IS-蒼き鬼神ー リメイク版   作:種電

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第十話

「なんだ、アレは」

 

IS博覧会の会場に突如現れたトラックから出てきたのは正体不明の人型の機械だった。会場内はパニックだった、突如現れたトラックは人を轢くことを御構い無しに次々に人を轢きながら、会場内に突っ込んできたのだ。

それに恐怖を抱くなというのはお門違いだ。人は恐怖に弱い、人は恐怖に勝てないのだから。

人々がパニックを起こす中、人型の機械は周りを確認するように、周りを見渡し、手に持ったサブマシンガンらしき物の銃口を出口に殺到する人達へと向けた。

 

ーーー刹那、ラウラは動いた。

バーニアをフル稼働させ、人型に突っ込んだ。

 

「させるかぁぁぁぁぁ‼」

 

ラウラのIS【シュヴァルツェア・レーゲン】の武装にはカノン砲があるが、人が大勢いて、さらに室内となると砲撃となるカノン砲は危険である。もし、避けられたり、外れたりでもしたら大惨事を引き起こす可能性がある。

故にラウラはカノン砲ではなく、シュヴァルツェア・レーゲンに搭載されている武装の一つであるプラズマクローを選択、指と指を合わせ、手刀の状態にで突きを繰り出した。

 

……だが

 

【……】

 

(避けられた⁉)

 

人型はラウラの突きを身体を逸らすだけで避けた。そして、そのまま左手に装備されているクローらしき物がついているシールドをラウラのガラ空きの胴体に叩き込んだ。

 

「がっ!」

 

「ラウラ⁉こいつ、セシリア、援護!」

 

「わ、わかりましたわ!」

 

「ぼ、僕も」

 

「援護」

 

セシリア、シャルロット、簪のライフルによる援護攻撃を貰いながら、鈴は人型に接近しながら、武器を一つ呼び出す。

それは青龍刀と呼ばれる中国の剣の一種であった。

 

人型はセシリア達の攻撃を避けながら、胴体に一撃を入れたラウラの頭を掴み、鈴に向け投げた。

 

「なぁ⁉」

 

鈴は咄嗟に青龍刀を離し、ラウラを受け止めた……だが、それは人型の思う壺である。人型は腰につけてある小型ミサイルランチャーをラウラと鈴に向け、連射する。

鈴はラウラを受け止めたことにより、シュヴァルツェアのカノン砲が邪魔でミサイルが見えない。

セシリア達からは鈴とラウラが前にいるので撃ち落とすことが出来ないどころか、見えていない。

結果、ミサイル全弾がラウラと鈴を襲う。

 

「きゃぁぁぁ⁉」

 

「ぐっ!」

 

「鈴さん、ラウラさん!」

 

次に人型は鈴が離した青龍刀に一目散に向かう。それに気付いた簪、シャルロットが妨害のために弾幕を張るが人型はそれを避け、青龍刀を拾う。

 

そして、そのままセシリアに突撃、セシリアの腹に蹴りを一撃叩き込まれ、前屈みになるセシリア。

 

「がはぁ⁉」

 

前屈みになったセシリアに残酷にも青龍刀を振りかざそうとする人型。

だが、その刃はセシリアに届くことはなかった……横から伸びた一本の槍が青龍刀を防いでいた。

 

「まさに横槍」

 

「さ、更織さん……」

 

「一撃必倒!」

 

防いだのは簪の槍だった。

そして、その隙にシャルロットが左手にパイルバンカーを装備し、人型の横腹に叩き込もうとするが人型はシャルロットの攻撃を察知し、速やかにバックジャンプで避ける。

 

「大丈夫?」

 

「え、えぇ、なんとか」

 

「う〜、叫んだのに避けられた〜、先生の嘘つきー!」

 

「何故、叫んだのですの?」

 

「いや、先生が日本では必殺技の時に叫んだら、当たるって……」

 

「無理がある」

 

三人がそんな雑談をしている間に人型はまた突撃態勢を取るが、復帰したラウラと鈴に妨害されるも、人型はそれを軽やかにあざ笑うように捌く。

 

「……強いな」

 

「えぇ」

 

