俺の親友が女の子になってしまった件   作:勝機を零した、掴み取れん

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久しぶりにイキスギイレブンを書いたら書きたくなったので初投稿です。


第1話

 この世界で生まれて早14年目。前にいた所からすれば信じられない事がたくさん起こる世界だった。

 

 まず、人間離れした身体能力を持った奴が多すぎる。特にサッカー。

 訳の分からないスピードでタックルやスライディングをしたり、グラウンドを抉ってそれを使ってシュートを止める。そのシュートに関しては炎を纏ったり、ドラゴンを出したりと人外しかいない。

 

 挙句の果てにそのようなプレーをしてもレッドカードはおろか、イエローカードすら出されることが出ない。むしろ故意に当てた普通のスライディングの方が危険行為とされるくらいだ。ルールちょっと考えた方がいいと思う。

 

 

 

 そして今日、また新しい事件が起きた。

 

「優くん……僕、女の子になっちゃったみたい……」

 

 親友が女の子になってしまった。

 

 

 

 

 

 ──吹雪士郎。小さい頃からの幼馴染だった。家が近くて、毎日遊んだり、あいつの好きなサッカーに誘われて自分もサッカークラブに入った。

 

 士郎には弟も居て、兄弟2人ともサッカーが上手くてそのおかげで試合に勝てた事も多かった。

 俺も、2人と中学や高校に上がっても一緒にサッカーがやれるかもしれないという思いもあった。

 

 

 

 だけど俺達が小学生の時、士郎だけを残して彼の両親と弟はこの世を去った。

 

 

 練習試合があった帰り、士郎たちが乗っていた車が大規模な雪崩の事故に遭ってしまったらしい。

 

 奇跡的に車から放り出された士郎は無事だったらしいが、彼以外は車ごと雪に押し潰れてしまったというのを聞いた。

 

 その話を聞いた時、俺は何も考えられなかった。

 

 試合に勝って、また明日会おうと言っていた仲がよかった友人の弟と両親をたった数時間後に失ったのだ。

 

 俺でこれだったんだから、家族である士郎にとっては生きていく気力なんてなかっただろう。

 

 事故が起きた数日後。俺は病院で治療を受けていると聞いていた士郎に会いに行った。

 

 だけど、その時の姿は辛い、その一言でしか表せなかった。

 

 ずっと、あいつはベッドの上で俯いていた。表情も見えない、そこから漂う雰囲気は誰も自分に近づくな、そう思わせていた。

 

 それでも歩き続け、ベッドの横に置いてある椅子に座った。

 

 話しかける言葉が見つからない。沈黙の時間が何分もあった。このままこの時間がずっと続いてしまうのかもしれない、そう思った時、士郎の方が先に口を開いた。

 

「どうして……どうしてアツヤが、お父さんがお母さんが……死ななくちゃいけなかったの?」

 

「どうして……僕だけが生きてるの?」

 

「どうして……どうしてどうしてどうして!!」

 

 静かだった部屋の中が、彼の怒号で響く。今まで聞いた事がなかった士郎の叫び声。何も言えない、聞いてあげることしか出来なかった。

 

 嗚咽混じりに何度も叫ぶ、次第に士郎は狂い、身体を何度も何度も大きく動かしてやり場の無い怒りを俺にぶつける。

 

 そして、士郎は俺の胸倉を掴む。

 

「どうして……どうしてなの……! 僕達は何もしてないのに! サッカーが好きで、アツヤと僕がいれば完璧になれるって、お父さん言ってくれた!」

 

「なのに! みんなはもういなくなった……! ねぇ、教えてよ! 僕はこれからどうすればいいの!?」

 

「こうなるなら……サッカーなんてやらなければ良かったんだ。そうすればこうなる事も無かったんだ……!」

 

「それ以上言うな!」

 

 俺は士郎の両肩を掴む。これ以上言わせれば取り返しのつかない所に行ってしまうかもしれない。そう思ったから無理矢理言葉を遮った。

 

「ゆう……くん」

 

「ダメだ……それ以上言えば、今までの自分を否定することになる。そんな事、誰も願ってなんていない。ひとりになろうとするな……」

 

 何も食べていなかったのだろうか、元々細かった士郎の身体はこれ以上力を加えれば折れそうなくらいにさらに細くなっていた。誰かに支えてもらわなければ持たないと思えるくらい。だから、あんな言葉が出てしまったのだろうか。

 

「俺が……お前を支えられるように頑張るから。お前のお父さんやお母さん、アツヤにはなれないけど! それでも俺は、お前の助けになりたい ……今は無理でもいつか、きっと必ず! だから……そんな事はもう言うな……!」

 

「……本当に、僕の事……助けてくれる?」

 

 士郎はいつの間にか胸倉の手を離し、俺の胸に埋まっていた。

 

「……当たり前だ」

 

 そう答えると、士郎は泣き始め、ずっと泣いていた。涙で俺の服は濡れていくがそんな事気にならなかった。それで少しでも前に進めるようになるのなら。

 

 

 

 それからしばらくして、無事に退院することが出来、少しずつではあるが昔のように笑うようになってきた。

 

 だけど過去の事を克服するのは簡単な事じゃないこれから先もそれは士郎の事を縛り続けるだろう。

 

 だから、これからあいつがどんな風に変わろうとしてもそれを見守っていくのが俺の役目だと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──だけど、女の子になってるなんて誰が想像できただろうか……。




回想ばっかりでしたが次回から頑張ってガンギマリのような作品に出来るように頑張ります(頑張るな)
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