問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望)   作:CARUR

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第八十話「小さな火種」

パーパルディア皇国 皇都エスシラント

 

 ここでは改めて降伏したことを全皇国民に知らせるため、連合軍の兵士がルディアスの住む皇宮に通信装備を持ち込み、降伏宣言が行われていた。そして準備が終わると皇帝であるルディアスが・・・。

 

 

ルディアス「諸君! 我が国は駐屯地と文明圏外国の国々、属領地域と第3文明圏から集まる連合軍に降伏した・・・・。受け入れられないだろうが、これは事実だ」

 

 皇宮広場には多くの人々が集まり、演説台に立つルディアスを見つめている。彼の表情は暗く、声も沈んでいる。なおこの場所にはカメラが有皇国全土に降伏宣言が皇国民に聞こえるようになっていた。

 

ルディアス「我々は調子に乗りすぎてしまった・・・・。蛮族とののしった他国の土地を荒らしすぎたのだ。その結果、彼らは怒り狂い、我々に対して牙を剥いた。そして、今やこの世界最強国家である我が祖国が、たった1つの軍事集団の驚異的な技術力と戦術が持たされた文明圏外国と第三文明圏に負けたのだ。そして我が皇国のレミールが独断で戦争に向かうよう仕向け、敗北を招いた!」

 

 広場に集まった人々の間にざわめきが広がる。

 

ルディアス「彼女の横暴により我が皇国民は無駄死にした!!!おそらく駐屯地の外交官が一度この国に来た際彼らの技術力を見て、察したものもいるだろう!!それなのにもかかわらずレミールは独断で宣戦布告を行い、アルタラス王国で戦争を起こし、さらにフェン王国で敵の見方もつかない戦争を引き起こした!!!これは皇帝に対する反逆行為であり、国家への背信行為である!!」

 

彼は拳を強く握りしめながら話を続ける。

 

ルディアス「私はこのような愚か者を外交官にしてしまったのは私の責任であると思う。しかし、今はさんざん蛮族とののしった文明圏外国などの国々の支配下に置かれるが、耐えてくれ!!!堪え難きを・・・・・忍んでくれ!!」

 

 演説を終えたルディアスの目からは涙が流れており、肩を震わせていた。自分の国の皇帝が涙を流して謝る姿を見て、群衆たちは動揺する。だが、一部の人間は同情的な視線を送っていたり、涙を流したり罵声を飛ばす者もいた。こうして皇国は中央歴1640年8月10日午前11時をもって駐屯地率いる連合軍に降伏した。その後、生中継の状態で、連合軍のヘリコプターに乗ると、エスシラント沖に停泊しているクワ・トイネ海軍初の大型戦艦。ミズ・トイネ型戦艦一番艦「ミズ・トイネ」のヘリコプター格納庫にヘリコプターが着陸して降車すると、連合軍の司令官とも言える白良が降伏式典の準備をしているのが見える。

 

ルディアス「我が国はこんな大型の軍艦を持つ国々に喧嘩を売ったのか・・・。」

 

 彼の目に映るのは全長240メートル近い大きさを持つ巨大な船だった。彼はその巨大さに驚愕していた。今まで自分が見てきたどの船よりも大きいからだ。この艦艇は長門型戦艦を元にしており、元と違うのはVLSとイージスシステムを積んでいるところだ。また、対空兵器として127ミリ速射砲を搭載しているため非常に強力である。

 その後、準備が終わるとマイクを持った駐屯地娘・・・・市谷が現れる。彼女は厳重なケースに入った書類を取り出す・・・。その書類は降伏文書であった。そしてルディアスは冷静に内容を読み上げる。その内容はあまりにも一方的で理不尽なものだったが、中には皇国にとって恩恵になる物・・・最新技術などが手にはいる条項もあるため、皇国は渋々承諾した。これにより、第一次文明圏国戦争は終結を迎えたのであった・・・。

 

 

___________________________________________________

 

駐屯地

 

サンレア「やっと戦争が終わったんだね・・・・。」

サディス「ああ・・・でもまだ終わりじゃないぞ?これから戦後処理が始まる。それにお前は身ごもっているんだろう?ところでお前は訴える気はあるか・・・?」

 

