忍「ああ、酷い臭いだな・・・。」

雷亞「あの2人はまだ見つからないか?須走。」

 

「おい!貴様たち!なにもn・・・・」

 

ズバシャアッ!!

 

ボトッ・・・!

 

 

 

雷亞「邪魔だ。騒ぐな」

 

収容所の職員が話しかけようとすると、彼女は彼の首を日本刀で斬り落とし、そのまま職員の死体を蹴り飛ばすと、奥にある扉を蹴破って入る。扉の向こうにいた職員は驚いて悲鳴を上げる。

 

「ひぃっ!?なんだ貴様ら!!」

雷亞「私は特作群の隊長を務める雷亞だ。お前たちに聞きたいことがある。この施設に私の娘に当たる外交官の女性と、護衛の兵士が監禁されているはずだ。どこにいるか知らないか?」

 

「知らん!!グベッ!!」

 

「ひぃっ!」

 

雷亞「こうなりたくなければさっさと吐け。あと貴様は後で殺す。」

 

「わ・・・わかりました…!部屋の番号は401号室と403号室です!」

 

雷亞「そうか・・・ご苦労。死ね。」

 

ヒュンッ!ズバシャアッ!!!

 

 尋問をしていた職員の首から上が無くなる。その様子を見た他の職員は恐怖し、急いで部屋番号を教え、雷亞は職員に刀を突き刺す。そして残った女性の職員二人は拘束され、捕らえられたサンレアと舟岡のいる部屋に向かっていった。行く時々で、牢屋の中にいる女性たちは腹に父親不明の子を宿しており、それを見た薫は彼女たちに優しく語りかける。

 

薫「大丈夫かい?後で必ず助けに来るからね。」

「あぁっ・・・ありがとうございます・・・。」

薫「わかっているよ。安心してくれ。」

「ああっ・・・!」

「うぅっ・・・!」

 

 牢屋越しから涙を流す女性に励ましの言葉をかける。一方、雷亞はサンレアを見つけられたが、彼女の眼には光が灯っておらず、死んだ魚のような目になっていた。そしてサンレアの腹部には明らかに、妊娠していることが一目でわかるような状態である。そんな彼女に声をかけると、雷亞の声に気付き、振り向く。

 

サンレア「お母さん・・・?来てくれたん・・・だ。」

 

雷亞「あなた・・・そのお腹は・・・・。」

 

サンレア「な・・・何でもないよ、大丈夫・・・。」

 

雷亞「何が大丈夫なの・・・?」

 

 雷亞はサンレアに怒りを込めた言葉で語り掛ける・・・。普段はサンレアのすることにすべて寛容な彼女とは思えぬほどの豹変ぶりである。サンレアは母親を心配させまいと嘘を付くが、雷亞には通用せず、彼女に詰め寄る。

 

雷亞「太った・・・?そんなわけないでしょ・・・?妊娠してるんでしょ・・?そのお腹はどうしたの・・・?誰の子供なの・・・?答えなさい・・・!!」

サンレア「違うの・・・!これは・・・!とにかく大丈夫だか・・・・」

 

ピシィン!!!

 

 とうとう雷亞はサンレアの頬にビンタを喰らわせ、彼女を怒鳴りつける。

 

雷亞「ふざけないで!!自分の娘がこんな状況になって平気な親なんていると思うの!?」

サンレア「うう・・・っ!うわぁぁぁあんっ!!」

 

 母親にビンタされ涙を流すサンレア。そして三人が舟岡を見つけ抱えると、他の収容者の檻を開放し、収容されていた人々を開放したのだ。しかしそこに一人の皇国兵が現れる・・・。どうやら始末した兵士がばれたようだ。敵兵の数は3人と少ないが、収容されていた男女を連れているため彼らを守りながら戦うのは困難であった。が、超人的な能力を手に入れた雷亞にとってはこの状況は苦ではなかった・・・。

 

PAN!PAN!!PAN!!

 

雷亞「セイヤ!!!」

 

BISI!BISI!!

 

 特殊な防弾繊維を織り込んだマントで銃弾を防ぐと、改良した九四式拳銃を用いて皇国兵を射殺すると、もう1人の皇国兵を蹴り飛ばしながら壁によりかからせると、日本刀を用いて・・・・。

 

 

雷亞「悪く思わなでくれ。これも任務だ。」

 

ズバシャアッ!!

