皆様、ありがとうございます!
セシリア・オルコットとの決闘からはや一週間もたってしまった。
時間の流れとは早いものだ、オデッサの攻防で肌で感じた時間は短くても、ゆうに半日近くも戦っていたときなんて、ザラだった。
ーーー人が感じるほど、時間の流れは早くも遅い。
楽しいときはすぐに去り、苦しいときは中々去らないとは、神様というのはやはりクソ野郎だ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。
自分は昔から神様は嫌いだ、主に前世の前世のせいで。
この一週間で変わったことは多々ある、まず第一に視線だ。以前は好奇心や好意的な視線が多かったが今は畏怖の感情を持った視線が多々だ。
主に同じ一組の生徒からだ。
仕方あるまい、自分が放つプレッシャーに箒や長門は紆余曲折あって慣れてはいるが、長門はやはりそれでも恐怖を感じるらしい。
あとはオルコットだ、何か話しかけようとしてくるのはいいのだが、「あぁう」「はぁぅぅ」などと意味不明なことを言って、全力疾走でその場を去って行く・・・・あいつは何がしたいんだ?
とにかく、以前に比べ、話しかけてくる人間の割合はかなり減った。
今だに話かけてくるのは箒か長門や更識姉妹と布仏姉妹と織斑姉弟ぐらいだ。
箒や長門、更識楯無や布仏虚、織斑千冬は慣れなどがあるから、一応は大丈夫だと思っていたから不思議ではない。予想外のがその妹や弟だ、さすがに更識楯無の妹の更識簪や布仏虚の妹の本音の二人は話しかけてくるが何処かぎこちないし、警戒されているのがわかる、仕方あるまい。
だが、本当に予想外だったのが織斑一夏だ。
こいつも他の女子同様に避けられるだろうと思っていたが、むしろ積極的に話しかけてくる回数が増え、言うことを聞くようになったし、勉強も今まで以上に真面目だ。さらにいつも朝にやっている朝練に自らの意思で参加してきたのには驚いた。
織斑の変化に驚きながら、あいつが向けてくる視線に懐かしさを覚えた。
ーーーそう、まるでマシュマーみたいだ。
マシュマー・セロ。
ネオ・ジオン時代の部下の一人で自称コウ・カグラザカの一番弟子。
なんでも、ジオン時代からの俺のファンらしく、何度も命を救ったらしい・・・・正直、覚えていない。
そして、一番弟子というだけあって、MSの操作やテクニックを教えたのも事実だ・・・・公衆の面前で「私にMSの操作を伝授してください!」
と土下座されたら、教えるしかないだろう。
ーーーそう、織斑が自分に向ける視線は正しく“憧れ“のソレだった・・・・。
・・・・あぁ、嫌だ、面倒くさい!
コウが天を仰ぎ、嘆きながらもまた一日が過ぎていく。
神楽坂 幸。
俺と同じ男で、同じ学年で同じクラスのルームメイト。
オルコットとの決闘でコウが放った“ナニか“は千冬姉曰く、あの歳で放てれるようなモノではないと珍しく慌てた表情で言った。
千冬姉がいうコウが放ったモノについてはよくわからないけど、ただ一つだけわかったことがある。
ーーーそれは恐怖だ。
ナニかを放ったときのコウはコウのISは巨大に見えた10mをゆうに超える巨体、まるで神話や御伽話に出てくる鬼のように見えた。
俺はそう見えたコウのISが怖かった、それを身に纏ったコウが怖かった・・・・だけど、俺は気付いたら、自分の部屋で何度もその決闘を見直し、千冬姉や山田先生がくれたコウのIS訓練時の映像を何度も何度も見直した。
「朝練に参加したい?」
「ダメか?」
「・・・・かまわん」
「!?、ありがとう、コウ!」
そして、次の日にはコウが毎日やっている朝練に参加した。物凄くキツかった、以前やっていた箒と長門の剣道の特訓が可愛く感じるぐらいにキツかった。
「はぁ、はぁ」
「・・・・やめるか?」
でも終わったあとの充実感は良かった。
「大丈夫だ、まだやれる」
「そうかい」
俺は少しでもコウに近付きたい。
コウは俺が求める理想そのものだった。
ーーー強く厳しく優しい英雄、それが俺、織斑一夏が抱く理想だった。
「はぁ・・・・」
セシリア・オルコットは落ち込んでいた。
先程、クラスメイトで一週間以上前に決闘した神楽坂 幸に話しかけようとしたが、何を話していいのかどう話していいのかがわからず、また「あぁう」と変な声をあげたあとに全力疾走で逃げてしまったからだ。
別に深い話をするわけではない、以前助けてもらったときのお礼と決闘を受けてくれたお礼と最後どうやって自分に近付いたのかを聞こうとしただけだ、別にあの日の夜に手を繋いでくれたのかを確認したいわけではない、決してない、別に気にしてない全然気にしてないどのくらい気にしてないかというと明日ピクニックだが明日の天気予報はどうか?というぐらいにしか気にしてない全然気にしてない、気にしてないと言ったら気にしてない。確かに話しかけようとするたびにそのことがよぎりテンパってしまい、目で追うたびそのことが頭をよぎり顔が真っ赤になってしまうが気にしてない!気にしてないのだ、自分は!
