IS-蒼き鬼神ー リメイク版   作:種電

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今回は戦闘メイン。


第十一話

IS博覧会、今日行われたイベントだ。平日にも関わらず、行われた初日のこの日には大勢の人々で賑わっていた。

今日わざわざ休みを取った者や嘘をついてまで休んだ者などと人によりけりだろう。

 

ある少年もそうだった、少年は幼い頃から病気に弱く、外に出ることは稀だった。例え、外に出たとしても周りの子供やその親達は少年を歓迎しなかった。むしろ、外に出るなと言うばかり、少年は外に出ることがなくなり、自分の家だけが少年の世界だった。

そんなある日、少年はたまたまテレビ番組で行っていたISの特集を目にした。ISの特集など、今まで何度も目にしてきたが、その特集ではISの技術に関する特集だった。

少年は機械や最新の技術が好きだった。いずれは自分もそういった技術者になりたいと思っていたからだ。

だから、今日両親に無理を言って、ここIS博覧会に連れてきてもらったのだ。

あいにく、父だけは仕事で来れなかったが母と祖父母の四人で来た。母も祖父母も父も少年には優しかったのだ。

 

少年は初めてきたIS博覧会に興奮しながら周った。見たことない技術、知らない単語、それら全てが少年にとって、とても刺激的だった。

そんな刺激だらけの中、少年の記憶に鮮明に残るのはある女性、紫色の髪を後ろで纏めたポニーテールで赤ブチ眼鏡をかけたニコニコ笑うお姉さん、少年はたまたまこのお姉さんにぶつかってしまった。

その時、少年は後悔した。

我を忘れはしゃいでしまったことに、今の世の女性は少年がいくら幼いだろうが自分達が何よりも偉いと思っているから、気をつけるようにと祖父から口酸っぱく言われていた。もし、問題を起こせば、タダではすまないとも言われていた。

ゆえに少年は困った、どうしょう?どうしょう?と、そんな少年にぶつかられた女性はニコニコと笑いながら、少年を気遣った。

 

ーーー怪我はないか?

 

ーーー親とははぐれたのか?

 

と、心配までしたのだ。

最近の女性ではかなり珍しい部類だろう。

少年は女性の言葉に困惑しながら、大丈夫だと答えると女性はニコニコと笑いながら、少年の頭を撫で、その場を去った。

 

優しいお姉さんだったが、少年にはあのお姉さんのニコニコ笑う笑みが怖かった。明確な理由はないが、少年には感じたことのない危機感をあのお姉さんから感じたのだ。

 

そして、気付いた。

母達とはぐれたことに少年は慌てて、母達を探すために歩き回る。それから、数分後である爆発音が響いた後、会場スタッフに言われ、避難を開始したのは、少年は避難指示をされたが母達がどこにいるかが心配になり、スタッフの指示とは正反対の方、正面出入口に向かう。

その後すぐにトラックが一台、人を轢きながら会場内に現れ、そしてあの蒼い人型機械ぎ現れたのは。

 

少年は人の流れに呑まれ、正面出入口に向かわされる。そんな時に少年は豚のような女性と中学生ぐらいのお姉さん……箒と出会ったのである。

その後、凄い音と悲鳴が聞こえ見ようとしたら、箒に遮られた。少年は箒に抱きかかえられながら、箒ともに逃げるはずだったのだが、箒の足は恐怖により竦んでしまう。

そして、少年は見た。先程の蒼い人型が自分とお姉さんに向かって、剣を振り下ろす瞬間を。

刹那、少年の脳裏にはまだ新しい記憶やもっと幼い頃の記憶、所謂走馬灯が走る。それが全て終わると少年は箒が気付かないほどに静かに気絶した。

 

次に少年が目を覚ましたときは自分は先程のお姉さんに抱えられたまま、中学生以上ぐらいのお兄さんを見た。だが、制服はお姉さんと同じ制服だった。

そして、お兄さんとお姉さんは少しだけ、話し合うとお兄さんの目つきは鋭くなり、そして眩い光が少年の視界を遮る。

 

次の瞬間には光の中から、小さい頃から祖母に読んでもらっていた童話に出てくる青鬼のような物が現れ、蒼い人型の顔を殴っていた。

 

 

 

 

 

 

 

幸……コウは目の前の敵【ブルー】との距離を測りながら、考えていた。

 

ーーーさて、どうするか?

