IS-蒼き鬼神ー リメイク版   作:種電

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第六話

高速道路を三台のバスが並行して、走る。

バスには青城中学校三年生が乗っていた。もちろん、そのバスの一台には幸が乗っており、幸は頬杖をつき、欠伸をしていた。

幸はバスが向かう先、【IS博覧会】にまったくと言っていいほど興味がなかった。

 

昨日、担任の足柄京子から明日の授業は中止になり、代わりにIS博覧会に行くことを唐突に告げられた。

そんな話なんて、生徒の誰も聞いていないし、知りもしなかった。

幸は一応理由を聞くと、今日【IS学園】から二名の先生が視察に来られており、その際にIS学園から青城中学三年生宛にIS博覧会の紹介状を頂いたらしく、理由は今年のIS学園を受験する学校の中で男女共学の学校で一番受験生が多い中学が青城中学らしく、そのお祝いか何からしく、またそのIS博覧会で受験生がどれだけISに関心があり、知識もあるのかを調べるのも目的らしい。

 

それを聞いた幸は素直に言った。

「それ、男子生徒(俺ら)は関係ないですよね……行かなくていいですよね?」と言うと足柄京子は笑顔で「私と夜の保健体育を受けるのならいいわよ」と言われたので、幸も男子生徒も文句を言うのをやめた。

別に足柄教師がブスやデブとかいうわけではない、むしろ美人で体型も素晴らしい……が、足柄教師の性格や普段の行動が全てダメにしているのだ、所謂残念美人である。

そして、足柄教師は男女一人ずつのペアをクジで決めることになり、幸は箒と組むことになり、当たりくじを引いた只村は足柄教師と組むことになった……只村は犠牲になったのだ。

そんなことがありながらも、その日一日は平和に終わり、IS博覧会の会場まではバスでの移動になり、現在に至る。

 

「コウ」

 

「ん、今忙しいんだが?」

 

「右手がか?」

 

「ごめん、何で?」

 

「ピストン運動」

 

「ぶん殴るぞ」

 

バスの席は昨日クジで決まったペアが隣同士の席になっており、そのためか、先程から只村と足柄教師の席から「助けて助けて」や「まだ綺麗な身体でいたいんだ」などの只村の悲鳴が聞こえるが誰のログにはそんな悲鳴は残っていない。

 

「なるほど、コウは左手派か」

 

「右ストレート?左ストレート?」

 

バスでの席は幸と箒は隣同士である。ちなみに教室での席も隣同士であり、仲が良い、故に周りからはおしどり夫婦などとからかわれている。

もちろん、二人は否定している。

 

「つか、今日はやけにテンションが高いな……IS好きなの?」

 

「嫌いだ」

 

「即答かよ」

 

あまりの答えの速さにある意味感動する幸である。

 

「じゃあ、なんで?」

 

「ふっふふ、実は今日のIS博覧会に【にゃんオー】が来るのだ」

 

「にゃんオー?」

 

「あぁ、今の私なら生徒会長やバンドのボーカルやラジオに出演したり、勇者になれそうだ」

 

「やめなさい」

 

幸がツッコミをいれるが、箒は無視して、これだと制服の胸ポケットから何かを出そうとしているが、中学生というか学生にしては無駄にデカい胸のせいで、簡単には出せないのか苦戦しながらも、二枚の写真を幸に手渡す。

幸は苦笑しながら、その写真を受け取り、見る……そこには猫の前足を両手で持っている……まるで猫を吊るしたような状態でドヤ顏をしているセーラー服を着た少女が写っていた。

 

「それじゃない、それは妖怪猫吊るしだ」

 

なんだ、その妖怪は……と幸は疑問に思いながら、もう一枚の写真を見ると、そこには顔は可愛らしい猫だが顔から下がボディビルダー顔負けのムキムキマッチョで、ハイグレパンツを着用し、股間のあたりが盛り上がっている。

 

「可愛らしいだろ」

 

「何処が⁉」

 

「ムキムキマッチョ」

 

「お前、頭おかしいんじゃないの⁉」

 

「失礼な、去年の可愛らしいキャラ堂々の第二位だぞ」

 

「これが⁉」

 

これが第二位⁉と驚きながら、にゃんオーの写真を何度も見る幸だが、やはりこのムキムキマッチョ猫が可愛らしいとは思えない。

まだ先程の妖怪猫吊るしのほうが

可愛らしいじゃないか?とも考える幸とにゃんオーの可愛らしいさを熱弁する箒と貞操を失った只村と満足そうな足柄教師一行を乗せたバスは目的地であるIS博覧会の会場のドームに近づいていた。

 

 

 

そのバスの後ろには黒い車が一台走っていた。

その車を運転しているのは眼鏡をかけた男性で、その後部座席には紫色の髪をポニーテールで纏め眼鏡をかけた不機嫌そうな女性と水色に近い髪色をした男性の二名が乗っていた。

 

「課長、いい加減に機嫌を治してください」

 

「【アレ】が間に合わなかったのは確かに悪かった」

 

「いいよーべつにーきにーしてーないしークルスト君も黒崎君も暇じゃないだろうしーいいもーん」

 

いや、気にしてるだろと二人は心の中でツッコミをいれたが口には出さなかった。

そんな雰囲気の中、その黒い車もIS博覧会の会場を目指し、走行する。

 

 

 

 

 

 

 

三台のバスは博覧会の会場に着き、生徒達を先に全員降ろしたあと、用意されている駐車場に向かう。

足柄先生は生徒を集め、点呼を始める。全員がいるのを確認し、最後に集合時間などの確認などもして、全員で会場内に入る。

 

