問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
パーパルディア皇国 皇都エスシラント
雷亞率いる特作群部隊が、彼女の娘であるサンレアと収容所に捕らわれていた捕虜を救出すると、その情報はアルタラス社会主義共和国にある連合軍総司令部に伝わり、いよいよとある作戦が行われることになった。それは・・・・。
カイオス「よし・・・そろそろ反レミール派の軍人が空挺降下でやってくる時間か・・・・」
アルデ「では私ははいつでもレミールを捕縛できるよう準備しておきます」
カイオスはうなずく。
カイオス「頼むぞ・・・私は念のため、レミールの様子を見てくる」
そう言うとカイオスは白良率いる駐屯地で近代兵器の扱いを学んだ反レミール派の軍人と合流するため、部屋を出た。そのことを知らないレミールは自宅で、いつ来るかもわからない連合軍兵士に怯えながら過ごしていた。レミールの家には監視員として2名の兵士が常に見張っていた。この兵士たちはレミールが逃亡を図った際に護衛する役目も担っている。レミールは家の外を見つめる。
レミール「(畜生・・・・!連日音速で飛んでくる飛行機械の音にビクビクしないといけないなんて・・・!)」
すると、家の扉からノック音が聞こえる。レミールは恐る恐る扉を開けると、そこには護衛の男が立っていた。彼はどうやら食べ物を運びに来たようだ。
「食事を持ってきましたよ」
レミール「あぁ・・・すまぬ・・・。」彼女はテーブルの上に食事を並べている間、ずっと窓から外の様子を眺めていた。ふと、空を見ると、巨大な鉄の塊のようなものが複数こちらに向かっていることに気づいた。そしてその数秒後、窓の外から離れた町が空爆される光景を見た。
レミール「!!?」
彼女は椅子から立ち上がり、窓に近づく。
レミール「なんだ・・・!あれは!!」
「おそらく爆撃はされないハズです!!落ち着いてください!」
レミール「落ち着けるか!!何だあれは!!!」
その時だった。しばらくするとパラディス城の方向に落下傘部隊が降りてきた。彼女はいよいよ命の危険を感じて逃げだしたのだ・・・。一方空挺降下でやってきた反レミール派軍人は着地すると、カイオスと合流する。城内の兵士に麻酔銃を用いて気絶させ、御前会議中であった会議室に向かう。途中、警備兵に遭遇したが、彼らは麻酔弾を撃ち込み無力化した。カイオスは彼らの登場を見て驚く。
カイオス「(ふふっ。さすがは駐屯地だ!短時間でこれほどまでの戦力を整えるとは・・・)」
彼ら率いる反レミール派の一団は会議室に向かい、ドアを蹴破り、中にいた人物たちを制圧した。
カイオス「動くな!!」
ルディアス「カイオス・・・!お前!!」
カイオス「いい加減降伏しましょう・・・。この国は滅亡の一途を辿りますぞ・・・」
カイオスは手を上げるよう促す。
カイオス「護衛の兵士たちは武器を捨てなさい・・・」
会議室にいた兵士は言われた通り、手に持っていた銃器類を床に置く。兵士達は無言のまま指示に従い、その場にしゃがみ込んだ。
カイオス「よし・・・。では、陛下・・・しばらく連合軍の監視下に置かせてもらいます。ですが御安心してください。必ず処刑判決は回避させますので・・・」
カイオスはルディアスを彼の自室に連れて行こうとする。そして別同部隊がレミール邸に潜入した時間になったためカイオスは通信を行ったが・・・・。
『大変です!すでにレミールはすでにもぬけの殻となっています!』
カイオス「なにぃ?あいつを逃すな!すぐに追え!!」
