知らんがな。
というわけでなんやかんやあり、遅れました。
え、E3?プリケツ?知らない娘ですね?
海外艦娘なんていなかたんや!
あ、秋月は手に入れましたよ。
さて、どうするかな?
対峙するセシリア・オルコットを見ながら、コウは思っていた。
別に勝てない相手ではないし、勝つ方法などまだたくさんあるのだが、どれも実行に移す気がなかなかおきない。というのも、目の前にいる少女が肩で荒く息を吸うほどに追い込まれまでいるのに、自分は汗一つすら出ていない。
ケンプファーの空調設備の高さもあるが汗をかく場面など一切なかったのが原因だろう。理由は様々だが、一番の理由は命の危機がないことだ。
MSに乗っていた時代は常に命の危機があった、ただ歩いている歩兵でさえMSのとっては驚異だ。歩兵用対MSロケットランチャーは殆どのMSの装甲を貫くことはなかったが、コクピットやランドセルといったブースターなどの比較的に装甲が薄くなってしまうところには歩兵用の対MSロケットランチャーは有効であるため、足元に歩兵がいるのに気付かずに歩兵に撃破されるMSはそう珍しくはなかった。
時代が進むにつれ、対MSロケットランチャーは進化し、古い機種なら一撃で破壊できる固定用の対MSロケットランチャーが誕生したり、歩兵用の対MS対物ライフルが作成され、実際に利用されたり、歩兵以外にも戦車や戦闘機などMSを破壊できる兵器は当たり前のように戦場にあるので常に命の危機に瀕していた。
だが、ISにはそれがない。
ISは無敵で完全と言われ、ISは最強の盾で最強の矛とまるで矛盾みたいだった、ISはISでしか撃破できないとまで言われているが半年前の事件でそれらが覆された……それは正直どうでもいいし、どちらかというとコウは嬉しかった。
所詮、ISも人が作った物だということが証明されたのだ。そう、どんな物だろうがどんな人間だろうが“殺せるのだ“。
コウがジオン軍時代にガンダムは破壊できないとまことしやかに噂されていたが、いざアムロ・レイやカミーユ・ビタンなどの所謂主人公ではない人間が乗ったガンダムタイプなぞ、コウには暇つぶしにもならなかった。それなら、ジムⅢでサザビーに挑んできた名無しのエースパイロットの方がまだ歯ごたえがあったし、しかもあと少しというとこで逃げられてしまったことがあった。
ーーーアレはかなり悔しかった。
まぁ、兎にも角にも殺せない存在などありはしないし、あってはならないのだ。
ーーー人にしかり、MSしかり、ISしかり。
さて、そんな心底どうでもいい話はドブにでも破棄し、今という時間をセシリア・オルコットとの試合を楽しもうじゃないか?
神楽坂幸はこの日初めて、戦う意思を戦う決意を固め、それを軽く放った。
ーーー刹那、IS学園に生息している野生の鳥達は一斉にIS学園から飛び立った……まるで何かを恐れ、逃げるかのように……否、逃げたのだろう。
(な、なん……です、の!?)
セシリア・オルコットの目の前にいる怪物からーーー。
ーーーゾワリ。
今日行われている一年一組のクラス代表を決める試合を生徒会室のモニターでお菓子とお茶を片手に呑気に観戦していた更識楯無の背筋に悪寒が走った。
本当は直接見に行きたかったのだが、生徒会の仕事が残っていたので止む無く生徒会室で見ることになってしまった……だが、それが良かったのかもしれない、何故ならモニター越しでさえ、生徒会室から数キロも離れた第一アリーナからでさえ伝わってくる強烈な“プレッシャー“を楯無は肌で感じ取った。
(やっぱり、彼は普通じゃない)
更識家はだいだいから受け継いだある“力“がある、それは相手の“重み“がわかる能力だ。相手の重みを知る方法はその力を受け継いだ者により、様々だが今の更識楯無は握手を交わした相手のみ、手でその重みがわかった。
たった十七年の人生だが、様々な人間と握手を交わし、その重みを手でずっと感じてきた。
重みが軽い者もいれば重い者もいた。
楯無が言う重みとは、その人間の人生の経験のことをいう。過酷な人生を送った者ほど、重い手はない。
重ければ重いほど、その人間が凄まじい過酷な人生を歩んできたことがわかった、そしてそういう人間は強い、圧倒的なまでに強者だ。
ーーー故に神楽坂幸も強者だ、圧倒的なまでの。
(一度、ちゃーんと話し合う必要があるわね)
それも彼が話し合う気があればの話だが。
(……ここにいて、これほどのプレッシャー、彼女はどういう気持ちかしら?)