 

戦うのはいいが、先立つ物というか武器が無ければ、流石に面倒である。相手も今は武器を敵にしてないが、いずれは持つだろう。

というより、ブルーにはビームサーベルがあるはずだ、自分のケンプファーにも。

ブルーはそれを使わずに先程から見ていたが格闘技だけで戦っていた。

ということは、このブルーはビームサーベルを持っていない可能性があるかもしれない……いや、自分も持っていないが。

 

「マシュマー」

 

「なんでひょうか?」

 

「ケンプファーの武装はどうやって出すんだ?」

 

以前から思っていたのだが、ISはどうやって、あれだけの武装を持ち運びをしているんだ?

どう見ても重量過多で出撃不可か足が重くなるだろう、アレ。

 

「……あの非常に申しにくいのですが」

 

「あ?」

 

「それ、武装ないです」

 

「……は?」

 

マシュマーを見ると顔中から汗が噴き出していた……あ、これ、マジで武装ないの?馬鹿なの?死ぬの?

 

「はぁ……仕方ない、拾うか」

 

「あのあるのはあるのです」

 

「意味わからんぞ」

 

「正確には“今“の状態では安全のために、ロックがかかっております」

 

「なら、今度は最初から使えるようにしろ……で、どうすればいい?」

 

「ファースト・シフトを完了しなければなりません」

 

ファースト・シフト?と聞き返そうとしたとき、ブルーがコウに突っ込んできて、その拳を振るう。

コウは紙一重で、その拳を避け、ブルーの顔面にお返しに拳を叩き込むが、ブルーは今度はよろけず、にそのままケンプファーの腕を掴む。

 

「ちっ、とりあえず、そのファーストなんちゃらがどうにかすればいいんだろ!」

 

コウは掴まれた腕を振り解こうとするが、ブルーは離そうとせずに殴ろうとしたので、その拳を掴む。

 

「ファースト・シフトです!時間がかかります!」

 

「どのくらいだ!」

 

「三分です」

 

三分、三分ならまだ余裕だ。

 

「わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーさて、そこのポンコツ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー今から、俺と素敵なダンス(泥試合)をしようか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、市役所前。

こちらでは駅前と同じように爆発が起き、その後すぐに自衛隊のIS部隊が来た。そして、コウ達がいるIS博覧会と同じようにトラックが現れ、中から蒼い人型兵器(ブルー)が出てきて、その場で暴れ出し、大混乱となる。

クラリッサが向かった駅前も同じようなことが起き、こちらも大混乱になりながら、警察や駅員などが避難指示を行う中、クラリッサ達はブルーとの戦闘を始めていた。

市役所も役員や地元の自警団などが避難指示などを行いながら、その場を離れていた。

 

そんな市役所前で戦う自衛隊の中に、一機だけ自衛隊所属ではないISが自衛隊と共に戦闘を行っていた。

 

「ーーーファンネル!」

 

そのISはジオニック社の新型で、ハマーンが乗る第三世代IS“キュベレイ“である。キュベレイから複数の“自律機動兵器“(ファンネル)が現れ、ブルーを囲むようにビームを放つが全て避けられてしまう。

 

「えぇい、猪口才な!」

 

「速い⁉︎」

 

泉軍曹が乗るIS、第二世代IS“ヘルダイバー“の腕部に装備された機関砲から放たれる毎秒三十発以上の弾丸はブルーに当たる事なく、虚しく建造物や車両を蜂の巣にするだけであった。ブルーは手に持ったサブマシンガンを撃ちながら、時折一気に接近戦に持ち込みながら、確実に一人一人とISを撃墜していた。

