問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
パーパルディア皇国 皇都エスシラント
皇都エスシラントにある迎賓館の一室はいま駐屯地率いる連合軍の裁判所となっていた・・・。今回はサンレアの代わりに姉のサンニアーが担当することになった。そして午前9時から裁判が開始されているのだが、この日ばかりはいつもより空気が重い。今回罪人として出席することになった人物は、駐屯地と連合軍からは、白良和影、春日井樹、李・原州、その他700名からなる駐屯地及び連合軍兵士。パーパルディアからは、レミール、女性拷問官のマリア、レミールの部下ベイス、他フェン戦争で捕虜となった軍人2名、そしてレミールに手を貸した皇族関係者や軍人300人が裁かれることになっている。両国の罪人の罪状としては、無差別大量虐殺の指示、戦争を引き起こした責任、外交官とその護衛の拉致などの罪状が挙げられていた。ちなみにこれらの罪状については、中立国のムーに選定してもらいそれで選ばれた罪人であったのだ。
サンニアー「では午前9時00分をもって裁判を開始します・・・。容疑者と証言者の皆様はご着席ください」
レミール「・・・」
白良やレミールたちは無言で着席する。一方、観覧席には、世界各国から記者や連合軍のテレビ局員が詰め掛けており、カメラを回している。また、各国の王族や貴族も来賓として招かれて見学していた。今回の裁判では、中立な立場であるムーからやってきた裁判員であるモート・クレイトスがやってきたのである。まず最初に事前に事情聴取したことを、検察官として選ばれた大門奏が話し始める。
大門「まずは今回私の所属する駐屯地の白良氏の罪状で無差別大虐殺指示があります。これに関しては、皇国兵によって親族や戦友を失った兵士に報復的ともいえる虐殺を許可したことです。これは人道に反する行為であります。さらに彼はその兵士たちに対し、上官命令で復讐を命じたとのことです。よって死刑の判決を下したいところですが、数々の政策提言はこの世界の技術力や倫理力の向上を促しました。このことを考慮し、死刑判決は除外し、無期懲役刑を求刑しますが彼に制作の提案できる権利を与えるべきと考えます」
レミール「ふざけるな!皇国人を大量に殺しておいてそんな甘い罰にしおって!なら私は死刑とでもいうのか!」
サンニアー「レミール容疑者・・・静粛に・・・。」
カンカン!!
裁判長の木槌が鳴る。
サンニアー「検察官が発言中ですよ?」
大門「被告人は発言を取り消してください。それとも弁護人がいないと理解できないのですか?」
レミール「くっ…………」
大門「では続けます。次に、白良司令官は戦後処理をまとめた作戦をまだ書類として残していません。もしここで処刑してしまうと皇国の復興がいつになるかわかりません。そこで提案なのですが、彼を司令官の職を解き新たなる司令官に政策提言する役職に就けることをお勧めいたします」
レミール「貴様ぁ!!!」
サンニアー「静粛に!!」
カンカン!!