楯無がいる生徒会室の外では生徒達が何やら騒がしい、きっと彼のプレッシャーに戸惑っているのだろう。
しかし、一番大変なのは彼がいるアリーナにいる生徒と先生達でその中で一番大変なのはコウと対峙しているセシリア・オルコットであろう。
楯無はセシリアに深く同情した。
“プレッシャー“。
それは人が様々な場面で受ける“重み“である、身近にあるのは何か重大な責任を持ったりするときに感じるときだ。例えば、野球でいえば打てば逆転勝ち、打たれれば逆転負けやサッカーでいえばあと一点で勝てるときのPKなどに感じるであろう。
人は何年経とうが何回経験しようがプレッシャーの重みになれることはない。
そして、エースはそのプレッシャーを操れる者が存在する。
神楽坂幸もその一人だ、プレッシャーを操り、自分の重みを相手に感じさせ、判断を鈍らせる。
それがプレッシャーの使い方だ、この方法は相手がオールドタイプだろうがニュータイプだろうが通用する方法だ。特にニュータイプにはかなり有効でまだ日が浅いニュータイプなどには過呼吸をさせるほどだ。
しかし、ニュータイプ以外にも過敏なオールドタイプにも似た症状を起こさせる稀なケースが存在する。
「ハッー、ハッー!?」
織斑一夏はその稀なケースの一人だった。
一夏は混乱していた、先程まで何事もなく試合を見ていたのだが突然、身体が重くなり、呼吸が荒くなった。それはコウがプレッシャーを放ったあと、数秒後に起こった。
一夏はセシリアが対峙する存在が、自分が知っている神楽坂幸だとは思えなかった、まったく別の存在に感じてしまった。
観客に座っているだけでもコウが発する凄まじい“何か“に気圧されるのに対峙しているセシリアはどう感じているのだろうかと一夏は気になっていた。
ーーー箒はその横で能天気に座り、先程買ったポテトチップスを食べていた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
セシリアは困惑していた、対峙する神楽坂幸が突如発したプレッシャーのあまりにも重さに戸惑いが隠せなかった。
セシリアの呼吸が荒くなり、視界が霞む……それほどにコウが発するプレッシャーはセシリアには重かった、重すぎた。
手の震えが止まらない、足が勝手に後ろに下がろうとする。
ーーー勝てない、勝てるはずがない。
頭の中でそう警告が何度も何度も発せられる、その警告を振りほどこうとするもそれがまるで獲物に巻きつく蛇のようにセシリアの頭から絡みつき離れようとしない。
まさに圧倒的だった、コウが何倍にも巨大に見えた……それはまるで神話に出てくるオーガに見えた。
かつて、何故コウが【蒼き鬼神】と呼ばれたのかは様々な理由がある、コウが乗る機体のカラーリングが基本的にダークブルーが多く、また隊長機とあって角付きでその見た目がオーガ、鬼神のように見えたからだという説が有力だ。しかし、コウと戦い、運良く生き残ったパイロットが後に語る。
あの鬼神だけが巨大に見えた。
MSは人から見れば巨大である、だから巨大に見えるのは当たり前だった。しかし、語った生き残ったパイロットはMSのパイロットでその時もMSに乗っていた、その彼が語る。
自分のMSよりも数十倍も巨大に見え、恐怖した……と。
セシリアはそのパイロットの彼と同じような状態だった。
コウがケンプファーが数10mもある巨大な鬼神に見えていた、もちろんそんなはずはなく、それはコウのプレッシャーに当てられた結果である。
(さて、終わりかな?)