 

 雷亞は皇国兵の首を斬り落とした。その後、収容所の職員たちは収容していた男女たちを解放した後、雷亞たちの援護を行う。

 

「お前たち早く逃げろ!!ここは俺たちに任せてさっさと行け!!」

「わ、わかった!」

「ありがとう!助かったわ!」

 

 収容されていた人々は4人に誘導されCH-47JAに乗り込むと、離陸し、脱出に成功する。そしてサンレアの頭をなでると、彼女は雷亞に抱き着き泣きじゃくる。

 

サンレア「お母さんっ……!お母さんっ!!ごめんなさい、ごめんなさいっ!」

雷亞「・・・・もう。二度と離れ離れにさせないわ。」

サンレア「うん……。お母さん、大好き……。」

 

 雷亞は涙を流し、サンレアを強く抱きしめる。そしてそのままパーパルディア皇国の沿岸部で待機している高天原丸に着陸したのだ。待機していた三宿により解放された人々に説明が始まり。今後の生活に関しての説明が行われた。そのことを聞き安堵する人々。一方舟岡は雑に包帯を巻くと何事もないようにコーヒーを飲み、なぜかついてきた女拷問官リリアナと話す。

 

リリアナ「あら?さんざん私の拷問を受けたのに元気そうね?」

舟岡「まぁな。俺はこの程度では死なん。それよりお前はなぜ俺たちに付いてきたんだ?」

リリアナ「ふふふっ・・・死なないあなたに興味を惹かれたからよ。それに・・・私はあなたの事が気に入ったの。」

舟岡「ふん。変わった奴だな。だが嫌いじゃないぜ。」

 

 リリアナは舟岡に興味を持ち、彼の傍にいるようになった。一方、雷亞はサンレアの様子を気にかけていた。

 

雷亞「サンレア。身体の調子は大丈夫?どこか痛むところはない?何か欲しいものはある?遠慮せずに言うんだよ。」

サンレア「大丈夫だよお母さん。心配しないで。」

雷亞「いいえ。心配よ。誰の子供なのか知らないけどあなたは子供を身ごもってるのよ。しかもあなたは異なる武器娘の死体をつなげた存在よ?」

 

サンレア「お姉ちゃんたちに比べれば私は傷だらけじゃないから平気・・・・。だから大丈夫。心配かけてごめんなさい。」

雷亞「謝る必要はないわ。でも・・・・あなたの体のために赤ちゃんは諦めてちょうだい。」

 

 突如として母親から子供を堕胎しろと言われ驚くサンレア。無理もない、彼女はまだ外見は16歳くらいであるが精神年齢は8歳にも満たないのである。そんな子供の様な彼女に育児を任せられない為か雷亞は中絶を強要するが、サンレアは涙を流しながら理解が追い付かないような顔をし、反論する。

 

サンレア「え・・・?なんで・・・?お腹の子は悪くないよ・・・!私のお腹の子がどうしてダメなの・・・!?」

雷亞「サンレア・・・!落ち着いて聞いて頂戴。あなたのお腹にいる子はレイプで妊娠した子なのよ。つまり・・・望まない子供なの。」

サンレア「でも・・・・!赤ちゃんは私が育てる・・・!だって・・・お父さんはいないもん・・・!だったら私が育てないと・・・!お願い・・・!産ませて・・・!お願い・・・」

 

 サンレアは何としても腹の子を産みたいと懇願し、涙を流す。が、雷亞は首を横に振ると、彼女の肩をつかみ説得を行う。

 

雷亞「駄目よ。あなたはまだ若いのよ。これからいくらでも恋愛をして結婚して出産できるの。それなのに・・・!貴方は母親にまだなってはいけな・・・・」

 

サンレア「でもお母さんは私を産んでないけど、私のお母さんでいてくれた!!私はそれがうれしかった!!だから今度は私がお母さんの様にこの子を立派に育てる!!だかr・・・」

 

パシィン!!雷亞はサンレアの言葉を遮るようにビンタを行い、頬を抑える彼女を見つめると、厳しい口調で言う。

 

雷亞「ふざけたこと言わないで!!精神が小学生レベルの貴方を育てたのと、あなたがお腹を痛めて生んだ子供では訳が違うのよ!!確かに私はあなたの実の母親ではないわ・・・・!でも子供を育てるのってそんな楽じゃないのよ!!あなたにはわからないかもしれないけど・・・!子供が育つ環境を整えるのはとても大変な事なのよ!!」

サンレア「うぅっ・・・!ぐすん。お母さん・・・。」

 

 そういうとサンレアは孤独を求め、部屋から出て行った。雷亞はその様子にため息をつくと、三宿に話しかける。

 

雷亞「三宿。サンレアを頼めるかしら?」

三宿「えぇ。わかりました。あの子の事は任せてください。」

雷亞「ありがとう。じゃあ私はそろそろ行くわ。またね。」

 

 そう言い残すと雷亞は艦内の休憩室で横になり、眠りについたのだ。一方のサンレアは自分の腹をさすり部屋に閉じこもり、涙を流していた。虫も殺せないようなサンレアにとって自身の腹で大きくなりつつある子供を中絶するのは耐え難い苦痛であった。確かに母親の言う通り、自分は今まで強姦され続け、その果てに孕んだ子供であろう。しかしそれでも自分にとってはかけがいのない我が子であることに変わりはない。

 

サンレア「ごめんね・・・。ごめんね・・・。」

 