鈴とラウラ、シャルロットとセシリアと簪の五人は人型の尋常ではない強さに恐怖を覚えた。

そして、人型の目はその恐怖を肯定するかのように、緑色に光る。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、幸は人ゴミを退けながら、会場に向かう。普通なら、会場に向かわずにさっさと安全な場所に向かうのだが、この時の幸は何故か会場に向かわなければならないと思った。

それはだだの正義の味方気取りの死にたがりか、馬鹿か……それともーーーニュータイプとしての勘か。

 

 

 

 

 

幸が会場に向かっているとき、箒は会場の外に出ようとしていた。

なるべく、人が多い場所、正面出入口は避け、遠回りになっても人が少ない場所の方が良い。

その方が早く外に出られる、ちなみに幸からの入れ知恵である。

 

箒は一応正面出入口に向かうが、やはり人が大勢居いて、我先に出ようとして大混乱になっていた。

 

「どきなさいよ!」

 

「私が先よ!」

 

「男は最後にしなさい、私達は女よ!」

 

特に騒がしいのは女性だ。

女尊男卑の世、女性の性格の悪さや自己中心の強さが酷くなっている。だから、箒はそんな女性もその原因となったISもそのISを作った姉も大嫌いだった。

 

「邪魔よ、クソガキ!」

 

「うわぁ⁉」

 

「⁉」

 

ブタのように肥えた女性が自分より前にいたまだ幼い少年を人ゴミから抜き取り、自分の後ろに放り投げる。

箒は慌てて、少年に駆け寄り、先程の女性に睨みつける。

 

「貴様、何をやっている!」

 

「ハァ、何言ってんのォ、あんた?」

 

「幼い子供に何をしていると聞いている!」

 

「ハァ?男がいくら死んでも別にいーじゃん、私〜女よ?」

 

箒は絶句した。

ありえない、あってはならない。

今、この女、豚は何と言った?

男がいくら死んでも別にいい?

何故、そんなことが言える?

何故、そんなことが思える?

何故?何故?何故?何故?

 

箒がそんな女性に絶句をしていると、視界にオレンジ色のISが映った。箒はそちらに目を向けると、五機のISがたった一機の蒼い人型の機械に追い込まれていた。

だが、箒にとって、そんな状況はどうでもよかった。

 

ーーーIS。

 

自分の姉、篠ノ之束が作り出した力。

その力は世界の固定概念を変え、世界を女尊男卑に染め上げた原因、狂気。

何故、あんな物が評価される?

ーーー強いから。

何故、姉はあんな物を作ったのだ?

ーーー知りたくない。

箒の思考はグルグルと回り、自問自答をただ繰り返していた。

 

そんな最中、人型は正面出入口に集まる人々に、再度歩を進めようとした。

ラウラ達は行かせまいと攻撃を仕掛けるが、全て完全に見切られ、逆に手痛い反撃を貰い、全員が地に伏せる。

 

また一歩、また一歩と出入口に殺到する人々に近寄る。人々はそれにより、恐怖を感じ、お互いを貶しながら、罵倒しながら、暴力を振るいながら、前に進もうとするがそんなので前に進めるはずもなく、余計に外に出られない。

それがまたパニックを引き起こす、無限のループが完成する。

 

箒はそれを見て、あることを思い出した。以前、幸や友人達を家に誘ったときに見たテレビ番組が災害やテロに巻き込まれたときの対処方をどうするか?という番組だった。

皆、様々な意見を出し合う中、幸は淡々と告げた。

 

【まず、間違いなくパニックが起きる。それは自分の命に関わるパニックだ、人は自分の命に関わるパニックを起こすと思考が停止し、生きようと生きようと必死になり過ぎて、前しか見えない……だが、これがいけない。

そういうときは冷静になり、出入口などが他にないかを探し、人が少ない場所から出るべきだ。

人というのは面白いもので、出入口などが複数あるのにも関わらず、一つの出入口しか使わないことが多い。

そうなれば、その場ではパニックが起き、それが周りに感染して、さらにパニックを起こす。そうなってしまえば、簡単なことが難解になってしまう……冷静になれば、簡単に出られるのに、パニックのせいで簡単に出られなくなってしまう。

だから、避難する時や脱出する時は人が少ない方が生存率は上がるぞ、覚えておけ】

 