市役所で戦えるのは、ハマーンと泉軍曹だけである。

 

確実に確実にハマーン達は追い込まれ、ブルーには余裕が見えてきたのか、先程よりほんの少しだけ動きが悪い。

 

「亡霊風情が……いい気になるな‼︎」

 

だが、それがいけなかった。

ハマーンの逆鱗に触れたのだから、ハマーンはキュベレイのファンネルと腕についているビームガンでブルーの退路を失くす。しかし、失くすだけでブルーを破壊することは出来ない……そう、ハマーンでは。

 

「てぇぇぇい!」

 

サバイバルナイフを構えた泉軍曹のヘルダイバーがキュベレイのビームの弾幕の中に突っ込み、ビームの弾幕を避けながら、ブルーに近付く。

そして、ナイフをブルーの腰の関節部分の僅かな隙間に刺し込んだ。そのまま、もう一本ナイフを取り出し、首と肩の関節部分にも斜めだが突き刺した。

 

二箇所とも人間なら致命傷の箇所で、血が吹き出してもおかしくないのだがブルーから血が吹き出すことはなかった。そして、紅く光っていた目は少しづつ光を失い、ブルーは動かなくなった。

 

「……終わった?」

 

「……みたいだな」

 

泉軍曹はブルーに突き刺したナイフを抜き取り、距離を取った。

 

「ーーーはぁ、つかれ〜たぁ〜」

 

(しかし、あの蒼い人型は昔アクシズで見た資料で見たような……)

 

ハマーンは動かなくなったブルーを見ながら、底知れぬ不安感を拭えずにいた。

そして、ハマーン達がブルーを行動不能にしたと同時に駅前のクラリッサ達もブルーを行動不能になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所はIS博覧会に戻り、ブルーと戦闘を繰り広げているコウのケンプファーはブルーの攻撃を紙一重で避けながら、確実にカウンターを叩き込んでいた。

コウは先にブルーの胸部にあるマシンキャノンを殴り壊し、既に撃てなくなった。

 

(マシンキャノンがないとあるとでは随分違うな)

 

ブルーはコウからのカウンターにより、ボロボロになっているがコウのケンプファーは最初は慣れない操作に手間取り、ダメージを受けたが慣れ始めた、今はダメージを受けることはなくなった。

 

(しかし、つまらんな……ブルーだから、楽しめると思ったのに)

 

久しぶりの命をかけた戦いにコウは喜んでいただが、反面にこのブルーの性能の低さに呆れていた。

 

(ただ速いだけ、パワーはこのサイズなら普通程度。ただスピードを乗せた一撃を繰り出すから、パワーがあるように見える……つまらん)

 

コウは残り時間を確認すると後一分半といった所だった。後、一分半もこんな駄作に付き合わないといけないのかと思うと嫌になる。

 

コウがそう思っていると突然ブルーの動きが止まった。コウは一応距離を取り、遠目から確認した。

 

【リミッターヲ解除シマス】

 

「は?」

 

コウがなんだ、急に?と油断をした瞬間、ブルーはいままでに見せたことのない加速で一気にコウに接近し、その懐に回し蹴りを入れた。

 

「がァァァ、くっ、そ、油断した⁉︎」

 

ケンプファーのエネルギーが一気に減り、残り残量が心持たない物になってしまった。

 

コウは猛省した。

いくら平和な時代を五年も生きていたとはいえ、戦場で相手を軽く見た上に油断までするとは……軍人として、恥ずべきことだと。

 

「だが」

 

再びブルーは先程よりも速い加速でコウに迫り、蹴りを繰り出す。

 

「見えない攻撃ではない」

 

