神楽坂の答え。
上下運動
教師のコメント。
神楽坂君は安定してますね、正解です。
箒の答え。
ピストン運動
教師のコメント。
正解なのに、罰をしたくなるのはなぜでしょうか?
簪の答え。
ピストン運動
教師のコメント。
貴女にも罰をしたくなりました。
一夏の答え。
騎乗位。
教師のコメント。
それは篠ノ之さんからの入れ知恵ですよね。
コウの挨拶は淡々と特に何事もなく挨拶は終わり、生徒達には今年一年と学園生活で三年間使う教科書が配られた。
IS学園一年一組、生徒人数は三十八人、そのうち二名はISの調整などで来ておらず、現在は三十六人である。
担任は世界最強と謳われた“ブリュンヒルデ“の称号を持つ世界初ISの国際大会に優勝し、世界初二回連続で優勝を手にした織斑千冬。
副担任はその織斑千冬の後輩であり、かつては日本代表にもっとも近かったと言われる元日本代表候補の山田麻耶。
また、現在一年一組には今年のイギリス代表候補であり“女子主席“で入学、女子生徒で現在唯一入学試験の際にある教師との模擬戦で勝利を勝ち取ったセシリア・オルコットがいる。
本来なら一年一組の目玉はこの三人であるが、今回は違う。
「ねぇねぇ、彼が世界初の?」
「そうそう!」
「結構カッコいいね!」
「うん」
「私は織斑くんの方がいいなー」
「えー、そう?」
などと一組の女子生徒達は何人かで集まり、遠巻きから自分の席に座っているコウと一夏を見ていた。他にも、他のクラスの生徒や上級生達も廊下の窓から見ていたり、何人かは教室内に入り、一組にいる友人達と共に見ていた。
明らかに先程よりも人数が増えていた。
「うぅ……」
そうなると一夏の残り耐久値が風前の灯のようになるのは当たり前である。小学生時代から女子との交流も多く、中学生になれば基本的に休みの日は女子と買い物に行くことが多かった一夏だったが、その時の彼女達が一夏に向ける視線と今浴びている視線は違う物だと一夏でさえ、わかったが一夏はあの時の彼女達が一夏に送っていた視線の意図など理解していない。
一夏がわかるのは、今浴びている視線は好奇心の目だ。
一夏がどういう人間なのかを探る好奇心の目、一つの動作をするたび女子生徒達の視線が集まるのを一夏は感じとっていた。
居心地が悪い、それ以外に今は言葉が出なかった。
その時、ふとあることを考えついた。もう一人、世界初の男性ISパイロットは今の状態をどうしているのだろうと、一夏はそれが気になり、女子生徒の視線が集まるなか、ゆっくりとゆっくりと後ろの席に顔と身体を向ける。
後ろの席に座っている神楽坂 幸はまるで周りの目など気にしてないように先程配られた教科書に目を通していた。
一夏は驚いた。
先程の挨拶も淡々としていたが、この状況でも淡々と教科書に目を通している神楽坂幸の肝っ玉の太さに脱帽した。
一夏が驚いた表情でコウを見ているとコウはその鋭い目つき、言い換えれば人相の悪い目つきを教科書から自分を見ている一夏に変えた。
「!?」
「……なんだ」
「え、あの、その」
「用があるのか?」
「いや、特に」
そうか……とコウは一夏などまったく興味がないと言うように再び教科書に目を向ける。そんな対応をされて困るのは一夏である、ただでさえ、孤立無援の状態なのにここで唯一の同性であるコウとの会話が切れたら、かなり精神的にくるものがある。
一夏はコウを見ながら、何か話しがないかを模索した。
「え、と、いい天気だな」
「そうだな」
「あー、何を見てるんだ?」
「教科書だ」
「だよな……面白い?」
「人それぞれだ、あとうるさい」
「あっ、ハイ」
会話がなくなった。
いや、正確には会話を打ち切られた。コウは先程から一夏に目を向けることなく、一夏の問いに返答をしている時点で会話を打ち切るつもりがあったが見え見えだったので、この結果は当たり前である。
一夏がどうしようか?と頭を悩ませ、あることを思いつく。
「そ、そういえば、自己紹介がまだだったな、俺は織斑一夏、気軽に一夏って呼んでくれ」
「ふぅ……神楽坂幸、好きに呼べ、あと、うるさい黙れ織斑」
「お、おう」
一夏はフレンドリーに接したが効果はなく、むしろ先程うるさいとだけ言われたが、今度はうるさい黙れと言われた。しかも、一夏と気軽に呼んでくれと言ったのに、コウは織斑と返した。
(もう、ダメだ、おしまいだぁ)