コウは呼吸が荒くなり、手が震え、足が下がりつつあるセシリアを見ながら思った。
やはり、この程度であろう……いや、よく頑張ったほうだとコウはセシリアを感心していると。
「ま、負けませんわ……」
「お?」
「負けませんわ!」
ーーー負けるわけにいかないのだ。
ーーーもうあんな思いをするのは嫌だ!
セシリアはその目に強い青い炎を宿し、足を前に一歩進んだ。
ーーー勝つ、勝ちたい!
「ブルー・ティアーズ!!」
この瞬間、セシリアは一歩前に進んだ。
セシリアの叫びに応え、4機のブルー・ティアーズが先程までとは比べ物にならないぐらいの速度と機敏さを持ち、コウに迫りながら撃つ。
「ほうーーー進化したか、面白い!」
コウは不敵な笑みを零し、迫りくるブルー・ティアーズを迎え撃つ。
放たれる複数のレーザー、コウはそれをかわしながら、セシリアに再び確実に接近するが先程のように容易には近づけない。しかし、コウはそれでも接近する。
「まだ、まだわたくしは!」
セシリアはタイミングを測る。
その間に、ブルー・ティアーズが1機、また1機とコウが頭部バルカンが撃ち落とされる。
残り2機はコウに突撃し、コウの進路を遮ろうとするがコウはヒートサーベルで叩き斬る。
「もう、ビッドはないぞ!」
「確かにビッドのブルー・ティアーズはありませんわ……」
セシリアはブルー・ティアーズのスカートが動き、その下から二つの何かが見えた。
「ですが、このブルー・ティアーズはまだありましてよ!!」
スカートから放たれたのは二つのミサイルだった。
コウはそれを迎撃しようとしたが、ミサイルの先端部分が取れ、銀色の針のような物が複数見えた。
(フレシェットか!?)
フレシェット、本来はショットガンや戦車といった榴弾に使われる弾の一種で散弾などの鉄球ではなく、鉄製の針を複数放つ弾である。
しかし過去に戦闘ヘリのロケット弾の弾頭に使用されたケースも存在する。
ミサイルタイプのブルー・ティアーズはフレシェットミサイルであった。
(くそ、回避が……)
「間に合いませんわ!」
セシリアはこの瞬間のためにずっと待っていたのだ。
4機のブルー・ティアーズを犠牲にしたのだ。
放たれる針、複数の針。
普通なら間に合わない……そう、普通なら。
ゴゴゴゴッ!!と轟音を立て、煙を幕したて、セシリアの視界を遮る。
煙で見えないがセシリアは勝利を確信した。
「勝っ」
避けれるはずがないのだ。
あの距離でのフレシェット弾のミサイルが二つ、避けれるはずがない。
百を超える鉄製の針が散弾のように放たれるのだから、そう簡単に避けれるはずがない。
ーーーしかし、人生は
ピ、ピ、ピ、ピとセシリアのブルー・ティアーズがロックオン警報を発する。
「た……え?」
ーーー甘くはない。
「よ」
「え」
声がしたほうをセシリアは振り向いた、そこにはショットガンを構えたケンプファーがセシリアに銃口を突きつけていた。
なんで?
セシリアがそう言う前にコウは引き金を引き、至近距離から散弾がセシリアのブルー・ティアーズに叩き込まれた。
『試合終了、勝者ケンプファー、神楽坂幸!』
ガンダムブレイカー2のPVの自虐ネタが好き。