だから、大丈夫!大丈夫!
と言い聞かせても気にしてしまい、ろくに話せない。
パニックなってしまい、意味不明なことを口走り、その後逃走するという体たらく・・・・というか、おかしいのだ。コウと同じクラスで同じ男性の織斑一夏に話しかけられても何ともないし、最近では自分から話しかけることも稀にある。だが、コウだけはそれが出来なかった。
コウと話すときだけ、やけに緊張し、心拍数が上がりドキドキし、体温が急上昇するなのに、心の中は満たされている。明らかにおかしい、どうにかしなければ、いけない!
「と、言いましても・・・・」
どうしたら、いいのか・・・・
はぁ〜とセシリアがため息を吐いてると、トントンと肩を叩かれた。
セシリアは反射的に振り向くとそこには友人がいた。
「や」
「鈴さん!?」
「お久ね、セシリア」
セシリアの友人で中国代表候補の凰鈴音がいた。
お昼休み、セシリアと凰鈴音は学園内にあるカフェに来ていた。
互いに注文をした商品を飲みながら、談笑していた。
「いや〜元気そうで何よりよ」
「鈴さんこそ、お元気そうで」
「元気、元気!元気があたしの取り柄だしね」
あっははは!と鈴は豪快に笑う。セシリアもそれにつられ、クスリと笑う。
「そういえば、いつこちらに?」
「今日の朝方に着いたわ」
「本当なら、あんたとこのクラス代表に宣戦布告したかったんだけど、やることがいっぱいあってねー」
そうですかと言ったセシリアだが、先程の鈴の言葉の中に聞き逃せない言葉があった。
「宣戦布告?」
「そ、宣戦布告。あたしさ、二組の代表になったんだよねー」
イッヒヒヒとイタズラっぽく鈴は笑いながら、注文したアイスカフェオレを一口飲む。
「で、今度のクラス代表戦で第一試合が一組対二組だからよ」
「ですが、二組の代表は・・・・」
セシリアの記憶が正しければ、別人のはず、しかも鈴は今日来たばかりのはず・・・・。
「だから言ったでしょ?やることがいっぱいあったって」
「そうですの・・・・」
何か納得出来ないが、納得することにした。
「で、何悩んでたのよ?」
「え?」
「一人で悩んでても仕方ないでしょ?ほら、言いなさい」
鈴の容赦ない質問にセシリアはしどろもどろしてまう。
というか、そんな質問をされるほどに悩んでいるように見えてしまったのだろうか?
しかし、ここで答えずに自分の中にしまってしまえば、以前と何もかわらない・・・・なら、一層の事鈴の言う通りに相談してしまおう。
セシリアは覚悟を決めた。
「ーーー鈴さん」
「ん?」
「実は男性・・・・というより、神楽坂さんとまともにお話しができませんの」
「そりゃ、アレじゃない?仮にもーーー」
負けた相手だしと言おうとしたとき、鈴は止まった。はて、自分が知るセシリア・オルコットはその程度で会話ができなくなるほど、ヤワな人間だろうか?と鈴は考えた。
そんな鈴の考えもつゆしらずにセシリアは続ける。
「神楽坂さんと会話しようとするたびに心拍数が上がり、ドキドキしますの」
「うん」
とりあえず、先程のことは後にして鈴はセシリアの話を聞いた。
「つい、自然と視線が神楽坂さんにいきますの」
「うん」
「見てるととても幸せな気持ちになりますの」
「う、うん?」
「お話しはできませんけど、神楽坂さんに話しかけられるととても満たされますの」
「ううう、ん!?」
「神楽坂さんと会話できたら、どれだけ満たされるのでしょうか?」
「・・・・」
それを想像したのかセシリアはとても幸せそうな表情をしていた。
ーーーこれはアレか。
ーーーやはり、アレなのか?
「鈴さん、わたくしはどうすればいいのでしょうか?」
セシリアの表情は正しくーーー。
セシリア・オルコットは神楽坂幸に惚れている。
ーーー恋する乙女の表情だ。
「あー、とりあえず頑張れば?」
鈴はそれ以上何も言えなかった。
その時、同時刻ーーー。
ある砂漠を隠れ蓑にしていたテロリスト達が一人残らず、何者かにより殺されていた。
もう、セシリアがメインヒロインでいいんじゃないかな?