蹴りを避け、その次に続く攻撃も先読みをし、また避ける。

ブルーの猛攻は続く、次々に繰り出す殴りや蹴りを先読みをし、当たり前のように避ける。

 

「見えても反撃できなきゃ、意味ないな」

 

そう、いくら攻撃が見えて避けれても、反撃が出来なければ、ただのジリ貧、本当に泥試合になってしまう。それは面倒だし、そうなれば残りエネルギーが少ないケンプファーと体力的にはまだまだ余裕はあるが先程の腹部への一撃が思ったより効いたので長い時間、戦闘はできないコウ……決め手となる反撃がなければ、負けは確定である。

相手の稼働時間はいくらかは知らないが。

 

決め手が無い。

 

反撃もできない。

 

詰んでいる……わけでもない。コウの残りの全部の希望などはケンプファーのファースト・シフトにかけるしかなかった。

ファースト・シフト完了までは頑張って避けるしかない。

 

「嫌になる」

 

コウは第一次ネオ・ジオン戦争で量産型キュベレイの大群に囲まれた時のことを思い出した。

アレは、コウにとって、第一次ネオ・ジオン戦争で一番辛かった思い出ある。今となってはいい……思い出でもない。

 

「残り、一分」

 

残り一分となったとこで、ブルーは格闘攻撃を辞め、落ちていた剣を拾い、ケンプファーに斬りかかる。

コウも落ちていたトンファーを両手で持ち、ブルーの斬撃をトンファーをクロスさせ防ぐ。

それと同時に腹部に蹴り、トンファーキックを入れるとケンプファーとブルーの距離が離れる。間を開けずにコウはブルーに接近し、左手のトンファーで剣を持つ右手を狙おうとするが、ブルーはそれよりも先にシールドでケンプファーの頭部を殴る。コウは右手への攻撃をやめ、左手のトンファーでシールドを防ぐが先程と比べようのないパワーの前にトンファーが軋む、ブルーは再び剣を振るう。

今度は防ぎにくい場所からの攻撃だったので、脚部のブースターをフルに動かし、後ろへのジャンプで剣をギリギリ避けるが左手で止めていたシールドが左手のトンファーを粉砕する。

 

(なんだ、こいつ……急に)

 

ブルーは先程とは比べようのないパワーとスピードを急に出した。

実力を隠していた?とコウは考えたが、ブルーを見ると機体のあちこちから火花が舞っていた。かなり無理をして動いているようにしか見えなかった。

 

(あー、そういうわけね)

 

ブルーは自身のリミッターを解除し、無理矢理性能を極限まで上げているようだ。だが、そのせいで機体の各部がギギギと悲鳴をあげていた。

それはまるで……。

 

「本当に悲鳴だな」

 

ブルーの紅い目が泣き腫らした目に見えもする。

コウの小さな呟きに反応するかのようにブルーは剣とシールドを捨て、残りの全てを使い、コウの頭を握り潰すために迫る。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそして、ついに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファースト・シフト完了を確認」

 

コウは感覚で勘でケンプファーのブーストを出力を上げる……瞬間加速(イグニッション・ブースト)を発動させ、手にビームサーベルを展開させる。

 

 

 

 

ーーー迫る二機……そして、二機は交差する。

その交差する刹那にコウをビームサーベルを横に振るい、胴体を両断する。ブルーの握り潰そうと伸ばした手は虚しく宙を舞い、次の瞬間には自分の胴体も宙を舞う。

 

両断された胴体と残った下半身は勢いを乗せたまま、地面を転がり、そのまま博覧会の会場の壁に激突し、爆散する。

コウのケンプファーはイグニッション・ブーストを停止、まだ残る勢いを足を使い止める。コウは振り向き、爆散したブルーの残骸を見ながら言った。

 

「哀れだな、死神」

 

コウとブルーの生死をかけた戦いはコウの勝利で幕を閉じた。




気付いたら、何か凄いことになっていた。
皆様、本当にありがとうございます。
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