 サンレアはそうつぶやくと、部屋にサディスが入ってきたのだ。彼はサンレアと一緒に同じ独房に収監されていたが、他の捕虜と同様に拷問を受け、怪我を負っていた。彼は擦り傷から病原菌が入ったものの駐屯地の医学力なら簡単に治せるものだったためすぐに完治し、今に至る。

 

サディス「・・・・確かにお前の母親の言う事も一理あると思うぞ。最もまだ15歳の俺が言えた物じゃないが・・・・。本当に産むのか?」

サンレア「うん・・・。この子はどんなお父さんであっても罪はないから・・・」

サディス「そうか・・・。ところで・・・お前は自立したいと思ったことはないのか?親に縛られることなく自由になりたいとは思わないのか?」

サンレア「ないよ。だってお母さんは私の為に頑張ってるんだもん。私がお母さんの苦労を無駄にしちゃいけないんだよ。だから私はお母さんに言われた通りに生きるよ。それに・・・もしこの子が生まれたら一緒に暮らすことになるから寂しくない。」

 

 サンレアの母親である雷亞は何としても自分の娘を幸せにしてやりたいという強い気持ちがあった。その為、彼女は娘がレイプされてできた子供はサンレアのためにも、社会の秩序のためにも堕胎させるべきだと考えていたが、娘のサンレアは母親と同じ考えを持つことが出来なかった。

 

サンレア「ねぇ・・・。私の赤ちゃんは大丈夫かな・・・?元気に生まれてくるよね・・・?怖いな・・・。不安だよ・・・。」

サディス「ところでお前は一人で赤子を育てるつもりか?それとも誰か協力してくれる奴がいるのか?」

サンレア「いないよ。私には誰も味方がいないもん。」

サディス「だったら俺に協力させてくれ。俺がお前の子供を育ててやる。」

 

 突如としてサディスの言葉に驚くサンレア・・・。彼もまた、サンレアの事を心配していたが、もう一つ理由があった。それは収容所でのパーパルディア皇国の異常性を目の当たりし、皇国から脱出することを決意したからだ。だが唯一の懸念点があった。それは雷亞の存在だ。

 雷亞はサンレアの事を溺愛しているのは間違いないが、一方でどこの男かもわからない子を身ごもっているサンレアには、早めに堕胎させたいという考えを持っている。その為、仮にサンレアの子供が産まれたとしても、サンレアが子供を育てたとしても雷亞はきっと反対するだろう。しかし自分が父親に名乗り出た場合、サンレアの精神に寄り添える存在になれるはずだと考えたのだ。

 

サディス「(だが雷亞氏がそれを許してくれればの話だな・・・)」

 

 彼はそう思いながらサンレアを励まし続けたのであった。一方報告を聞いた白良はと言うと・・・。

 

 

_________________________________________________

 

駐屯地 司令室

 

白良「そうか・・・サンレアは無事だったか・・・・。よかった・・・。だがとりあえず皇国は奇跡的にも滅ぶ要素は減ったな・・・。あとは降伏してくれれば・・・。」

そういいながら白良は語る・・・・。駐屯地は今現在もしパーパルディア皇国が降伏しなかった時とサン レアが死亡した際に行う作戦として、「パラダイス・ロスト作戦」なる計画の準備を進めていた。これは皇国人を絶滅させるような作戦であり。第一段階で、神聖ミリシアル帝国とムーに配備した戦略爆撃機B-04ハード・フォートレス(機首回りにB-29の窓枠を付けたKC-135)と、ジェット化したランカスター爆撃機「ラ・カスター」をレンドリースし、連合軍による約1000機による戦略爆撃を行う。だがこれでも降伏する意思を見せなければダウンフォール作戦の異世界版ともいえる、「ライジング・サンダー作戦」を実行することになっていた。これ以上はまた別の機会で話そう・・・。白良のいる司令部に一人の兵士が入ってきた。

 

 

「司令!報告だ。とうとう実戦投入できるぞ、例の反レミール派皇国人部隊の育成が終了した!」

白良「ついに訓練が終わったか!それで実戦で使えるレベルなのか?」

「あぁ!問題ない!カイオス氏もそろそろ頃合いと見ているらしい。」

白良「よし、ではいよいよ我々の手でこの戦争を終わらせるぞ!!」

「了解!!!」

 

 彼らは遂に反レミール派の戦力が整ったことを喜び、ついに戦いの終結へと動き出すのだった。5か月にわたり続いた駐屯地率いる連合軍とパーパルディア皇国との戦争・・・・。かつてない戦争であったが、戦後はどのような結末を迎えるのだろうか? それはまた別のお話で・・・。

 

 




次回予告

とうとう駐屯地が育成していた反レミール派の軍人を集めた革命軍部隊がカイオスの指示により、御前会議を行っているルディアスを捕らえる・・・。そして逃げるレミール・・・。果たして皇国の運命は・・・。


次回第七十九話「終戦」
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