しかし時既に遅し、彼女はすでに自宅にはいなかった。レミールは変装しながら町中を走り抜け、なんとかこの国から逃げようとした・・・。逃げるのに必死の彼女は、トボトボと歩いていた中年男性にぶつかってしまう・・・。その中年は掃除夫のシルガイアだった。彼は尻もちをつくと、目の前にいる人物がただの掃除夫と気づき、顔を見られたがために護身用のナイフを持ち、彼を刺そうとした。だが、シルガイアは腐っても軍に所属していた時がある為、格闘技術を生かし、レミールの手を掴むと、彼女を地面に叩きつけた。さらにそのまま彼女の両腕を抑えつけ、動きを封じる。
レミール「くそぉ!!!離せぇ!!貴様ぁ!!!私に触れるなあああ!!!」
シルガイア「暴れるんじゃない!!大人しくしろ!!いきなり刃物を向けるとは!!」
そう言いながら彼はレミールの腕を拘束すると騒ぎを聞きつけた、皇国軍兵士が現れる・・・。レミールは自身に不埒な行いをした彼を罪人に仕立て上げようとしたが、皇国軍はすでにアルデの命令によりレミールを捕らえるための部隊を編成し、行動に移していた。そのためレミールはあっという間に捕縛され、縄で縛られ、連行されてしまう。その様子を見たシルガイアは目を丸くし状況が呑み込めなかった。
シルガイア「一体何があったんだ・・・?」
「よくやった!危うくチュウトンチとの交渉材料が無くなってしまう所だったぞ!レミール様は、戦争を起こさず駐屯地と交流しようとした皇帝陛下の意向を考えずこの国を戦争に巻き込もうとした罪で逮捕されたのだ!さあ、お前の名前は何という?」
シルガイア「は・・・はぁ・・・シルガイアです・・。掃除夫をしておりました・・・。」
「お前は勲章モノだ!さっそく我々と同行し・・・。おい!?大丈夫か!?」
シルガイアは余りの状況に失神してしまったのであった。彼は後に何冊かの本を執筆・出版するなど文筆業でも成功する傍ら、後に設立された新生パーパルディアの国会議員として働き、自国の治安をよりよくするための法案をいくつも提出し、国民から大いに称賛された。また、彼は後にパーパルディア復興委員会の初代委員長となり、アルタラスの復興に尽力したのである。
こうしてレミールの目論見は失敗し、皇国は敗北することとなった・・・。8月15日・・・丁度日本の終戦記念日に重なるかのようにパーパルディア皇国は連合軍に降伏する。ルディアスはカイオスの命により全皇国軍に軍事行動を中止し、降伏用の狼煙や白旗を掲げたりすることを命令した。そして全軍が降伏すると、連合軍の輸送機から小型テレビが投下されたのだ。その映像からはルディアスの映像であった。
ルディアス『我が親愛なる皇国民よ・・・。我が皇国は降伏した・・・。繰り返す・・・。我が国は蛮族とののしった連合軍諸国に対し降伏を宣言する!!』
「降伏だって!?」
「嘘だろう?あんな奴らに負けたのか・・・」
「馬鹿な・・・これは蛮族によって作られた偽の魔信による虚報だ!」
皇国民は信じることが難しかったが、だが次にルディアスが皇国兵に指示を出し、旗を掲げさせたのだ・・・。その旗は皇国の旗ではなく、日章旗やクワ・トイネなどの国々の旗が掲げられ、中には神聖ミリシアル帝国とムーの国家旗も存在していた。その光景を見た人々はようやくこれが事実だと理解したのである。
「あれって列強の国旗じゃないか!」
「まさか本当に負けちまったっていうのかい!?」
「信じられねぇ・・・」
こうして数ヶ月かけた戦いは終わりを告げる。一方・・・駐屯地の司令部では・・・・。
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クワ・トイネ共和国南東 駐屯地
白良「そうか・・・皇国軍のすべてが活動停止したか・・・。わかった。俺はサンレアの代わりにサンニアーを裁判官にさせる。あとは計画通り皇国の列強用の空港に連合国の機体を着陸させ、沿岸部には連合軍の揚陸艇と揚陸艦を揚陸させろ。降伏文書調印の場所はモンタナの甲板上で予定の変更はない。以上だ。」