そこには初日とはいえ、平日にも関わらず多くの人で溢れかえっていた。会場内には各国のブースや東南アジアなどとまとめたブースなどがあり、また休憩所や食事が可能な簡易の食堂までもが用意されていた。予想以上の規模の大きさに生徒達が驚くなか、先生達は生徒に注意などを呼びかけ、自由行動なので解散した。

そして、そのまま生徒達は組んだペアと一緒に行動を開始したり、仲の良い友人と一緒に行動しようとしたりなどと自由に動き始めたと言っても、学校から何処のブースをまわれという指定があるのでちゃんと指定されたブースには行かなくてはならない。

ただ順番は自由だ。

 

「うむ、行くか」

 

「うん」

 

「にゃんオーの所に!」

 

「はい、まずは東南アジアの方にいきましょうねー」

 

にゃんオーのブースは学校から指定されたブースではないので、無用な面倒が嫌いな幸は嫌がる箒を引っ張りながら、まずは一番近い東南アジアのブースを目指した。

それから、適当に各国のブースを歩き回る、二人であった。

イギリスのブースでは縦ロールの少女が新型機の説明をしていたり、中国のブースではツインテールの少女が老人達に頭を撫でられていたり、ドイツのブースでは何故か銀髪の少女に頭を踏んで下さいと懇願する男性達がいたり、フランスでは中性的な少女がナンパされていたり、日本のブースでは眼鏡をかけた少女が眠いたいのか船をこいでいたり、ロシアのブースには誰もいなかったりと国々により、様々であった。

 

次に周ったのは企業のブースだった。世界各国からIS関連の開発、販売を行っている企業のブースであり、その企業の技術力が明確にわかる。

幸と箒は適当に見ながら、歩を進めているとアメリカの企業【アナハイム社】が幸の眼に止まった。

 

「ははは」

 

「どうした、コウ?」

 

「いや、なんでも」

 

まさか、以前いた世界の企業と同じ名前の企業がこの世界に存在したことに驚いた。ISにもう少し関心を抱き調べていたら、すぐにわかりそうなものだ。

だが、よく見れば、この企業は世界的な企業らしく【揺り籠から墓場まで、爪楊枝からISまで】という広告を出している大企業らしい。逆に何故今まで自分は知らなかったのだろうと幸は自分に呆れた。

ここも学校に指定された場所なので、二人で色々と見て回ることにした、すると眼鏡をかけた男女が話しかけてきた。

 

「やぁ、デートかい?」

 

「違います、学校の行事です」

 

「んふ、そうなのかい、つまんないねー、黒崎君?」

 

「何を言ってるんですか、課長」

 

課長と呼ばれた女性はニコニコ笑いながら、箒に近付き、何かを耳元で囁いた。

 

「ーーー」

 

「⁉」

 

箒はかなり驚いた顏をし、課長と呼ばれた女性はニコニコと笑いながら、軽やかなステップでその場を後にした。黒崎と呼ばれた男性は幸達に向くことなく、その女性の後を追った。

箒が何を聞かされたは幸は知らないが、あの驚きようからかなりのことだろう。

 

「あー、箒、知り合い?」

 

「……いや、知らん……が知り合いに似ている」

 

箒はそれだけを言うとアナハイム社のブースから駆け足で離れて行こうとしたので、幸は疑問に思いながら、その後を追う。

 

 

 

しばらくして、いつもの調子に戻った箒と残りの企業ブースを歩いていると一つだけ、ガランとしたブースがあり、そこには一枚の立て看板があった。

そこにはこう書かれていた。

 

【ジオニック社、明日から展示開始】

 

まただよ……と、幸はため息をついたアナハイム社に続き、前世の世界にあった企業の名前があった。自分が知っているジオニック社かどうかは知らないがあまりいい予感はしなかったので、気にしないようにした。

 

 

 

 

 

 

 

そして、周るべき場所は周ったので、幸は外にある休憩所で休んでおり、箒はにゃんオーのブースに一目散に走って行った。そのため、今は一人だ。

一人で買ったコーヒーを飲みながら、博覧会内を見渡すがすぐに興味がなくなり、欠伸をする。

幸は平和を噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーだが、そんなときに遠くから聞き慣れた音、爆音が幸の耳に届いた。

幸が驚き、爆音が聞こえた方を見ると何箇所から黒い煙が上がり、周りはパニックになっていた。

そして、博覧会の方から何機かのISが爆音が鳴った煙が上がる場所へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー数分前。

 

IS博覧会の駐車場で先程の黒い車と並ぶように黒いワゴン車とトラックが止まっていた。中では数人の人間が忙しそうにパソコンを操作していた。

その中には先程の眼鏡をかけた男女と薄い水色の髪色をした神経質そうな顔の男がいた。

 

「各機指定位置に到達」

 

「内海課長、爆破まであと三十秒」

 

「楽しみだね、クルスト君」

 

「あぁ、そうだな」

 

「爆破」

 

次の瞬間、遠くの方で大きな音が鳴り響く。

そして、数秒後には何機かのISが博覧会から飛び去って行った。彼らの予想通りに救助に向かったのだろう。

 

「んふ、予告状を出させて正解だったねー」

 

「だな……さて、やるか」

 

「そうーだね、くーろーさーきーくーん」

 

「はい、準備完了です」

 

それを聞いて、内海課長は満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーさて、始めようか。

ーーー我々の反逆を。

ーーーIS狩りを。

ーーーそして、世界にお見せしよう。

ーーー対IS兵器の力を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い車と黒いワゴン車と隣接して止まっていたトラックがIS博覧会の会場目掛け、急発進した。

そして、そのまま会場内に突っ込んだ。

 

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