ガールズ&パンツァー ~捨てられた男の娘~ 作:ニキ・ラウダ
セナの可愛い洋服姿と笑顔で二木家にもてなされたみほ達一行は食堂へと案内され、テーブルへと着席しセナとおしゃべりをしていた。
みほ達は、セナに聞きたいことが山程あった為、色々質問をしている。そして、華は自分の母親がセナを叩いた事に対して改めて謝罪をしていた。
「セナさん!私の母がご無礼な事をして申し訳ございませんでした!」
華は頭が地面に着きそうなくらい頭を下げており、それを見たセナも戸惑っていた。
「華さん!?頭を上げてください・・・もう終わった事ですし、あの時きちんと謝罪は頂きました。それにあの時は私もラウダ航空の娘であることを黙っていましたし、この件は終わりです。」
「ですが・・・」
「私が良いと言っているから良いのです。ですからもう頭を上げてください。ね?」
セナは優しく微笑み、ゆっくりと華の身体を起こした所で、ラウダがやって来て、真剣な表情でみほ達の方を向いた。
「さて、びっくりすることは山程あったと思う。そして、私から1つ君達にお願いしたい事がある。確かに、セナはラウダ航空の娘だ。だが君達には、セナに対し、今まで通りの接し方をして欲しい。この通りだ」
「お父様!?」
セナは、父親の行動にびっくりして驚いた顔をしていた。そして、ラウダはゆっくりと頭を下げた。ラウダはどんな反応が返ってくるのかと心配だったが・・・
「はい!わかりました!」
「もちろんですっ!」
「そんなの当たり前じゃん!」
「えぇ!」
「そうだな・・・」
返ってきた第一声はみほの元気な声から始まり、次々にラウダのお願いを聞いてくれた。ラウダはみほ達の目を見たが、嘘を付いていない綺麗な目だった為、表情がにこやかになり、ラウダはセナの肩に手をポンと置いた。
「セナ・・・良い友達を持てたな。」
「はいっ!」
セナの表情は、とても晴れやかだった。
そしてラウダは、パンと手を叩く。
「さて、食事の用意が出来たようだから、食事にしよう!堅苦しい食事のマナーなどは要らない。普通に食べて貰って構わない。」
みほ達は、セナとの会話を楽しみ、中には見たこともない高級料理が出てきて大成功の食事会となり、あっという間に夜になった。そして各自でシャワーを浴びパジャマに着替え、セナの部屋へと集合した。セナは皆が自分の部屋に入ってきた為、少し緊張している。
「あまり部屋の中をジロジロ見ないで下さい・・・恥ずかしいです・・・」
セナは顔を真っ赤にしながらうつ向いており、みほ達は、セナの部屋を見ていた。
「セナ殿の部屋って意外に殺風景なんですね!私の部屋とは全く違います!あっ!この写真に写っている戦車って・・・」
優花里がセナの部屋を見回っているとセナと戦車が写っている写真を見つけた。
「あぁ・・・それは」
セナが戦車の説明をしようとした時、優花里が被せぎみに戦車の種類を説明した。
「この戦車はオーストリア製SK105キュラシェーア軽戦車じゃないですか!?」
「よくわかりましたね?マイナーな戦車でわかる人はあまり居ませんよ?」
セナが戦車の説明をしていると、優華里はとある事に気付いた。
「あれ?セナ殿・・・この時、目が青くないですね?」
カラコンを入れていないセナのレアな写真なので、皆私もみたい!と一気に集まってきた。
セナは何故カラコンを入れていないのかの説明を始めた。
「それは11歳の時の写真で、聖グロリアーナにはまだ入学していませんでしたので」
皆11歳というワードに驚いた。何故なら、外見がいまと全く変わっていないからである。
「嘘!?セナちゃんの外見が全然変わってないんだけど!?もしかして・・・不老不死!?」
「武部さん?それは無いんじゃかいかな?ん?」
みほは、苦笑いをしながら沙織にツッコミを入れ、そして"ある事"に気付いた。
「昔の私にそっくり・・・」
そう、カラコンを入れていないセナは、昔の自分に瓜二つだったのだ。
みほは、少し困惑していた。世界には3人自分にソックリな人が居るとは良く言うものの、これはあまりにも似すぎている。まるで双子みたいにソックリだ。
みほが自分の写真を見て、何やら考えている素振りをしているのを見たセナは、後でみほと2人きりで話すことにした。セナは、みほの耳元に小声でささやいた。