サンレア「ううん・・・もういいよ。だってお父さんらしき人を見つけても子供がいるってわかれば、その人も嫌な気分になるし?だからこの子のお父さんを探す必要は無くなったの。それにサディスさんがお父さんの代わりになってくれるんでしょう?」

サディス「あぁそうだな・・・。俺はお前の子供の父親代わりになってやるさ。」

 

 そう言ってサディスは彼女の優しくお腹をさする。そして2人はしばらく抱き合っていた。その翌日彼女の容態は急変し、陣痛が始まった。三宿は想定よりも早い陣痛に驚きながらも彼女達のために産婦人科医を呼んだ。サンレアの妊娠期間は5か月しかなく場合によっては赤子の死産や母体の危険を伴うというリスクもあった。そのため、医師は慎重に出産の準備を行う。そして、サンレアが出産するため分娩台に運ばれようとしたが、雷亞が手術室の扉の前で妨害を行ったのだ。

 

雷亞「私は・・・・!私は認めない!!サンレア!!今すぐ赤子を殺すのだ!!!早く殺せぇえええ!!」

彼女は怒りに狂い、今にも暴れだしそうな勢いで叫ぶ。そんな彼女を三宿達は必死に押さえつける。

 

三宿「いい加減にしてくださいよ!!堕胎するにももう期間的にも無理なんですよ!!それに貴方は自分の子を殺そうとしてるんですか!?」

雷亞「うるさい!!私はこの子に子供を絶対に産ませない!!サンレアを凌辱した男との子などこの世に存在する価値は無い!!」

 

 

 もはや聞く耳を持とうとしない彼女に呆れ果てた三宿たちは、とうとう怒りに震えた。するとサディスが現れ雷亞の顔を勢いよく正拳突きで殴り飛ばしたのだ。そして、鼻血を出し倒れた彼女の髪を掴んで無理やり立たせると、今度は思い切り蹴り上げる。

 

雷亞「がっ!!ぐうぅ・・・!」

 

 あまりの痛みに悲鳴を上げることさえできずにいる。そして、サディスは胸ぐらを掴むと・・・。

 

サディス「お前・・・・!それでも母親か・・・!?サンレアの優しさを知ってるんだろう・・!なのになぜ分からない!!お前はただ自分のエゴを押し通したいだけだ!!確かに・・・・!サンレアは甘すぎる部分も持っていて、凌辱された末に子供を身ごもった。だがな・・・それは自分の意志で育てることを決めたんだ!!そして俺は・・・・すべての責任をもって彼女の子を育てると誓ったんだよ!!!」

 

 そう言い切るとサディスは手を離し、彼女はその場にへたり込んだ。

 

雷亞「わ、私だって・・・サンレアのためを思っ・・・・」

 

サディス「ふざけんな!!子供の幸せを願うのが母親の務めだろ・・・?それとも何だ?お前はサンレアに皇国人に復讐でもしろと言うのか?それで満足なのか?」

雷亞「そ、それは・・・。」

サディス「お前がどう思ってるか知らんが、少なくとも俺はあいつの夫であり今産まれそうな赤ん坊の父親だ。お前みたいなのは親失格だ。俺は・・・サンレアを幸せにして見せる!」

 

 もみ合っている中で雷亞は手術室から離れるように、場所を動いてたためその間に三宿たちは手術室に入る。そして、ようやく彼女が分娩台に運ばれた。

 

三宿「よし、これで準備は整った。あとは・・・この子を産むだけよ。」

 

サンレアは分娩台の上で大きく深呼吸を行い、呼吸を整える・・・。サディスは彼女に寄り添い、優しく手を握る。

サンレア(大丈夫・・・。この子が無事に産まれてくれるなら、お母さん頑張れるから・・・)

やがて陣痛が始まりサンレアは苦痛の表情を浮かべながら声を上げる。

 

サンレア「うぐっ!・・・ああっ!!」

 そして、ついに胎児が産まれる瞬間が訪れる。三宿達がサンレアの体を抑え、分娩台の下からは医師たちが力一杯いきむよう促す。

 