幸はそう淡々と言い、興味なさそうに持ってきていた新聞に目を落としたのを箒は覚えていた。

幸は初めて会ったときも、そうだが年齢に合わないぐらいに常に冷静沈着だ。まるで、幾度も修羅場をくぐり抜けてきた歴戦の猛者のように。

そして、もう一つ思い出した。

 

【そうそう、他人には気をつけろよ。何をするか、わからんし、危険だ。

災害やテロなどで一番怖いのは、災害でもテロリストでもない……他人だ。他人は他人を犠牲にすることを躊躇わない……何せ、他人だから、自分ではない。

だから、気をつけろよ、他人に。】

 

それを思い出したと同時に先程の豚のような女性が先程の幼い少年の首襟を掴み、全力で人型の前に投げ、叫んだ。

 

「殺すなら、そのガキを殺しなさいよ!」

 

「き、貴様⁉」

 

箒は理解した。

幸が言っていた他人が怖いという理由を、他人は自分が助かるためなら、他人を躊躇わらずに犠牲にする。

箒は人の醜さにこの女の醜さに絶望した。

 

人型はゆっくりとゆっくりと少年に近付く、少年は恐怖で動くことが出来ずにただ泣くことかしか出来ない。膝はガクガクと震え、恐怖で失禁し、お尻の周りには尿たまりができる。

また一歩、また一歩と少年に近付く人型。

 

「あたしは助かるのよ、あたしは!」

 

豚のような女はひひひと笑いながら、再び人ゴミに突っ込む。

その人ゴミに罵声を浴びせながら、その人ゴミから罵声を浴びせながら。

そして、人型は少年の目と鼻の先まで辿り着く……刹那、箒は走り出した、少年を助けるために僅かな望みをのせ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして、その望みは叶う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー最悪の形で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人型は少年と走り出した箒を無視して、人ゴミに向かって躊躇いも躊躇もなく、引き金を弾くと同時に右手に持ったマシンガンから毎秒数十発の弾丸が人ゴミに向かい、そして人ゴミの人を蜂の巣に変える。響き渡る銃声、響き渡る悲鳴、広がる硝煙の臭い、広がる血生臭さ、それだけで箒は自分の後ろで何が起こっているのか理解出来たが、理解をするのを辞め、ひたすらに少年に向け走り、少年に飛びかかり、少年と人型から距離を離す。

 

そして、そのまま少年を抱きかかえ、耳を塞ぐ。

響く銃声と悲鳴から少年を救うために……そして銃声が止み、箒が正面出入口の方を見る。

 

「う⁉」

 

「お姉ちゃん?」

 

「みるな!」

 

箒は正面出入口に広がる悲惨な光景、死体の山を見て吐き気が襲うが少年がそれを見ようとしたので慌てて見えないように抱く。

少年の顔は箒の胸に埋れる。

そして、そのまま他の出入口に向かって、走り出すが恐怖に駆られ、思うように走れない。

 

弾切れになるまで撃ち終わった人型は必死に逃げる箒に気付き、鈴が落とした青龍刀を腰につけており、マシンガンを捨て、それを手に取り、箒に近付く。

箒は迫り来る人型に気付き、恐怖が襲う。短い距離なのにもう数百m以上走ったかのような疲労感が現れ、肩で息をしながら、進む。

 

「はぁはぁはぁ」

 

だが、無情にもそれほど進んでおらず、確実に確実に人型は箒に迫る。

そして、疲労と恐怖により、転ぶ。

 

「つっ⁉」

 

そして、起き上がろうにも起き上がれない。少年も恐怖で動けない、箒は首だけを動かし、後ろを見ると既に人型は目と鼻の距離まで来ていて、今にも青龍刀を振り下ろそうとしていた。

 

迫り来る刃、迫り来る死に。

箒はただただ恐怖し、祈ることしか出来なかった。

 

「た、たすけ、て」

 

そして、青龍刀の刃が箒を襲う。

 

「コウ、一夏、助けて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「木村抜刀流八ノ型“弾き“」

 

