問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望)   作:CARUR

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第八十三話「裁かれる軍人」

パーパルディア皇国 皇都エスシラント

 

 前回に続き連合軍とパーパルディアの軍事裁判が執り行われていた。今回は駐屯地から駐屯地娘の春日井樹と、韓国軍基地娘の李・原州。パーパルディア皇国側からは、2名の皇国軍人であるオーゼラリア・マートランド中佐と、海軍の竜騎士であるメテオラ・アリン少尉が出席していた。まず最初に裁判の争点になったのは春日井による無断降伏である・・・。これに関しては降伏した際白良が「前の世界程この世界は慈悲深くない」と怒りを露わにしたほどであり、本来の責任者は相馬原であるが、彼女はすでに死んでいるために、それを指示した春日井が裁判にかけられる事になったのだ。

 

春日井「・・・今となってはもう少し、戦った方が良かったと思っている。あた・・・私が相馬原を殴ってでも徹底抗戦するべきだったんだ。」

 

大門「裁判長・・・・。このことに関しては情調酌量の余地はあります・・・。まず皇国軍の今回の戦法としてはレミール氏が他国を属領にする際に、外交官の前で殺させるように、大量の兵を外交官に気付かれないように侵攻させ、その隙に別の部隊が侵攻して相手を殲滅し、それで相手国の市民を捕まえるような戦法を取っていました。ですがそのようなことを奇襲で行われたら転移してきた人種である私たち駐屯地の者は対応できません。

 それにまさか皇国軍があそこまで風紀が乱れた組織だとは、予想だにしていませんでした。駐屯地の白良司令官にも油断していて非はあります。ですが、それを予想するのは明らかに無理の範疇でしょう。なので春日井氏はせめて永続軍事刑にするのが妥当です。しかし原州氏に関しては死刑が妥当でしょう・・・。」

 

 そのことに原州は大門を睨みつける。原州に関しては、降伏を行った皇国兵を惨殺及び、虐殺指示や虐殺認可を出させたこと、対人相手にコントロールが不可能な兎部隊を使うなど、数々の蛮行を行っていたことが罪状として挙げられている。その原州の言い分はと言うと。

 

原州「いつも思うがなぜ日本は甘く相手を裁くのだ?あいつらは人間じゃない・・・人の形をしただけの化け物だ!!それだから敵になめられるんだぞ!!慈悲を与えるな!!あいつらを徹底的に痛めつけて殺すべきだ!!」

 

 だとか・・・。

 

原州「どうせパーパルディアは旧来の地まで領土を削られるのは確定だ!!どうせなら本土決戦で人口を減らしてやればよかったか?この強〇魔だらけの糞国家は!!」

 

 と、レミール並みの暴言を吐いていたのだ。サンニアーは木槌を鳴らして彼女を黙らしたのだ。だが火病を起こした原州は発狂し始めたので裁判から一時退廷させられた。そして裁判が再開される。今度は皇国軍兵士のオーゼラリア・の裁判が行われることになった。彼はフェン王国での戦争の際、捕虜にしたフェン王国民やクワ・トイネの観光客を虐殺するなど残虐行為を働いた罪に問われていた。

 

オーゼラリア「軍人だったときは蛮族・・・最も他国の人間を殺したり奴隷にする奴らに何を言われようと気にはしなかったのだが、いざ自分が裁かれる立場になると、こんなに辛いものなのか・・・。人を殺したって言われても、あくまで歯向かった蛮族を処分しただけだし、俺は命令されたからやっただけなんだがなぁ・・・。」

 

 そう言って彼はいまいち罪の大きさを解っていない様子であった。皇国側の弁護人のマリアは・・・・。

 

マリア「彼はこの通りあくまで国の命令に従っただけなのです。他の皇国兵も同じです。彼らは命令されていただけなのです。それに対して連合軍の兵士は捕虜を取らずに我が軍の兵士を虐殺しました。その件については如何お考えでしょうか?」

 

