携帯の不調やA/Zの衝撃的な最終回、ガンダムブレイカー新作、ビルドファイターズ新作などなど忙しかったです。
あ、レコンキスタはそこまで期待してないです。
つか、アレ、かっこ悪い。
セシリア・オルコットはエリートだった。
イギリス生まれのイギリス育ちで、今は亡き両親は貴族の家系でその気高く優雅な血を引き継いでいた。
セシリアはそのことを誇りに思っており、オルコット家の長女として、勉学などは一切妥協せずに励み続けた、そのおかげで成績はいつも一位であり、数々の功績を重ねてきた。彼女は常に一番であることを拘り続けていた。
そして、それはある日を境にさらに激しくなり、ついに彼女はエリートの証である【代表候補】に選ばれたのだ。
ーーー選ばれたのだ、エリートの証である【代表候補】に。
ーーーこれで死んだ両親に胸をはれる。
「一つ、お聞きしたいことが」
「あ、なんだ?」
セシリアの攻撃をさも当然のように軽やかに避け続けるコウを油断させるつもりの質問。
「貴方に親はいますの?」
「親兼爺ちゃんがいる」
しかし、コウが油断なんて甘いことするはずもなく、一気にセシリアに接近し、腹部を蹴り上げたと同時に至近距離でショットガンを撃ち込んでくる。
「うぐ、そ、うですの!」
致命傷は避けたが大きなダメージを食らったのは間違いなかった。
「わたくしの両親は他界してますわ!」
少し怯んだがすかさず反撃する。
そう、彼女の両親は既に他界していた、交通事故だ。
彼女は両親を失ったその日から異常なまでに一番や一位にこだわった。
それは両親を失った悲しみを埋めるモノか、それとも両親を失ったことによりタガが外れたのかは定かではない。
だがしかし、ただ言えることは彼女は両親を失った日から泣いたことはない。
それでも彼女は順調にエリート街道を進んでいた。
そして、IS学園入学前のことであった、イギリス政府が今度日本で開催される【IS博覧会】に次世代機である第三世代IS【ブルー・ティアーズ】を機体とパイロットのお披露目をすると急に言い出したのだ。
元々、IS博覧会にはイギリス政府も出るつもりだったがブルー・ティアーズのお披露目はデータ上だけの筈だったのだが、他国が第三世代ISを機体とパイロットごとお披露目するとの情報を得たイギリス政府は負けるわけにはいかないと急にお披露目を決定したのだ。
急遽、日本でのお披露目……セシリアにとっては造作でもないことで、あまり興味がなかった。
あんな極東に位置する国の人間に自分の機体【ブルー・ティアーズ】の良さが分かる筈がないとセシリアは思っていたからだ。
決定したことを断る意味もメリットもないのでセシリアはイギリス政府の決定に意義を唱えずに一度イギリス政府のIS開発をしている【ジオニック社】の社長と他のパイロットを迎えにドイツに向かい、合流し、日本に向かった。
……それがセシリア・オルコットのエリート街道に穴を開けることになるとは、セシリアもイギリス政府も一緒に来た他のパイロット達も思ってもみなかった。
何事もなく終わると思っていた楽しいIS博覧会は……。
ーーー突如現れた蒼い機体、
突如現れた蒼い機体BDはセシリアや同じように来ていた他の国に代表候補の攻撃を物ともせずに圧倒的なまでにセシリア達を下した。
手も足も出ない、生まれて初めてだった、どう考えても勝つ方法が思いつかない相手はーーーいや、違う、生まれて初めての【自分の死】を感じ、恐怖し、動けなくなった。
そして、BDはセシリア達が動かないとわかると逃げようとしていた一般人を一方的に殺害した。
鳴り響く銃声。
泣き響く断末魔。
頭に響く人の死。
それらがセシリアの頭の中を駆け回り、引っ掻き回した。
ニュータイプゆえの弊害だった、多くの人の死と直面したことのないセシリアには頭の中を駆け回り、引っ掻き回す人々の声がとても不愉快に恐ろしかった。言葉にならないほどの恐怖が五感を脳を支配した。
そして、迫り来るBDを見て、セシリアはこのまま殺されたいと願った。
しかし、それは現れた別の蒼い機体により、その願いは叶うことはなかった。
現れた別の蒼い機体ケンプファーは自分達を圧倒したBDを圧倒し、いとも簡単に撃破してみせた。
自分達を圧倒したBDを圧倒し撃破したケンプファー、セシリアはそのパイロットは誰なのか?どういった人物で、どういった戦術を取るのかがBD戦後の治療を受けている差中に考えていたことだった。
怪我を完治するとセシリアは真っ先にケンプファーのパイロット情報を集めようとしたが一切集まらず、IS博覧会の際に仲良くなった他国の代表候補達にも何か情報はないかと聞いたがむしろ貴女が知らないか?と尋ねられる始末で、情報が公開される日までセシリアはケンプファーのパイロットが何者かを知らなかった。
激しい銃撃戦。
しかし、レーザーライフルではコウが使うマシンガンの弾幕には勝てない。だから被弾覚悟で正確に狙うがコウは全ての攻撃を避け、セシリアに当ててくる。
「ーーーっ!?」
「ほれほれ」
(無茶苦茶ですわ!)
