問題児だらけの駐屯地が召喚されたようです(絶望) 作:CARUR
第八十五話「戦後」
パーパルディア帝国 (中央歴1641年8月18日)
ここでは新たに成立したカイオス率いる新内閣が、皇帝ルディアスに任命されて国家を運営していく。駐屯地率いる連合軍に占領されているが、ある程度民主主義的な政治を学ぶには丁度良い機会だと判断していた。まずカイオスは少しでも国民に戦前の過ちを意識させ、そして国民の意識改革を行おうとしたのだ。しかしそれをするまでもなく今現在は帝国臣民全員がどんよりし、しまいには連合軍の総司令官であった白良の子供を産みたいとまで言い出す始末だった。
貴族層に関しては小貴族レベルは一気に没落し、貧困街へと身をやつす者が多かった。連合軍も食糧支援は行っているが、一部の第二マグマ帝国と同盟を組んでいる第二文明圏国は同盟国の住民を殺したパーパルディア人を良く思っておらず、食料支援も滞っていた。だが、その中でも皇国を支援しようとしていた国があった・・・。それはロウリア合衆国であった。
レイシト「我が国は八紘一宇を元に、人間、亜人、魔族、キュルギュル、アジア人、黒人、ヒスパニック、ありとあらゆる人種が集う国です!!そのような国がかつてキュルギュルや同盟国の人間を殺した国だからって、見殺しにするのは人としての道に外れる行為でしょう!!我が国は食料を輸出する用意があります!!」
合衆国なのにもかかわらず元首として佇むレイシト女王が声高々に叫ぶ。そうすると合衆国の各都市から続々と食料品を積んだトラックが発進し始め、中には販売業に納品すべき食料や玩具を満載した車もあった。そしてロウリア合衆国海軍の輸送船とロウリア船籍の船にいろんなものが積まれていったのだ。なお無断で納品するはずの商品などを支援に回されて企業は対応に困ったものの「女王陛下が言うなら仕方がない」という判断で黙認していた。また納品するはずのものが来なかった自営業の販売店の店主は「現在パーパルディア人を支援中。お手数ですがしばらくお休みさせていただきます。それで救える命があるならたとえクレームが入っても本望です」という張り紙をして店を閉めてしまうケースが続出した。
そしてロウリア合衆国海軍は支援物資の輸送のため、海上輸送路の安全を確保するために艦隊を派遣する事を決定し、駆逐艦5隻、巡洋艦3隻、揚陸艦4隻、輸送艦3隻、民間の海上運送会社からは5社が合計300隻のフェリーやコンテナ船を動員して出発した。これはロウリア合衆国にとって過去最大の規模であり、国防省長官であるハリー=レイモンは「これでもまだ足りないだろうが、我々ができる精一杯の支援だ」と語った。この行動に対して、カイオスは最上級の感謝を表わすとともに、今後ロウリア合衆国との国交開設について検討する事を決定した。こうしてロウリア合衆国からの食料支援もあり、国民の生活は徐々に安定し始めた。
_______________________________________
フェン王国 8月19日 午後15時20分
ここでも復興を行われていたのだが、フェン王国はOTOから脱退しなんと重武装永世中立を宣言してしまったのだ。これには流石に連合諸国も困惑したが、白良はフェン王国の意志を感じたのだ。それは裁判から2日後に駐屯地にフェン王国の使者がやってきたのだ・・・・。
「我がフェン王国は永世中立を宣言する!我が国の国民は大国と大国の争いに恐怖心を覚えてしまった。そのおかげで鎖国とまではいかないが極力他国に干渉しない道を選んだ。よって我が国は他国が敵国に襲われても集団的自衛権を行使せずあくまで永世中立を貫かせてもらう!ですが・・。貴方方がやってきた世界のスイスと言う国の様に武器の輸出と傭兵派遣は行うつもりです。どうか我が国をよろしくお願いします!」
白良「わかりました。しかし我が国としても出来る限りの事は致します。貴国だけでは復興はとてもでは足りませんからね。我が国は支援いたしますよ」