木槌が鳴る。
サンニアー「続けてください」
大門「はい。最後に外交官の拉致に関してですが、彼が雷亞氏とまとめて撤退させなかったことも問題だとおもいます。外交官を拉致し易くしたのは事実ですが、レミール氏の狂気的な行為は予想をすることが難しかったでしょう。よって、外交官を拉致したしやすくした事は問いません。ただし、今後はこのようなことがないように願いたいところです。その他の軍人の罪状に関しては民間人を殺害していることは、事前に行った事情聴取で明らかになっています。よって、こちらは死刑ではなく無期限軍属刑としましょう。以上です。」
大門が言い終わると今度はパーパルディア皇国側の弁護士として選ばれたマリア=ミィスが出てくる。彼女はパーパルディアの法律の専門家で、彼女の父親もまた優秀な法律家だったらしい。
マリア「私の名前はマリア=ミィスと申します。今回の裁判の弁護を担当させていただきます。まず初めに、この裁判は公平公正に行われるべきものであります。よって、こちら側としては連合軍の兵士たちは死刑が妥当だt・・・・・。」
彼女がそう言った途端観覧席から罵倒が飛んでくる。
「ふざけんな!!何が公平公正だよ!!よくも皇国人のくせしてそんなこと言えるな!!」
「私の家族を返しなさいよ!!!貴方のせいで兵士になった娘は、皇国兵に拷問されて殺されたわ!!絶対に許さないからぁぁぁぁ!!」
「お前らの国なんか滅んでしまえばいいんだ!!!」
などと罵声が飛ぶ。しかし、マリアはそれを気にせずに続ける。
マリア「そして連合軍捕虜となった我が国の兵士は無期懲役と賠償金が妥当でしょう。今回のアルタラス侵攻に関してはレミール氏の行いは看過できないところはあります。しかし!フェン王国に関しては危機感がありすぎませんか!?そもそも我が国が攻め込んでくる可能性があったのにもかかわらず観光客を呼ぼうとしたことは愚かな行為だと考えます。フェン王国に関しては我が国は賠償金は遺族には払いますが、政府に対しての賠償請求は断固として拒否します」
大門「異議あり!それでフェン王国民が満足するとは思えません」
その後も喧々諤々と大門とマリアが議論を続けるが、これ以上は裁判の時間の無駄となるのでサンニアーは話をやめさせ、今度は尋問が始まった。まず最初にレミールの配下の少年であるベイスが証言した。
ベイス「僕はレミールの指示でアルタラス王国とフェン王国で兵士などを操っていました。大変でしたよ。計画が僕と性交してくれると約束してくれたのに所詮は皇帝と盛っていたなんて。あ~あ!馬鹿らしい。もうこんな国はどうでもいいや。そういえば少年の僕は罪状どうなるんですか?死刑ですか?」
大門「はい、あなたは未成年なので死刑は免れますが、人を操って殺めていたので少なくとも12年間少年院にいてもらいます。と、言いたいところですがあなたの能力を研究したい科学者が居るので、駐屯地の研究機関に入ってもらいます」
レミール「ふざけるな!ベイス!!何を私を呼び捨てにしているのだ!!それに勝手に死刑を免れるな!!死刑にしろ!!というより死ね!!」
サンニアー「被告人‼静粛に・・・」
カンカン!!
会場には木槌が鳴った。その後もベイスの証言は続いたのだ。証言が終わると、次に皇帝ルディアスが証言者として出てくる。彼は必死に弁解を始めた。
ルディアス「余は連合軍・・・いや駐屯地の外交官たちが来た時に彼らの乗る飛行機械や艦艇を見て、これは想定・・・レミールやアルデが商人から手に入れた連合国の軍事車両の雑誌より、はるかに高性能な兵器があると感じ、戦争を起こすのをやめるように考えを変えた。そのことを二人にも話したが、まさかレミールが嫉妬で戦争を始めるとは思わなかった。本当に申し訳ないと思っている」
サンニアー「そのように考えていたのですか?」
ルディアス「そうだ」
サンニアー「では、なぜ戦争を止めるよう行動をしなかったのです?」
ルディアス「それは・・・。雷亞氏に嫌われたくなかったから、止めようとしたが・・・。彼女に乗せられた我が皇国臣民が「文明圏外の蛮族どもに屈するのか!」と煽るので、ついつい、止めるタイミングを失ってしまった。それと余の皇国人としてのプライドもあったとは思う・・・。余は死刑でも莫大な賠償金でも受け入れる覚悟だ。だが、どうか皇族関係者を路頭に迷わせることはやめていただきたい。頼む!!」