サンレア「うううううううううううう!!」

医師「もう少しですよ・・・。もう一踏ん張りです・・・!」

サンレア「あああああああ!!!」

 

 

そして、サンレアは大きく息を吸い込むと・・・赤子の泣き声が部屋中に響き渡る。だが明らかに未熟児の女の子であり、元気に泣いているのが不思議なくらいの小さい赤ちゃんだった。しかし、彼女はそんな事気にせず、無事に生まれた我が子を優しく抱きしめる。

 

サンレア「早く産んじゃってごめんねぇ・・・・。でも必ず元気に育ててみせるからね・・・!」

サディス「お疲れ様・・・。サンレア・・・。」

 

 こうして無事に出産を終えたサンレアだったが、赤子が未熟児すぎるため、彼女は赤子に母乳を与えると医者たちは赤子を保育器に移したのであった。その後、サンレアは今までの心労のためかそのまま寝て、しばらく安静を取ることになった。その間、雷亞は悔しさのあまり駐屯地内の雑木林の木に頭を何度も叩きつけ怒りを発散していた・・・・。

 

DONN!!DONN!!!

雷亞「クソッ!!!!クソクソ!!どうして私はサンレアを救えない・・・・・!!!!こんなにも愛しているというのに!!何故なんだぁああ!!ああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 

白良「おい・・・・。そんな無駄なことして何になる?」

 

 いつの間にか雷亞の背後には、彼女の義理の兄ともいえる白良が現れる。彼はどこか覚悟を決めたような顔をしており、その様子に雷亞は驚く。

 

雷亞「司令官・・・・。なんだよ・・・!笑いに来たのかよ・・・!?」

白良「違う・・・。お前に伝えなければならないことが二つと別の言いたいことがあるんだ・・・。」

雷亞「なんだよ・・・。早く言えよ・・・。」

白良「まぁ・・・・裁判で裁かれることになった。まぁ兵士たちの暴走を止めなかったからな・・・。それともう一つは・・・。」

 

すると、白良は懐から一通の手紙と翻訳済みの紙を取り出す。それは紛れもなく、皇国の文字で描かれていた。その内容とは・・・。

 

『拝啓・・・・雷亞さん。私サディスは貴方の娘のサンレアと夫婦になることにしました。もちろん貴方は皇国人である私をサンレアを凌辱した男たちと同じと思っているはずです。そう思っても構いません。ですが今サンレアの精神を安定させるには私が傍にいることで、彼女も安心できると思います。それに私は彼女のことを心の底から愛しています。だから、どうがお許しください・・・。そしてサンレアを・・・。そして生まれてきた赤子を自身の孫と認めて下さい。お願いします・・・。

それと私は白良司令官殿に亡命申請しました、これで私はあなたの嫌う皇国人ではなくなります。そして・・・私の祖国は滅びて当然のことをしました。紙面ですみませんが。謝罪させていただきます。本当に申し訳ございませんでした・・・。』

 

 雷亞はその手紙の内容を見て驚愕する。サディスの覚悟に驚きを隠せないのだ。だが、サンレアの夫にサディス・・・・それもパーパルディア皇国の皇族の血を持つ彼に、皇国人に凌辱された娘に皇国人の男に妻にされるのはあまりにも屈辱的だ。しかし、サディスの気持ちを無碍にするわけにはいかないと感じた雷亞は拳を強く握りしめたまま、その場で座り込んだ。

 

白良「あとお前には外交官としての仕事がある・・・。つらいと思うが頑張ってくれ。」

雷亞「分かったよ・・・。」

 

雷亞はそれだけ言うと、けがを治そうと駐屯地へと戻っていく。その姿を見た白良は彼女を見送ることしかできなかった。雷亞が去った後、白良は一人呟く。

白良「なんとかなったみたいだな・・・。俺のやってきたことは無駄じゃなかったということだな。サンレア、サディス。幸せになってくれよ・・・。」

 

 




次回予告

パーパルディア皇国が降伏し上陸する連合軍・・。そして皇国軍の基地に舞い降りるモンタナ・・・。

次回、第八十一話「占領の開始。」
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