「かたじけないです。なら文化的に近い同士、ここは復興をいつまで行うかの期間を明確に決めましょう!日本人は約束を違えない民族だと聞き及んでおりますゆえ、ここで期限を決めてしまいましょう。それが守られるならば我々はあなた方を信頼し、どうしても我が家の存亡にかかわる時に国民の亡命をお願いしたり、貴国率いる連合軍が苦戦する敵が攻めてきた場合、我が軍を援軍として送る事を誓います!」
こうして駐屯地と同盟国はフェン王国とのかかわりをあまりせず、ビジネスライクな関係を築くことになった。そして自衛隊と連合軍は共に協力して復興を行い、各国からの義援金はパーパルディアに比べ、フェン王国の義援金が多かった為、すぐさまライフラインが復旧したのだった・・・。一方のパーパルディアは・・・・。
「君たち!早く働くんだ!給料も出るし、食事もできるぞ!!何より働かないと家族が死ぬぞ!!」
「うるせぇな・・・。蛮族ごときがうだうだ指示出してんじゃねえ!!」
クワ・トイネから派遣された土木作業員が、若い皇国人に対して働くように優しく諭す・・・。だが彼らはパーパルディア帝国人特有のプライドの高さと傲慢さ故に全くと言っていいほど言うことを聞かないのである。しかし比較的空襲で焼け野原になったエリアの近くに住む皇国人は早く復興を目指し、楽な生活を目指そうとしているが、そうでないエリアの住人はむしろスネまくって、働こうとしなかった。
そんな中、ある事件が起こる。それは深夜に一人の皇国人が連合軍の女性兵士を襲おうとしたが、逆に返り討ちに遭ってしまったのである。幸いにも未遂で済んで女性は無事だったが、この事件を重く見たカイオス新内閣は連合軍兵士の女性に謝罪するとともに、このような事件が起きないように、夜間警備を徹底させたのであった。
一方、カイオスはカイオスで今回の敗戦の原因を探るべく、アルデと配下の部下と協力し様々な資料に目を通していく。その中で気になったのは、やはり前時代的な政治体型と民衆の政治レベルの低さであった。特に問題なのは中国の中華思想のような、自国中心主義。そしてかつての西洋諸国のような植民地政策や人種差別など、そういった点を指摘していくとキリがなかったのだ。
カイオス「どうするべきか・・・・。まずは国内の帝国主義と愛国教育を改めさせるべきなのか?それとも教育制度の見直しをすべきなのか?」
アルデ「難しいですね。確かに我が国の国民は自分達が偉いと思っているようです。しかしそれは間違いで、駐屯地率いる連合軍こそ文明国であり、我々が野蛮人であることを自覚させなければなりません」
カイオス「そうだな・・・。よし、この際ロウリア合衆国を見習おう!あの国もたしか他国を虐げるような罪を犯してしまったが、今は過去を乗り越え反省して、積極的に他国と交流しているではないか!まずはロウリア合衆国に負けないよう、我々も努力しよう!まずはロウリア合衆国に掛け持ってもらい人材を育成してもらおう!」
こうしてカイオスはロウリア合衆国に人材を送り込み、人材育成をしてもらう事を決めたのだった・・・。
__________________________________________________
駐屯地 8月21日 午前8時20分
ここでは新たに大型の病院が出来たのである。これは皇国との戦争にて、駐屯地に所属していた兵士が戦線に復帰できないほどの傷を受けたり、精神的なダメージを負ったりしたものが多く、凌辱された女性兵士が多くいたため、それを兼ねた大型の病院を急遽建築したのである。ちなみにこの病院に配属されている医師や看護師は他国から来ており、彼らは近代的な医療を学ぶために派遣されていたのだ。
三宿「良いですか?一部の負傷した兵士の人は問題行為を起こした人もいます。看護婦さんは彼らのセクハラ行為を決して受け入れないでくださいね?もし我慢できなくなったら私に連絡をお願いします。私が彼らを処罰しますから。また、患者の中には精神を病んでいる方も多く、場合によっては貴方達を襲う可能性もあります。ですので夜勤は極力控えてください。何かあった場合はすぐに連絡を!」
「「「了解しました!!」」