「みほさん・・・後で2人きりでしたいお話があります。夜中の0時に、大浴場横のリフレッシュルームに来てください。」
みほは、戸惑いながらも軽く頷いた。
そして、その後は皆でお菓子を食べながら、トランプをしたり、テレビゲームをしたりして楽しんだ。そして皆が寝静まった頃、みほは、セナに言われた通りに、大浴場横のリフレッシュルームへとやってきた。そこには1人ポツンと椅子に腰かけているセナがおり、その表情はかなり緊張している様子で、薄っすらと汗をかいている。
セナは手を招いて、みほに隣に座るように促し、みほはゆっくりとセナの横に腰かけた。まず最初にしゃべったのはみほだった。みほもかなり緊張している様子だ。
「セナさん・・・あのね?写真を見たときに思った事があって・・・」
「私と似ている・・・ですか?」
「うん・・・」
みほは、真剣な表情でセナを見つめる。
セナは少し笑みを浮かべながら、みほの方を向き、みほに1つ質問をした。
「みほさんは、自分の昔の事を親から聞いたことありますか?」
みほは、横に首を振った。
「お母さんは、昔の事をあまり喋ろうとしてくれなくて、だから私、昔の事は、全く知らないの。」
みほは少し顔を下に向けながらそう言った。
セナは自分の事についてしゃべり始めた。
「私・・・本当は、今の両親と血は繋がってないんです。」
「えっ!?」
セナの発言にみほは、驚いた顔をした。
「私、産まれて直ぐに実の両親に捨てられて、二木家に引き取られ、現在に至ります。私を捨てたのは・・・」
セナの喉は乾き、心臓の鼓動はかなり速くなっていた。セナの頭の中には様々な不安がよぎる。真実を告げたらみほはどんな表情になるのか、どんな感情を抱くのか、自分を拒絶するのでは無いかと、様々な考えが頭の中一杯に広がったが、心を決めみほの目を真っ直ぐ見つめた。
「私を捨てたのは・・・西住家です。」
「えっ・・・」
「そして私は、西住しほの長男で、みほさん・・・あなたの双子の弟です。」
「えっと・・・」
みほの頭の中は混乱していた。無理もない、いきなり私はあなたの弟ですと言われたのだから。みほには、それよりも気になる事があった。
「双子の弟という事は、セナさんって・・・男の人・・・なの?」
「はい・・・戦車道をするに辺り、性別を偽っていました。ごめんなさい。」
セナはみほに、性別を偽っていたことに対し謝罪をした。セナが少し顔を上げるとみほは、ボロボロと涙を流しながら、泣いていた。
「謝って済む問題では無いことはわかっています。ですが、みほさんに本当の事を言いたかったんです。どんな結果になったとしても・・・」
セナはみほに対して、ずっと頭を下げ続けた。ほんの数秒だったが、セナにはかなり長い時間の様に感じた。
そして、みほはセナをゆっくりと抱き締めた。
「謝らないで・・・セナさんが私の弟で、男の人だったのはびっくりしたけど・・・それよりも、セナさんが本当の事を言ってくれて嬉しかった。けど・・・もう少し早く話して欲しかったな・・・」
セナは涙が溢れてきた。みほは、突き放さず自分を受け入れてくれた。それがたまらなく嬉しかった。セナは泣きながらみほを抱き締め返した。
「本当は、いつか言わなきゃと思ってた・・・けど・・・拒否されるのが怖くて・・・言い出せなくて・・・」
「謝らなきゃいけないのは私・・・セナさんが私と居るとき辛そうな顔をしてたの知ってたのに、何も出来なかったから・・・」
セナはそんな事はどうでも良かった。自分を弟だって受け入れてくれたのが嬉しかったから。そして安心したのかセナはみほの胸の中で寝てしまった。みほは微笑みながら、セナの寝顔を見た。まるで子供の様な寝顔でスヤスヤ眠っている。時々寝言でお姉ちゃん・・・大好き、と言っていた。すると、聞き覚えのある声が廊下の角から聞こえた。そこには、優花里、沙織、麻子、華の4人が居た。
「武部殿!押さないで下さい!」
「だって気になるじゃん!」
「沙織・・・西住さんに、気付かれてる・・・」
「バレてしまいましたね。」
そう、この4人は、みほが居ないのに気付き、探しに来たのだった。