箒に迫り来る死の刃青龍刀は何かにより、弾き飛ばされる。

人型は青龍刀を弾いた何かを見た。箒は何も来ないことを感じ、恐る恐る目を開くと自分と人型の間に一本の刀があった。

そして、それを持つ者を見る、そこには見知った人間いた。

 

「予想以上に重いな、ISの武器は」

 

「コウ!」

 

「大丈夫か、箒」

 

幸がIS用の日本刀で抜刀をし、人型の青龍刀を弾いたのだ。

青龍刀を弾いたのはそれはそれでいいが、幸はこれから、どうするかを悩んだ。

正直な話、勝てない。

IS用の日本刀を持ってはいるが重いし、先程は不意打ちという形からの抜刀だったので当たったが、不意打ち無しでは当たる気がしない。というより、これ以上振れる気がしないのだ。

しかも、先程青龍刀を弾いたことで人型は自分を襲うはずだ。

 

さて、どうしたものか?

 

というか、先程は箒を助けることしか、頭になかったがこの人型はよく見なくても、あの忌々しいBD(ブルーディステニィー)だ。

前世ではかなり苦労させられた記憶しかない。

 

(アナハイムにジオニックの次は人サイズのMSとは……嫌な世界だ、まったく)

 

幸がため息を零すと同時にブルーは動く。ブルーの攻撃も可能なシールドのクローが幸の腹を目掛け、振るうが幸は直感でIS用の日本刀で防ぐ……だが、当たりはしなかったが、相手は機械だ。

人間なんて、簡単に吹き飛ばせる。

 

「っ!」

 

「コウ⁉」

 

幸は吹き飛ばせされ、日本刀を落とすも予想はしていたので受け身を取り、すぐに立ち上がる。

ブルーは立ち上がった幸に再度攻撃を仕掛けるかこともなく、胸だけを幸に向けた。

箒はブルーが攻撃しないことに安堵したが、幸はブルーの武装を知っているので一瞬にして理解して、横に跳ぶ。次の瞬間にはブルーの胸のマシンキャノンが火を吹き、幸に向かって放たれるが一度目は幸は何とか避けれた。

 

(一度目はどうにかなったが……)

 

そして、再度ブルーは幸に胸を向ける。

 

(さすがに二度目は!)

 

ブルーのマシンキャノンが火を吹こうとした瞬間である。

 

「どりゃぁぁぁぁ!」

 

一機のIS、鈴がブルーに向って飛び蹴りをし、見事にブルーの頭にヒット、転倒する。それと同時にマシンキャノンが放たれるが幸の前にラウラが現れ、全てのマシンキャノンから幸を守った。

 

「大丈夫か⁉」

 

「何とか……」

 

「そうか……なら、逃げ」

 

ラウラが何かを言おうとした瞬間、ラウラは吹き飛んだ。

そして、幸の目の前には目を紅く光らせるブルーがいた。

そして、至近距離だからこそ、幸には聞こえた。

 

【EXAMSystemキドウ、コレヨリ、ニュータイプトISノハイジョヲオコナウ】

 

「⁉」

 

ブルーは再び幸に攻撃を仕掛けようとしたが鈴が今度はブルーにショルダータックルを食らわせ、吹き飛ばすが一瞬にして、鈴に接近。鈴の頭を掴み、地面に叩きつけた。

 

「鈴さん!」

 

セシリアは引き金を弾こうとしたが、ブルーの近くに幸がいるのに気付き、弾くのをやめた。

次の瞬間にはセシリアもブルーの一撃を腹部に食らって倒れる。

シャルロット、簪が同時攻撃をしかけるもシャルロットの攻撃は避けられ、簪の攻撃も避けられ、簪の腕を掴み、そのまま地面に叩きつけた後に背中にスタンプを決める。

避けれたシャルロットは再度攻撃を入れようとするも、ブルーに裏拳を叩き込まれ怯んだ隙に頭に回し蹴りを入れられ倒れる。

 

一瞬、一瞬にして、五機もいたISは地面に伏すことになった。

ブルーはゆっくりと幸に視線を向ける。そして、ゆっくりと幸に近付こうとした時である。

 

「まてぇーい‼」

 

会場に響き渡る叫び声に反応するブルーとその隙に幸ブルーから離れ、先程の声がした方を見ると愕然とした……そこには見知った人物、もう会うことはないと思っていた人物。

 

「そこの人型、このマシュマー・セロが相手だ!」

 

「マ、マシュマー⁉」

 

ここまで全速力で走ってきたマシュマー・セロがいた。

 

「ん、そこにいるのは……師匠、師匠ではありませんか⁉

お若くなられましたな!」

 

マシュマーは全速力で走り、ブルーの攻撃を掻い潜りながら、幸に近付き、手を取る。

 

「おぉ、我が師匠のコウ・カグラザカ大佐!