現在、病院では大勢の兵士が療養中であり、多くの男性兵士たちが入院していた。中には下半身が元気な兵士もいるようで、夜な夜な強姦騒ぎを起こす者もいた。そのため夜間は厳重な監視体制が敷かれ、基本男女で行動する事になっていた。特に一番この病院のエリアで入院者が悲惨であったのは精神科病棟であった。ここにいる患者たちは全員、精神的に大きな傷を負った者ばかりである。一番悲惨な時間は入院者が好きな娯楽や趣味を使った精神安定を兼ねたリハビリの時間であるが、ここでの最大の問題は、フェン王国で皇国人に凌辱された駐屯地娘達であった。
宇治「いやぁぁいやぁぁ!もう和菓子なんて作りたくないぃぃ!!」
「くそっ!やっぱりディア・ウォー・シンドロームのせいで和菓子作りがトラウマになってるのか!?」
「どうするんだ!?このままじゃあいつらは一生治らないぞ!」
「とりあえず落ち着かせろ!!鎮静剤だ!早く!!」
宇治の症状は他の駐屯地娘のそれよりも酷かった。彼女は完全に心が壊れてしまい、もはや和菓子を作るどころではなく、毎日のように暴れていた。なぜ和菓子を作ることを拒絶するのか?それは宇治が派遣された際派遣された理由がフェン王国に和菓子の技術を伝えることであったからだ。その際に戦争に巻き込まれ、教え子や仲間を殺されたことから、その原因となった和菓子を見たり作ろうとすると、激しい拒否反応を起こして発狂してしまうのである。
宇治「あああああ!!こんな体いやだぁぁぁっ!私の体が嫌いぃぃ!!」
彼女は自身の豊満な肉体を恨み、最近では点滴の管を胸にきつく巻き付け自分の胸を鬱血させ壊死させようと試みるなど奇行が目立っていた。そんな彼女の様子を見て、他の駐屯娘たちは心配そうな表情を浮かべていた・・・。郡山は、皇国兵に薬物づけにされたが、特殊なナノマシンにより依存はなくなったものの、性に対する恐怖心を無くそうとする為か、男と一夜を過ごそうとするため精神状態が非常に不安定であった。
郡山「ねぇ・・・Hしよ?」
「ちょっ!こっち来るなって!俺はお前みたいな子供に興味はないんだよ!!それにお前は精神がおかしくなっているんだ!薬を飲めって!」
郡山「嫌!私は正常だよぉ!だって皇国の人達に何度も犯されたけど、別に気持ちよくなかったもん!むしろ痛くて最悪だった!だから私を犯しても大丈夫!さあ!抱いてぇ!」
「うわっ・・・」
と言うような感じで精神が不安定な駐屯地娘が何人かいたのだ。そして、皇国兵に凌辱されてない兵士や陸娘も時たまディア・ウォー・シンドロームの症状が出始め精神安定剤を投与されるようになっていた。友人と嗜んだ趣味を思い出すと、その記憶がフラッシュバックして精神が崩壊してしまうのである。そのせいで一部の兵士はパーパルディア帝国に派遣されるのを拒否するものが多かったのだ。理由としては「言ったところで殺したくなるほど皇国人を憎んで普天間基地の米兵が起こした事件より悲惨な事件を起こすぞ?」「皇国人に差別的な言葉を吐きそうで怖い」という声が多く聞かれていた。
______________________________________________
フェン王国 首都アマノキ
ここでは戦後早々派遣された97式中戦車チハ(AMTRS)、五式中戦車チト(AMTRS)、001式重戦車オイが国王であるシハンとその部下と共に戦後の国家運営を話していた。前述通りフェン王国は重武装永世中立を貫いていた国であったが、今回の戦争でロデニウス連合王国が介入した事により、今後どのようにするか話し合っていたのである。
シハン「まずは我が国の陸軍だが、現在、我が国が保有する戦力は、戦時中給与された兵器を含めて、軽戦車4両と主力戦車12両、自走砲2門、自走榴弾砲6門、歩兵戦闘車8両、工兵車両3台、牽引砲20門、迫撃砲16門、野戦重砲兵7門、対空機関砲15門、航空機24機、艦艇7隻、雷撃艇16隻、ヘリコプタ―10機である」
チハ(AMTRS)「ふむ・・・やはり、この軍に足りないのは陸軍の継続戦力でしょうね・・・。海軍はミサイル駆逐5隻と空母4隻、巡洋艦5隻の主力戦力でいいでしょう。輸送艦などあってもあまり使わないのが実情ですから。雷撃艇や哨戒艇は200隻体制にすれば永世中立国の海軍戦力としては十分ではないでしょうか?しかし問題は陸軍と空軍ですね。」