 このことを突かれ一番動揺したのは駐屯地の司令官である白良であった。彼は余りの部下の怒りを発散させなければ戦後どこかで殺戮や差別問題が起きるのではないかと懸念していたのだ。そして寄りにも寄ってサンニアーに命じられ白良は冷や汗を流しながら弁明を始めた。

 

白良「それは・・・。確かに部下の中に皇国兵に親しい者を惨殺や凌辱され殺された者がいるのも事実です。特に兵士の心の支えとなっていたサンレアが拉致られた際は、皆激怒しました。私は戦後彼らが暴発や差別行為を行わないように、捕虜にするかしないかを兵士たちに任せていました。その結果がたった二人の捕虜と言う結果になってしまいました・・・。」

 

サンニアー「・・・その様子を知っている私が言えた立場ではないですが、やはり指揮官である白良さんの責任が大きいと思いますよ。いくらなんでも無責任だと思います。サンレアが裁判官だったら彼女でもこのことは許さないでしょうね。」

 

 彼女の言葉に検察官の大門も、同意するようにうなずいた。

 

大門「・・・確かに指揮官としては白良氏はあまりにも軽率すぎる行動を取っていると思います。ただ皇国兵の残忍さは私たちのいた世界ではありえないくらい残酷なものでした。そんな彼らの所業を、まるで当然のように受け入れるような文化がこの世界にはあるようです。なので彼らに対する罰は駐屯地と同じ永続軍属刑が妥当だと考えます。」

 

マリア「そ・・・それはおかしいです!!その国々の法律に基づかない刑罰は無効です!!この判決は無効です!!これは裁判長が連合国を優位に裁くために行った、単なる茶番です!!裁判長は公正かつ平等でなければなりません!!このような裁判は許されない!!直ちにやり直してください!!」

 

 傍聴席からは連合国の記者や傍観者は呆れており、被告人の席にいる連合軍兵士も「やっぱり皇国人の女性はレミールと言い性格が最悪だな」と思っていた。そして裁判長のサンニアーは困った表情を浮かべた。その後も裁判は続いたが、紛糾に紛糾が重なり、結局判決は後日改めてということになり、この日は解散となった。その日の夜・・・。皇都のパラディス城では雷亞が皇帝と話していた・・・・。

 

雷亞「さて・・・私の娘であるサンレアに関しての責任は、あなた様が取っていただけませんか?一応、あなた様は私に惚れていたとお聞きしております。ならば娘に対して部下が犯した罪に対して、相応の償いをしていただかないといけません。」

ルディアス「・・・何が言いたいのだ?そもそもいくら敗戦国の皇帝相手だからと言って脅すのはどうかと思うぞ。なんだ政略結婚でもするのか?」

雷亞「いえ、別に””今は””そういうわけではありません。ですが少なくとも、あなたが国民に非難されないように生活する知識を教えますよ。」

 

彼女は不敵な笑みを浮かべるのであった。一方その頃、白良は駐屯地の兵士用の留置所として代用されたモンタナの艦内の一室で休んでいた。だが彼の心は晴れなかった。なぜなら自分の指示で連合軍の兵士に命令し大量虐殺を行ったからだ。彼は後悔していた。もし自分がもっと部下の気持ちを察してやれば、こんなことにはならなかったのではないかと。彼は部下のことを思いやるあまり、周りが見えなくなっていた。そのため今回のことが起きてしまったのだ。彼は自分が今までやってきたことが間違いだったのではないかと思い始めた。

 

白良「(俺はどうすればいいんだ?むしろ虐殺を指示しなければよかったんだ。俺の指示がなければ誰も死なずに済んだはずだ。俺は・・・俺は・・・)」

 

彼はベッドの上で寝転びながら考え込んでいた。するとドアをノックする音が聞こえる・・・。基本的に牢屋ではなく部屋に武装した見張りを付けただけの普通の部屋なので、武装した見張りの許可を得て誰かがノックしたのだ。彼は扉を開けるとそこには妻の雷子が立っていた。