みほは、今の会話を聞かれたのは、不味いと思った。何故なら、セナは男で性別を偽っていたのだから。
「どこから聞いてたの?」
みほは不安そうな顔で4人に尋ねた。それに対して、4人は言葉が詰まり、沙織が気まずそうな顔をして答えた。
「私・・・あなたの双子の弟です・・・からかな?」
みほは、愕然とした。セナが男だとバレてしまったからだ。どうしようかと考えていると。セナの両親がやってきた。
「あら・・・気持ち良さそうに寝てるわね?そんなにお姉ちゃんの懐が気に入ったのかしら?」
母親であるかなえは頬に手を当てながら、ふふっと笑っていた。そしてみほに話しかける。
「ごめんなさいね?みほさんとセナの会話・・・全て聞いていたわ。」
みほは、急に恥ずかしくなった。セナの両親に全ての会話を聞かれていたからだ。ラウダは申し訳無さそうに、みほに謝った。
「盗み聞きをするような真似をしてすまない。だが、私達は血が繋がっていないとはいえ、セナの親だからな、この子の行く末を見守る義務があったんだ。それは、理解して欲しい。」
ラウダは一拍置くと、話を続けた。
「さて、セナの正体が知られた訳だが、君達はセナをどうしたい?」
みほ達は、言っている意味がわからなかった。
「どうしたいって・・・どういう事ですか?」
みほは、恐る恐るラウダに聞いた。
「この子は、私達のお願いとはいえ、男である事を君達に隠していた。君達が、男が女子高にいるのが嫌だというのであれば、セナを大洗から別の学校へ転入させる。」
それに対するみほ達の答えは
「私!セナさんと一緒に戦車道がしたいっ!」
「私も!セナちゃんの友達だもんっ!」
「私もですっ!セナ殿が男であったとしても友人であることに変わりはありませんっ!」
「セナさんが、男性だったとしても関係ありませんっ!」
「男だった事には、驚いたが大した問題じゃない・・・」
その言葉を聞いたラウダとかなえは2人で見つめ合い笑った。
「そうか、ありがとう。セナを引き続き大洗に居させよう。但し・・・この事は決して他の人には言わない事。」
みほ達はラウダの条件に、無言で頷いた。ラウダはそこに、しかしと付け加えた。
「君のお姉さんである、西住まほさんと、西住家の使用人、聖グロリアーナのダージリンとオレンジペコだったかな?この4人は、セナの正体を知っているから話しても良い。それ以外は駄目だ。」
みほ達の元へセナの母親であるかなえが、近付いてきた。間近で見ると、とても身長は麻子と同じくらいで小さく、髪はウェーブがかった水色で、目はクリっとしてて、幼い外見だった。
「みんな、ありがとう。」
かなえは、丁寧にみほ達にお辞儀をした。
「そんなっ!お礼を言われる事なんて何もっ!」
みほは、そう答えたが、かなえはいいえと返答した。
「あの子は、あなた達と出会ってもう一度心を開く事が出来たわ・・・ありがとう。」
「私からも、お礼を言う。セナは中学の時に虐められてから、自分から人と関わろうとはしなかった。大洗に入学し、戦車道が復活し、君達と出会えたからこそ、こうやって自ら君達を家へ誘い、自分の事を告白する事が出来た。ありがとう。」
ラウダとかなえがお礼を言った後、沙織が何か思い出したように、あっと言った。
「明日も出掛けるから、そろそろ寝ないとヤバくない!?」
現在時刻は1時半で、朝8時には出掛ける予定になっていたからだ。しかし、セナはみほにしがみついて離れない。みほがどうしようかと思っていた所。
「セナは甘えん坊でな、そうなったらもう離れない。もし、西住さんが良ければ、今日はセナと一緒に寝て貰えないだろうか?」
ラウダがそういうと、みほの顔が真っ赤になった。弟とはいえ、異性と一緒の布団に寝るからだ、みほが迷っていると、麻子がみほの元へとやって来た。
「西住さんが、無理なら私がセナと一緒に寝よう。」
「「「「えぇー!?」」」」
セナの両親は、ニコニコしており、後の4人は、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
結局その後、みんなセナの取り合いとなり、最終的には、みんなで一緒に寝ることとなった。
どうでしょうか?投稿初期と比べたら大分マシにはなってると思いますが。