シハン「うむ・・・正直、我が軍はこの世界の列強諸国には勝てん。それは前回の戦争の結果でよくわかっただろう」
シハンは前回の戦いでフェン王国軍があまり連合軍の役に立たなかったことに情けなく感じていた。そして貧乏であったのも負けた原因と理解していた。そこで彼は考えたのが、「もう二度と負けないためにどうすればよいか?」であった。
シハン「我々が生き残る道は、他国の侵攻を許さず、他国の侵略を許さない軍事力を持つことだ。そのためにはまずフェン王国の国力を充実させなければならない!まずは輸出品で収益を上げることだな」
チハ(AMTRS)「その心意気です!かつての日本もそのように技術と戦術を磨き、アジア一の国になったのです。フェン王国にもできないことはありません!」
シハン「そうだ!我々は列強諸国の植民地になんかならないぞ!独立と平和のために頑張るぞ!!」
こうして、フェン王国では産業振興策が実施されることになった。また、フェン王国内にあった連合軍の基地は撤退して行ったが、その代わり一部の教官は新たに作られるフェン王国軍の基地に残り、フェン王国軍の指導を行うことになった。これはフェン王国軍を鍛えるためでもあった。そして、永世中立とは言っているが隣国のガハラ神国と協定を結び、両国間で貿易および軍事協力を行うことが決定された。
フェン王国は剣を作ることに関してはトップクラスであり、金属加工を得意分野としていた。その二番目は日本と同じ木材加工を得意分野としており、頑丈な建物や家具を作ることに関しては世界有数であった。そのため、駐屯地主導でフェン王国に工場が作られ、フェン王国製の様々な製品が生産されることになった。
フェン王国は工業力をつけると同時に、農業にも力を入れ始めた。今までは食糧難になりがちであったが、今後は自国で賄えるよう飢饉に強い食物の生産にシフトチェンジしたのである。そして、短期間で国土の40%を復興させることに成功したのである。その一方軍はと言うと。
チハ(AMTRS)「一号車から七号車!貴様ら間隔が近いぞ!!それは行間射撃ではない!!それになんだその照準のブレ方は!?」
「すみません!!」
チハ(AMTRS)の厳しい訓練により、陸軍は錬度が上がっていった。特に、戦車兵の教育に力を入れ、戦車兵はチハ(AMTRS)が教育を行っていた。そして、歩兵はチト(AMTRS)が指導していた。彼女の指導は突撃戦法で、末期の日本軍とは違いただ突撃ではなく白兵戦闘術を徹底的に叩き込んでいた。
チト(AMTRS)「おそい!!」
バキッ!ボコッ!!
「ぐはっ・・・」
チト(AMTRS)は模擬用の銃剣を持った複数の兵士を薙ぎ倒し、気絶させた。彼女は腐っても武器娘である。力は戦車の馬力に匹敵するのだ、鍛えた男を難なく倒すことなど容易だった。
チト(AMTRS)「次ッ!!」
歩兵の訓練は他国同様かつ全盛期の日本軍並みの厳しさを持っていたが、それでも文句を言うものはいなかった。というのも、彼らは二度とフェン王国が敵国や他国の争いに巻き込まれないよう必死になって努力していたからだ。だがここで派閥争いが発生したのだ。あまり突撃戦法を使わず戦うチハ派と、率先して突撃戦法を使うチト派、陸自のような穏健的かつスイス軍のような耐久戦を考えるオイ派の3つの派閥ができたのである。そして、この派閥のいざこざは軍だけではなく政治家の間でも困惑し続ける問題となったのであった。さて、そんなことはともかく、フェン王国は着々と国力をつけていったのである。
次回予告
徐々に復興し始めるパーパルディア皇国・・・いやパーパルディア帝国。その一方各国の軍人や指導者がこの駐屯地にの地下会議室に集まり、地球に当たる国連的な組織の設立についての会議を行っていた。だがその一方第二マグマ帝国と同盟を組んだ第一文明圏のアガルタ法国がとある国を見つけた・・・。その国は・・・。
次回第八十六話「連合機関設立」