白良「雷子!?どうしてここに来たんだ?それに武装している見張りの許可をもらっているということは・・・。」

雷子「ええ、私はあなたの奥さんです。夫がどんな状況なのか見に来ては駄目ですか?」

 

白良は彼女を中に入れて椅子に座らせた。そして彼はベッドに座って話し始めた。

 

白良「なあ、雷子。お前は俺のこと嫌いになったか?」

 

雷子は首を横に振って否定した。

雷子「まさか・・・。あなたは私のことをいつも大切にしてくれているじゃないですか。確かに最初結婚した時は真面目でかっこよかったのに、初夜を過ごした以降・・・。変な性豪になってしまったけど、それでも私は愛しています。もちろん二つの意味で。」

 

そう言って彼女は頬を赤らめた。実は彼女の言う通り白良は結婚前は真面目で仕事をこなす典型的な自衛官であったが、雷子と結婚し初夜を迎えた後・・・。彼はとんでもない〇倫性豪野郎となってしまったのだ。雷子の体に飽きることがなく毎晩求めてくる。しかも彼女の体を気遣うことはなく、ただひたすらに快楽を求める獣のような男になってしまったのだ。しかしそれは雷子も同じであり、彼が居なければ何もできないほど依存するほど彼を求め続けた。しかし彼女はそれで夫である白良に失望することはなかった。寧ろ彼を愛し続けることができたのである。

白良「でも・・・。俺は・・・。」

 

雷子「大丈夫ですよ。確かにあなたは戦争に勝ちました・・。しかし本来部下の暴走を止める司令官であるはずのあなたが、部下の暴走を止められなかったのは指揮官失格です。だけど・・・。」

 

雷子は優しく微笑んで白良を抱きしめた。

 

雷子「あなたは十分に罪の意識を持っています。これからは私も一緒に背負います。だからもう一人で抱え込まないでください。私たちは夫婦でしょ?あなただけが苦しむ必要なんてないんですからね。」

 

その言葉を聞いた瞬間、白良の目には涙が浮かぶ。そして彼は妻を強く抱き返した。

白良「ありがとう・・・。ごめんな・・・。」

 

雷子「いいえ・・・。気にしないでください。だって・・・私は貴方のお姉さんなんですよ。」

 

 その後二人はしばらくの間抱き合い続けるのであった・・・。一方同じく春日井の方には岐阜が差し入れを持ってきたのだ。

 

岐阜「春日井さん・・・。おにぎりっす。食べますか?美味しいですし元気が出ると思いまっすよ。」

春日井は黙ったままそれを受け取ると、無言のまま口の中に放り込む。そして飲み込んだ後に一言呟いた。

春日井「うまい・・・。ここの飯は魚系缶詰めばかりだから丁度炭水化物が欲しかったところだ。」

岐阜「良かったっす。でも裁判はあと何日も続くんすよね・・・。その間ずっとこの生活が続くと思うと辛いっす・・・。」

春日井「ああ、そうだな・・・。でも2日くらいじゃないか?そこまで伸びることはないだろう。」

岐阜「まあ、そうかもしれないっすけど・・・。」

彼女は不安そうな表情を浮かべていた。そんな彼女を見て、春日井は思わず苦笑してしまう。

春日井「まぁ・・・他の兵士の大罪がすべてあたいに降りかかれば、別にあたいはね・・・。」

 

 彼女は少し暗い顔をするのであった。だが春日井の考えは死んだ相馬原の名誉・・・。降伏を決めた責任がある相馬原は世間的に降伏を進言して被害が拡大した原因として、死んだにもかかわらず一部からは批判の声が上がった。そのためを思うと相馬原の代わりに罪を償わなければならないと考えたのだ。その後彼女が食事を終えると岐阜は去っていったのだ。その二日後・・・。裁判の結果が決まったのだ。




次回予告

とうとう裁判の結果が発表される駐屯地と皇国はどのような罪状を言い渡されるのか・・・?果たして両者の運命は?

次回第八十四話「閉廷」
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