サンニアー「わかりました。裁判の結果によっては処刑もありえるかもしれませんが、処刑はなしとしましょう。しかし、部下の暴走を止めれなかった皇帝として後世に名を残すことになりますよ」
ルディアス「それでもかまわない」
そう語る皇帝ルディアス・・・。彼の顔はどこか覚悟をきめたような表情だった。その後も証言は続き今度は民間人・・・。連合国と皇国の民間人による証言が始まる。まずは連合軍の一つ・・・フェン王国人女性の証言である。証言の内容は皇国兵に凌辱された事についてだ。
「私はフェン王国出身のタタラといいます・・・。私は将来の夫を皇国兵に殺されました・・・!皇国兵は異常で、私を凌辱しながら彼の死体に何度もナイフを突き刺しました・・・。そして最後は私の目の前で彼に尿を掛け始めたのです。その後、皇国兵たちは笑いながらこう言いました。『俺たちはお前らを奴隷にしてやる』と・・・。」
この発言にはサンニアーは顔を軽く引きつらせていた。そして、次はアルタラス人男性の証言である。彼は元鉄道作業員らしく、戦時中アルタラス王国での惨状を語った。
「俺はアルタラス王国の地方都市にいたんだがな・・・。奴らは俺の仲間を次々と拷問して殺した挙句に、全員を磔にしやがった・・・!しかも俺の幼馴染やその女友達をまるで犬の様に扱った。あいつらのせいで、何人の女性が心に傷を負ったかわからない。特に酷いのが、車を使って何人俺達アルタラス人を殺せるかのゲームをやったことだ。あれほど酷い虐殺は見たことがない。アルタラス人はみんな皇国人のことを恨んでいるはずだ。少なくとも一人一人に賠償してもらいたい!」
マリア「それは逆に貴方方アルタラス人にも言えますよね?貴国にいた皇国人の行方が未だ不明なのですが?アルタラス王国でまさか我が皇国の民を殺害などしていないでしょうね?もしも、そのようなことがあれば、我が国は断固としてアルタラスに賠償請求しますよ?」
その言葉に火をつけてしまったのか会場にいるアルタラス人が罵声を飛ばす。とうとうマリアも堪忍の緒が切れ罵声を上げ始める。サンニアーも木づちを叩いて静めようとするが、これ以上裁判は続けられそうにないと判断し、閉廷したのであった。
こうして、初日の裁判は終わった。裁判終了後、連合国は裁判の事を新聞に書いていた。その一例はこのような感じの記事だった。
『本日、パーパルディア皇国にてエスシラント裁判が行われた。裁かれるパーパルディア皇国側の軍人の数は2人と言う少なさであるが、一方の連合軍は700名と言う数の軍人が、捕虜虐待・無差別虐殺・虐殺指示隠ぺいの嫌疑が掛けられており、この世界の軍事裁判では異例の戦勝国側が被告となるという前代未聞の裁判となった。その理由は皇国側にもあるが、連合軍兵士は本来なら白旗を上げるか降参を認めた兵士や民間人を受け入れるべきところを、敵兵士を射殺及び民間人を虐殺の許可をするという非人道的な行動をとったためである。しかし、皇国軍も民間人に対して大虐殺及び強姦、拷問などを命令していたという証言もあり、両陣営共に非道な行為を働いたので、これは仕方のない部分もあるだろう。
また、今回の裁判では皇国側は皇族関係者であり外交官である、レミール氏が虐殺指示及び外交官を拉致及び監禁を行った容疑で、出廷されたが彼女は裁判中大声を上げて泣きわめき、自分の罪を認めようとする態度は一切なく、皇国側の弁護士であるマリア氏は常にけんか腰と人類史上類を見ない醜い裁判が開廷されたのだった。なお、連合各国はこの判決を不服として控訴する予定である。』
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翌日は白良が最初に証言を行ったのだ・・・。まず彼が話したのは虐殺指示に関してである。
白良「虐殺指示を行ったのは私だ・・・・。ただそれでも親族を皇国兵に殺されたり凌辱された者がいる兵士のみに復讐権を与えた。だが今となっては間違いではあると思う・・・。裁判前の事情聴取でも明らかになっているが、中には私に申請せず義憤で虐殺をしてしまった兵士がいることも事実だ。アルタラスに関しては・・・・。戦後に出そうなうっ憤を晴らした面はあるかもしれない。しかし、それは許されざる行為だと思う。だから、アルタラス王国にいて連合軍兵士に殺された皇国人の遺族に賠償金を支払いたい」