『了解しました』
彼は無線を切ると、今度は別の無線機を取り出す。
白良「こちら〇〇駐屯地の白良です。クワ・トイネ海軍に通達します。待機していた揚陸艦部隊を皇国の沿岸部に移動してください。他の軍にも私自ら通達するので、そちらで情報を共通しなくても大丈夫です。」
『了解しました。すぐに上陸させます」
そうして白良は連合国の部隊を上陸させ、皇国軍の統治が始まったのであった。今回の戦争で死亡したパーパルディア人の数は120万人を超え、軍人に限っては皇国軍の6分の3が壊滅状態であり、ワイバーンなどの魔獣はすべて幼体を除けば成獣はすべて殺害されていた。それに対し捕虜の数は海上戦とフェン王国の数を含めたった300人程度しかいなかったのである・・・。
連合軍も無事ではなかった・・・。死亡した一般人は30万人・・・内訳はフェン王国人とアルタラス人である。一方兵士の数は9万人と民間人に比べ、被害が少ないが、だが妻や夫・・・友人等を失った遺族にとっては大きな打撃であった。だが一番悲惨なのはフェン王国の戦いで負傷した兵士や、性犯罪に巻き込まれた女性だろう・・・。負傷した兵士は皇国軍の簡易的な地雷に足を取られて重傷を負ったり、罠にかかり片足を失う者もいれば、強姦されて精神を崩壊させられた者もいた。
だが奇跡的にも妊娠したものはいなかった。おそらくサンレアに厄が降りかかったためであるか・・・。そして・・・強姦された女性は、その後、精神的ショックで自殺する者が多かった。また、凌辱されたことがトラウマになり、男を見るだけで恐怖を感じ、男性恐怖症になる者も多かった。さらに、強姦された少女は子供を産めない体になってしまう場合が多く、子供を作ることができない体になってしまった者もいる。
陸娘も無事ではなかった。友人などを失ったことで心に傷を負った者が多く、中には趣味で気を紛らわせようとしたら、友人のことを思い出してしまい、発狂する娘もいた。のちにこの戦争によって引き起こされた精神病は「ディア・ウォー・シンドローム」「ディアーズ・マインド」と呼ばれ、この戦争の後遺症として、多くの人を苦しめるのであった。
「うっ・・・もう嫌だ・・・死にたい・・・」
「なんで俺だけこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ・・・」
「誰か助けてくれ・・・。あの時、あの場所で、彼女を・・・アイツを助けていれば・・・!!」
そして、生き残った将兵たちも深い悲しみに包まれていたのだった。ある者は自暴自棄となり酒を浴びるように飲み、またある者は泣き崩れたりと様々である・・・。一方、軍事裁判の裁判官として選ばれたサンニアーは法律関連の本を読み漁り、パーパルディアの歴史について勉強し、それをすべて覚えていった。だが彼女は不意に堕ちなかった。それは自分が選ばれた理由である。
彼女は自分自身選ばれたのはサンレアと同じく優しい心を持つからと理由で選ばれたが、サンニアーは自覚するくらい、頭が悪く野性味が強くよく「本当に獣フレンズのサーバルみたいな知能」「仮面ライダーアマ〇ンの主人公並みに野生児」と揶揄されていた。そんな言われようの彼女が裁判官として選ばれてしまったのだ。サンニアーは「自分には人を裁く資格がない」と思ったからである。だが・・・そんな彼女はサンレアが以前裁いたロウリア王国での裁判での判決を暗記し、それを覚えているだけであった。
次回予告
改めて皇国民に。パーパルディア皇国が連合軍に降伏したことを国民に知らせるルディアス・・・。その一方でサンレアは凌辱の果てに生まれた子供を産もうとしていたがそこで母親とひと悶着を起こす・・・。
次回第八十話「小さな火種」