セシリアはバク転やスライディングなどアクロバットな動きで攻撃を回避しながら、そのまま攻撃をしてくるコウに翻弄されてしまう。
無茶苦茶だ、いくらISとはいえ、一年未満の経験者がこのような動きをするなど、無茶苦茶だ。
そして、情報公開された日。
セシリアは驚愕した、自分を救ったケンプファーに乗っていたのは男性で戦闘は未経験の素人だという同い年の少年だった。しかし、ケンプファーやセシリア達のIS、会場の監視カメラに残された映像にはとても素人には見えなかった。
長い間、戦場に関わった老兵や傭兵、ISに関わった開発者、整備士、パイロット達は皆して、ケンプファーのパイロットの動きは素人ではなく長い間戦場にいて、しかも過酷な戦場に身をおいてきた歴戦の猛者の動きであるという。
ーーー最初は嘘を言っているのでは?と疑ったものだ。
(ーーーっ、嘘ではありませんわね!!)
今対峙している相手は強い、圧倒的なまでに。
セシリアの様々な攻撃も戦術も見極められ、自分より一手先にいくコウ。どんなに作戦を変えようが、突拍子のない行動に出ようがコウはそれらを冷静に確実にさばいた。
徐々に徐々に不利になっていく、先程から被弾率が上がっていくばかりで、試合開始から数分、素人目には今だに拮抗しているかのように見えていた。
「決め手にかけるな」
「だな」
試合を見ていた一夏と長門が呟いた。今だに両者共に決め手にかけ、拮抗しているかのように見えていた。
「だけど、セシリアが不利」
そう言ったのは【日本代表候補】の更識簪だ。
「え、そうなのか?」
「うん、さっきから次々にセシリアの手が潰されてる、あのままじゃ、いずれは負ける」
拮抗しているかのように見えている試合はコウがそういう風に見せているだけで相手のセシリアにとっては厳しい状況であった。
自分の手の内が次々に潰され、残された戦術は残りわずか……使えるのには使えるがまた簡単に潰されしまうではないのか?という心配がセシリアの頭の中をよぎっていた…だが、それもコウの作戦だった。
長い間、戦場にいたコウは相手が自分の手の内を次々に潰されば、次の手を出すのを渋ることを長い経験の内に知っているのだ。
あのアムロ・レイでさえ、コウと戦う時は自分の手の内を出すのを渋ってしまう、それは長年戦ってきたからコウが相手の戦術を潰すのが予測するのが上手いのかを知っているからだ。
ーーーコウの得意とする戦術は相手を分析し、相手の戦術を叩き潰すというえげつない戦術である。
「ライフルで右に一発と同時にビットで後方約180°からの牽制射撃からの」
「!?」
コウの言葉道理にレーザーライフルのレーザーが右に飛んできて、同時に後方180°からビットのレーザーが飛んでくるも軽々と予測通りに全て避ける。
「再びレーザーライフルでの狙撃、頭上から」
「〜っ!!」
既にコウの頭上にまわっていたセシリアは驚きを隠せずにいたが、慌てずに狙撃、しかしやはり避けられる。そして、コウが避けた同時にマシンガン【MPP-80】に搭載されているグレネードランチャーのトリガーを弾く。
MPP-80のグレネードランチャーから飛び出したグレネードをセシリアは冷静に狙撃で破壊するも、グレネードを破壊して出来た爆炎の中から複数の弾丸、二丁のMPP-80の弾幕がセシリアを襲った。
シールドがガリガリと削られ、回避行動を取るがコウはそれを予測して、セシリアの回避ポイントに再びグレネードを撃ち込む。
「終わりだ」
「きゃぁ!?」
もし、直撃すればセシリアの残りシールドエネルギーを考えれば、終わりだ。そして、コウの予測通りの回避ポイントに来てしまったセシリアにグレネードが直撃し、爆炎が上がる。この勝負はコウの勝利となったかのように見えたが。
「ほう」
「まだ、まだですわ!」
爆炎の中から残りシールドエネルギー僅かでボロボロになったブルー・ティアーズが現れた。
セシリアはギリギリのところでレーザーライフル【スターライトMK-2】を盾にして、直撃を防いだ。もちろんだが、それによりスターライトは爆発し、その爆発によるダメージを負ったがグレネードの直撃に比べれば、たいしたことはない。
しかし、残りシールドエネルギーは僅かだ。それに対して、コウのケンプファーの残りシールドエネルギーはまだまだ余裕がある、当たり前だった、セシリアはろくにコウに攻撃を当てれてないのだから。
逆にコウの攻撃が当たり過ぎて、今のように残りシールドが残り僅かになってしまった。
(……実力差があり過ぎますわ)
セシリアにはわかっていた。
コウが自分との勝負に本気を出していないことを、もし出されたらほんの2、3分で負ける嫌な自信がある。
ーーー勝てるわけがない、次元が違いすぎる。
でも、それでも、自分は、セシリア・オルコットは……。
「負けませんわ!」
もう負けたくないのだ。
もう二度とあんな思いはしたくない。
その思いでこの半年間努力に努力を重ねてきたのだから。
そして、まだまだ終わらない。