サンニアー「ふむ・・・。それはいい考えです。アルタラス王国民への賠償は別途行いましょう。遺族の方々へは我が国から慰謝料を支払うとしましょう。他には何かありますか?」
白良「私は死刑になってもかまわない。しかし、他のアルタラス人には寛大な処置をお願いしたい。私は死刑になる覚悟がある。それで許されるとは思っていないが・・・。」
そう語る白良・・・。その次はレミールであったが・・・。
レミール「ふざけるな!!私は悪くない!!もとはと言えば貴様らが駐屯地が蛮族どもを付け上がらせたせいではないか!!文明圏外国は文明圏外国らしく我らに従っていればよかったんだ!!」
そう唾を飛ばしながら叫ぶ彼女だったが、クワ・トイネ共和国の判事としてやってきたエルフ男性ラシ・トウガがとうとう彼女の横暴に怒りを爆発させる。
トウガ「黙りなさい!!!貴方はパーパルディア皇国で外交官を任された美しき皇族の女性なのにも関わらず、なぜそのような言葉遣いしかできないのですか!?それこそ蛮族以下の所業ですよ!貴方の言葉一つで、アルタラス人だけでなく、フェン王国やフェン王国にいた我が国の観光客!アルタラス王国に住む多くの人々の命が失われたのですぞ!」
その発言にレミールはビクッと驚き、顔は真っ青になった。彼女は自身が幼少期に父親に怒られた時のことを思い出していた。そして、彼女は震え声で発言する。
レミール「あわっ・・・あう・・・ごめんなさぃ・・・」
その後、彼女は縮こまるようにして、俯いたのであった。そして今度はレミールが尋問を受ける番だった。彼女は、証言をした・・・。
レミール「パーパルディア皇国は力で成長していった国家なのだ。それで、他国を武力で支配し、属領を増やしていった。そんな国が下手に出ている相手に対し、高圧的に接するのは当然のことではないのか?そもそも、私は皇帝陛下の勅命を受けて、あの国に外交交渉に赴いただけに過ぎない。それをどうこう言われる筋合いはない。だが、我が軍があそこまで柔軟性のない軍になっていたの思っていなかった。それに我が皇国は町の美化を促すために浮浪者を他国で軍人にしたり、統治機構の末端に入れたりと様々な工夫をしている。それは、いずれ訪れるであろう列強の侵略に対する布石でもあったのだ。それがまさかこのような結果を招くなど・・・。思ってもいなかった。」
その発言を聞いていた連合各国の記者たちは思った。確かに、この女は最悪だと。しかし、この女の祖国はとんでもない国だ。こんな非人道的なことを平気で行うような国と戦後交流したくないと。が、しかし彼らは駐屯地によって近代的な思想を得たからこそ、その発想ができたのであって。もし駐屯地と関わってなかったら、平気で下の国をあざ笑ったり、非道な行為を行っていたかもしれない。もちろん記者や傍観席にいる連合国の民間人もそれを念頭に重い頭の中で各々共感したのだ。
レミール「あと、私の行動についてだが、陛下が雷亞氏・・・いや雷華氏に惚れて、それに私は嫉妬してしまったのだ。それで、その気持ちが爆発してしまい、本来ならやる必要のないゲリラ作戦を使ってアルタラスを侵略した。その結果、多くの死者を出してしまったことは反省している。」
サンニアー「被告に聞きます。なぜ私の妹であるサンレアを拉致監禁したのですか?」
レミール「それは・・・。外交官を拉致していつも通り脅せば白良が戦争をやめると思ったからだ。だがサンレア氏は外見とは裏腹に産まれてから6歳にも満たない年数しか重ねてないのを知らなかった。最初は陛下の側室にでもしようとしたが、機械を人間にした彼女を偉大なる皇族の血に混ぜたくなかったので、白良氏の前で魔信を用いてサンレア氏を凌辱させたのだ。」
サンニアーはレミールを睨みつけた。その彼女の態度を見たレミールは少し怯えた表情になる。彼女は自分のしたことを後悔していた。だが、それでも彼女は自身のプライドを保つため、若干顎を上にあげ、目を瞑ったまま開き、サンニアーをじっと見つめていた。
サンニアー「他に何かありますか?」
レミール「・・・ない」
そう言って、彼女は証言台から降りた。次回の話では無断で降伏をした春日井、虐殺を推奨するように連合軍内で喧伝していた原州の裁判のやり取りを書き記そう・・・。
次回予告
今度は駐屯地と皇国軍の兵士が裁かれる・・・。果たして春日井と原州はどう証言するのか・・・。
次回第八十三話「裁かれる軍人」