最後の頼みであった唯一の同性である男性の神楽坂幸との接触は失敗に終わった。
一夏が意気消沈し、前をむこうとしたとき、一夏が見たことがある少女が一夏とコウの席に向かって歩いてきた。
「気にするな、一夏」
「……箒!?箒なのか!」
「コウは基本的にそういう男だ、あとお久」
歩いてきたのは篠ノ之箒だった。
箒は二人の席の近くまで来て、ニヤニヤと笑いながら、二人を見る。
周りの女子達はあの二人に気軽に話しかける箒に注目した。
「久しぶり、箒!……って、箒と幸は知り合いなのか?」
「あぁ、同じ中学出身だ」
「へぇー、あ、えと、幸?」
「……なんだ?」
一夏は今度は名をつけて呼ぶとコウは面倒臭さそうに教科書を閉じ、顔を一夏の方を向ける。
ようやく、顔を向けてくれたことに一夏の内心の嬉しさが笑顔になって出た。
「えっとさ、俺と箒は幼馴染みなんだ」
「あぁ、幼馴染みだぞ、コウ」
「そーかい」
コウはだから、どうしたと投げやりに言いながら、机の横にかけていたカバンの中からペットボトルを取り出し、口につけて飲む。一夏は昔を懐かしむようにうんうんと頷いていおり、箒はコウに手を差し出していた。
「なんだ?」
「くれ」
「買ってこい」
「じゃ、舐めさせてくれ」
「帰れ」
「じゃ、口移し」
「土に帰れ」
コウと箒の二人にとっては当たり前のやり取りだが、周りのざわつきが増したが、一夏は思い出を振り返るのに忙しく二人の会話を聞いていなかった。
一夏の脳裏にはよく昔に二人どやったおままごとを思い出した。
【いちかー、ままごとやろー】
【いいよー】
【じゃあ、いちかはつまをねとられたおっとのやくなー】
【よくわかんないけど、ぜったいにやだ】
思い出した。
【じゃあ、ぎゃくにわたしがめすねこにおっとをねとられたやくをやるから、そこらへんのおねえさんにおそわれてこい】
【いみわかんないけど、こわいからやだ】
思い出して、一夏の顔がみるみる青くなっていく、その間も二人は中学生時代と変わらないやり取りをしていた。その何とも言えない空間を三人は作り出し、余計に誰も声をかけるのをやめた。
そして、そのまま予鈴の鐘がなり、箒や生徒達は自分の席や自分のクラスに戻っていく。
全員が席に戻る前に、副担任の山田先生と担任の織斑先生の二人が教室内に入る。山田先生は教卓の前に立ち、織斑先生は教卓の横にある教師用の机の椅子に腰をかけた。
どうやら、この時間は山田先生に任せるようだった。
「では、授業をはじめますね、起立」
こうして、授業が始まり、何事もなく授業は進む。
しかし、まともに授業はできるんだな。
コウは授業を順調に進める山田麻耶に安心した。半年前まで彼女の授業を受けたり、彼女の極度のあがり症などを治すために努力を惜しまなかった価値はあった。
以前は授業の途中や最初で躓くことが多かったが、今はその面影はない……やはり、拷問に近い苦手克服法は正しいのだなとコウには昔、高所恐怖症の部下がいた。だから、その高所恐怖症を治すために何度も何度も何度も谷から突き落としたのだ。部下が泣こうが喚こうがコウには関係ない、たまに降下作戦がある部隊に配属されたのだ。
高所に慣れてもらう以外、道はない。慣れなかったら、縛っても降下作戦に参加させるつもりだった。
もちろん、山田麻耶があがり症などを少しでも克服しなかったら、冗談抜きで椅子に縛り付けてでも授業をさせる気があった。
ちなみにだが、山田麻耶もその高所恐怖症の部下も克服したというよりも自分が苦手、恐怖するよりも世の中には怖いものがあると悟ったからだ。
そう、克服しなければ自分の苦手や恐怖を克服を手伝うといいながら、自分達を追い込んで楽しんでいる
この二人はようはある箇所が痛いなら、他の箇所をその箇所より痛くして、その痛みを忘れさせられている状態である。
「えっと、ここまでわからないことはありますか?」
麻耶が今までの授業で生徒達にわからないことはある?と聞いたが、今行っている授業は基礎中の基礎だ、生徒達は伊達にIS学園に入学できたわけではないのだ。基礎に関してはわからないことはないに等しいので、わからないと言う生徒はいないはずである……だが。
「山田先生」
一夏は何処か罰が悪そうにゆっくりと手を上げる。
「はい、織斑君、どうしました?」
「わかりません」
「何処がですか?」