お久しゅうございます、このマシュマー!

お師匠様がいくら若返ろうとも忘れません!」

 

「お、おう」

 

手を握るマシュマーの相変わらずのハイテンションに幸は若干引きながら、何故俺がわかったんだ?と思いながらも、マシュマーの握手に応じる。

そして、マシュマーは薔薇が入った胸ポケットから蒼い石がついたペンダントを幸に渡した。

 

「これは?」

 

「ISでございます」

 

「IS……いや、俺は」

 

「いえ、師匠なら動かせるはずです、ハマーン様もギレン様もそうお考えです」

 

「え、いるの、あの人達」

 

出来れば会いたくないと思った幸である。何故なら二人とも人使いが荒いから。

 

「私はこの機体が誰にも動かせないと聞いたときに咄嗟に貴方を思い出しました。

きっと、これは運命なのです」

 

マシュマーは幸に蒼い石のペンダントを握らせると蒼い石は光出した。

 

「ケンプファーはずっとずっと貴方を待っていた、私はそう思います」

 

「マシュマー」

 

「ですから、貴方をケンプファーを信じてください!」

 

マシュマーはそう言うと幸に背中を向けた。

 

「このマシュマー・セロ!お師匠様のための時間稼ぎをしてまいます!」

 

「おい、マシュマー⁉」

 

「では!」

 

マシュマーは再び全速力で走り、ブルーを翻弄する。

幸はそれを見ながら、蒼い石のペンダントを見つめる……動かせるのだろうか?

自分に?もし、動かせたら、自分は?と様々な葛藤が頭の中を行き来する……だが、すぐに覚悟はついた。

 

「コウ!」

 

「箒」

 

起き上がるほどの気力を回復した箒が少年を抱えながら、幸に走り寄る。

箒はいつもより、真面目な表情で幸を見る。

 

「……行くのか?」

 

「……あぁ、行ってくる」

 

「そうか……なら、勝てよ」

 

「当たり前だ」

 

幸は鼻で笑うように笑い、前に進みながら、蒼い石のペンダントを見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー行こうか、相棒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐふ⁉」

 

マシュマーはブルーから顔面にパンチを貰い、吹き飛ぶ。正直な話、チョロチョロと逃げるマシュマーに苛立ちを覚えていたブルーはマシュマーにトドメをさそうと落ちていたブレードを手に取る。

そして、振り下ろした瞬間ーーー振り下ろした手が突如現れた蒼い手により、止められた。

 

「こっちを見ろ」

 

ブルーがその声につられて見た瞬間に見えたのは拳だった。

反応をするよりも早く拳はブルーの顔面を捉え、紅い目にヒビが入る。ブルーはその紅い目で自分を殴った者を確認した。

 

桃色の一つ目に一本の角が額が生えている。左右非対称の肩パーツにはブースターらしき穴が空いており、その見た目はジオニック社が以前作った作業ロボット“ブロッケン“に似ていた。

そして、その身体の色は深い青、ダークブルーで統一されていた。

その姿はまるで神話や童話などに出てくるオーガや鬼に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、貴様」

 

ーーーかつて、ある世界で鬼神と呼ばれる者がいた。

 

「明日、うちの村は廃品回収の日なんだ」

 

ーーーかつて、たった一人で一個大隊以上の戦力と畏怖される者がいた。

 

「貴様をその廃品回収に出してやるよ」

 

ーーー人は彼を畏怖と敬意の眼差しで見た。

 

「だから、安心して」

 

ーーー人は彼を“蒼き鬼神“と呼んだ。

 

「スクラップになれ」

 




ちなみにこの作品のイメージOPはwimp ft. Lil’Fang(from FAKY )です。
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