さすがに今から数週間前に急遽IS学園に入学が決まった一夏にはISの基礎知識を全て覚えるのは難しい話だ。しかも、世界で二番目の男性ISパイロット、身体調査などをされれば、数週間全てが勉強に時間が使えたのかも怪しいのだ。
わからないところがあっても不思議ではない。
「全部です」
「へ?」
そう、わからないところがあっても不思議ではない……しかしだ、世には限度というものがある。
「全部です」
「え?」
一応、一夏がわからないところがあるだろうと予想していた山田麻耶であったが、まさか全部がわからないと言われるのは予想外で若干涙目になりながら、何故かコウを見る。
見られたコウは顎で織斑千冬を指すと麻耶は次に千冬を見る、千冬は深いため息を出しながら、椅子から立ち上がり、一夏の席のすぐ隣に立つ。
「織斑、入学前に入学前必読と書いた本を渡したはずだが?」
「あー、あー、それが」
「なんだ?」
「電話帳と間違って捨てました」
次の瞬間、千冬は自分の実の弟である一夏に対して躊躇いも戸惑いもなく、真っ直ぐに出席簿で殴った。
一夏はその反動で勢い良く顔を机に叩きつけられた。
「貴様、馬鹿か!?」
「ご、ごめんなさい」
「まったく……神楽坂」
「ほれ」
コウは机の上に積んである教科書の中から、一際目立つ電話帳のような大きさと厚さを持った一冊の教科書を一夏に渡した。
それを見た一夏はあからさまに嫌な顔をした同時にコウを心配そうに見た。
「えっと、幸はいらないのか?」
「いらんから、渡したんだ」
「気にするな、織斑。神楽坂は二日で全部覚え、二日で全て書き写した」
千冬がそう言うとコウは教科書と一緒に積んである数冊のノートを一夏に見せる、そこには【教科書代理】と書かれていた。
「というわけで、織斑。お前には二週間やろう」
「へ?」
「二週間以内に、その教科書を暗記し、さらにノートに書き写せ」
「はぁ!?」
「異論は受け付けん」
千冬はそういうとさっさと先程まで座っていた場所に戻る。一夏は教科書と自分の姉を交互に見てから、コウに視線を向けるがコウはさっさと前を向けと言うように前を指差した。
一夏は半ば諦めながら、大人しく前を向く。
「お、織斑くん、わからないことあったら……」
麻耶は私に聞いてね!と教師らしいことを言おうとしたが、麻耶の煩悩がフル回転し、何故か一気に教師と生徒のイケナイ関係=妊娠=教師クビ=織斑千冬に殺されるの方程式が出来上がった。
「神楽坂くんに聞いてね!」
「おい、教師」
明らかに麻耶は一夏と一緒にいるのが何らかの理由で嫌でコウに擦り付けたのは、誰にだって手に取るようにわかった。
「ごめん、幸」
先程の授業が終わり、授業と授業の間の休み時間。
一夏は本当に申し訳なさそうに頭を下げていた、さすがに擦り付けられたとはいえ、ここまで申し訳なさそうにされるのはコウはあまり好きではない。
コウはため息を吐きながら、積まれている教科書の中から先程の教科書代理と書かれたノートを取り出す。
「はぁ、さっさとやるぞ」
「!?、あ、ありがとうな!!」
一夏は驚いた。
あって間もないが、コウの性格というか、今までの行動を見るに絶対見放されると思っていたが、それは良い意味で覆された。
一夏は急いで先程借りた教科書を取り出し、コウと向かい合うように座った。
「まずはISの基礎知識からだ」
「あぁ、わかった」
「IS、正式名称【インフィニット・ストラトス】。最初は宇宙開発のために作られたが……」
コウは教科書代理ノートと教科書を照らし合わせ、一つ一つ指を指しながら、一夏にISの基礎知識を教えた。そんな二人を見て、箒はニヤニヤと笑いながら、かりんとうを食べていた。
少しすると、二人に近づく者が現れた。箒ではない、箒は少し前に中学生時代の剣道部の先輩に呼び出されていた。
コウは近づく者に気付いていたが、面倒なので無視をした。
そして、その者は二人に話しかけた。
「ちょっと、よろしくて?」
コウは嫌な顔をしながら、一夏は急に話しかけられたことに驚きながら、声をかけてきた人を見た。
「少しお話がありますの」
美しい青い目を持ち、太陽のように輝く綺麗な金髪を独特の髪型で纏めている美少女がそこには立っていた。
最近、PSO2に復帰しました。
いやー、レベルあげやすわー。
次回、いよいよチョロいんの久々の出番です。